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  • 個人輸入代行の薬はコワイよ

     やや高齢のお客様が『パブロン鼻炎カプセルSα』を2箱購入されるので、まとめ買いは好ましくない事と長期連用は避けるようお話ししたところ、 以前は『アネトンせき止めZ錠』を繰り返し使っていて、その目的は元気になるためだという。
     ミ( ノ_ _)ノ=3ズコーッ!!
     要するに、副作用として現れる興奮や反対の倦怠感を目的にしているのだ。
     この手の目的外使用に対しては販売を拒むのが本筋ではあるが、ちょうど近くで上司が作業していて販売を拒むこともできず。
     しかも、お話を聞くと『アネトンせき止めZ錠』では便秘をしたから『パブロン鼻炎カプセルSα』に乗り換えようと考えたという。
     便秘もまた副作用と考えられるし、それは『パブロン鼻炎カプセルSα』でも同様になる可能性があるとお話ししたが、そのまま購入されてしまった。
     そのうえ何故か、『バイアグラ』を個人輸入の業者から買ったということを自慢された。
     個人輸入の6割以上が偽物の薬という話もあるから、『バイアグラ』は病院で処方してもらうよう勧めると、「大丈夫」「めんどくさい」と受け入れてもらえなかった。
     なんたる敗北感……orz

     お客様から「強い風邪薬を」と注文され、発熱があるのかを尋ねると熱感はあるというのだが計ってはいないとのこと。
     主訴は鼻づまりと疲れ、そして熱感は微熱というところだろうか。
     風邪薬に強いも弱いも無いことを説明し、この後に休めるのなら現代薬を、休めないなら体力維持のため漢方薬をと提案した。
     というのも、風邪で起きる症状のうち発熱はウイルスの活動を鈍らせながら免疫機能を高め血行を良くすることで生命活動を活発にして、咳や鼻水などはウイルスを追い出すためだから、それらを薬で止めるというのは長期戦に入ることを意味する。
     確かに症状が抑えられると身体感覚としては楽になるが、ウイルスの活動を止められる訳ではないため、薬の効果が切れれば症状がぶり返すうえ、服用した薬の処理にも体力を使うことになり、疲労感は残る。
     漢方薬を使う場合は、一部に例外はあるものの『葛根湯』は上半身を温めて血行を良くすることで風邪と戦う体を支援し、『麻黄湯』は武器弾薬を補給して戦いを有利に運び、『柴胡桂枝湯』は損傷箇所(主に胃と肝臓)をメンテナンスして体力の低下を防ぐ。
     また、明日は用事があるというのであれば今夜は漢方薬で体には戦ってもらって、朝起きてから現代薬に乗り換えて表に出ている症状を軽減し、帰ってきてからまた漢方薬に乗り換えるという方法も考えられる。
     今回は、休めそうにないというので『葛根湯』で自身と一緒に戦うか、『柴胡桂枝湯』で体力を下支えするかという選択肢を挙げたところ、疲れてるというお話から『柴胡桂枝湯』を使っていただくことになった。
     微熱というのが曲者で、多くの人が微熱を「風邪の初期」と考え油断してしまいがちだが、疲労感があるようなときは、「熱を出す体力がすでに無い」という可能性がある。
     その場合、微熱が続くわりに症状が激しくならないため、さらに無理をして肺炎に進むケースもあるので気をつけてもらいたい。
     ええ、私なんですけどねソレやったの(;´Д`)

     高齢の父親が便秘ということでオリゴ糖を求めて、お客様が来店。
     しかし以前に、亡くなった母親に処方されていた漢方薬を使った時には良くなったというお話が出た。
     内容は覚えていなかったが、ツムラの青い帯のようなので『桂枝加芍薬湯』と予想されることと、他に『潤腸湯』というものがあることを紹介し、担当医に相談してみるよお勧めた。
     そこまで話したところで、父親は糖尿病を患っているという話が出た。
     オリゴ糖は消化されにくいため、だからこそ便秘への効果が期待されるわけで、だからこそ血糖値が上がりにくく糖尿病患者には最適。
     とはいえ、それを知っている様子ではなく知人から勧められたということから、まずは担当医に相談したうえでと伝えた。

     

  • 合わなかった薬は記録しておくのが重要

     やや高齢のお客様が風邪薬の棚で迷っている様子だったので声を掛けてみたところ、「風邪薬を選ぶのは難しい」と言われた。
     普段は置き薬を使っていて、それもできるだけ使わないようにしていると言う。
     風邪は基本的に自然に治るものであるから、その対応は良いこと。
     そう答えて話が弾んで、ようやく主訴が喉の痛みだという話に辿り着いた。
     長い(笑)
     喉の痛みだけならばと『駆風解毒湯』を紹介しつつ胃炎の可能性を話して、体内の乾燥を取る『麦門冬湯』を案内した。
     しかし自身の薬は、やはりやめることにしたようで成人の娘さんの鼻水の薬を買いたいというお話になり『小青竜湯』を案内したが、ご自身で『コルゲンコーワ鼻炎フィルム』を購入された。
     お客様は漢方薬は好きだけど、娘さんは分からないそうなので。

     『パブロンSゴールドW』を手にしていたお客様がカラ咳咳をしていたので、『麦門冬湯』が入っている『パブロン50』を勧めてみた。
     総合風邪薬に入っている解熱剤は神経に働きかけるため、体内の保水機能が落ちて乾燥しがち。
     風邪の後に咳だけ残ったという場合は、発熱だけでなく、解熱剤の副作用が原因だったりする。
     しかし、「漢方薬は胃に悪いから嫌」と言われてしまった。
     詳しく訊いてみると、以前に薬局で風邪に勧められた物が合わなかったそう。
     風邪というと、初期に使う『葛根湯』か発熱時の『麻黄湯』だろうか。
     お客様は覚えていなかったため分からないけど、どちらも確かに胃には負担がかかる。
     胃が弱い場合の風邪には、初期に適応する『桂枝湯』か、初期から後期まで『柴胡桂枝湯』で通すのが良い。
     今回は、主訴が咳と微熱で、『麦門冬湯』は胃薬でもあることを説明すると『パブロン50』をお買い上げいただいた。

     お客様から、目の周りの痒みに塗り薬を希望されたが、どんなに弱い薬でもクリームや軟膏の基剤が目に入るのは良くないので、目薬を塗る方法を提案し『ロートアルガード』を案内した。
     しかし、花粉症のようであるものの、目ヤニも出るとのことだったため、『新緑水』の方を勧めてお買い上げいただいた。

     

  • 子供の頃に正しい薬の知識を(ただし要アップデート)

     やや高齢のお客様が、さらに高齢の知人がヤケドしたとのことで来店した。
     牛乳を温めていて手の甲をヤケドしたらしいんだけど、アロエ軟膏をこすりつけて皮がめくれてしまったそう。
     あうっ、初期はとにかく流水で30分以上冷やして、あとは患部をガーゼで覆うなどして保護だけしてもらいたかった(;´Д`)
     高齢者だと、なにより細菌による患部の汚染が怖いから、一刻も早く病院に連れて行くよう勧めた。
     そのうえで、ごま油で患部を保護し紫根で皮膚の再生を手助けする『紫雲膏』と、『ワンタッチパッド』を案内すると購入された。
     しまった、売るべきじゃなかったかもしれない。
     それで安心して、病院に行かないかも……。

     『ヴィックスドロップ』を求めて来店したお客様に売り場を案内しながら症状を尋ねると、喉が痛いとのこと。
     『ヴィックスドロップ』は消毒薬みたいなもので、舐めてると気持ちが良いのは、自分の唾液で喉が潤うというだけのこと。
     実際に痛いのであれば医薬品も検討してみてはと『パブロントローチAZ』を紹介したら、いや実はそんなに痛くはないそう。
     どっちなので(^_^;)?
     何か薬を避けたい理由があるのかと思い訊いてみたら、病院で風邪薬を処方されていて他の薬との併用を避けたいらしい。
     それなら処方された薬を確認しようと思ったけど、処方された薬は覚えていないそうで、それ以上は訊かれるのが嫌そうに見受けられたため、そのまま『ヴィックスドロップ』をお買い上げ頂いた。
     一応、解熱剤や抗生剤が処方されたとすると、副作用で体内が乾燥し、風邪が治っても喉の痛みや咳が残ることがあることだけ伝えたけど、耳に入っていたかどうか。
     それよりなにより、薬が処方されている場合、飲み合わせが問題になるのは薬だけではないんだけどね。
     医薬部外品はもちろん、食べ物だって避けなきゃならない物はある。
     栄養剤は薬じゃないと思っていて、買っていく人もいるし。
     病院で薬が処方されたら、お薬手帳か、せめて現物は持ち歩いて買い物に出かけるのが吉。

     12歳の娘さんのニキビの相談を受け、炎症の少ない白ニキビらしい。
     成長期のニキビのため、『ビフナイト』と『クレアラシル』を案内した。
     栄養不足や血行不良で起きる大人のニキビと違って、成長期のニキビは体の成長が均一でないから起きる「材料の余り」が原因なので、なにより新陳代謝を助けるのが良い。
     でも本人は、イオウ臭を嫌がっていて『ペアアクネクリームW』を使っているそう。
     ううん、症状からすると合わないんだけどなぁ。
     そのことを伝えると、大学生のお兄さんと一緒に使っているらしいんだけど、そのお兄さんは赤ニキビだそうな。
     いやぁ、それはやっぱりお兄さんと症状が違いますので、分けたほうが良いですよ。
     そうお話すると、娘さんは『ビフナイト』を使った際に肌がポロポロ取れたのかも嫌がってるそうな。
     それは、効いてる証拠です(^_^;)
     この辺りは、親御さんから薬の効き方を説明してくれないと困る。
     本人を連れて来てくれれば、お話してみるんだけどな。
     まぁ、思春期だとそういう、匂いとか汚れみたいのがメチャクチャ気になるんだろうけど。
     そういう時期にこそ正しい知識を身につけないと、例えば肌を洗い過ぎて、将来的に肌荒れの原因になってしまい、そして知らないからますます洗い過ぎて……と負のスパイラルに陥ってしまう。
     ひとまず、お客様から娘さんに説明してみるとのことで、改めて『ビフナイト』を使わせてみると購入を決められた。
     他に『セイロガン糖衣錠A』を求められたため、『正露丸』と処方内容が違うことを、パッケージの成分表示を見せて説明した。
     海外に行くというから、「飲む消毒薬」である『正露丸』は食中りにもってこいではあるけれど、炎症を抑えるチンピやカンゾウが抜いてある『セイロガン糖衣錠A』は、やや心許ない。
     『セイロガン糖衣錠A』を使うなら、別途『柴胡桂枝湯』のような胃腸炎に対処できる薬を用意しておいたほうが良いです。
     特に解熱剤などと違って、『柴胡桂枝湯』のように胃腸にも肝臓にも使える内服薬は、海外では入手しにくいですし。
     そうお話すると、『正露丸』と『セイロガン糖衣錠A』の両方を購入された。
     あれ(笑)?
     あと、昔からストレス性の軟便や下痢になっていたという話もあったため、最後に『桂枝加芍薬湯』を紹介した。

     

  • ♪ナゼだ~ナゼ 謎だ謎 ナゼだ~ナゼ 謎だ謎(『科学冒険隊タンサー5』より)

     お客様から、『ユースキンS』と『ユースキンA』の違いを尋ねられたので、『S』は殺菌と保湿で、『A』は痒み止めと血行促進であることを説明した。
     すると、しもやけに使うとのことで、痒みはそれほどでもないというお話から、『メンタームメディカルクリームG』を勧めたうえで、痒みが強い場合は『ヒビケア』や『ヒビエイド』に乗り換えるよう伝えた。
     本日は、『G』をお買い上げ。
     足のマッサージが必要か訊かれたので、マッサージは是非してくださいと答えた。
     そのさいには、ギュッギュッと力を入れる必要は無く、リンパマッサージのように優しく撫でるだけで充分なことを付け加えた。
     力を入れるマッサージが上手くいくのは、プロか練習をしっかりしている人がやった場合だけ。

     やや高齢のお客様が来店し、喉の痛みに風邪薬をと注文された。
     喉の痛みだけなら別な物をと思ったが、悪寒がするというので『葛根湯』を提案した。
     ただ、喉の痛みは3日ほど前からで、そちらはのど飴で良くなったそうな。
     その段階で『葛根湯』を使ってもらえれば、悪寒までも進まなかったかも。
     『葛根湯』は家に置いておくよりも持ち歩いて、変だなと感じた時にサッと飲んでしまえば、風邪の兆候だけで済むという使い方ができることをお話して、お買い上げ頂いた。

     『のどぬ~る』用の長い綿棒を求めて、お客様が来店。
     でもうちのお店には、『のどぬ~る』の液体本体も無いため置いていない。
     患者は小学生の子供らしいんだけど、主訴が喉の痛みということ以上のお話はしてもらえず、帰られてしまった。
     まぁ、そうだよね。
     目的の物が置いてないんだから、またすぐ別なお店を回りたいよねε-(´・_・`)
     でも、現在では喉の殺菌消毒はあまりすること無いし、効果も極めて限定的。
     むしろ慣れない人(常備していない点から推測)がやると、喉の粘膜を傷めてしまい、かえって良くない。
     喉に直接薬を塗るというのは、一種の技術だから医師にやってもらった方が安全というもの。
     そこから考えても、お店を探しまわるより、喉の痛みに合わせて内服薬を選んだほうが手軽で解決も早いんじゃないかと。

     子供用の頭痛薬をとお客様から希望され、市販薬ではアセトアミノフェン製剤の一択しか無いことを説明したうえで、患者は中学生だというので『バファリンルナJ』を案内した。
     そして、頭痛の状態を尋ねると、ズキズキというよりは押されるような重い痛みを訴えている模様。
     風邪かもというお話から『葛根湯』を考えたけど、昨日は38度の発熱をして病院で処方された『カロナール』を服用させたという。
     ありゃん、その『カロナール』がアセトアミノフェンですよ(;´Д`)
     要するに、子供向けの解熱も鎮痛の第一選択な訳です。
     そして風邪の推移からすると、もう後半戦に入っているので『柴胡桂枝湯』を勧めて、お買い上げ頂いた。
     あと、食欲に任せて食べ過ぎないことと、入浴はして体を温めることを伝えた。
     それにしても、どうして最初に服用した薬を言ってくれなかったのだろう。
     発熱して解熱剤が処方されたのに、どうして「風邪かも」という言い方だったのだろう。
     この謎を解かないと、私のステップアップは無い……(´・ω・`)

     

  • 頼まれ物は、伝言ゲームや連想ゲームの如し

     鼻炎薬の棚を行ったり来たりしていたお客様が、風邪の棚に移り『ストナジェルサイナスS』をレジに持ってきたので、鼻風邪なのか尋ねてみると、家族からの頼まれ物だとのこと。
     この段階で、ご主人や奥さんなのか子供なのかといった「誰が使うのか」を教えてもらえると助かるんだけどねぇ。
     訊くタイミングを外すと、質問攻めを避けようとして確認しそびれてしまうことが……。
     いや、訊き方が悪いのかもしれませんが、どうして「誰が使うのか」という重要な情報を教えたがらないのか分らないの(´・ω・`)
     鼻炎の棚も見ていたことからすると発熱は無いのかもしれず、花粉症などのアレルギーとも考えられるため、鼻水の状態を確かめてみるようお話した。
     基本的に、透明でサラサラなら内臓の冷えかアレルギー性鼻炎、透明でも重量感があったり白く濁ってるか黄色などの色が付いていたら風邪と鑑別できる。
     すると、喉の痛みもあるらしい。
     喉の痛みというのは判断の難しい症状で、花粉を吸って喉が炎症を起こしていることもあれば、胃炎を喉の痛みと感知していることもあり、喉の痛み方が分からないとなんともいえず、本人でないと微妙なニュアンスがヒアリングできない。
     しかも世間一般では、「喉の痛み=風邪」の図式が根強く、喉が痛むと風邪薬をという人が多いため、話の持って行き方に悩むことがしばしば。
     今回も、頼まれ物とあってはこれ以上は深入りできず、そのままお買い上げ頂いた。

     お客様が、頼まれ物ということで『アルパノール』(抑肝散)を求めて来店した。
     しかし、うちのお店には類似処方の『抑肝散加芍薬黄連』しか置いていない。
     代用できないこともないが、胃腸が弱かったり体力が低下している人だと勧めにくいから、頼まれ物では代替品とするのには不適当だろう。
     また、お客様はもちろん頼んだ人も『アルパノール』を単に不眠改善薬とだけ思っているようで、その作用については知らないようだった。
     『抑肝散』は読んで字の如しで、肝臓の働きを抑制して症状を散らす。
     厳密には漢方で云う「肝」と臓器としての「肝臓」は完全一致はしないのだけれど、考え方としては肝臓はイライラや怒りと関連があり、肝臓の働きが悪くなるとイライラして寝付くのに時間が掛かるようになる。
     そして肝臓に限った話ではないが、人間の臓器は体力が低下していない限り、働きが悪くなると「頑張ろう」と過剰に働き、ますます機能を低下させてしまう。
     そこで、その働きを抑制して落ち着かせることが必要となる。
     この作用を利用して、病院では認知症で怒りっぽい人を落ち着かせるために処方される事もあるそう。
     ちなみに、漢方では「心」が弱ると、やはり怒りっぽくなると考えるのだが、「肝」との違いは起こり方の性質。
    「心」の方は瞬間湯沸し器のように一瞬で、怒った後にはニコニコしているようなタイプ。
    「肝」の方は持続的で、絶えず機嫌が悪くイライラしているようなタイプ。
     もちろん人間だから、どちらかに完全に偏るということは無いし、歳を取ってくると心臓も肝臓も機能が低下するし、他に胃腸や腎臓も睡眠に関わってくるから鑑別は、より複雑になります。
     ただ、「昔はこうじゃなかったのに」という性格の変化があるのなら、脳の機能障害だけではなく内臓機能の低下も疑ったほうが良い。
     あと、これは余談だけど、お客様に暴言を吐かれたりして腹が立った時には、「ああ、何処か内臓が悪いんだろうな」と思うと、少し優しい気持ちになります(o ̄∇ ̄)o←性格悪い
     ……それはともかく、ご本人が直接訪れてヒアリングできるのが望ましいことを伝えたところ、本日はお帰りになられた。
     以下は自己メモついでに、『抑肝散』以外の不眠に使う漢方薬の例。
     寝付くのに時間が掛かる入眠困難には、「肝」を養う『柴胡加竜骨牡蛎湯』
     何度も目をさましてしまう中途覚醒には、「腎」を養う『牛車腎気丸』
     ウツラウツラと眠りが浅い場合には、「脾胃」をいたわる『桂枝加竜骨牡蛎湯』
     ここから、さらに応用例。
     息苦しく感じて掛け布団をはいでしまう人は、「肺」を助け緊張を緩和する『半夏厚朴湯』
     不安感で色々と考えたり夜勤などで頭が冴えて寝付けない人は、やはり「脾胃」をいたわる『加味帰脾湯』
     疲労で体は休みたいのに自身の心臓の音さえ気になって、寝入ってはビクッと起きてしまう人は『ナイトミン』(酸棗仁湯)
     そして、鑑別が難しく迷った時には、「肝」も「脾胃」も面倒見てくれる『柴胡桂枝湯』
     私の母親は、風邪の後期の疲労回復や胃腸炎に用いる『柴胡桂枝湯』を飲むと眠くなるそうな。
     眠くなる成分は一切入っていなくて、効能にも睡眠な関することは書いてないんだけどねぇ。
     そんな訳で、一口に不眠と言っても候補は多いので、買い出しを頼む人は自身の状況をお遣いする人に伝えて、お遣いを頼まれる人は商品名だけではなく症状を確認しておいてくださいな。
     最低限、「寝るまでに時間が掛かる」のか、「何度も目を覚ましてしまう」のか、「寝ててもウツラウツラと意識がある」のか、あるいは複合型なのか分かると絞り込みやすくなります。
     あと、弱ってる臓器の予測もできるので、場合によっては循環器科を受診すると改善できるかも。

     鼻炎薬の棚の前で、携帯電話で通話をしたり、写真を撮ってメールでやり取りしているらしいお客様から、『パブロン鼻炎カプセルS』と『パブロン鼻炎カプセルSα』の違いを尋ねられた。
     ああ、頼まれた物の名前とパッケージデザインが微妙に違っていたから困っていたのね。
     それこそ、早く訊いてくれれば良いのに。
     でも道具を駆使して、頼んだ相手と連絡を取りながら確認するのは良いですな。
     携帯端末がこれだけ普及していても、買い物で活用する人は案外と少数派な気がする。
     お客様には、『S』が旧製品で『Sα』が同製品の後継であることを説明した。
     ところが、前言撤回するようだけど、頼んだ人は「鼻炎カプセルを」という指定なんだそうな。
     それは、範囲が広すぎる(;´Д`)
     しかも、仕事で車の運転をするというから、眠くなる可能性のある同シリーズは勧められない。
     そこで、比較的眠くなりにくい『ロートアルガードクイックチュアブル』を紹介し、相手には使った薬の使用感をメモして、成分表示を取っておくことを伝えるようお話した。
     すると、また相手に連絡を取り旧製品の『パブロン鼻炎カプセルS』を買っていかれた。
     やはり、カプセルが欲しいんだそうな。
     服用したら、車の運転は避けてくださいねー(」´Д`)」!!!

     

  • 自分は買い物を頼むのも頼まれるのも苦手

     若い男性のお客様がいらして、悪寒と鼻水の訴え。
     3日ほど前から鼻水が出て、鼻水は透明でサラサラだったとのこと。
     本人は花粉症かなと思ったものの、今までなったことは無いそう。
     花粉症は突然なることが多いし、透明な鼻水はアレルギーや内臓の冷えが原因だから、最初は風邪ではなかったのかもしれない。
     いずれにせよ、上半身を温める『葛根湯』を使うタイミングなので、お勧めした。
     現代薬について尋ねられたので、解熱剤などが入っているため、使うとすれば症状が明確になってからとお話した。
     内臓の冷えについても質問され、これは現代の日本の生活がそうなっていることを説明した。
     なにしろ、冬場でも冷たい物を飲むのが当たり前になってるし、夏の野菜を冬場に食べるのも当たり前。
     そして、夏場も涼しく過ごすことが多いのだから(冷房を使わなくても冷たい物は飲む)、平均的に内臓は常に冷えていると考えても差し支え無いだろう。
     そうお話すると、お客様自身も思い当たるところはあるらしいため、『葛根湯』より体を中から温める『小青龍湯』を紹介し、胃腸自体は弱くないというので、変更してお買い上げ頂いた。
     あと、風邪気味でも入浴は湯冷めに気をつければ有効だから、入るよう勧めた。

    「吐き気のある風邪の薬を」とお客様から注文されたので、市販薬で吐き気のある風邪に対応できる現代薬は存在せず、『柴胡桂枝湯』の一択であることを説明して案内すると、すぐに購入を決められた。
     ありゃん、間を端折り過ぎたか(;^ω^)
     最近、扇情的なタイトルを付けるネット記事を見習って、キャッチーなアプローチ方法を試してみるようになったんだけど、これは効き過ぎ。
     目的は、ヒアリングをしやすくするためのつもりだったのに。
     と反省して改めて症状を詳しく訊こうと思ったら、患者は成人の息子さんで、しかし食欲や発熱の有無といったことは、本人から電話で連絡があっただけで分からないそう。
     ありゃん、薬を頼む方も症状を伝えるのを端折らないでくださいな(;´Д`)
     お会計時に、食欲があっても食事は量を控え、グッタリしていなければ入浴させるよう伝えた。
     でも、早く帰りたい様子だったため他の注意点や養生についてはお話できず、そのうえレシートを「いらない」と置いてかれてしまった。
     販売された薬に、規定外の成分が混入していたというケースもあるから、レシートは持って帰っておいて欲しいんだけどなぁ……。
     息子さんのために薬を買いに来たはずなのに、あまり息子さんのことを考えていないという矛盾。

     『パブロンSゴールドW』を求めて来店したお客様から、顆粒と錠剤の効果の違いを尋ねられ、特に違いは無いことを説明したうえで症状を確認すると、ご主人が鼻水と咳を訴えているそう。
     でも、鼻水と咳の状態は分からないという。
     痰が喉に引っかかるような咳なら『パブロンSゴールドW』でも良いだろうけど、体の節々が痛むとも言ってるようだから、『パブロンAX』の方が良いように思えて案内した。
     しかし、いつも使ってるからとのことで『パブロンSゴールドW』を購入された。
     それが本当に患者さん本人の意向なら、構わないとは思うんだけどねぇ。
     いつも薬を家族に頼んで買ってきてもらってるとか、家に置いてあるから使ってるという人は、ちょっと考えてみるのが良いかと。
     自分の体のことを、誰かに任せてばかりいませんか(`・ω・´)?

     

  • 服薬ゼリーの使い方に注意

     お客様から、小学生の子供に病院から処方された漢方薬があり、それを服薬ゼリーで飲ませて良いかと質問された。
     子供がしもやけになりやすく、今回初めて内服薬として漢方薬が処方されたらしいのだけれど、お薬手帳も持参してなくて漢方薬の名前は覚えていないという。
     ううん、それだと判断が難しいなぁ。
     誤解されがちだけど、服薬ゼリーはどんな薬にも無条件で使える訳ではない。
     特に子供向けの服薬ゼリーは、果物味やチョコレート味などがあり、実はそれによって判断が分かれる。
     例えば、薬の注意書きにグレープフルーツジュースで飲ませては駄目と注意書きがある薬は、やはり果物味の服薬ゼリーは避けなければならない。
     理由は2つあって、一つは薬の成分の変化で、これは効能にも影響する。
     簡単に言えば、酸性の物と混ぜると変質してしまう。
     もう一つは味で、例えば苦味は酸味のする物と混ぜると、かえって苦味が強調されてしまうのだ。
     以前に、別な患者さんから漢方薬を果物味の服薬ゼリーで飲んだら、ものすごく不味かったと教えてもらった事もある。
     それらかすると、案外と無難なのはチョコレート味だったりする。
     そして今回の件で言えば、漢方薬だからといって不味いとは限らない。
     甘草が入っていれば、字面の通り微かな甘味がある一方、甘草程度では他の生薬の味を抑えきれず、一般的にイメージされる漢方薬の不味さは身近なところで『葛根湯』だと思うのだが、あれは苦味と辛味が混在しているから。
     咳止めの『麦門冬湯』などは、甘みの多い生薬構成なので、子供でも大丈夫なんじゃないかと思う。
     そのような説明をすると、本日のところは服薬ゼリーを買わずにお帰りになられた。
     ちなみに、うちの子の場合は2歳頃から解熱と栄養補給にミミズの粉(地竜)をお湯に溶いて飲ませていたお陰か、これまた苦味がある『柴胡桂枝湯』なんかでも「ウマウマ(゚∀゚)」と飲んでいて、小6になった今では顆粒のまま飲んでいる。
     私なんて、高校生くらいまで袋オブラートに包んで飲んでたのに。(その後、包むのが面倒になって顆粒のまま飲めるようになったけど)
     『龍角散』の『漢方薬用ゼリー コーヒーゼリー風味』は、「漢方薬の苦味を活かす」というコンセプトで、上手いなぁと思った。
     でもうちのお店では、売れなかった……(´・ω・`)

     『葛根湯』を購入されるお客様に、咳のある風邪や発熱してしまってる風邪には適応しないことを伝えたら驚かれた。
     別に驚かせるために言ってる訳じゃないけど、普通に声を掛けただけでは「大丈夫です」と案内を断られることが多いから、購入するタイミングとなってしまう。
     でもって、驚いてもらえると大抵は症状のヒアリングができる(笑)
     少し咳はあるものの、悪寒がするそうなので、『葛根湯』を使うタイミングとしては『今がその時だ』(作詞:工藤哲雄/作曲:千沢仁/編曲:岩崎文紀/ 歌:水木一郎)というところ。
     適応することを強調してお買い上げ頂き、『葛根湯』は家に置いておくより持ち歩いて、早め早めに服用するよう勧めた。
     飲料水を持ち歩いていたら、それこそ今この場で服用してもらいたいくらいで。

     成人の息子さんに頼まれて水虫の薬を買いにいらしたお客様、本人は病院を受診したことがあるのかを尋ねると、無いとのこと。
     足の小指が痒いらしく、お客様は本人に「靴のせいでは」と言ってみたそう。
     ふむぅ、水虫の見分けは難しいんだよねぇ。
     感染ルートからするとお風呂の湯上りマットとかを介している場合なんかは、家族も同様に発症していたりするのが参考になるんだけど。
     湿疹の薬の主な成分は痒み止めなんで、水虫に湿疹の薬は大丈夫なものの(長期連用して真菌の繁殖を見逃す危険はある)、その逆の湿疹に水虫の薬を使うと、殺菌成分が過度な刺激となり湿疹を悪化させてしまうケースがあるため、私は一度は皮膚科を受診するのを勧めている。
     そう説明したうえで、比較的刺激が少ない『ダマリンL』を案内してお買い上げ頂いた。
     あと、水虫の場合は薬用石鹸を使ったほうが良いか尋ねられた。
     これも、本当に水虫ならその通りではありますが、違う場合は皮膚を守る常在菌を倒してしまい、同じく皮膚を守る皮脂を洗い流して防御力を低下させてしまうため、やはの確定することが重要と伝えた。

     

  • 売るべきか売らざるべきか、それが問題だ

     『独活葛根湯』と『ドキシン錠』を見比べているお客様に声を掛けてみたところ、ご主人が五十肩に『独活葛根湯』を使っているものの飲みにくいと言っているため、もっと錠剤の小さい物は無いかと探しに来たそう。
     ありゃん、錠剤の大きさとなると分からないなぁ(^-^;
     そして詳しくお話を訊くと、ご主人は精神科を受診していて薬を処方されているそう。
     でも、お薬手帳は持参していないうえ、服用している薬の内容は不明。
     じゃあ『独活葛根湯』はというと、ご主人が自分で選んで買ったらしい。
     あうっ、それは駄目なパターン(;´Д`)
     精神面が胃腸の働きに関係していたら『独活葛根湯』は避けたほうが良いかもしれないし、『ドキシン錠』は筋弛緩剤が入っているから服用している薬との併用がマズイ可能性がある。
     むしろストレスが関係している場合には、『コリッシュ』(治肩背拘急方)のほうが向いているかもしれないので紹介してみると、ご主人は頭痛持ちであり、これまた自分で『イブA』を使って頭痛は治まっても肩の痛みは消えず、『独活葛根湯』にしても効いていないらしい。
     それは、ますます適応していないという事では……。
     仕事で重い物を運んだりしているという話からすると、上昇する熱を下ろす『桃核承気湯』や、上半身を温める『葛根湯』とは違い、熱を冷まして気を巡らせ血流を改善する『疎経活血湯』も候補になりそうなので紹介した。
     そのうえで、精神科の医師には肩の痛みについては伝えていないというから、紹介した漢方薬の使用も含めて相談してみるよう勧めた。
     科目が違っても、症状が関連するかの判断や他の医師を紹介してもらえるかもしれないと思って、とにかく悩んでる症状は全部伝えたほうが良いです。
     あと、お客様自身も頭痛になることがあり、頭が重く感じる頭痛だそうだから寒暖差が影響していると考えられ、『呉茱萸湯』を案内した。
     本日のところは相談のみとなり、漢方薬に詳しい病院を紹介した。

     やや高齢のお客様から、80代の母親が嘔吐していると相談を受けた。
     3日ほど前に吐いて、それからほとんど食事をしていないということで最初は胃腸薬を注文されたんだけど、甲状腺の治療を受けていて薬を処方されているというので調べてみたら、高齢者には副作用が出やすいうえ、他の薬との相互作用を起こしやすい性質のある薬だった。
     しかも、普通に服用していても心臓に負担が掛かる薬である。
     病院に連れて行ってもらいたいところではあるけれど、老々介護で連れて行くのも大変だとという。
     うーんうーん、ドラッグストアーの店頭では手に余るナリよ(´・ω・`)
     処方されている薬の作用機序を調べ直して、今日も吐いたそうだけど下痢は無いというお話から、『半夏瀉心湯』『柴胡桂枝湯』を候補にし、体力の低下を考慮して『柴胡桂枝湯』を試して頂くことになった。
     すると、介護食を一緒に購入されたけど、無理に食べさせないことと、『柴胡桂枝湯』にしても一回の服用量を減らして小分けにするよう勧めた。
     いずれにしても、受診は検討してください。
     あと、お薬手帳に記録して担当医への報告もお忘れなく。
     お会計を済ませて、ヤレヤレと思ったら、実は緑内障もあると告げられた……。
     『柴胡桂枝湯』は問題無いけど、後出しはヤメテーヽ(;´Д`)ノ

     

  • 光栄の行ったり来たりでございます

     『ジンマート』を眺めていたお客様に声を掛けたところ、蕁麻疹に病院で処方されていた薬を使い切ってしまったため、一時的に使える薬を探しに来たそう。
     商売的には、うちの店に買いに来てくれるのは有り難いけれど、市販薬を使って良いかどうか、使うとすればどんな薬が良いかは、処方された薬局に相談するのが良いと思う。
     まぁ、今回は処方されている薬が分かり対応できそうなため、『レスタミンコーワ』と『アレルギール錠』を案内すると、前者のジフェンヒドラミン製剤では酷く眠くなったという。
     処方されていたという薬も副作用は眠気だけど、現れなかったというのは、やっぱり相性なんだろうなぁ。
     成分の化学構造式を読み解けるようになると、同系統かどうかだけではない作用機序での区別もつくんだけど、そこまで勉強していない(;´∀`)
     眠くなりにくい物として、『十味敗毒湯』と現代薬を合わせた『タウロミン』も紹介した。
     そして、蕁麻疹の範囲は広いそうなので、容量の多い『ラナケインS』を考えたけど、痒みが強いという話だったから、効果の面で有意と考えられる『ジンマート』を勧めて、『タウロミン』と一緒にお買い上げ頂くことになった。
     ちなみに蕁麻疹は家に帰ると発症するため、担当医からは気が緩むからではないかと言われたそう。
     仕事なと出先で緊張して血行不良になり、リラックスして一気に血流が良くなって起きるんですな。
     となると、発症した蕁麻疹に対応するより出先での緊張を解くことを考えたほうが良いのかも。
     『四逆散』が候補になりそうだけど市販では入手しにくいしから、『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介し、夏野菜を避けるよう勧めた。

     電話で、お客様から問い合わせ。
     私がよくお客様に紹介している病院で『葛根湯』を処方されたさいに胃が痛くなってしまい、担当医に相談したところ『香蘇散』を処方され、同じ物がお店に置いてありますかと。
     ううん、『香蘇散』は高齢者の風邪の初期や花粉症に使えるから私も欲しいのですが、入荷ルートが無くて……。
     担当医からは、漢方薬で困ったらうちのお店を頼ってみてはと勧められたそう。
     ありゃん、それは光栄の行ったり来たりσ(^◇^;)。
     いずれにせよ、上半身を温める『葛根湯』で胃を悪くしてしまう人には、次点の候補として胃を助ける『桂枝湯』と、胃と肝臓を支える『柴胡桂枝湯』があることを説明した。
     そして電話を切ってから、ハッと気づいた。
     さっきいらした蕁麻疹のお客様に、『香蘇散』を紹介しておけば良かったかも。
     うちのお店には無くとも、病院で処方してもらえるかもしれないから。
     どうして、さっき思い浮かばなかったんだろう(´・ω・`)

     『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたお客様に、咳のある風邪なのかを尋ねてみると、成人の息子さんが患者で、家にあった分を使い切ったため追加を買いにいらしたそう。
     主訴は咳だそうだから、『パブロンSゴールドW』は、総合風邪薬の中では痰の切れにくい風邪に向いているので適応するものの、咳の他に症状は無いらしい。
     咳だけならば、解熱剤や鼻炎薬まで入っている総合風邪薬では披露してしまう可能性もあるため、咳止めだけにしてみてはと提案した。
     しかし咳の状態は分からず、いつも家族で『パブロンSゴールドW』を使っているという。
     本日のところは、本人に症状を確かめてみるとのことで購入を取りやめ。
     ……怒らせたりはしていない……はず。
     この辺は自信無し(;´Д`)

     

  • 患者さん本人とのリアリングが上手くいくとも限らない

     お客様が12歳の子供を連れ、咳止めを求めて来店した。
     本人に酷くなる時の状況を尋ねると、話そうとしたりして息を吸おうとすると喉に引っ掛かる感じがするとのこと。
     そして痰が多く出るそうで、喉の痛みもあるということから『ルキノン咳止め錠』を候補にしたけど、咳の音からするとカラ咳で体内の乾燥も考えられるため『麦門冬湯』を紹介し、胃炎が原因でストレスが関係するかもとお話すると、中学受験が思い当たるみたい。
     本人の選択により『麦門冬湯』を試してもらうことになり、夏野菜を避けて根菜を摂る食養生と、入浴などで下半身を温めるよう伝えた。
     トマトやキュウリは苦手だそうだから、今回の症状では良かったかも。
     それにしても、ちゃんと自分で答えようとする子供と、話に割り込まずにサポートに徹する親というのは珍しい。
     親子両方の性格によるものなのか、教育による賜物か、他の要因か。
     自分の体のことなのに関心無さ気に親に任せてしまう子や、子供に症状も剤形の好みも語らせず勝手に話を運んでしまう親の方が圧倒的に多いから、感心してしまった。
     普段の家での関係は知らないけど、良好なんじゃないかと勝手に想像。

     『柴胡桂枝湯』に興味を持った様子のお客様に声を掛けてみると、ここ数日食欲が無くて吐き気がして食べていないため、今朝は胃液だけ嘔吐したそう。
     うわっ、大変じゃないですかΣ(´∀`;)
     ちっとも、そうは見えなかった……。
     下痢は無いそうだけど、疲労感はあるというから『柴胡桂枝湯』は適応しそうなので、勧めてそのままお買い上げ頂いた。
     もし食欲が戻っても、胃腸の方はすぐに受け入れ体制は整えられないはずなため、まずは味噌汁やスープといった噛まずに食べられる物から再開するように伝えた。

     お客様から「メンタームを」と注文されて案内したら、探していたのは『メンソレータム』のリップクリームだった。
     まぁ、名前が似ているから間違えるのも無理は無い。
     元々は、アメリカのメンソレータム社から『メンソレータム』を輸入販売していた近江兄弟社が製造まで手掛けるようになった後に事実上の倒産をし(正確には自主再建を断念し会社更生法を申請)、『メンソレータム』の販売権はロート製薬が取得した。
     面白いのはその後で、大鵬薬品工業の資本参加で近江兄弟社が再建をはかるさいに、主力製品だった『メンソレータム』の製造販売をしようとしたところ、メンソレータム社が許可を与えなかったため、以前に『メンソレータム』の略称として商標登録してあった『メンターム』を商品名として類似処方で販売を開始したんだそうな。
     いやもう、自分で書いてて混乱してくるよ(笑)
     で、話戻ってお客様の症状はというと、口角炎。
     患部を見ると、見た目で分かるくらいパックリと両方の口角が切れているので、『ヒビプロLP』や『モリアップ』などでの治療を勧めたら、何も買わずに帰られてしまった。
     ありゃん、面倒臭がられたか(;´Д`)
     というか、しきりに「スナック菓子の食べ過ぎで~」とか「まともに食事してないから~」と言っていて、会話が成立しなかった……。
     口角炎の原因は、お菓子の食べ過ぎなんかの偏食もそうだけど、胃炎の可能性があるから『半夏瀉心湯』『黄連解毒湯』で炎症を抑えつつ、『チョコラBB』といったビタミン剤で栄養を補うのが最善の策。
     というような話も、出来なかったよ。

     マスクと『葛根湯』をレジに持ってきたお客様に、『葛根湯』は咳のある風邪と発熱には向かないことをお話すると、体がダルイとのこと。
     それでしたら、『柴胡桂枝湯』の方が適応すると考えられますと紹介すると変更して購入された。
     食欲はまだあるそうだけど、消化の良い物に切り替えて量を控えるように伝えた。