自分は買い物を頼むのも頼まれるのも苦手

 若い男性のお客様がいらして、悪寒と鼻水の訴え。
 3日ほど前から鼻水が出て、鼻水は透明でサラサラだったとのこと。
 本人は花粉症かなと思ったものの、今までなったことは無いそう。
 花粉症は突然なることが多いし、透明な鼻水はアレルギーや内臓の冷えが原因だから、最初は風邪ではなかったのかもしれない。
 いずれにせよ、上半身を温める『葛根湯』を使うタイミングなので、お勧めした。
 現代薬について尋ねられたので、解熱剤などが入っているため、使うとすれば症状が明確になってからとお話した。
 内臓の冷えについても質問され、これは現代の日本の生活がそうなっていることを説明した。
 なにしろ、冬場でも冷たい物を飲むのが当たり前になってるし、夏の野菜を冬場に食べるのも当たり前。
 そして、夏場も涼しく過ごすことが多いのだから(冷房を使わなくても冷たい物は飲む)、平均的に内臓は常に冷えていると考えても差し支え無いだろう。
 そうお話すると、お客様自身も思い当たるところはあるらしいため、『葛根湯』より体を中から温める『小青龍湯』を紹介し、胃腸自体は弱くないというので、変更してお買い上げ頂いた。
 あと、風邪気味でも入浴は湯冷めに気をつければ有効だから、入るよう勧めた。

「吐き気のある風邪の薬を」とお客様から注文されたので、市販薬で吐き気のある風邪に対応できる現代薬は存在せず、『柴胡桂枝湯』の一択であることを説明して案内すると、すぐに購入を決められた。
 ありゃん、間を端折り過ぎたか(;^ω^)
 最近、扇情的なタイトルを付けるネット記事を見習って、キャッチーなアプローチ方法を試してみるようになったんだけど、これは効き過ぎ。
 目的は、ヒアリングをしやすくするためのつもりだったのに。
 と反省して改めて症状を詳しく訊こうと思ったら、患者は成人の息子さんで、しかし食欲や発熱の有無といったことは、本人から電話で連絡があっただけで分からないそう。
 ありゃん、薬を頼む方も症状を伝えるのを端折らないでくださいな(;´Д`)
 お会計時に、食欲があっても食事は量を控え、グッタリしていなければ入浴させるよう伝えた。
 でも、早く帰りたい様子だったため他の注意点や養生についてはお話できず、そのうえレシートを「いらない」と置いてかれてしまった。
 販売された薬に、規定外の成分が混入していたというケースもあるから、レシートは持って帰っておいて欲しいんだけどなぁ……。
 息子さんのために薬を買いに来たはずなのに、あまり息子さんのことを考えていないという矛盾。

 『パブロンSゴールドW』を求めて来店したお客様から、顆粒と錠剤の効果の違いを尋ねられ、特に違いは無いことを説明したうえで症状を確認すると、ご主人が鼻水と咳を訴えているそう。
 でも、鼻水と咳の状態は分からないという。
 痰が喉に引っかかるような咳なら『パブロンSゴールドW』でも良いだろうけど、体の節々が痛むとも言ってるようだから、『パブロンAX』の方が良いように思えて案内した。
 しかし、いつも使ってるからとのことで『パブロンSゴールドW』を購入された。
 それが本当に患者さん本人の意向なら、構わないとは思うんだけどねぇ。
 いつも薬を家族に頼んで買ってきてもらってるとか、家に置いてあるから使ってるという人は、ちょっと考えてみるのが良いかと。
 自分の体のことを、誰かに任せてばかりいませんか(`・ω・´)?

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