お客様から『ガスター10』を求められ、薬剤師がいないので置いていないことを説明したうえで、適応するのは胃がキリキリ痛む感じや、苦い水が上がってくる感じであることを伝えると、そういう症状だというため近所の取り扱っているドラッグストアを紹介した。
ただ、同じように胃酸の出過ぎを抑えるM1ブロッカーの『ガストール』があるとこも教えたところ、使ったことが無いとのお話だった。
病院で処方されるから良く効く薬という訳ではなく、目的の働きをする薬は他にもあるから、入手のしやすさの面で他の候補が無いか、行った先のお店で薬剤師に相談してみるよう勧めた。
『ロキソニン』同様、特定の薬に拘る人がいるけれど、それほど拘るのであれば、薬剤師のいる店舗で薬剤師の勤務中にしか買えないこととか、体の中でどんな働きをするのかの作用機序と副作用など、とことん知識を追求してもらいたいと思う。
お客様から『ロキソニン』を求められ、薬剤師のいない店舗なため取り扱っていないことを説明し、化学構造式の似た親戚同士とも言えるイブプロフェン製剤での代用を提案したところ、『バファリンA』が効かなかったから『ロキソニン』を使おうと思ったというため、効き方の違いを説明した。
『ロキソニン』のロキソプロフェンと『イブ』のイブプロフェンは、プロピオン酸系の消炎鎮痛剤で、痛みの伝達物質であるプロスタグランジンの生成を抑えるとともに、その信号を受信する中枢神経にも働きかけて痛みを感じなくする。
ロキソプロフェンとイブプロフェンの主な違いは体内で濃度が半分になる半減期の時間で、前者は早く効くものの抜けるのも早く半減期が1.2時間(約70分)、後者の半減期は約2時間だから、一時的な頭痛などなら『ロキソニン』を、痛みが継続する生理痛には『イブ』という使い分けが考えられる。
一方、『バファリンA』のアセチルサリチル酸(アスピリン)は、紀元前から使われていた歴史のある消炎鎮痛剤。
末梢神経に特に効果があるとされ、血管を拡張することにより熱を発散する特徴を持ち、血管が詰まる血栓の予防に用いられたり、大腸がんなど一部のがんの予防効果も報告されている。
中枢神経も抑える『ロキソニン』や『イブ』の方が良く効くように思えるものの、歯痛や肩こりには痛む場所で効く『バファリンA』の方が適応するとも考えられ、肩こりと連動した頭痛の場合も血管の拡張が有効に働くという見方ができる。
他に、「インフルエンザにはアセトアミノフェンが安全」という話からの連想なのか、新型コロナウイルスにも良いという誤報が広まってしまったが、アニリン系の鎮痛剤であり、中枢神経を抑えつつも穏やかな作用により子供にも使えるものの、末梢神経への作用が弱く炎症への効果は期待できない。
つまり、鎮痛剤にも一長一短があり、副作用もそれぞれ異なるから、お気に入りの痛み止めがあったとしても、その根拠が体質的に「それでなければならない」という理由でない場合には、痛みの種類や目的によって、そのつど検討が必要となる。
今回のお客様の主訴は、腱鞘炎と後頭部の頭痛というため、腱鞘炎には現代薬を、後頭部の頭痛には『釣藤散』をと思い、両者を合わせた『奥田脳神経薬』も候補になることをお話した。
しかし、やはり『ロキソニン』を希望されたので、置いてある近所のドラッグストアを紹介し、鎮痛剤にも種類があるので、行った先の薬剤師に相談するよう勧めた。
お客様が『第一三共胃腸薬』をレジに持ってたさいにヒアリングしたところ、主訴は食べ過ぎによる胃もたれで、たまたま選んだというため似たような胃薬にも違いがあることを説明した。
お客様は疲労もあるかもということだったので、胃の働きを助ける健胃剤が多く処方されている『第一三共胃腸薬プラス』を案内すると変更になった。
日記の訂正。
『第一三共胃腸薬プラス』が多いのは、健胃剤ではなく消化剤で、あと胃酸の出過ぎを抑えるのが胃腸の機能そのものを低下させてしまうロートエキスが入ってないのが、『第一三共胃腸薬』との違いです。
食べ過ぎによる胃もたれなので、消化剤が多いほうが良く、ロートエキスは不要となるという判断です。
どうも、『太田胃散A錠』は健胃剤が少ないというのと混同した模様(^_^;)
指摘してくれた方、ありがとうございます。