• タグ別アーカイブ: 五虎湯
  • 主観と客観のすり合わせが難しい

     ニキビの薬で迷っている様子のお客様に声を掛けてみたけど、案内は断られた。
     でも、その後も長考されていたため、改めて『ペアアクネクリームW』や『クレアラシル』は赤ニキビのような炎症向きで、『ビフナイト』は角質を柔らかくして皮脂を吸収して治す白ニキビ向きであることをお話した。
     すると、患部は白ニキビであるようだったので『ビフナイト』を考えたのだけれど、お客様の血色からすると血行促進作用のある『クレアラシル』の方が適応するように思われたので、そちらを勧めてお買い上げ頂いた。
     そして、不要な物を回収して皮膚の材料を運ぶのは血液だから、血流を良くするために下半身を温めるよう伝えた。

     やや高齢のお客様が咳止めを買いにいらして、症状を詳しく訊くと、特に夜に布団に入ると咳き込むという。
     まず『五虎湯』を候補に考えたが、随分と長いこと咳が続いており、夜中に激しいものの、それが苦しいという程でもないとのお話。
     ふむぅ、症状は主観とはいえ、ちょっと判断に迷うなぁ。
     長く続いていることからすると、体内が乾燥している可能性があり、それなら『麦門冬湯』の方が適応しそうに思える。
     そうお話すると、乾燥感は思い当たるということで、『麦門冬湯』をお買い上げ頂いた。
     患者さん本人の主観による症状の訴えと、客観的な効能効果を結びつけるのは案外と難しい。

     『のどスプレーポピショット』をレジに持ってきたお客様に、のどスプレーには消毒系と抗炎症系があることを伝えると、そういう違いは知らなかった模様。
     そして症状は、喉が痛むというほどではなく違和感だそう。
     1週間以上続いているということからすると、気管支が乾燥してるんじゃないかと思う。
     だとすれば『麦門冬湯』の出番なんだけど、希望しているのはスプレーのようだから、今回は抗炎症系の物に変更してお買い上げ頂くことになった。
     一応、体内が乾燥してるのかもとお話して、『麦門冬湯』も紹介してみた。

     授乳中の奥さんが、風邪とのことで相談を受けた。
     当初は、38度の発熱で咳は無いというお話から『麻黄湯』を候補に考えたけど、詳しく症状を訊くと、昨夜に下痢をしていて食欲が低下し、だるさを訴えていると分かり、『柴胡桂枝湯』の方を案内した。
     そしてお会計の段になって、嘔吐もあったと分かった。
     どうして、情報を小出しにするの……(^_^;)?
     いや、これは私の聞き取りの技術が未熟でもあるんだけど。
     一時に添付文書にある一回量を服用させると吐いてしまう可能性もあるので、一回量を半分など小分けにして、1日のトータルの服用量を1日の容量と同じになるよう飲ませる方法を伝えた。
     あと、『柴胡桂枝湯』自体は授乳しても子供に問題は無いものの、体力や水分の低下を避けるために授乳を中止することと、下痢と嘔吐がある事からすると、病院の受診も検討するよう付け加えた。

     

  • 摂りにくい栄養を意識してみよう

     咳止めを買いにいらしたお客様、昨日からかなり咳き込んでいるそう。
     以前に他のドラッグストアのPB(プライベートブランド)咳止め薬を使って、それが良く効いたから同じ物が欲しいというのだけれど、それこそPBなんてその系列でしか置いていない。
     しかも、パッケージも添付文書も持参されていないのでは、内容が不明。
     でも、そのドラッグストアの名前でネット検索してパッケージを確認してもらったら、どうやら『アネトンせき止め』に近いようだった。
     『アネトンせき止め』といえば、咳中枢に直接働きかけて抑える薬。
     そりゃ、良く効くはずである。
     すると今度は、そこまで強い物だとは思っていなかったとのことで、もう少し体に優しい物をと希望され、漢方薬を案内することにした。
     激しく咳込んでるとすれば熱性の咳が疑われ『五虎湯』を候補に考えたけれど、明日は用事があって寒風の中を外にいなければならないという。
     それでは患部を冷やす『五虎湯』では、鼻水を呼んだりお腹を下してしまう可能性もある『五虎湯』は、避けておいたほうが良いかも。
     となると、保水する『麦門冬湯』か、冷やすけど血流を良くして補う『ダスモック』(清肺湯)の方が適しているかな。
     迷ったところで、咳の原因として胃炎を起こしているケースをお話したら、思い当たるようだったため胃薬の生薬が主体の『麦門冬湯』を勧めてお買い上げ頂いた。

     痒み止めを求めて来店したお客様に症状を訊くと、患者は2歳児で肌の乾燥によるものらしい。
     寝ている時にも掻いてしまうそうなので、ひとまず『ムヒ・ベビー』を案内した。
     すると、『ベビーワセリン』も希望されたものの、品切れを起こしているため、『白色ワセリンソフト』を案内して、一緒にお買い上げ頂いた。
     あと、肌の乾燥をすごく心配していたけれど、子供の肌の乾燥は、栄養の偏りや血行不良が原因でもある大人と違い、単純に保水力が弱いのと体が小さいためなので、服装の工夫でも防げることをお話した。
     具体的に云うと、下半身を厚着すること。
     またかと思われるかもしれないけど、上半身に厚着をさせると、やっぱり本人が気持ち悪くなるし、水分は腸などの内臓が調節することなので。

     お客様から、ビタミンCとコラーゲンでは、どちらを摂った方が肌に良いかと相談されたので、サプリメントを買うとなれば、意識しないでも摂る機会の多いビタミンCより、摂りにくいコラーゲンの方をと勧めた。
     ただ、コラーゲンなど肌の材料を経口摂取しても、いったんは体の中で分解され再構成するというプロセスを経て、それから体に分配されるため、血流も大事なことを説明した。
     すると、ジムに通っているというため、血流を良くするのに適した運動をインストラクターに相談してみてはどうかと伝えた。
     本日はコラーゲンをお買い上げ頂き、食養生についての話の中でラム肉は苦手ではないというから、ぜひ積極的に食べてみてくださいと伝えたところ、人からはレバーを勧められたそう。
     もちろん、レバーも有益なので良いですよん(^-^)d

     

  • 慎重であることに越したことはなし

     夫婦で来店したお客様、奥さんが風邪とのことで相談を受けたけど、鼻水は透明なサラサラタイプだそうなので、風邪ではなく内臓の冷えか、早い花粉症と考えられることを説明した。
     ご主人が「体のだるさもあるみたい」と言っていたことについては、日中と夜との寒暖差に体がついてこられないのだろう。
     当初は風邪薬を求められたが、総合の風邪薬には解熱剤や咳止めなどの成分も入っているため、敵がいないのに武装して体の中で暴れさせるような事になり、むしろ体へのダメージが大きいことを伝えると、鼻炎への対応に限定することになった。
     とはいえ、鼻水もクシャミも軽いようだから、『小青龍湯』でなくとも『葛根湯』で充分かもしれず、むしろ薬を使わずに入浴や下半身を厚着するだけでも対応できそうではある。
     一応、そうお話して『葛根湯』をお買い上げ頂くことになり、家に置いておくよりも持ち歩いて、出先で寒いと感じたら服用するように勧めた。

     『ルキノンせき止め』をレジに持ってきたお客様から、授乳中に使えるか質問されたので、避けるようにと答えた。
     そのうえで症状を確認すると、主訴の咳は夜中に強く出るらしい。
     ふむぅ、厳密には母乳に麻黄の影響が出が出て子供が興奮して寝付かなくなる可能性があって勧めにくいけど、『五虎湯』が使えそうではある。
     普通は本人の食間(空腹時)に服用するのを、授乳した後に服用するという手はあるし。
     ということを考えていたら、家にあった『葛根湯』を服用したけど良くならなかったと言われた。
     ありゃん(;´Д`)
     上半身を温める『葛根湯』は、咳を悪化させてしまうから駄目ですよぅ。
     家にある物を使いたくなる気持ちは分かるので、営業時間中であれば電話で問い合わせてくださいな。
     ひとまず、授乳後に『五虎湯』を服用する方法を話して、咳が落ち着いた後も喉の違和感が残るようであれば、『麦門冬湯』に乗り換えるよう伝えた。
     すると、お客様は以前に薬剤師さんから、漢方薬も授乳中は避けたほうが良いと言われたそうな。
     じゃあ、なんで『葛根湯』を服用したのかは訊かない(笑)
     いずれにせよ、その薬剤師さんの認識は正しいし、慎重であることは大切ですとお話すると、今回は購入を取りやめて、様子を見ることに決められた。
     そして咳の原因として、胃炎により上から被さっている肺が乾燥している可能性を付け加えたところ思い当たるようだったため、消化に良い食事をするよう勧めた。

     

  • 旦那さんが「はじめてのおつかい」なのかも?

     『イソジンうがい薬』と『浅田飴』と『熱さまシート』をレジに持ってきたお客様に状況を尋ねると、授乳中の奥さんが今朝から発熱し39度ほどになっているとのこと。
     なんで、その選択(^_^;)?
     と、つい思ってしまったけど、お客様としては、授乳中だから影響の少ない物をと考えた結果らしい。
     あうっ、そのための私たちですよぅ。
     ひと声掛けてくださいな(`・ω・´)ノ
     症状からすると、どれ一つとして用を成さないことと、そこまで発熱していては子供のためにも、どのみち授乳は控えなきゃならないから、腹を括って対処しましょうとお話した。
     発熱の他に喉の痛みも訴えているようなので、『麻黄湯』『桔梗湯』を併用し、首の後の太い血管を冷やすために水枕を使うよう勧め、お買い上げ頂いた。
     そして、食欲はあるというお話だったけど、体力をつけようと食事をすると、風邪を治すエネルギーが消化の方に割かれてしまい長引く原因になるため、インスタントで構わないから味噌汁やスープで水分と塩分を補給するようにとお話した。

     奥さんが風邪とのことでお客様から相談を受けたけど、妊娠中でまもなく出産だそう。
     ううん、そういう事ならまず担当医に連絡してもらった方が良いんだけどなぁ。
     あくまで受診するのが前提と伝えたうえで症状を尋ねてみると、「熱は無い」こと以外は「分らない」という。
     ええと、風邪と思われたのは何なんでしょう?
     どうも、奥さんから「風邪薬を」と頼まれたただけで、症状を確認してきていなかったらしい。
     心配なあまり慌てていて……、という事だと思いたい(;´Д`)
     情報が足りな過ぎるので奥さんに電話をしてもらうと、主訴は咳と喉の痛みと鼻水とのとこ。
     しかし、喉の痛みは激しくなくカサつく感じで、鼻水は透明なサラサラ状だそうな。
     これは、風邪ではないんじゃなかろうか。
     急激な寒冷で内臓が冷えたことによる鼻水と、その内臓の冷えを補おうと胃が熱を発して体内が乾燥して咳が出ていると思われ。
     ただ、下半身まで冷やしてしまう『桔梗湯』や、血圧を上げてしまう『五虎湯』は使えない。
     となると、やはり『麦門冬湯』か。
     比較的安全だけど、「次の人は服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください」の中に「妊婦または妊娠していると思われる人。」とはあるんだよねぇ。
     実際のところ妊娠中は、店頭で相談されても困るんだけど。
     さっきご主人にも言ったように、受診するのが大前提です。
     症状からすると、下半身に厚着をしてノンカフェインのお茶を飲むなり、体を温める工夫をすれば充分だと思われるものの、やはり何か薬は欲しいと本人に頼まれ、『麦門冬湯』をお買い上げ頂くことになった。
     ご主人には、お薬手帳に成分表示を貼って、担当医にも服用したことを報告するよう伝えた。

     『口内炎パッチ大正クイックケア』をレジに持ってきたお客様に口内炎の状況を尋ねると、口の中を噛んでしまい、これから腫れてくるだろうから先んじて備えておくというお話。
     なるほど、炎症するのは確実でしょうからステロイド剤の方が良いですね、という訳でそのままお買い上げ頂いた。
     ただ、痛みが収まったら患部の再生を促す『口内炎パッチ大正A』に乗り換えるほうが治りが早まることも伝えた。
     この使い分けを知っているのと知らないのとでは、予後の長引き方が違うので。
     特に、口の中を噛んだパータンの場合は、患部の回復が遅いと同じ場所をまた噛んでしまいがちだから。

     

  • 患者さんの半分は顔が見えない

     成人の息子さんから、逆流性食道炎に効く胃薬をと頼まれたというお客様。
     今回も同じかは分からないものの、以前に診断されたことはあるという。
     胃液が昇ってくる感覚があると訴えているそうなので、胃自体は活発に働いているときに逆流を抑える『半夏瀉心湯』と、胃の機能が衰えていて逆流してくるのを抑えられないのを助ける『ギャクリア』(六君子湯)を案内した。
     どちらも逆流性食道炎に適応するけど、機能亢進で上昇してきてしまうのと、機能低下で逆流を抑えられないのとでは使い分けが必要な点に注意。
     この辺りは、頼まれ物だと判断できず困ってしまう。
     本人の顔色とかを見れば、疲労感とかも掴めるんだけどねぇ。
     一つの判断の基準として、『半夏瀉心湯』が適応するのは「胃の働き過ぎ」だから、刺激に対して敏感で、みぞおち辺りの肋骨の下側に指を入れてみて痛みを感じかるかというのがあるけど、これも本人が来てくれないことには分らない。
     営業時間中に本人が来店するのが難しいのか尋ねてみると大丈夫だというので、うちのお店でなくとも構わないから、本人に店頭を訪れるよう促してみてくださいとお話して、本日はお買い上げは無し。
     お客様曰く、自分が病院から処方されている薬を飲まれちゃうかもしれないと心配していた。
     息子さん、そういう人なんですか(^_^;)

     お客様から『メディクイックHシャンプー』と『コラージュフルフルネクスト』の違いを質問され、前者は抗菌作用がメインで後者には抗炎症成分が足されていることを説明した。
     用途はもちろん頭皮の痒みで、お客様自身はシャンプーを替えたからかもというお話。
     ううん、となると検証が必要ですねぇ。
     1週間ほどお湯だけで洗ってみるか、髪の汚れが気になるようであれば、髪だけシャンプーで洗って頭皮には付けないようにしてみるようお話した。
     試してみるとのことで、本日はお買い上げは無し。

     『五虎湯』を購入されるお客様に症状を尋ねると、以前にご主人が使って効いたので頼まれたそう。
     成功体験は大事だし、私も自身が飲む薬は以前に効いた物を候補にするから当然といえば当然。
     ただし、表に現れている症状化の原因が、いつも同じとは限らない。
     ことに、咳に関しては私は専門家である(`・∀・´)エッヘン!!
     ………喘息持ちってだけですが。
     『五虎湯』は上半身に熱が篭って夜中に咳き込むような場合に頓服的に用いる物で、少し落ち着いてきたら体内を潤す『麦門冬湯』に乗り換える方法もあることを案内した。
     今回はお会計の際の会話だったので詳しくは説明しなかったけど、他にも咳には寒冷によって起きる場合や、緊張などで気道が狭まって起きる咳というのもある。
     寒冷による咳には『小青龍湯』だし、緊張を緩和して気道を開くのは『半夏厚朴湯』が適応し、両方に跨ぐような『カンポアズマ』なんかもあり、効能の「咳止め」だけで適応を判断するのは難しい。
     変わったところでは、肝臓が疲れて起きる咳というのもあって『柴朴湯』の出番なんだけど、これなんかは咳以外の体調や生活環境なんかもカウンセリングしないと選択肢にも入らないだろう。
     そんな訳で、やっぱり可能であれば本人に店頭に来てもらいたいところである。
     咳の音で分かる事もあるしね。

     

  • 冷えの咳、乾燥の咳、炎症での咳、咳にも色々ありまして

     風邪薬の棚で迷っている様子のお客様がいたので声を掛けてみたけど、案内を断られた。
     そして『ベンザブロックS』をレジに持ってきたところで、改めて症状を尋ねてみると、鼻水と鼻づまりを行ったり来たりしている鼻炎だとのこと。
     鼻以外の症状が無く、鼻水と鼻づまりを行ったり来たりするのは体温調整が上手くいっていないからと考えられることを説明し、解熱剤や鎮咳薬なんかまで入っている風邪薬より鼻炎薬にしてはどうかと提案した。
     すると、そもそも症状は軽いらしく、どうも薬が必要なようにも思えない。
     入浴に関して確認したらシャワー派だというので、それなら体温調整を安定させるためには血流の改善が大事とお話して、熱すぎないお湯に、ゆったり入るよう勧めた。
     という訳で、本日のところはお買い上げは無し。
     去り際に、「勉強になりました!」と言われた。
     しまった~、鼻炎にも風邪にも使える『葛根湯加川きゅう辛夷』は紹介しておくべきだった。
     レジに来る前の段階だったら、紹介しやすかったんだけどなぁ(苦笑)

     成人の娘さんの肌の乾燥と痒みということで薬を買いにいらしたお客様、詳しく症状を訊くと患部を掻いた時にブツブツができるという。
     乾燥が原因で?
     それは、乾燥じゃなくて何かに反応しているのでは?
     いや、そうではなく先に痒みを感じて、その時点では皮膚に変化は無いという事なのか。
     だとすれば、寒暖差アレルギーのようにも思える。
     でもリクエストは乾燥の薬だから、ひとまず保湿にと尿素入りの『ケラチナミンコーワクリーム』を案内しつつ、今までに尿素入りの物を使ったことがあるか尋ねると、本人じゃないから分からないという。
     うん、まぁ……そうですよね。
     それで改めて痒みに適応する薬を候補に挙げようと思ったけど、お話からすると本人から頼まれた模様。
     本人からは、「何でもいい」と言われてるらしいのだが、患部の様子や症状が酷くなる時あるいは軽くなる時といった情報が無いのでは、範囲が広すぎて、薬の適応はもちろん、そんな当てずっぽうなことにお金を使って頂いて良いものなのかと。
     この頃になって、ようやく当初の疑問である「何かに反応しているのでは?」というお話をすることができて、お客様も「本人じゃないと分からないわね」と帰っていかれた。
     本当にそう考えたのか、私の対応を面倒くさいと考えたのかは、それこそ分からなかったけど(;´Д`)

     咳止めの棚を眺めているお客様に声を掛けた当初は案内を断られたけど、しばらくして相談を受けた。
     良かった。
     トイレに行きたくて、でもお客様が売り場にいる間はレジを離れられないから困ってたのσ(^◇^;)。
     冷たい物を飲むと咳が出るというお話で、今日も子供が飲み残したジュースを飲んだら咳が酷くなったそう。
     冷えが原因の咳となると、いつもの体内の乾燥を改善する『麦門冬湯』や、寝る時に咳き込むような炎症での咳に用いる『五虎湯』ではなく、上半身を温めて咳を止める『小青龍湯』の出番か。
     そう考えて案内しようと思ったら、お客様は薬局勤務だという。
     あれ?
     それでしたら、薬によっては自店で購入できるのでは?
     すると、「うちの薬剤師さん意地悪だから、相談できないんです」というお答え。
     え~と、あまり踏み込まないほうが良いのかしらん(^_^;)
     でも周辺情報も重要だったたりするため詳しくお話を訊くと、ホントにそんな薬剤師さんが居るんかいなと思うような話が次々と……。
     一発アウトではないだろうけど、問題アリ……いや、たぶん大丈夫… きわどいけどオーケー、違法ではないしギリで平気……?(『人類は衰退しました』の私ちゃん風に)
     もちろん、それは一方的な話を聞いた範囲でだけど。
     少なくも、職場環境は悪そうである。
     ううむ、なんというタイミング。
     いや、実は先日、ピッタリな漢方薬を入荷したばかりで。
     別にお客様から『カンポアズマ』を取り扱ってないかと問い合わせがあり、その時には生憎と置いていませんとお詫びした。
     そして、その時点では入荷するつもりも無かった。
     というのも、この『カンポアズマ』は、抑うつなどの精神神経症状がある人が呼吸困難になった時に用いる『神秘湯』と、これまた緊張性の喘息を患っている人に適応する『半夏厚朴湯』を合わせた処方。
     要するに、そんな症状の人は病院に掛かっているケースが考えられ、店頭で応対する機会は多くない。
     でも、市販薬で販売しているからにはメーカー側では、何か広範囲な適応を想定しているのではないかと気にもなっていた。
     そしたら、某会合で『カンポアズマ』とは別なメーカーの学術部の人と逢う機会があり、使いどころを尋ねてみた。
     他のメーカーの製品なのに、詳しく教えてくれた(笑)
     いや、その節はありがとうございましたm(_ _)m
     その人の話によると、冷えが原因の咳に適応するという。
     例えば今の季節なら、暖かい部屋の中にいて寒い外に出ると咳き込むとかである。
     多くの咳は、気管支の炎症や乾燥によるものだけど、確かに冷えが原因の咳というのはあるものの、それは細胞が縮こまり防御態勢になるからで、そういう時には『小青龍湯』で温めてやるものと思っていた。
     じゃあ『カンポアズマ』との使い分けはどうかというと、『小青龍湯』が上半身に働きかけるとすれば、『カンポアズマ』は柴胡剤でもあり肝臓に働きかける『神秘湯』と、喉のつかえ感を改善する『半夏厚朴湯』との組み合わせにより咳を抑える。
     というのも、肝臓は暑さにも寒さにも極端に弱く、肝臓を傷めると抑うつ状態になることがある。
     そういう事では、『小柴胡湯』『半夏厚朴湯』を合わせた『柴朴湯』に近い使い方が考えられる。
     なので、以前に何度か『柴朴湯』が適応しそうな患者さんがいらした時に、うちのお店では『柴朴湯』を入荷できるルートが無く病院で処方してもらうよう案内するしか無かったのだが、『カンポアズマ』て代用できるかもと考えたのだ。
     そして試しに仕入れてみたら、今回のお客様の来訪。
     冷えが関係する咳で、ストレスも加わっているとすれば『カンポアズマ』が適応しそうである。
     乗り換え先として『半夏厚朴湯』と、薬局は店内が乾燥しがちだから『麦門冬湯』を紹介し、『カンポアズマ』を試して頂くことになった。

     

  • 薬を売ることに絶望し役割を再認識

     やや高齢のお客様が『葛根湯』を購入されるさいに、発熱してからでは遅いことを伝えると、具体的に何度くらいか質問された。
     その疑問は、当然だろう。
     でも人間の体は機械ではないので、単純に体温を基準にするのは適切ではない。
     とはいえ、目安としては38度くらいか。
     そのうえで、本人の体感として悪寒を感じず、歩くのがツライくらい頭が熱感でボウッとするようなら、『葛根湯』ではなく『麻黄湯』に乗り換えるタイミングである。
     そして、発熱により汗をかくようになったら『麻黄湯』も終わり、回復期を助ける『柴胡桂枝湯』にバトンタッチとなる。
     そうお話して、詳しく症状を確認すると、今回は常備薬としての購入で、喉から風邪になりやすいというお話だったため、鼻水が無ければ上半身を温める『葛根湯』より適応する『銀翹散』を紹介した。

     『桔梗湯』をレジに持ってきたお客様から、授乳中に使えるか質問され、大丈夫ですとお答えしたうえで、お腹が弱くないかを確認した。
     主訴は喉の痛みだそうで、熱を発散して炎症を取り除く『甘草湯』と違い、『桔梗湯』は冷やして炎症を抑えるため、お腹の弱い人はまれに下痢してしまう事があることをお話した。
     まぁ、滅多にありませんが、私は駄目(;´∀`)
     特にお腹が弱いことは無いそうなので、そのままお買い上げ頂いた。
     それから、頭重感や熱感がある場合には、風邪への進行に備えて『葛根湯』を併用するように伝えた。

     『麦門冬湯』などの咳関連の薬を手にして迷っている様子のお客様に声を掛けてみたけど、案内は断られた。
     その後に風邪の棚に移り、『パイロンS』を選んでレジに持ってきたため、喉の痛みや発熱があるのかを尋ねると、どちらの症状も無いという。
     えっ、じゃあなんで(^_^;)?
     主訴を詳しく訊いてみると、咳と鼻水だそう。
     そして咳は、夜に激しくなるということから『五虎湯』を考えたけど、鼻水の状態を確認してみたら透明だそうだから、やはり向かないかもしれない。
     お客様の唇を観察すると、表面は荒れているものの、歯に近い濡れてる部分は歯型がついていた。
     これは胃を悪くして、水分代謝の異常が起きている証拠である。
     となると、胃の働きを改善して咳を止める『麦門冬湯』が適応しそう。
     透明な鼻水は、内臓の冷えが関係するから、放っておくと垂れてくるほどでなければ、『麦門冬湯』で胃が改善すれば咳と一緒に治まるはずだ。
     お客様には、解熱剤の入った総合風邪を、発熱していない時に使うと疲労に繋がることを説明し、『麦門冬湯』を案内すると変更してお買い上げ頂いた。
     あと、夏野菜を避けて冬のメニューを意識した食事を摂り、長めの入浴で下半身を温めるよう勧めた。
     それにしても、最初は咳止めの棚を見ていたはずなのに、どうして総合の風邪薬の方に行ってしまったのだろうか。
     たとえ起きていない症状でも、効能範囲が広い薬の方に安心感を覚えてしまったのかもしれない。
     以前に某製薬メーカーの人から、ドラッグストアーでお客様が薬を選ぶ場合の動向調査の結果を見せてもらったことがある。
     アンケート調査というものは、設問の仕方で結果が変わってしまうから、本来はその辺りも詳細に確認しないと鵜呑みには出来ないのだけど、それを措いておいても興味深い結果だった。
     まず、回答者の約6割以上が「有名メーカー・有名ブランド」で選択しているという。
     そして、約2割が「効能・効果」で選んでおり、残りの1割が「店員に相談」して、残りの1割が「その他」だった。
     まぁ、ここまでは自分の実感とも変わらない。
     問題なのは、「効能・効果」で選んでいるという約2割のうち、本当に「成分と効能・効果を理解していた」のは、さらに1割程度だったという事。
     ええと……割り算が苦手なんだけど、全体の2割のうちの1割って全体から見たら何%(^_^;)?
     そんな訳で、調査をしたメーカーの人からは、薬が上手く適応しなかった場合、患者さんからしたら「効かなかった」と認識されてしまい(自分で選んだのに)、それが長期的には売上やブランドイメージにも影響するため、「患者さんへのコーディネートをお願いします」という主旨で話をされた。
     でも、これは商売を抜きにしても大問題だろう。
     なにしろ、成分と効果を結びつけて適応しそうな薬を選んでも、実のところ効くか効かないかは、体質と症状と環境など複合的な要素が絡み合っているギャンブルみたいなもん。
     なのに、薬を選ぶ段階で当たる確率を上げるための方法であるはずの、「店員に相談」が1割しか無いってんだもの。
     ある意味絶望して、同時に薬を売る役割を再認識させられた。

     

  • 剤形が違う薬同士による副作用も無視できない

     咳をしているお客様に声を掛けてみたけど、案内は断られた。
     咳の音からして、上半身の乾燥だろうから『麦門冬湯』を考えたんだけどねぇ。
     『ブロン錠エース』を選ばれたようなので、念のため痰について確認すると粘着くというお話だったから適応すると考えられ、そのままお買い上げ頂いた。
     もちろん痰が粘着くなら、やっぱり『麦門冬湯』で上半身を潤したほうが良いと思うんだけど。
     あと、以前に病院で喘息と診断されてるそうなので、それなら咳き込む時には『五虎湯』が使えそうではある。
     一応、もし咳よりも息苦しさが主訴になる時には『半夏厚朴湯』をと紹介してみた。
     すると咳の種類について、考えたことは無いそう。
     まぁ、普通はそうかな。 
     私は、喘息持ちで肺炎もやったことがあるので、「咳」にはちょっとウルサイです(o ̄∇ ̄)o←なんの自慢だ

     お客様から『のどスプレー』をリクエストされて主訴を尋ねると、喉の痛みと咳とのこと。
     でも、自分は治りかけで、家族で一緒に使おうと思っているという。
     ウイルスが原因だとしても体の反応が同じとは限らず、反対に似た症状でも原因が違うというケースがあるため、応急処置として同じ置き薬を共用したとしても、治療にはその都度違う物を使ったほうが良いこともありますとお話した。
     すると実は、自分は糖尿病の治療を受けていて、『のどスプレー』なら飲み薬じゃないから併用しても大丈夫と思っていると分かった。
     確かに大丈夫とは考えられるものの、塗り薬などの外用薬が内服薬や目薬など剤形が違う物同士による副作用は本来は無視できない危険性を伴うため、お薬手帳を参照しないと売れません、とやや大袈裟に伝えて本日の購入は取りやめに持っていった。
     そして、お薬手帳を持ち歩くよう「お願い」した。
     このお客様もまた、やはり咳の音からすると乾燥性で『麦門冬湯』が適応するように思えたんだけど、今回は薬の併用について甘く考えてしまう点を危険と判断して、紹介しないでおいた。
     ベストな対応ではなかったかも、と考え始めると止まらない……(;一_一)

     

  • 押しの弱さは良いのか悪いのか

     やや高齢のお客様が知人から頼まれたとのことで、『チミコデシロップN』を求められた。
     薬を特定の銘柄で探すだけでも無理があるのに、人に頼むのは酷ですよぅ(^_^;)
     置いていないので、成分が近い『ルキノンせき止め液』と『パブロンせき止め』を紹介してみたけど、『チミコデシロップN』の成分じゃなくてイチゴ味を気に入ってるようだとお手上げ(笑)
     一応は、頼んだ人は、風邪をひいたと思ったらすぐ飲むようにしてると言ってるらしい。
     咳止めだから、そういう飲み方をする薬じゃないですよぅ(;´Д`)
     お客様自身は、電車に乗ると咳が出たり、喉がいがらっぽくなるというお話があったため、観劇などで咳が出ると困る場合に用いる『麦門冬湯』と、喉のいがらっぽさを取り除く『響声破笛丸』を紹介した。
     頼まれ物については同じ物が無いで諦めるものとして、『麦門冬湯』をお買い上げ頂けた。

     以前に旦那さんの咳の時に『麦門冬湯』を案内して使っていただいたことがあるお客様が訪れ、今回は旦那さんが咳に加えて鼻水もあるという相談。
     家にあった『五虎湯』を使ったそうだけど、どうやら合わなかったらしく改善しないとのこと。
     『五虎湯』は患部を冷やして咳を止めるから、鼻水が出ている時には使えませんね(^_^;)
     旦那さんは発熱しそうと言ってるようなので、『麦門冬湯』とアセトアミノフェンを合わせた『パブロン50』を紹介した。
     一方、以前に喘息があるという話を聞いていたため、季節的には『半夏厚朴湯』が適応する可能性をお話したところ、他にも病院で処方された漢方薬が残っているそうなので、覚えている物を挙げてもらうと、『小柴胡湯』があるそう。
     あっ、それは使えるかも。
     『半夏厚朴湯』『小柴胡湯』を一緒に服用すれば、風邪にも喘息にも使える『柴朴湯』になりますから。
     せっかくある『小柴胡湯』を、活用してみてはいかがでしょうと提案した。
     でも前回に使って効いた印象があるためか、『麦門冬湯』を購入された。
     うむぅ、熱が出そうというのが気になるんだけどなぁ。

     

  • マスクの効果はウイルスの活動を抑制すること

     咳と鼻水の相談を、お客様から受けた。
     症状は昨日から現れたようだけど、発熱などは無いことからすると、寒さと気圧の変化に体がついていけなくて起きたもので、風邪ではないのかもしれない。
     鼻水は放っておくと垂れてくるという程ではないそうだから、咳止めだけでも良いかもしれない。
     咳の方はというと、夜に激しく出るという話だったため『五虎湯』を筆頭に、根本的には体内の乾燥を潤す『麦門冬湯』が必要になり、冷やすのと乾燥を取るのとのハイブリットの『ダスモック』(清肺湯)も候補ですと案内し、『麦門冬湯』を試して頂くことになった。
     そして、お風呂には入っているものの短めのようだったので、ぬるめのお湯に長く入って下半身を温めるよう勧めた。

     お客様に『イソジン』の小容量を希望されたものの品切れだったためお詫びすると、大容量の購入を決められた。
     ただ、せっかく買って頂いたものの、これ幸いと喜ぶ訳にもいかないので、消毒薬は粘膜細胞を傷めるため、健康時の予防には悪く無いとしても、現に喉が痛む時には避けることと、外出先から戻るたびに嗽(うがい)をする習慣があれば、水道水でも充分なことを説明した。
     お客様によると、会社から帰った時に限定的に使うようだったので、インフルエンザのシーズンや周囲に風邪をひいてる人が多い時に集中的に使うことを提案し、マスクを有効に活用するよう付け加えた。
     特に、いつだったかテレビの情報番組でマスクの網目よりもウイルスのほうが小さいから、マスクでウイルスは防げないとか言ってたけど、マスクの効果は呼気による湿度と温度でウイルスの活動を抑制することにある。
     番組内で訂正してなかったけど、良く分からない放送禁止用語(とされている用語)を訂正して謝罪するくらいなら、こっちの誤報の方を訂正して欲しい( ̄^ ̄)