主観と客観のすり合わせが難しい

 ニキビの薬で迷っている様子のお客様に声を掛けてみたけど、案内は断られた。
 でも、その後も長考されていたため、改めて『ペアアクネクリームW』や『クレアラシル』は赤ニキビのような炎症向きで、『ビフナイト』は角質を柔らかくして皮脂を吸収して治す白ニキビ向きであることをお話した。
 すると、患部は白ニキビであるようだったので『ビフナイト』を考えたのだけれど、お客様の血色からすると血行促進作用のある『クレアラシル』の方が適応するように思われたので、そちらを勧めてお買い上げ頂いた。
 そして、不要な物を回収して皮膚の材料を運ぶのは血液だから、血流を良くするために下半身を温めるよう伝えた。

 やや高齢のお客様が咳止めを買いにいらして、症状を詳しく訊くと、特に夜に布団に入ると咳き込むという。
 まず『五虎湯』を候補に考えたが、随分と長いこと咳が続いており、夜中に激しいものの、それが苦しいという程でもないとのお話。
 ふむぅ、症状は主観とはいえ、ちょっと判断に迷うなぁ。
 長く続いていることからすると、体内が乾燥している可能性があり、それなら『麦門冬湯』の方が適応しそうに思える。
 そうお話すると、乾燥感は思い当たるということで、『麦門冬湯』をお買い上げ頂いた。
 患者さん本人の主観による症状の訴えと、客観的な効能効果を結びつけるのは案外と難しい。

 『のどスプレーポピショット』をレジに持ってきたお客様に、のどスプレーには消毒系と抗炎症系があることを伝えると、そういう違いは知らなかった模様。
 そして症状は、喉が痛むというほどではなく違和感だそう。
 1週間以上続いているということからすると、気管支が乾燥してるんじゃないかと思う。
 だとすれば『麦門冬湯』の出番なんだけど、希望しているのはスプレーのようだから、今回は抗炎症系の物に変更してお買い上げ頂くことになった。
 一応、体内が乾燥してるのかもとお話して、『麦門冬湯』も紹介してみた。

 授乳中の奥さんが、風邪とのことで相談を受けた。
 当初は、38度の発熱で咳は無いというお話から『麻黄湯』を候補に考えたけど、詳しく症状を訊くと、昨夜に下痢をしていて食欲が低下し、だるさを訴えていると分かり、『柴胡桂枝湯』の方を案内した。
 そしてお会計の段になって、嘔吐もあったと分かった。
 どうして、情報を小出しにするの……(^_^;)?
 いや、これは私の聞き取りの技術が未熟でもあるんだけど。
 一時に添付文書にある一回量を服用させると吐いてしまう可能性もあるので、一回量を半分など小分けにして、1日のトータルの服用量を1日の容量と同じになるよう飲ませる方法を伝えた。
 あと、『柴胡桂枝湯』自体は授乳しても子供に問題は無いものの、体力や水分の低下を避けるために授乳を中止することと、下痢と嘔吐がある事からすると、病院の受診も検討するよう付け加えた。

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