効能書きは効き目の一部です

 やや高齢のお客様が『柴胡桂枝湯』の液剤を見ていて、成人の息子さんが吐いてるんだけど合うかと質問された。
 どうやら、効能に「微熱・寒気・頭痛・はきけ」とあるのを読んで、全てが当てはまらないと合わないかもと思ったらしい。
 前にもそういうお客様がいたけど、そう思ってしまう人は案外と多いんだろうか?
 効能の全てが合致しなくても使えることを説明したうえで、もう少し詳しく症状を教えてくださいとお願いしたところ、喉の痛みと下痢もあるという。
 下痢も『柴胡桂枝湯』の効能の範囲だけど、喉の痛みは迷うところ。
 胃炎を喉の痛みと感じているケースなら適応するのだが、喉の痛み方については分からないそう。
 ううん、そうだろうなぁ。
 せめて、喉の手前が腫れている感じなのか、喉の奥がヒリヒリする感じなのかが分かれば鑑別できる。
 でも、それを薬を買う人に伝えておくなんてことは、まず無いからねぇ。
 いずれにしても、胃腸炎だとすれば3日くらいは引きずると考えられるため、1日分の液剤より4日分の顆粒の方をと勧めて、お買い上げ頂くことになった。
 また、アレルギー性鼻炎のため『パブロン鼻炎カプセルSα』を服用しているそうで、併用しても大丈夫か尋ねられた。
 飲み合わせ自体は問題無いものの、胃腸炎の回復に集中したほうが良いし、抗ヒスタミン薬は体内の水分調整の機能を低下させてしまうため、一時的に服用を中止するようお話した。
 そして、併用できる栄養ドリンクを求められたので、胃薬としても使える『新ヒストミンゴールド液』を紹介はしたが、栄養ドリンクを体内で処理するのにも体力を使うので、併用せずに回復期に使うよう勧め、今回は見送りとなった。
 あと、本人は食事はあるだけ食べてしまうというお話から、栄養ドリンクを避けるのと同じ理由で食事を控えるよう伝えた。
 そうそう、胃腸炎を起こしているとなれば、下半身を厚着して温めるのもお忘れなく。

 高齢のお客様が点眼薬を持参して、同じ物をと注文された。
 ビタミンB12製剤の点眼薬だから、同じ内容の市販薬を調べようとカタログを手にすると、「そんな大層な薬じゃないんだ」と言われた。
 ところが、詳しく処方された経緯を確認してみると、どうやら他にも目薬が処方されているようだった。
 ところが、「スッキリする目薬を出してもらった」と言うものの、その目薬の名前は分からず、現物は家な置いてきたそう。
 そして、「スッキリする目薬をくれればイイんだ」と注文され、ひとまず『スマイル40』などを案内すると、いろいろと効能が書いてあるのを見て、「そんな大層な薬じゃなくてイイんだ」と言われる。
 ううん、やはり普通に売るのは心配(^_^;)
 この調子で他のドラッグストアに行って、今度は店員に何も言わずに適当に選んで買われても困るため、ビタミンB12製剤の『ソフトサンティアひとみストレッチ』を案内してお買い上げ頂いた。
 そして、お薬手帳を持ち歩くことと、担当医に市販の目薬を使ったことを報告するようお願いした。
 お願いしたけど、駄目かもしれない……。

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