患者さんの半分は顔が見えない

 成人の息子さんから、逆流性食道炎に効く胃薬をと頼まれたというお客様。
 今回も同じかは分からないものの、以前に診断されたことはあるという。
 胃液が昇ってくる感覚があると訴えているそうなので、胃自体は活発に働いているときに逆流を抑える『半夏瀉心湯』と、胃の機能が衰えていて逆流してくるのを抑えられないのを助ける『ギャクリア』(六君子湯)を案内した。
 どちらも逆流性食道炎に適応するけど、機能亢進で上昇してきてしまうのと、機能低下で逆流を抑えられないのとでは使い分けが必要な点に注意。
 この辺りは、頼まれ物だと判断できず困ってしまう。
 本人の顔色とかを見れば、疲労感とかも掴めるんだけどねぇ。
 一つの判断の基準として、『半夏瀉心湯』が適応するのは「胃の働き過ぎ」だから、刺激に対して敏感で、みぞおち辺りの肋骨の下側に指を入れてみて痛みを感じかるかというのがあるけど、これも本人が来てくれないことには分らない。
 営業時間中に本人が来店するのが難しいのか尋ねてみると大丈夫だというので、うちのお店でなくとも構わないから、本人に店頭を訪れるよう促してみてくださいとお話して、本日はお買い上げは無し。
 お客様曰く、自分が病院から処方されている薬を飲まれちゃうかもしれないと心配していた。
 息子さん、そういう人なんですか(^_^;)

 お客様から『メディクイックHシャンプー』と『コラージュフルフルネクスト』の違いを質問され、前者は抗菌作用がメインで後者には抗炎症成分が足されていることを説明した。
 用途はもちろん頭皮の痒みで、お客様自身はシャンプーを替えたからかもというお話。
 ううん、となると検証が必要ですねぇ。
 1週間ほどお湯だけで洗ってみるか、髪の汚れが気になるようであれば、髪だけシャンプーで洗って頭皮には付けないようにしてみるようお話した。
 試してみるとのことで、本日はお買い上げは無し。

 『五虎湯』を購入されるお客様に症状を尋ねると、以前にご主人が使って効いたので頼まれたそう。
 成功体験は大事だし、私も自身が飲む薬は以前に効いた物を候補にするから当然といえば当然。
 ただし、表に現れている症状化の原因が、いつも同じとは限らない。
 ことに、咳に関しては私は専門家である(`・∀・´)エッヘン!!
 ………喘息持ちってだけですが。
 『五虎湯』は上半身に熱が篭って夜中に咳き込むような場合に頓服的に用いる物で、少し落ち着いてきたら体内を潤す『麦門冬湯』に乗り換える方法もあることを案内した。
 今回はお会計の際の会話だったので詳しくは説明しなかったけど、他にも咳には寒冷によって起きる場合や、緊張などで気道が狭まって起きる咳というのもある。
 寒冷による咳には『小青龍湯』だし、緊張を緩和して気道を開くのは『半夏厚朴湯』が適応し、両方に跨ぐような『カンポアズマ』なんかもあり、効能の「咳止め」だけで適応を判断するのは難しい。
 変わったところでは、肝臓が疲れて起きる咳というのもあって『柴朴湯』の出番なんだけど、これなんかは咳以外の体調や生活環境なんかもカウンセリングしないと選択肢にも入らないだろう。
 そんな訳で、やっぱり可能であれば本人に店頭に来てもらいたいところである。
 咳の音で分かる事もあるしね。

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