• タグ別アーカイブ: 五虎湯
  • 信じるか信じないかはアナタ次第

     北欧系と思われるお客様が来店され、英語ではないため(いや、英語だって分かりゃしないけど)戸惑ったら、同伴の人が通訳してくれてホッ=3
     主訴は咳らしく、発熱などの風邪に関連しそうな症状は無い様子。
     そのため、起きていない症状まで効能に含まれている風邪薬より、咳に対応した薬のほうが体への負担が少なくて済むことを説明したうえで、痰が出るとのことから『五虎湯』と『ブロン錠エース』を案内すると、「タブレット(錠剤)」を希望されたため、後者をお買い上げ頂いた。
     タブレットだけ理解できたけど、英語以外でもタブレットと言うのか。
     日本の市販薬に、「錠剤」と「カプレット」を使い分けてるメーカーもあって謎。
     後で調べたら、「カプセル型の錠剤」をカプレットと呼んでるらしい。
     なんじゃそりゃ?
     なんのことは無い、「カプ(セル)+(タブ)レット」というメーカーの造語だった。
     錠剤が瓶詰めで、カプレットは個包装になっているということだけど、錠剤だって個包装に出来ると思うんだけど違うのか。
     良く分からなしい┐(´∀`)┌

     外用消炎剤の棚でシップを選んでるお客様がいたので声を掛けてみたら、ボクシングのスパークリングで打たれた胸部が痛むとのこと。
     鎮痛効果を三段階に分けて、弱いサリチル酸製剤、鎮痛効果が中程度でも浸透力のあるフェルビナク製剤、鎮痛効果の強いインドメタシン製剤を案内した。
     そしたら、家にあったシップを使って効かなかったからお店に来たというので使った物を確かめたら、『ボルタレンAC』だった。
     主成分のジクロフェナクナトリウムは、市販薬の中で鎮痛効果と浸透力の両方に優れ、これが効かないようではお店で他の物を購入されても、たぶん効きませんから病院を受診したほうが良いと思われます。
     そう説明して、本日のところはお買い上げは無し。
     ひとまず『ボルタレンAC』を継続して、やはり痛みが治まらなければ、病院を受診するよう勧めた。
     そして、帰った後になって気がついた。
     ボクシングをしてる人なら、内服薬に『桃核承気湯』を紹介しておくんだった……(;´Д`)
     メーカーのパッケージには、女性の便秘症をターゲットにした言葉が並んでるけど、実は内臓を冷やす生薬が多く含まれていて、内出血にも効果がある。
     実際、効能書きにも打撲と明記されている。
     むしろ、こんなに内臓を冷やす処方が適応する女性なんて、日本人では少ないんじゃないかな。
     冷えすぎて、便秘は治るかもしれないけど、お腹を壊すんじゃないかと心配になる。
     これが、どういう訳か本部から大量に送り込まれてるのに、適応しそうな患者さんは訪れず在庫を抱えて困ってるんだよね。
     柔道や空手に剣道など、格闘系のスポーツをしている人にこそ向いているものの、はなからシップ薬や塗り薬を求めてきているから内服薬を紹介する機会が無い。
     ちなみに、『桃核承気湯』の変方でもある『三黄瀉心湯』は、もっと冷やす力が強くて、一節には昔は刀傷の止血目的に服用されていたとも云われている。
     そんなの便秘だからと飲んで、大丈夫なんだろうか。
     胃腸の弱い私には、分かりませんヽ( ´ー`)ノ

     

  • 風邪をひいて必ず咳になる人は胃に注意

     ご夫婦で来店し、奥さんの咳が止まらず、いつもは『アネトン』を使っているというお話だった。
     夜中に特に咳き込むというから、肺に熱が篭るタイプの咳向けに患部を冷やす『五虎湯』を紹介してみたけど、詳しく訊いてみると普段から咳が出やすく、風邪をひくと咳だけが残るというため『麦門冬湯』を勧めると、お買い上げ頂いた。
     風邪をひいて必ず咳になるというのは胃をやられやすい可能性があることを説明し、風邪をひいたと思ったら早い段階で消化に良い食事にして量を控えるよう伝えた。

     成人の娘さんがヤケドしたとのとこで、お客様から『メモA』と『アロエ軟膏』のどちらが良いかを尋ねられたけど、よくよく訊いたら、すでに3日以上過ぎていて水疱も潰れた後だそう。
     それでしたら、局所麻酔成分が入っていて痛みを緩和する『メモA』は出番を逃しているので、『アロエ軟膏』でケアするだけで良いでしょうとお話した。
     匂いとベタつきと衣服への色移りが嫌でなければ、『紫雲膏』を勧めたいところですが。
     色移りは、ガーゼを当てれば防げるし。
     他の対処法としては、水疱が破れているから感染を防ぐために抗生物質の『クロマイP軟膏』を使うとか、塗り薬を使わずに湿潤療法で『キズパワーパッド』を使うという方法もある。
     一応は一通り提案し、本日のところは『アロエ軟膏』を購入された。

     勢い良く飛び込んできたお客様は、非常にハキハキとした物言いの人だった。
     主訴は咳だというので、咳の状態や激しくなる時の状況などを尋ねると、「~です」とキッパリと断言される一方、細かなニュアンスを説明するのが苦手なのか面倒なのか、ヒアリングが難しかった。
     高校時代の友人にいた、「今日は暑いねぇ」と言うと、「夏だからな」と一言で返されて会話が続かない感じ。
     寝る前に咳が集中するなら『五虎湯』『麻杏甘石湯』が候補だけど、静かにしていても出るというから『麦門冬湯』を案内したものの反応が鈍く、現代薬を望んでいるように思われたため、痰の有無を確認したうえで、痰が絡む場合に用いる『ブロン錠エース』を勧めて、お買い上げ頂いた。

     

  • 薬のお遣いって大変なんですよ?

     ご主人がお腹周りが痒いと訴えてるとのことで、「汗疹の薬を」とお客様が来店。
     ところが、痒みの強さや患部の見た目の状態などは聞いてきていないという。
     皮膚疾患は、目で見ても判断が難しいのに、何も情報が無いのでは汗疹と言われても本当か分からず判断のしようが無い。
     しかし、本人からの頼まれ方によっては何も売らないという訳にもいかない。
     例えば、すぐに激昂するタイプのような人だと、買いに来たお客様に危害が及ぶというケースがある。
     特に、今回のように何も伝えていないという男性は、私の経験から言うと少なく無いと思う。
     そういう場合は、買いに来た人の戸惑いぶりや怯えぶりから分かったりする。
     今回の場合も、どうも本人が「汗疹と言ってるから汗疹の薬でなければならない」という雰囲気だった。
     痒みが強ければステロイド剤の使用も考えられることをお話して、ステロイド剤としてはマイルドに分類される『ロコイダンクリーム』と『あせもジェル』を案内しすると、後者を買っていかれた。
     一応、補足として帯状疱疹の可能性もあることを伝えたけど。
     お腹周りというと、ありえないことでは無いので。
     帯状疱疹の場合は、腹部から背中にかけて左右どちらかに偏っているはずなんで、患部の状態が重要な情報になる。
     人に薬の買い物を頼むときには、頼まれた人が困らないように、ちゃんと症状を伝えてあげて欲しい。
     ホント、頼まれる人が可哀想だから。

     数日前に、ご主人の咳に『麦門冬湯』を勧めたお客様が再訪し、あまり効かなかったとのこと。
     ありゃん、すいません(;´д`)
     ただ、前回の時には話に出てこなかったのだけれど、ヘビースモーカーらしい。
     それじゃあ、『麦門冬湯』では効かないのも通り。
     乾燥を取り除いて保水しても、冷やす力が全く無いので。
     今は夜中に咳き込むというので『五虎湯』も考えたが、ヘビースモーカーとなれば患部の血流改善も必要だろうから、『ダスモック』(清肺湯)を提案し、お買い上げ頂いた。
     『麦門冬湯』が効かなかったことについて本人がなんと言っていたかは分からないけど、お客様からは「子供なら心配だから観察するけどねぇ、本人に治す気が無いんだから」と笑って許して頂いた。
     まぁ、煙草に気がつかなかったのは、私のヒアリング不足なんですが。

     

  • 喉が痛むときは胃を大切に

     ご主人の代理で、お客様が来店。
     主訴は痰で、咳は酷くないという。
     そして3日ほど前に、発熱はしなかったものの、喉が痛くて『ベンザブロックL』を服用していたそう。
     痰の色を尋ねてみたけど、本人から聞いておらず分らない。
     とはいえ、状況からすると『ベンザブロックL』を服用することで、体内が乾燥してしまったのだろうと推測。
     痰に色がついていたら、ウイルスの死骸が混じってたりしてるって事で、抗炎症作用のある『五虎湯』も考えた訳ですが、乾燥であれば『麦門冬湯』が適応しますと案内した。
     喉の痛みが軽い胃炎からという可能性も考えられ、『麦門冬湯』は胃薬としても働く。
     ただ、よくよく話を訊いてみたら、痰の色どころか「痰が絡む」と言っているというだけで、実際に痰が出るのかも確認していないと分かった。
     ありゃ、そうすると痰が絡んでいる気がするだけの『梅核気』の可能性もある。
     ストレスなどで気道が狭くなり、「天神様(梅の種の核)」が喉に詰まっている気がする症状で、その場合は『半夏厚朴湯』が候補になる。
     咳の特徴としては、咳き込むというより息苦しく、時に喘鳴がしたりするという点。
     ひとまず今回は、可能性の公約数的に広い範囲に適応する『麦門冬湯』を試して頂くことになった。

     『のどスプレー』を求めて来店したお客様に症状を尋ねてみると、ご本人はクーラーによる乾燥が思い当たるようだったので、消毒系のポピドンヨードより抗炎症系のアズレンをと勧めてみた。
     しかし、ツバを飲むのも痛いというお話があったため、いっそトローチタイプで患部に留まる『パブロントローチAZ』と患部の熱を取る『駆風解毒湯』をと提案すると、前者をお買い上げ頂いた。
     それと喉が痛む時というのは、やはり胃炎の可能性を外せないから、消化の良い食事をするよう伝えた。

     

  • 効能書きにあるのは「症状」であって「病気」そのものではない

     出勤したら、お客様から「ありがとうございました」と言われてキョトン(・_・;)
     昨日、疲労による不眠にと『加味帰脾湯』を購入されたお客様だった。
     昨日の力の無い雰囲気と全然違うから、昨日の今日なのに別人みたいで声を掛けられた瞬間、分からなかった。
    「おかげさまで、良く眠れました」とお礼を言われるものの、「そ、それはなによりでした」と返すのがやっと。
     だって、『加味帰脾湯』を選ばれたのはお客様自身だし、私の方は「余計な詮索をしてしまった(´・ω・`)」と思っていたところなので。
     手荷物も持っていないし、買い物した様子も無く帰られたので、もしかしてわざわざをお礼を言いに寄られたのか。
     だとしたら、なんとも重ねて申し訳ない。
     でも、まだ引きずってたので復活(∩´∀`)∩バンザ──イ

     小学生の子供の咳止めを求めて来店したお客様を、咳止め薬の棚に案内したところ、いつもは『ベンザブロックせき止め錠』を使っているとの事だった。
     直前に風邪をひいており、喘息があるというお話だったので、咳の種類や季節の違いによっては、使う薬を変えたほうが良いことをお話したうえで、『ベンザブロックせき止め錠』をお買い上げ頂くことになった。
     咳に限った話じゃないけど、「風邪」とか「頭痛」とかは、表に現れている「状態」であって、「病気そのものではない」というのが、なかなか理解されないんだよねぇ。
     でも、「そういう病気」なのだと思い込んで薬を求めに来るから、対応に困る。
     パッケージや効能書きに、適応する症状が書いてあっても、それはあくまで表に現れている「症状を緩和する」だけであって、治す訳ではない。
     実際に病気を治すのは自身の体であるから、基本は「症状を緩和する」だけで良いとはいえ、市販薬のことを「病気を治す物」と勘違いしているのであれば、できることならその緩和する方法は、体が病気を治す手伝いのできる物であるのが望ましいのではないか。
     だから咳一つとっても、「どんな咳か」は治療の重要な指針になる。
     例えば、エアコン等で体が冷えると出るのか、暖かい空気を吸うと出るのか、話そうとしたり食べようとした時に息を吸うと出るのか、反対に静かにしていても咳き込んでしまうのか、そういったことで患部を「温めて熱を発散するべき」か「冷やすべき」か「乾燥を取り除くべき」かというように対応が分かれる。
     また、喘息があるようだとストレスで気管支が狭くなって咳になることがあり、それは季節の変わり目の気圧の変化や気温の変化で誘発される。
     ここまでで単純に分けると、冷えると咳が出る人には患部を温めることで熱を発散する『小青龍湯』、暖かいと咳が出るとか寝る時に咳が出るなら患部を冷やす『五虎湯』、息をする刺激で咳が出るのは体内の乾燥なので保湿する『麦門冬湯』、静かにしていても咳が出るとか気管支が狭くなって喘鳴が出るようなら緊張を緩和する『半夏厚朴湯』が候補になる。
     これは現代薬でも同じことで、同じ咳を止めるにしても「炎症を抑える」と「気管支を拡張する」と「緊張を緩和する」といった成分が配合されていて、それは薬によって入っていたり入っていなかったり配合量が違ったりしている。
     店頭で、自分でネット検索して調べるのであれば、それはそれで良いことではあるものの、どうも価格以外を調べているようには思えない素振り。(画面を覗いた訳じゃないけど)
     とにかく、症状について尋ねると、たいていは「意識したこと無いから分らない」と言われてしまうことが多く、頼まれ物や家族の代理だと、それはなおさらで、候補の選定に困ってしまう。
     なので、具合が悪いと感じて薬を買いに行く時には(病院に行く時にも)、「いつから」と「症状の経過」と「直近で服用した薬」の三つは基本として、他に症状が「酷くなる時」と「軽くなる時」などの付随した情報もメモしておいて下さな。

     

  • 半身浴で長湯をするのが咳止めに有効なワケ

     お客様から『熱さまシート』の場所を訊かれて、売り場まで案内。
     現に発熱しているようでしたら額よりも首の後ろに貼るようにお話したら、熱が出ているのは0歳児だとのこと。
     ありゃん。
     それは予想していなかった(;´・ω・)
     病院は受診していて、薬も処方されているそうなので、まずは安心か。
     おっと、それじゃ『熱さまシート』も赤ちゃん用が良いですね、と案内し直した。
     赤ちゃん用のは、ベビーコーナーに置いてあるので。
     あっ、そうそう、上半身は冷やしても下半身は保温してあげてくださいと伝えた。

     『パブロンせき止め』を購入されるお客様の手荷物のスーパーのレジ袋から、冷やしうどんとペットボトルの紅茶が見えていたため、余計なことと思いつつ、温かい物を飲食するよう勧めた。
     いやぁ、なんかすいません……。
     だってね、咳が出てるというのは、喉や気管支が炎症を起こしているか、あるいは乾燥していて、ちょっとした刺激(それこそ浮く気が通るだけで)に反応している訳で。
     そして、人間の体というのは基本的に、熱を出そう熱を出そうとしている。
     熱を出さなきゃ、生存のために必要な様々な化学反応を体内で起こせないから。
     だから冷たい物を飲食すると、内臓から冷やされるため体の方は「もっと熱を出さなきゃ!!」と頑張ってしまう。
     とあるダイエット法では、甘い物を食べたくなったらアイスクリームを食べるよう推奨していたけど、それはアイスクリームのカロリーより、体を温めようとして消費するカロリーの方が多いから。
     で、熱というのは上に昇るものだから、横になっていない限りは上半身に影響し、炎症している患部はより炎症したり、熱によって水分が不足して、ますます患部の周囲を乾燥させて、咳の原因となってしまう。
     特に『パブロンせき止め』のような現代薬は、患部に刺激を受けた際の神経の反応を鈍らせて咳を止めるため、一時的には症状が軽くなっても、神経を抑えることで保水機能は低下してしまう。
     せめてそこで温かい食事をしておけば、体の方も「頑張って熱を出さなくていいか」と落ち着く。
     半身浴で長湯をするのが咳止めに有効なのも、同じ理由。
     だから、私としては患部を冷やす『五虎湯』か、上半身に保水する『麦門冬湯』の方を勧めたいところなんだけど。
     今回はすでにお会計をしてしまったし、お客様も早く帰りたいだろうから漢方薬の案内まではせずに、前段の温かい食事をした方が咳が軽くなると考えられることを伝えた。
     まぁ実際は、咳止めを選んでいるところで声を掛けるか迷ったんだけどねぇ。
     人と話すのが苦手なので、声を掛けるタイミングが難しく………(;´Д`)

     やや高齢のお客様がのど飴を求めて来店され、医薬部外品と医薬品とでは後者を希望との事だったので、『浅田飴ニッキS』を案内した。
     ただの飴だと思って、舐めちゃいけない。
     いや、舐めなきゃいけないんですが。
     キキョウで患部を冷やして、トコンで痰を排出させ、マオウで熱を発散したうえで、ニンジンで患部の粘膜の再生を促すという、シンプルなのに良く考えられた処方。
     製品としては大正15年からあるらしいけど、当時と同じ処方なのかな?
     あっ、普通ののど飴の感覚で食べ過ぎると、キキョウでお腹を冷やして下痢したり、トコンは「吐根」とも書いて単独では異物を吐き出させるために胃を刺激する作用があるので、ご注意ください。
     という世間話は特にしなかったんだけど、お客様の手元を見たら『麦門冬湯』を持っていた。
     そうでした、希望の物を案内したのは良いけど、ここからですよ本番は。
     症状を確認しないと。
     のど飴を求めて来たとはいえ、『麦門冬湯』を手にしてるということは、主訴は咳なのかもしれない。
     詳しく訊いてみると、やはり咳が主訴であるらしく、主に寝る時に咳き込むという。
     ふむぅ、話したり食事のさいに咳が出るようなら乾燥性で『麦門冬湯』が適応するけど、それは無いというお話だから患部を冷やす『五虎湯』の方が効きそうだ。
     『浅田飴』でもキキョウで患部を冷やすものの、去痰作用のトコンがいらないなぁ。
     そうお客様に伝えると、『五虎湯』と『浅田飴ニッキS』を一緒に購入された。
     あっ、いや……『浅田飴ニッキS』は不要だと思うんですが………。
     まぁ、いいか(^_^;)

     

  • 人間の体自体が実験室だとして自分でコントロールできるのか?

     夫婦で来店され最初は旦那さんから、うがい薬の場所を尋ねられた。
     場所を案内しつつ、うがい薬は健康な時かつ風邪が流行っている時期などに集中的に予防目的に使う物で、現に喉が痛む時には避けるようにお話したところ、奥さんの咳に使うつもりだと言われた。
     咳に使ったら、なおさら駄目なのに、どうしてそう思われてしまうのか。
     殺菌や消毒する薬にセンサーがついてる訳じゃないから、有害な菌も有益な菌も無差別に倒してしまううえ、当然のことながら自身の細胞も傷めてしまう。
     この辺り、SFアニメとか観てると分かりやすいのにと思ったり。
     『トップをねらえ!』というロボットアニメに、「ホーミングレーザー」という武器が出てくるんだよね。
     ホーミングというのは「自動追尾」という事で、ミサイルならミサイル本体にセンサーを取り付けられるから「ホーミングミサイル」という物は実在する。
     ところが、「ホーミングレーザー」と言ったら、レーザー光線に自動追尾機能があるという事になり、つまりこの武器は一種の「科学的にありえない」というギャグなんである。
     小学校高学年の次郎も、一緒に観てて「ホーミングレーザー? どんな仕掛けだよ(*´∀`*)」と理解していた。
     この手のギャグというか、意味不明な物としては、「抗酸化作用」を謳ってるサプリメントもある。
     老化の原因が酸化作用だから、それに対抗することで老化を防ぐんだそうな。
     老化というとマイナスイメージだろうけど、つまりは肉体的には成長であり、成長の果てに減衰があるのは当然のこと。
     人間が酸素を吸うのは、生きるために酸化という化学反応が必要だからなのに、酸化を止めたら死にますよ?
     まぁ、確かにそれが過剰に起きると困るという理屈は分かる。
     じゃあ、それを抗酸化作用があるというサプリメントで調整できるのかというと、これが疑問なところ。
     仮に酸化を抑えるとして、それで酸化作用が必要以上に減ってしまったらどうするのか。
     逆に酸化を促すサプリメントはあるのかといえば、聞いたことが無い。
     いや、ある。
     酵素である。
     酵素というのは、それ自体では役に立たず、ある物とある物の化学反応を促す触媒として作用する。
     だから、「酸化作用が弱くなってしまった体を改善する」というサプリメントがあっても良さそうなものなのに、何故か無い。
     まぁ、酵素は酸素と違って種類が多種多様で、それぞれの効果も違うときてるから、なおさら調整は難しいですが。
     化学者が実験室で専門の機材を使って行うような化学反応の調整を、素人が自分の体で実践してコントロールできるのか?
     ……ああ、話が逸れ過ぎた(^_^;)
     咳の経過を尋ねてみれば、風邪の後に咳が残ったそうなので『麦門冬湯』を案内してみたら、使ってみたけど効かなかったと言われたため、現代薬の方が希望かなと思い、痰が出ないことを確認して『ブロン錠』を紹介した。
     漢方薬で次点を候補にするなら、患部の乾燥を取り除く『麦門冬湯』に代わって、患部を冷やしつつ熱を発散する『五虎湯』なんだけどね。
     とか思っていたら、『麦門冬湯』は2回服用しただけだと分かった。
     ありゃん(;´∀`)
     『麦門冬湯』の効能は咳止めだけど、生薬構成は胃薬に近く、体内の乾燥には胃炎が関わっていたりするため、胃を治し上半身に保水することで咳を止めるという、やや回りくどいプロセスを経る。
     打ち身で腫れた時に患部に塗って冷やす石膏を飲むことで、直接的に患部の熱を取る『五虎湯』の咳止めとは、そもそもの考え方からして違うのだ。
     だから、もともと体力が充実している人とか体格の良い人、あるいは風邪の後に長引いている咳の時には体内の乾燥は相当に深刻なため、1回や2回服用しただけでは実感できるほどには効果が現れなかったりする。
     ふむぅ、困った。
     同じ『麦門冬湯』でも、医療用のなら効能書きに「適宜増減」という一文があるんだけど、市販薬のパッケージでは用法・用量が指定されている。
     これはもちろん、個人の判断で危険な運用をしないようにという事ではあるのだけれど。
     えー、これは独り言です。
     独り言ですよー。
     私個人や、家族ならば3日分を1日で飲み切る勢いで使います。
     ただしこれは、漢方薬だから安全という事ではありません。
     あくまで、『麦門冬湯』の生薬構成が、比較的穏やかに現れる内容だからです。
     ゲフンゲフン((( +д+))o=3=3
     すいませんねぇ、お客様がいるのに気づかず、独り言を呟いてしまって。
     ……という小芝居を終えて改めて『麦門冬湯』が家に残っているか尋ねてみると、まだ有るそうなので、まずはそちらを継続してみるようお話した。
     そして、さっきも少し触れたように、風邪によって胃炎を起こしているかもしれないため、消化の良い食事をして、お風呂には長めに入り下半身を温めるよう勧めた。
     帰りぎわに、「今まで薬のことを、お店で尋ねるなんて思いもしなかった」と言われた。
     自動販売機じゃないので、尋ねて下さいな(´∀`*)ノシ
     ってか、最近は自動販売機も気温とか購入者の顔とかで判別して、お勧めのドリンクとかを案内してますね。
     そのうち本当に、症状のチャートを画面のホタンで答えて薬の販売なんてのもありそう。

     やや高齢のお客様が『爽和』をレジに持ってきたさいに、使用経験があるかを尋ねてみると初めてとの事だったため、症状を確認した。
     すると、脂っ濃い物を食べると胃にもたれるというお話で、『大正漢方胃腸薬』の方が合うように思われた。
     でも、ストレスも思い当たるようだったから、そのままお買い上げ頂いた。
     そして、『爽和』は予感がしたら先に服用しておいた方が効果的なことを伝えた。
     偶然なのか、今回のお客様にも「薬のことを確認して買うのは、思いつかなかった」と言われた。
     ネット上で、「薬は毒」とか「薬を飲むな」という極端な書き込みを見かけるけど、この警戒感の無さは、それはそれで困る……(;´・ω・)

     

  • 病院に行けるのは就職活動しているうちです

     お客様から、「めまいに鉄剤は効きますか?」という質問を受けた。
     患者さんは成人の娘さんで、病院を受診したことは無いという。
     目眩に鉄剤が有効なのは、あくまで血液に問題がある場合で、三半規管の異常はもちろん、水分代謝の異常、脳機能障害と原因は多岐に渡ることを説明した。
     そのうえで、鉄不足が原因と考えられる場合の市販薬として『ファイチ』を紹介し、水分代謝の異常の時に用いる『苓桂朮甘湯』を案内した。
     高血圧なら『七物降下湯』『釣藤散』なども考えられるものの、話題には出てきていないし年齢的に確率は低いため今回は除外した。
     水分代謝の異常は、現代人ならたいていは暑い日はもちろん寒い日にも冷たい飲み物を飲んでいたりするので、可能性がある。
     そして今回の患者さん本人は就活中で、病院に行く時間を惜しんでいるそうな。
     いやいや、病院に行けるのは就職活動しているうちですよん。
     それこそ内定が決まって、勤め始めたら本来は権利があっても、初年度は休みにくいもの。
     私なんか、このお店に勤め始めてから約2年間、2日連続で休めたことなんか、希望したんじゃなくて、働き過ぎたからと強制的に休まされた時だけ。
     面接前に健康診断を受けておかなければならず、それが出来たのは例の東日本大震災以後に失業して暇ができたから。
     本人には、病院に行くのは今のうちと伝えるようお話した。
     そして、めまいは大きく分けて三種類あることを説明した。
     鉄不足や低血圧が考えられる、いわゆる立ち眩みが一つ。
     もう一つは、天井がグルグル回るような回転性の目眩で、これが三半規管の異常や水分代謝の異常によるもので、メニエール病も含まれる。
     一番怖いのがもう一つで、フワフワと雲の上を歩いているような目眩。
     これは、脳の血管が詰まっている脳塞栓か、反対に破れている脳内出血の可能性が疑われる。
     まずは、本人に目眩の状態を確認してみて下さい。
     そうお話すると、食事した直後に目眩がして転んだようだという。
     そのパターンだと、低血糖が考えられるし、もっと単純に胃の機能が低下していて、血液が急に胃に集まることで貧血になったのかもしれない。
     お話を聞く限り鉄剤が必要とは思われなかったのだけれど、何か娘さんに買って行ってやりたいというので、無難なところでサプリメントの鉄と葉酸の混合タイプを案内して、お買い上げ頂いた。
     安易に薬を勧められない時に、それでも何かを買って行きたいというのが一番困る(;´・ω・)

     『ルルアタックEX』を購入されるお客様に症状を尋ねてみたら、患者は成人の息子さんで、主訴は咳だとのこと。
     咳だけだと風邪ではない可能性もあることをお話すると、3日ほど前に発熱したという。
     発熱が3日も前では、『ルルアタックEX』の適応時期はすでに過ぎている。
     風邪としては、中期から後期に当たることを説明した。
     発熱で体内が乾燥しているだろうから、上半身に水分を集めて咳を止める『麦門冬湯』が適応することを説明してみたものの、風邪薬が欲しいとのことで、そのまま『ルルアタックEX』を購入された。
     ううん、買って行ってあげたいのか本人に頼まれたのか分らないから、それ以上は踏み込めなかった。
     本人だったら、もっと詳しい症状を訊き出したりして、患部を冷やして咳を止める『五虎湯』を紹介したりもできるのだけれど。
     ホント、代理で薬を買いに来るパターンは厄介だ。
     本人は食欲はあるそうなので、せめてもと思い、食欲に任せて量を食べないように伝えて下さいとお話した。
     脳は体力回復のために「お腹が空いた」という信号を出すけど、胃腸の方は発熱でダメージを受けて機能が低下しているはずなので。
     咳にしても、風邪で胃炎を起こしていて、胃の上に位置する肺が胃熱で乾燥しているかもしれない。
     その場合に現代薬の風邪薬を使うと、体の方は熱が下がっているのに今さら訪れる薬剤の処理に体力を費やして、疲労に繋がってしまう。

     

  • 命は大事にすれば一生使えます

     ご主人に頼まれたとかで『アレグラ』を求めて来店したお客様に、うちのお店では取り扱っていないことをお詫びしたうえで、すでに花粉症を発症してから服用しても、効果が現れるまで数日を要することを説明した。
     今までに服用したことの有る市販薬については分からないようだったため、『ストナリニS』『パブロン鼻炎カプセルS』『アルガード鼻炎カプセルZ2』を比較して紹介した。
     一応は、メキタジンの『アルガード鼻炎カプセルZ2』が眠くなりにくいはずである。
     すると、ご本人と連絡が取れたらしく、アルガード鼻炎カプセルZ2』を購入された。

     やや高齢のお客様が来店し、爪に縦に線が入ってシャワーを浴びたら滲みて痛かったため、『サカムケア』を塗ってみたんだけどどうかと相談された。
     それは、良い判断だと思います。
     爪は皮膚の一部で再生しますから、継続してみるよう勧めた。
     そのうえで、老化による機能の衰えを改善する『牛車腎気丸』を紹介した。

     奥さんに頼まれたとのことで、『ミルコデ錠A』を求めてお客様がいらした。
     奥さんは喘息で病院から吸入器を処方されており、他にも薬を服用しているという話なのに、それらの内容が分からず、お薬手帳も持ってきていなかった。
     そして、処方された薬が切れたため、ネットで『ミルコデ錠A』を知り使ってみようと思ったらしい。
     あのー、喘息は死ぬ病気ですよ?
     子供の頃から喘息で苦しんで、同じく吸入器を使って、それでもベットでのたうち回った私からしたら、どうしてそんな危険な判断を平然と出来るのかと、喘息以上に理解に苦しむ。
     それで頼まれて安易に買いに来てしまう旦那さんも、もう少し危機感を持って下さい。
     いや、もしかすると目の前で苦しんでる奥さんを見て、助けたい思いで来たのかもしれませんが。
     喘息は、それ自体が死ぬ病気ですからね?
     誤った薬の使い方をして、自分の手で息の根を止めたいですか?
     うちの奥さんになら、タマにチョット思わなくはないですが……ゲフンゲフン((( +д+))o=3=3
     と頭の中ではお説教モードになりつつ、どの道うちのお店には置いていないため、近隣のドラッグストアーにも問い合わせてみたが、取り扱っている所は無かった。
     そして、最後に問い合わせたドラッグストアーの薬剤師さんから、処方的には『アネトン』が近いのではないかとアドバイスされた。
     ふむぅ、なるほど(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。)
     ここは申し訳ないけど、お会いしたこと無いものの、この薬剤師さんなら信頼できるかなと思い、お客様の受け入れをお願いしてみた。
     そして、お客様にはそのドラッグストアーに訪れて改めて相談してみるよう勧めた。
     本人だったら、喘鳴で息苦しい状態には『半夏厚朴湯』か、咳き込んで止まらないようなら『五虎湯』を案内したんだけどねぇ。
     たいていの現代薬の咳止めとの併用ができるから。
     いずれにしも、患者さん本人も家族も、処方されている薬の記録には努めて下さいな。
     旧アニメ版の『エリア88』にあった、グレッグとマッコイ爺さんの会話が好き(´з`)
    グレッグ「命は大切にせんとなぁ」
    マッコイ爺さん「おうよ。大事にすれば、一生使えるぞ」

     

  • 頼まれる方の苦労も考えてやって下さいな

     お客様から『葛根湯』を風邪の症状が出る前に飲んで良いかと尋ねられたので、早め早めに服用してこそ『葛根湯』の真価が発揮されますと答えておいた
     ただ、気管支炎になりやすいというお話もあったため、風邪の兆候として頭重感や悪寒などが無いような時には、気管支を潤す『麦門冬湯』や気管支を冷やす『五虎湯』の方が向いている可能性も、お話した。
     本日のところは、『葛根湯』をお買い上げ。

     知人から「膀胱炎の薬を頼まれた」というお客様が来店した。
     なのに、希望している薬の名前も、具体的な症状も不明。
     そもそも、膀胱炎というのが本人が思っているだけなのか、医師から診断されたのかも分からない。
     ありえるパターンとしては、以前に医師から膀胱炎と診断され、それは改善して、今回同じような症状を感じているとかかね。
     だとしたら、その時に使った薬の内容くらいは知りたいところなんですが。
     なんにしても、酒のツマミを買ってきてくらいの感覚でお遣いを頼まれる人が災難である。
     どういう知人関係かは知らないけれど、その患者さんは、他人の苦労を想像できない人なんじゃあるまいか。
     ひとまず、『猪苓湯』をファーストチョイスにして、排尿時に熱感があれば『竜胆瀉肝湯』に、疲労があったり体質虚弱な場合には『五淋散』に乗り換えを検討するよう説明した。
     今回は、『猪苓湯』をお買い上げ。
     あと、炎症を起こしている原因菌を倒す免疫力を高めるには、風邪と同様に体温が高いほうが良いので、本人には体を冷やさず積極的に温めるよう伝えて下さいと、お話した。
     特に下半身を温めるのが、重要です。

     やや高齢のお客様が、鼻水とクシャミの相談で来店。
     症状は三日ほど前からで、花粉症はあるものの、家族が風邪をひいているため、自身も風邪だと思うとのこと。
     そして、家にあった『葛根湯』を飲んだという。
     現代薬の風邪薬は眠くなりやすく、鼻炎の段階で総合の風邪薬を服用すると疲れやすいと考えて、避けたそうな。
     これは、私の考え方に近い。
     そういうことでしたら、と『小青龍湯』も紹介してみたけど、クシャミはそれほど強く出ていない様子だったため、『葛根湯』を継続してみるというお話になり、『葛根湯』を購入された。