効能書きにあるのは「症状」であって「病気」そのものではない

 出勤したら、お客様から「ありがとうございました」と言われてキョトン(・_・;)
 昨日、疲労による不眠にと『加味帰脾湯』を購入されたお客様だった。
 昨日の力の無い雰囲気と全然違うから、昨日の今日なのに別人みたいで声を掛けられた瞬間、分からなかった。
「おかげさまで、良く眠れました」とお礼を言われるものの、「そ、それはなによりでした」と返すのがやっと。
 だって、『加味帰脾湯』を選ばれたのはお客様自身だし、私の方は「余計な詮索をしてしまった(´・ω・`)」と思っていたところなので。
 手荷物も持っていないし、買い物した様子も無く帰られたので、もしかしてわざわざをお礼を言いに寄られたのか。
 だとしたら、なんとも重ねて申し訳ない。
 でも、まだ引きずってたので復活(∩´∀`)∩バンザ──イ

 小学生の子供の咳止めを求めて来店したお客様を、咳止め薬の棚に案内したところ、いつもは『ベンザブロックせき止め錠』を使っているとの事だった。
 直前に風邪をひいており、喘息があるというお話だったので、咳の種類や季節の違いによっては、使う薬を変えたほうが良いことをお話したうえで、『ベンザブロックせき止め錠』をお買い上げ頂くことになった。
 咳に限った話じゃないけど、「風邪」とか「頭痛」とかは、表に現れている「状態」であって、「病気そのものではない」というのが、なかなか理解されないんだよねぇ。
 でも、「そういう病気」なのだと思い込んで薬を求めに来るから、対応に困る。
 パッケージや効能書きに、適応する症状が書いてあっても、それはあくまで表に現れている「症状を緩和する」だけであって、治す訳ではない。
 実際に病気を治すのは自身の体であるから、基本は「症状を緩和する」だけで良いとはいえ、市販薬のことを「病気を治す物」と勘違いしているのであれば、できることならその緩和する方法は、体が病気を治す手伝いのできる物であるのが望ましいのではないか。
 だから咳一つとっても、「どんな咳か」は治療の重要な指針になる。
 例えば、エアコン等で体が冷えると出るのか、暖かい空気を吸うと出るのか、話そうとしたり食べようとした時に息を吸うと出るのか、反対に静かにしていても咳き込んでしまうのか、そういったことで患部を「温めて熱を発散するべき」か「冷やすべき」か「乾燥を取り除くべき」かというように対応が分かれる。
 また、喘息があるようだとストレスで気管支が狭くなって咳になることがあり、それは季節の変わり目の気圧の変化や気温の変化で誘発される。
 ここまでで単純に分けると、冷えると咳が出る人には患部を温めることで熱を発散する『小青龍湯』、暖かいと咳が出るとか寝る時に咳が出るなら患部を冷やす『五虎湯』、息をする刺激で咳が出るのは体内の乾燥なので保湿する『麦門冬湯』、静かにしていても咳が出るとか気管支が狭くなって喘鳴が出るようなら緊張を緩和する『半夏厚朴湯』が候補になる。
 これは現代薬でも同じことで、同じ咳を止めるにしても「炎症を抑える」と「気管支を拡張する」と「緊張を緩和する」といった成分が配合されていて、それは薬によって入っていたり入っていなかったり配合量が違ったりしている。
 店頭で、自分でネット検索して調べるのであれば、それはそれで良いことではあるものの、どうも価格以外を調べているようには思えない素振り。(画面を覗いた訳じゃないけど)
 とにかく、症状について尋ねると、たいていは「意識したこと無いから分らない」と言われてしまうことが多く、頼まれ物や家族の代理だと、それはなおさらで、候補の選定に困ってしまう。
 なので、具合が悪いと感じて薬を買いに行く時には(病院に行く時にも)、「いつから」と「症状の経過」と「直近で服用した薬」の三つは基本として、他に症状が「酷くなる時」と「軽くなる時」などの付随した情報もメモしておいて下さな。

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