気をつけたいのは「素人に毛が生えた」というヤツ

 『新コンタックかぜ総合』と『マードレトローチ』をお客様が購入されるので、症状を確認したところ、発熱はあるというお話だったため、そのまま販売。
 別に、いつもいつもお客様の購入の邪魔をしている訳ではありません(笑)
 ただ、喉の痛みだけの場合は、風邪ではなく胃炎などの可能性があるので、発熱や鼻炎といった余計な症状に対する成分が入っている総合かぜ薬よりも、主訴にターゲットを絞った方が早く回復することを伝えた。

 普通は製薬メーカーの営業さんは来訪すると挨拶があってから自社製品のメンテナンスをするもんなんだけど、R社の営業さんはフラリと現れて、勝手に売り場に手を入れ自社への報告用の写真を撮っていく。
 軽く嫌味の一つも言ってやろうと思っていたら(←性格悪し)、スーッと近づいてきて水虫の相談をされた。
 はいっ(;・∀・)?
 以前に病院で菌は検出されているそうで、痒みは強くないというので痒み止めや麻酔成分などが入っている『BTプラスV8』より、殺菌がメインで処方がシンプルな『ラミシールAT』を案内して、お買い上げ頂いた。
 これで、嫌味を言うタイミングを完全に失った(笑)
 でも、この辺はさすがに製薬メーカーの人だなぁと感心。
 どんな分野でも本当のプロというのは、自分の知識や技量を過信せず、より詳しい人や専門の人を頼る分別や謙虚さを持っているもの。
 それができないのが、すなわちヤブ医者であり、いわゆる「素人に毛が生えた」というヤツである。
 ………自爆した気がしないでもない(;´Д`)

 成人の息子さんが咳をしているとの事で、咳止めを求めてお客様が来店。
 家にあった風邪薬を飲ませたというのだけれど、内容が不明で困った。
 発熱や鼻炎などは無かったそうなので、咳止めだけの薬にした方が良いでしょうとお話して、風邪薬による体内の乾燥を想定し『麦門冬湯』を案内してみた。
 息子さんは接客業をしているというから、屋内での勤務で余計に乾燥しているだろうし。
 でも、本人が粉薬が飲めないというため『ベンザブロックせき止め錠』を案内すると、錠剤も苦手だという。
 ううん、それだと液剤か。
 『新トニン液』を紹介してみたら、液剤もシロップの味付けが駄目だそう。
 私なんかは注射が駄目だから(目をギュッと閉じて腕が硬直して張りが入らなくなるもんだから、看護婦さんに苦笑いされる)、あまり人のことを言えないんだけど、「幼稚園児以下かい」と呆れそうになる。
 いや、この場合は「親馬鹿かい」の方もあるけど。
 なんでも自分を基準に語るのは愚の骨頂、最も唾棄するべき最低な思考法とは思うものの、生後二ヶ月ほどで喘息を患い、まだ世間的に認知されていない花粉症になり、アトピー性皮膚炎で血を流しながら過ごしてきて、薬を飲まない日が1日たりとも無かった私としては、薬を飲む苦しさと症状の苦しさの、どっちを天秤にかけるのかと腹が立ったり。
 ………感情的になるのも、「素人に毛が生えた」というヤツですな。
 もう少しオブラートに包んで、咳の苦しさと、薬の飲み方を天秤に掛けてみてはいかがでしょうかとお話して、『ベンザブロックせき止め錠』を購入して頂くことになった。
 それと、本人はシャワー派だそうなので、温めのお風呂に入って患部の炎症を抑えるように伝えてくださいとお願いした。
 患部が炎症するのは、体の方としてはウイルスを倒すためとか患部の細胞を活性化するためとか、何か炎症をさせたい理由がある。
 そういう時に、この季節だから冷たいものを飲食したり、エアコンで体を冷やすと、体の方は「頑張って温めなきゃ」と余計に患部を炎症させてしまう。
 そこで、温かい物を飲食したりお風呂に入ったり、特に下半身を腹巻きなどで温めると、「自分で頑張んなくてもいいか」と体のほうが力を抜いて炎症が落ち着くのだ。

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