• タグ別アーカイブ: 三黄瀉心湯
  • 信じるか信じないかはアナタ次第

     北欧系と思われるお客様が来店され、英語ではないため(いや、英語だって分かりゃしないけど)戸惑ったら、同伴の人が通訳してくれてホッ=3
     主訴は咳らしく、発熱などの風邪に関連しそうな症状は無い様子。
     そのため、起きていない症状まで効能に含まれている風邪薬より、咳に対応した薬のほうが体への負担が少なくて済むことを説明したうえで、痰が出るとのことから『五虎湯』と『ブロン錠エース』を案内すると、「タブレット(錠剤)」を希望されたため、後者をお買い上げ頂いた。
     タブレットだけ理解できたけど、英語以外でもタブレットと言うのか。
     日本の市販薬に、「錠剤」と「カプレット」を使い分けてるメーカーもあって謎。
     後で調べたら、「カプセル型の錠剤」をカプレットと呼んでるらしい。
     なんじゃそりゃ?
     なんのことは無い、「カプ(セル)+(タブ)レット」というメーカーの造語だった。
     錠剤が瓶詰めで、カプレットは個包装になっているということだけど、錠剤だって個包装に出来ると思うんだけど違うのか。
     良く分からなしい┐(´∀`)┌

     外用消炎剤の棚でシップを選んでるお客様がいたので声を掛けてみたら、ボクシングのスパークリングで打たれた胸部が痛むとのこと。
     鎮痛効果を三段階に分けて、弱いサリチル酸製剤、鎮痛効果が中程度でも浸透力のあるフェルビナク製剤、鎮痛効果の強いインドメタシン製剤を案内した。
     そしたら、家にあったシップを使って効かなかったからお店に来たというので使った物を確かめたら、『ボルタレンAC』だった。
     主成分のジクロフェナクナトリウムは、市販薬の中で鎮痛効果と浸透力の両方に優れ、これが効かないようではお店で他の物を購入されても、たぶん効きませんから病院を受診したほうが良いと思われます。
     そう説明して、本日のところはお買い上げは無し。
     ひとまず『ボルタレンAC』を継続して、やはり痛みが治まらなければ、病院を受診するよう勧めた。
     そして、帰った後になって気がついた。
     ボクシングをしてる人なら、内服薬に『桃核承気湯』を紹介しておくんだった……(;´Д`)
     メーカーのパッケージには、女性の便秘症をターゲットにした言葉が並んでるけど、実は内臓を冷やす生薬が多く含まれていて、内出血にも効果がある。
     実際、効能書きにも打撲と明記されている。
     むしろ、こんなに内臓を冷やす処方が適応する女性なんて、日本人では少ないんじゃないかな。
     冷えすぎて、便秘は治るかもしれないけど、お腹を壊すんじゃないかと心配になる。
     これが、どういう訳か本部から大量に送り込まれてるのに、適応しそうな患者さんは訪れず在庫を抱えて困ってるんだよね。
     柔道や空手に剣道など、格闘系のスポーツをしている人にこそ向いているものの、はなからシップ薬や塗り薬を求めてきているから内服薬を紹介する機会が無い。
     ちなみに、『桃核承気湯』の変方でもある『三黄瀉心湯』は、もっと冷やす力が強くて、一節には昔は刀傷の止血目的に服用されていたとも云われている。
     そんなの便秘だからと飲んで、大丈夫なんだろうか。
     胃腸の弱い私には、分かりませんヽ( ´ー`)ノ

     

  • 他人から薬を勧められた時には共通項をチェック

     やや高齢のお客様が『のどぬ~るスプレー』をレジに持っていらして、症状を尋ねたら、喉の奥に痰が張り付く感じがするという。
     それは、喉の消毒をしても治りません。
     上半身が乾燥しているからで、水分が充分であれば痰は唾と一緒に外に出るところが、水分が不足しているから痰が粘ってしまうのです。
     そこで、上半身を潤す『麦門冬湯』を案内したところ、お買い上げ頂いた。

     やや高齢のお客様が、お姉さんから便秘薬を頼まれたそうなのだが、その薬の名前が分からない。
     「さん」の付く漢方薬だというのだけれど、『三黄瀉心湯』くらいしか思い当たらない。
     しかも、お姉さんがその漢方薬を欲しがっているのは、知人から勧められたからだという。
     じゃあ、その知人とお姉さんは、体格や体質が似ていそうなのかというと、知人はガッチリ体型で、お姉さんは痩せ型だそうな。
     駄目じゃないですか(^_^;)
     他人から薬を勧められた時には、勧めてくれた人と自分との間に、どれくらい共通項があるかをチェックしないと適応する可能性が少ないというお話をした。
     そして、今日のところは似た名前の物という事で『センナ茶』を購入された。
     漢方薬じゃないし、名前で合ってるのは「ん」の一文字だけなんだけど、良いのかしら……。

     

  • お医者さんレベルをドラッグストアーに期待されても困ります

     女性のお客様から、「生理を遅らせたい」と相談された。
     スポーツの試合とか旅行の時期とズラしたいとか、わりとある相談の方かと思った。
     まぁ、相談されても病院で低用量ピルを処方してもらうくらいしか方法は無いと思いますが。
     何かの漫画で、漢方にあるらしい描写を読んだ事があるものの、ちょっと想像がつかない。
     生理を早くするなら、『黄連解毒湯』とか『三黄瀉心湯』とか考えられるけどね。
     正式に認められている効能じゃないから、その目的では店頭では売れないし。
     そんな事を考えていたら、一回ごとの生理の話じゃなくて、「閉経を遅らせたい」という事だった。
     一介のドラッグストアの店員に、そんな事を相談されても困るσ(^◇^;)。
     しかも、よくよく話を聞いたら、お客様本人じゃなくて人から頼まれたらしい。
     頼んだ人は、40代前半らしく漢方薬を探しているそうな。
     う~ん、血流からアプローチする『加味逍遙散』『桂枝茯苓丸』、気からアプローチする『補中益気湯』『人参養栄湯』、水からアプローチする『五苓散』『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』などなど、候補になる物は多いですが、やっぱり本人の体質に合わせない事には選びようがありません。
     やはり、漢方薬に詳しい病院を受診するよう、ご本人に伝えて下さいとお話した。
     鼻水とクシャミが頻発し、咳も出るというお客様。
     風邪薬を案内した方が良いかなと思ったけど、花粉症の方が思い当たるらしい。
     普段は、同様の症状が出るとアレルギー薬の『アレグラ』を服用しているという。
     『小青龍湯』と『ストナリニS』を紹介したところ、『ストナリニS』の方を購入された。
     鼻水が出るという事は、内臓が冷えていると考えられるので、意識的に温かい物を飲むように伝えた。
     『小青龍湯』なんかは、まさに体を温める物だから、個人的にはお勧めだったんだけど。
     お客様から喉の痛みと、しわがれ声の相談を受けた。
     数日前に熱風邪をひいたらしく、服用した風邪薬で体内が乾燥したのだろうと考え、一度は『麦門冬湯』を案内したものの、やはり主訴は喉の痛みの方だと考え直し、『駆風解毒湯』を勧めて、お買い上げ頂いた。
     しわがれ声だけなら、『響声破笛丸』という選択もあったんだけど。
     それと、喉が痛いと、つい水気のあるキュウリやトマトなどの夏野菜が食べたくなるだろうけど、体を冷やしたり、水分代謝を悪くして、体内を乾燥させる方に働くから、当面は避けるようにお話した。

     

  • 立効散(りっこうさん)
    ………抜歯後の疼痛・歯痛


    適応症状 

     抜歯後の疼痛・歯痛

    用方・容量(顆粒製品の場合) 

     1日3回、成人1回1包(2.5g)を食前にお湯または水で服用してください。
     ただし、15歳未満7歳以上は2/3包、7歳未満4歳以上は1/2包、4歳未満2歳以上は1/3包。

    組成(顆粒製品の場合) 

     3包(7.5g)中、次の成分を含みます。
      サイシン(細辛) 2.0g   ショウマ(升麻) 2.0g
      ボウフウ(防風) 2.0g   甘草(カンゾウ) 1.5g
      リュウタン(竜胆) 1.0g
     以上の割合に混合した生薬より得たエキス4.5g含有します。

    類似処方鑑別 

    葛根湯
     比較的体力があり胃腸障害の無い人で、虫歯の初期、肩こりを伴う歯痛に用いる。患部の熱感が強い時は、桔梗と石膏を加えると良い。

    三黄瀉心湯
     
    比較的体力のある人で、患部の腫脹および出血のある場合に用いる。

    黄連解毒湯
     高血圧の傾向があり、比較的体力のある人で、患部の腫脹および出血のある場合に用いる。

    調胃承気湯
     体力が中等度で、患部が腫れて痛み、便秘する場合に用いる。

    桃核承気湯
     体力が充実した人で、のぼせが甚だしく、便秘して、歯の痛むもので、ときに左下腹部に強い抵抗・圧痛のある場合に用いる。

    使用上の注意 

    1.次の場合には医師または薬剤師に相談してください
     (1)本剤を服用後、症状の改善が認められない場合は、他の漢方薬を考慮する事。
     (2)甘草を含有する漢方薬を長期服用する場合は、血清カリウム値や血圧の測定などを充分に行い、異常が認められた場合は、服用を中止する事。
     (3)複数の漢方薬を併用する場合は、含有生薬の重複に注意する事。(特に甘草を含有する漢方薬の併用には、より注意を必要とする。)
     (4)低カリウム血症のある患者、ミオパチーのある患者、アルドステロン症の患者は服用しない事。


    2.服用に際して、次のことに注意してください
     (1)定められた用法、用量を厳守してください。
     (2)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
     (3)本剤は、2歳未満の乳幼児に服用させないでください。


    3.服用中または服用後は、次のことに注意してください
     (1)本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ、悪心、食欲不振、胃部不快感等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。 
     (2)本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (3)1ヵ月位(感冒、鼻かぜ、頭痛に服用する場合には、数回)服用しても症状の改善がみられない場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (4)長期連用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。


    4.保管及び取扱い上の注意
     (1)小児の手のとどかない所に保管してください。
     (2)直射日光をさけ、なるべく湿気の少ない涼しい所に保管してください。
     (3)1包を分割した残りを使用する場合には、袋の口を折り返して保管し、2日以内に使用してください。


    5.その他
     本剤は生薬(薬用の草根木皮等)を用いた製品ですので、製品により多少色調等が異なることがありますが効能・効果には変わりありません。


     

  • 三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
    ………高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重、不眠、不安)、鼻血、痔出血、便秘、更年期障害、血の道症


    適応症状 

     比較的体力があり、のぼせ気味で、顔面紅潮し、精神不安で、便秘のあるものの次の諸症:
     高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重、不眠、不安)、鼻血、痔出血、便秘、更年期障害、血の道症

    用方・容量(顆粒製品の場合) 

     1日3回、成人1回1包(2.5g)を食前にお湯または水で服用してください。
     ただし、15歳未満7歳以上は2/3包、7歳未満4歳以上は1/2包、4歳未満2歳以上は1/3包。

    組成(顆粒製品の場合) 

     3包(7.5g)中、次の成分を含みます。
        オウゴン(黄ごん) 3.0g
        オウレン(黄連) 3.0g
        ダイオウ(大黄) 3.0g
     以上の割合に混合した生薬より得たエキス1.75g含有します。

    類似処方鑑別 

    黄連解毒湯
     体力中等度以上の人で、本方に似ているが、便秘の傾向が無い場合に用いる。

    桃核承気湯
     比較的体力のある人で、のぼせぎみで便秘の傾向があり、下腹部に自発痛、抵抗・圧痛があり、女性ではさらに月経不順、月経困難などを伴う場合に用いる。

    柴胡加竜骨牡蛎湯
     比較的体力のある人で、頭痛、不安、不眠などの精神神経症状を訴え、季助部抵抗・圧痛と臍傍部の腹部大動脈の拍動亢進がある場合に用いる。

    使用上の注意 

    1.次の場合には医師または薬剤師に相談してください
     (1)本剤を服用後、症状の改善が認められない場合は、他の漢方薬を考慮する事。
     (2)複数の漢方薬を併用する場合は、含有生薬の重複に注意する事。(特に甘草を含有する漢方薬の併用には、より注意を必要とする。)
     (3)悪寒があり、あるいは下痢の傾向のある患者。
     (4)著しく体力の衰えている患者。
     (5)下痢、腹痛、食欲不振等の胃腸障害を起こす事がある。
     (6)妊婦及び、妊娠している可能性のある婦人には慎重に投与する事。


    2.服用に際して、次のことに注意してください
     (1)定められた用法、用量を厳守してください。
     (2)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
     (3)本剤は、2歳未満の乳幼児に服用させないでください。


    3.服用中または服用後は、次のことに注意してください
     (1)本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ、悪心、食欲不振、胃部不快感等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。 
     (2)本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (3)1ヵ月位(感冒、鼻かぜ、頭痛に服用する場合には、数回)服用しても症状の改善がみられない場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (4)長期連用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。


    4.保管及び取扱い上の注意
     (1)小児の手のとどかない所に保管してください。
     (2)直射日光をさけ、なるべく湿気の少ない涼しい所に保管してください。
     (3)1包を分割した残りを使用する場合には、袋の口を折り返して保管し、2日以内に使用してください。


    5.その他
     本剤は生薬(薬用の草根木皮等)を用いた製品ですので、製品により多少色調等が異なることがありますが効能・効果には変わりありません。


     

  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
    喀血、吐血、下血、脳溢血、高血圧、心悸亢進、ノイローゼ、皮膚瘙痒症、患部に熱感のある湿疹、胃炎、お酒の飲みすぎによる胃熱

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    適応症状 

     比較的体力があり、のぼせ気味で、イライラする傾向のあるものの次の症状:
     喀血、吐血、下血、脳溢血、高血圧、心悸亢進、ノイローゼ、皮膚瘙痒症、患部に熱感のある湿疹、胃炎、お酒の飲みすぎによる胃熱

    用方・容量(顆粒製品の場合) 

     1日3回、成人1回1包(2.5g)を食前にお湯または水で服用してください。
     ただし、15歳未満7歳以上は2/3包、7歳未満4歳以上は1/2包、4歳未満2歳以上は1/3包。

    組成(顆粒製品の場合) 

     3包(7.5g)中、次の成分を含みます。
       オウゴン(黄ごん)3.0g
       オウレン(黄連)2.0g
       サンシシ(山梔子)2.0g
       オウバク(黄柏)1.5g
     以上の割合に混合した生薬より得たエキス1.5g含有します。

    類似処方鑑別 

    安中散  痩せ型で腹部筋肉が弛緩する傾向にある人の、胃痛または腹痛に用いる。胃が冷えていて、温かい物を飲むと楽になる場合に適応する。

    三黄瀉心湯  のぼせと興奮があり、便秘(硬便)する場合に用いる。

    平胃散  比較的体力のある人で、鼓腸、食欲不振、心窩部の膨満感などを訴える場合に用いる。

    柴胡桂枝湯  体力中等度で心窩部に振水音がなく、季助下部の抵抗・圧痛および腹直筋の緊張を認め、しばしば腹痛を訴える場合に用いる。

    十味敗毒湯  体力中等度の人の皮膚疾患で、患部は発散性あるいは、びまん性の発疹で覆われ、滲出液の少ない場合。

    使用上の注意 

    1.次の場合には医師または薬剤師に相談してください
     (1)本剤を服用後、症状の改善が認められない場合は、他の漢方薬を考慮する事。
     (2)複数の漢方薬を併用する場合は、含有生薬の重複に注意する事。(特に甘草を含有する漢方薬の併用には、より注意を必要とする。)
     (3)著しく体力の衰えている患者。(全身倦怠感、下痢などを起こす事がある。)


    2.服用に際して、次のことに注意してください
     (1)定められた用法、用量を厳守してください。
     (2)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
     (3)本剤は、2歳未満の乳幼児に服用させないでください。


    3.服用中または服用後は、次のことに注意してください
     (1)本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ、悪心、食欲不振、胃部不快感等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。 
     (2)本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (3)1ヵ月位(感冒、鼻かぜ、頭痛に服用する場合には、数回)服用しても症状の改善がみられない場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (4)長期連用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。


    4.保管及び取扱い上の注意
     (1)小児の手のとどかない所に保管してください。
     (2)直射日光をさけ、なるべく湿気の少ない涼しい所に保管してください。
     (3)1包を分割した残りを使用する場合には、袋の口を折り返して保管し、2日以内に使用してください。


    5.その他
     本剤は生薬(薬用の草根木皮等)を用いた製品ですので、製品により多少色調等が異なることがありますが効能・効果には変わりありません。

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  • 眩暈(めまい)

     眩暈と一口にいっても、回転性の眩暈(天井が回るような)、起立性の眩暈(立ちくらみ)、動揺性の眩暈(雲の上を歩いているような)、なんとなくフラフラする、目の前が暗くなる、頭が重くて眩暈を感じるといったように、様々な症状があります。
     原因についても、三半規管の異状や脳の異状といった直接関係のありそうなものばかりでなく、胃下垂症や胃アトニー(胃の働きが鈍くなる状態)ように胃が関係している場合や、高血圧や血の道症、白血病のように血流異状が関係するもの、耳鳴りなどを併発するメニエール病など多岐に渡るため、一度は専門医の診療を受けたうえで、服用する漢方薬を選ぶのが最善です。
     漢方においては、眩暈の原因はお血(おけつ)と水毒(水分代謝の異状)によるものと考え、いわゆる「原因が分からない」あるいは「検査でも異状が認められない」といったように、対症療法的な治療方針が立たない場合に特に有効だと思われます。
    [:○:]上半身がのぼせて顔色が赤く、イライラする傾向のある場合。
     三黄瀉心湯黄連解毒湯
    [:○:]上半身がのぼせて便秘がち、あるいは下腹部痛がして眩暈がある場合。
     桃核承気湯桂枝茯苓丸
    [:○:]高血圧で、下腹部痛があり便秘がちな場合。
     通導散
    [:○:]下腹部痛があり、肩こり、眩暈の他に、上半身がのぼせる一方で手足が冷える場合。
     甲字湯
    [:○:]口渇があり、尿量が少なく、動悸を伴う眩暈の場合。
     五苓散
    [:○:]急激な眩暈。
     沢瀉湯
    [:○:]眩暈、ふらつき、尿量減少、動悸がある場合。耳鳴りを伴うメニエール症。
     夜中に果物やコーヒーなど、体を冷やす物を飲食している人。
     苓桂朮甘湯
    [:○:]不安神経症の眩暈。動悸がしたり、喉に異物感(つまる感じ)がある場合。
     半夏厚朴湯
    [:○:]貧血、息切れ、動悸がある場合の眩暈。
     四物湯苓桂朮甘湯
    [:○:]更年期障害の眩暈。貧血や不安感を伴う場合。
     加味逍遙散
    [:○:]胃下垂症があり、胃アトニーによる眩暈。
     半夏白朮天麻湯
    [:○:]冷え症で貧血があり、耳鳴りや動悸を伴う場合。
     当帰芍薬散
    [:○:]産前産後の障害として起きる眩暈。
     当帰湯
    [:○:]手足のむくみや冷えやすい傾向のある場合。
     防已茯苓湯
    [:○:]頭痛を伴う眩暈。
     釣藤散
    [:○:]低血症の眩暈。まっすぐ歩こうとしても横に逸れてしまう人の眩暈。
     真武湯

     

  • ≪第11回≫黄連解毒湯、柴胡加竜骨牡蛎湯

     実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
     “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
     正解者の中から、抽選で3名様に【ボーノ】ザル付きクッキング鍋を進呈いたします。絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。皆様の参加をお待ちしています。

    【ボーノ】ザル付きクッキング鍋

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     【ボーノ】ザル付きクッキング鍋を、3名様にプレゼントいたします。

    募集期間:~9月5日(月)
    正解発表予定:9月12日(月)

    問題
     男性。34歳。
     職業は農業。
     体格は普通、顔に艶があり、声も大きく張りがある。
     主訴は、鬱病と肩こり。
     通院歴があり、以前に抗うつ剤を服用していた事があるが効果を感じられなかったとの事。
     肩こりは、肩だけでなく首筋や背中もこり、背中はだるく痛みもあるという。
     上半身は熱く、のぼせて目が充血している。
     睡眠はとれるようだが、イライラしやすく癇癪持ちという自覚があり、不安感も強い。
     その他に、立ち眩み、鼻づまり、胸焼けと胃もたれがある。
     以上のことから、まずは上半身の熱を降ろす必要があると考え、それと共に神経を鎮める物を併用する事にした。
     2種類の漢方薬を使い、その後、のぼせが取れ、気分的にも落ちつき、体調が良くなったという。
     それぞれの漢方薬は何か。


    正解
     正解は黄連解毒湯柴胡加竜骨牡蛎湯です。
     両方が揃った正解者はありませんでしたが、もとより幾つかの組み合わせがありますので、特に選んだ理由を記入された方の中から、どちらか一方を答えている方を正解とさせていただきました。
     当選したのは、以下の3名の方です。おめでとうございます。
    寺山雄一郎様…選んだ理由:実証ののぼせには桃核承気湯が効くことがある。実証の鬱病、癇癪には柴胡加竜骨牡蛎湯が効くことがある。
    いっちょん様…選んだ理由:上半身の熱をとる代表として黄連解毒湯、胃腸を整えながら神経を鎮めるものとして抑肝散加陳皮半夏が最適と考えました。
    ペペロンチーノ様…選んだ理由:のぼせの原因が高血圧と見て肩こりや目の充血にも効く釣藤散を、黄連解毒湯はのぼせ気味でイライラする傾向に効果があるので併用するのに良いと思いました。

    解説
     まず上半身の熱を降ろす必要があると考えましたので、降性のうえ寒性があり、胸焼けなどが随伴症状にある事から瀉性のある物を選びます。
     この段階で幾つか候補がある訳ですが、熱を降ろすのと同時に神経を鎮める作用のある物として黄連解毒湯を選びました。
     特に黄連解毒湯は赤ら顔の患者さんに適応しやすく、目が充血するほどの人の場合には、生薬の山梔子(サンシシ)に止血効果もある事から、最初の選択として良いでしょう。
     次に柴胡加竜骨牡蛎湯ですが、これは小柴胡湯から甘草(カンゾウ)を除いて、水分の代謝を良くする茯苓(ブクリョウ)と、鎮静効果の高い竜骨(リュウコツ)と牡蠣(ボレイ)を加えた物です。
     人間の体熱が一定に保たれるのは、血液や体液が循環することによるので、体の一部に熱が偏るのは水分代謝の異常が考えられます。
     立ちくらみもまた、水分代謝の異常を示していると云えるでしょう。
     そして、柴胡加竜骨牡蛎湯は基本的に実証タイプの人に用いますが、体力が中等度であればイライラや精神不安などある場合に、最初に使うことができるという利点があります。
     今回は、上半身ののぼせを降ろす際に選びやすい物と、イライラしたり精神不安のある際に選びやすい物を組み合わせたのが功を奏したようです。

    補足
     正解者に挙げていただいた漢方薬を検討してみますと、桃核承気湯も当然候補になるかと思います。
     特に含まれる生薬の桃仁(トウニン)はお血を取り除くのに効果的でしょう。
     ただし、桃核承気湯におけるのぼせへの効果は発散性であり、熱を降ろしたり冷やしたりするのは弱いと考えられます。
     一方、抑肝散加陳皮半夏は生薬の柴胡(サイコ)による胸脇苦満を治す作用と、釣藤(チョウトウ)による鎮静作用が期待できます。
     しかし同時に、元になっている抑肝散という処方がそうであるように、虚症で貧血傾向のある人の神経の昂ぶりに用いると考えた方が適当でしょう。
     釣藤散は生薬として石膏(セッコウ)が入っており、熱証向きである事は間違いありませんし、名前にもなっている釣藤は先に書いたように鎮静作用に優れているうえ、血圧降下作用も認められています。
     特に生薬の菊花(キクカ)は、眼や脳の充血を取り除く効果があり、今回の患者さんの状態に適しています。
     組み合わせで考えた場合には、黄連解毒湯の代わりに釣藤散を用いるのが良いかもしれません。
     他に寄せられた答えの中には、次のように物がありました。
     七物降下湯は、鎮静作用の強い釣藤も入っており、高血圧にも効果があります。
     しかし、七物降下湯は、やや特別な部類に入り、冷え症で虚弱体質の人の高血圧に用います。
     これはどういう事かというと、虚弱な人の中には、体の方で「弱いから頑張ろう」と頑張り過ぎてしまい、その結果として高血圧になったり、目が充血してしまう場合があるのです。
     そのため、今回のように体格が普通で顔色に艶があり、声が大きいような人には向きません。
     似たような物として、加味帰脾湯という解答がありました。
     効能書きにもあるように、やはり虚弱体質で顔色の悪い人に用いるのが一つの指針になります。
     特に貧血のある人で、イライラしたり不眠症の場合に用いると効果的でしょう。
     世間では、立ちくらみがあると貧血と勘違いされる事が多いようですが、立ちくらみは貧血の症状の一つにしか過ぎず、立ちくらみの原因は多岐に渡るので注意が必要です。
     逆に、これは強すぎるのではないかと思った物として、三黄瀉心湯という解答がありました。
     生薬はたった三つで構成されており、そのいずれもが降性で寒性があり、脳溢血の発作に用いたり、戦国時代には止血剤として使われたという記録もあるほどです。
     もちろん、だからこそ効果は期待できるものの、その強さゆえに一般的には便秘のある事が使用の際の条件として挙げられる事が多いため、便通について触れていない今回の問題では除外させていただきました。
     センソ牛黄元を一緒に組み合わせるという解答もありましたので、それも良いかもしれません。
     今回の解答で迷ったのは、熱を降ろすのと、熱を発散するのとの違いでした。
     その意味では、半夏厚朴湯葛根湯加川きゅう辛夷の組み合わせというのも興味深かったのですが、除外させていただきました。
    「イライラしやすく癇癪持ちという自覚があり、不安感も強い」という点から半夏厚朴湯を挙げたのは、良い着眼点だと思います。
     主な生薬の半夏(ハンゲ)と厚朴(コウボク)は共に降性で、今回の症状にも使えるかもしれません。
     しかし、今回の患者さんは胸焼けや胃もたれがあるとは言っていますが、実際の胃の働きについては問題からは分かりません。
     そして、半夏厚朴湯は胃アトニー(胃が働かない)場合の不安神経症に適しており、その参考の一つに咽喉の痞え感を訴えているかどうかを確かめる必要があるでしょう。
     また、興奮すると息がしにくくなるなどの呼吸器の状態も参考になります。
     葛根湯加川きゅう辛夷は、肩から背中にかけてのこりと鼻づまりに注目したからだと思いますが、その主な作用は上半身を熱する事によって熱を発散するのだと覚えておきましょう。
     沸かしたお湯に氷を入れて冷やすのではなく、鍋の蓋を開けておいて放熱する事で冷ますというイメージになります。
     そのため、顔が赤いなど、明らかに熱証と思われる患者さんには適しません。
     他に、杞菊地黄丸小柴胡湯という組み合わせの解答がありました。
     杞菊地黄丸は、やはり生薬の茯苓と沢瀉(タクシャ)が水分の停滞を除き、牡丹皮(ボタンピ)が血液の循環障害を取り除くので、効果が期待できます。
     やや心配があるとすれば、血色の良い人には不向きで、多少なりとも手足に冷えがあるか、口の渇きを訴える、やはり年寄り向けの処方だという点でしょうか。
     小柴胡湯は解説で書いた通り、柴胡加竜骨牡蛎湯の元になった処方で、より精神神経症状に対して効果の高い物を選択した方が良いと思われます。
     番外として、サトウセントジョーンズワートと、その成分の西洋オトギリ草を挙げた方もいらっしゃいました。
     ヨーロッパや中央アジアに分布する直立性の多年草で、古くから不眠症や鬱病、ヒステリーなどの治療に用いられてきました。
     お店としては宣伝になって良いのですが(笑)、やはりクイズの主題が漢方薬ですので、今回はハズレとなります。
     今回は久しぶりに2種類の漢方薬を答えるという形式でしたので、どちらもファーストチョイスとなる物になる問題を選んだつもりでしたが、やはり両方が揃うという解答はありませんでした。
     それ自体は当然といえば当然だったと思います。
     個人的に興味深かったのは、同じ熱を取り除くのでも、降ろす物と発散する物とでは、効能書きだけを見ていると似ているようでも違うのだなという事を、改めて認識できた事でした。
     これにさらに、石膏(セッコウ)などのように直接冷やす物もあります。
     一つ一つの生薬の効果を調べるのは難しいとは思いますが、似た効能でも、その効果を発揮する過程が違う物もある事を、皆さんにも知っていただければ幸いです。

    解説:北村俊純

    参加者コメントより
     まりん:とても見やすく、内容もわかりやすいサイトですね。
     ありがとうございます。これからも宜しくお願いいたします。
     かとう:久しぶりの症例クイズで楽しませて頂きました。
     発表の方が遅れに遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。また、機会がありましたら、ぜひご参加下さい。
     久保田 美穂:漢方は飲んでいたこともあり、よく勧められるので、興味を持っています。こちらでは、クイズを通して勉強でき、いいなと思いました。ただ、最初に掲示板を見て、怖い書き込みが沢山あり、びっくりしてしまいました。その後他のページを見て、安心しましたが。楽しみにしています。
     掲示板の件については、ご心配をおかけしてしまったようで申し訳ありません。件のイヤガラセをしてきた人物が名乗っていた会社は解散したようですので、ひとまず安心できるかと思っています。どうぞ、気兼ね無くご利用下さい。
     ペペロンチーノ:調べているうちに更年期障害の症例が検索に多数ヒットして人事じゃないなと感じました。その時は私も漢方のお世話になります。
     まぁ、薬に頼らないのが一番ですが、それでは商売上がったりですので、何かの折にはご相談下さい。