慎重であることに越したことはなし

 夫婦で来店したお客様、奥さんが風邪とのことで相談を受けたけど、鼻水は透明なサラサラタイプだそうなので、風邪ではなく内臓の冷えか、早い花粉症と考えられることを説明した。
 ご主人が「体のだるさもあるみたい」と言っていたことについては、日中と夜との寒暖差に体がついてこられないのだろう。
 当初は風邪薬を求められたが、総合の風邪薬には解熱剤や咳止めなどの成分も入っているため、敵がいないのに武装して体の中で暴れさせるような事になり、むしろ体へのダメージが大きいことを伝えると、鼻炎への対応に限定することになった。
 とはいえ、鼻水もクシャミも軽いようだから、『小青龍湯』でなくとも『葛根湯』で充分かもしれず、むしろ薬を使わずに入浴や下半身を厚着するだけでも対応できそうではある。
 一応、そうお話して『葛根湯』をお買い上げ頂くことになり、家に置いておくよりも持ち歩いて、出先で寒いと感じたら服用するように勧めた。

 『ルキノンせき止め』をレジに持ってきたお客様から、授乳中に使えるか質問されたので、避けるようにと答えた。
 そのうえで症状を確認すると、主訴の咳は夜中に強く出るらしい。
 ふむぅ、厳密には母乳に麻黄の影響が出が出て子供が興奮して寝付かなくなる可能性があって勧めにくいけど、『五虎湯』が使えそうではある。
 普通は本人の食間(空腹時)に服用するのを、授乳した後に服用するという手はあるし。
 ということを考えていたら、家にあった『葛根湯』を服用したけど良くならなかったと言われた。
 ありゃん(;´Д`)
 上半身を温める『葛根湯』は、咳を悪化させてしまうから駄目ですよぅ。
 家にある物を使いたくなる気持ちは分かるので、営業時間中であれば電話で問い合わせてくださいな。
 ひとまず、授乳後に『五虎湯』を服用する方法を話して、咳が落ち着いた後も喉の違和感が残るようであれば、『麦門冬湯』に乗り換えるよう伝えた。
 すると、お客様は以前に薬剤師さんから、漢方薬も授乳中は避けたほうが良いと言われたそうな。
 じゃあ、なんで『葛根湯』を服用したのかは訊かない(笑)
 いずれにせよ、その薬剤師さんの認識は正しいし、慎重であることは大切ですとお話すると、今回は購入を取りやめて、様子を見ることに決められた。
 そして咳の原因として、胃炎により上から被さっている肺が乾燥している可能性を付け加えたところ思い当たるようだったため、消化に良い食事をするよう勧めた。

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