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  • 薬の山盛り陳列に惑わされちゃいけません

     喉の痛みに鼻水と体のふしぶしの痛みという、完全に風邪の兆候がありそうなお客様が来店。
     他店で購入した『駆風解毒湯』を使ってみたものの、効いたか分からないそう。
     体力に関わらず使えるのが『駆風解毒湯』の便利なところだけど、喉の痛み以外には効能範囲が狭いから、風邪の兆候があるようだと厳しいですねぇ。
     ただ、まだ余っているそうなので無駄にしないために、『葛根湯』との併用を提案して購入して頂いた。
     お風呂には入っているというから、発熱していなければ今日も入ってくださいとお話した。
     あと、買い物袋からお弁当が覗いていたので、食欲に任せて食べずに、できれば味噌汁だけで過ごすつもりでと付け加えた。
     せっかく購入したお弁当だと思いますが、消化するエネルギーを風邪を治すエネルギーに振り向けたほうが、悪化を防げますから。

     お客様がパウダースプレータイプの水虫薬を求めて来店されたので、ひとまず『ダマリングランデパウダースプレー』を案内した。
     ただ、例によって水虫かどうかは、検査を受けたことが無いそうだから、受診勧奨はした。
     患部は、痒みが無くふやけているというだけでは、湿疹になってるだけかもしれませんとお話して。
     買っていかれたけど、心配だなぁ。
     ただ、水虫薬の山盛り陳列を指示する、うちの本部もどうかと思う。
     一応、指示だから従ったけど。
     こんなのに惑わされちゃいけませんよ、患者の皆様(`・ω・´)

     

  • 皮膚疾患の鑑別はプロでも難しいですから

     『ピロエース』を求めて来店したお客様に用途を尋ねると、「手に水虫ができた」とのこと。
     症例は少ないものの、ありえない話ではないのだけれど、患部を見せてもらうと水疱ができていて、弱いながらも痒いということからすると、掌蹠膿疱症のようにも思える。
     手水虫の一般的な鑑別としては、「片手だけにできて」「痒みが無く」「乾燥しているみたいに角質化している」のが特徴。
     もちろん例外はあるし、進行すると感染症だから両手とも症状が現れるし水疱ができるケースもある。
     まぁ、要するに自己診断どころか店頭での鑑別も難しい。
     特に、「乾燥しているみたいに角質化している」と乾燥肌や主婦湿疹と間違えやすい。
     しかも痒みが無いため、なおさら軽度の皮膚疾患と勘違いしがち。
     風邪で微熱だと風邪の初期と勘違いしているうちに、実は発熱する体力が足りなくて風邪としては進行しているというの同じ。
     掌蹠膿疱症だとすれば、本来は外敵を倒す白血球が皮膚の角質に溜まってしまい自分の体を攻撃する病態で、菌やウイルスの介在ではないため感染する心配はないけれど、自分の体の中でのことだから同じ場所で慢性化してしまう。
     そして当然ながら、真菌を倒す水虫薬は効果が無いどころか、その刺激を外部からの攻撃と誤認して患部を悪化させる可能性もある。
     掌蹠膿疱症なら、ステロイド剤で炎症を抑えるか、アレルギーの一種と考えて『十味敗毒湯』を使う方法がある。
     とはいえ、皮膚疾患は難しいし、お客様も用途を尋ねなかったら自己診断で水虫薬を買おうとするくらいだから、今後の安易な薬の使用を防ぐためにも、まずは病院を受診するよう勧めた。

     手の湿疹に使っていた薬を使い切ったとのことで、お客様がその薬のパッケージを持参された。
     聞いたことのない商品名だったけど、成分表示を確認すると『ウイルクイックPVA軟膏』に、ビタミンEを足した物だった。
     ビタミンEは血行促進のために入っていると思われるものの、症状を尋ねたら痒みが強く、初めての症状で、洗剤を変えたせいかもとおっしゃられた。
     ふむぅ、洗剤の刺激による手荒れなのかアレルギー反応なのか、判断の難しいところ。
     とりあえず強い痒みにはステロイド剤が適していて、現状では必ずしもビタミンEは必要ですないことを説明して『ウイルクイックPVA軟膏』をお買い上げ頂いた。
     ただ、ステロイド剤は長期連用するものではないため、病院の受診も検討するようお話した。
     アレルギーなら、『十味敗毒湯』の他に『タウロミン』なんかも考えたけど、安易な判断もできないから、今回は案内しなかった。

     

  • 「お得な薬」って何?

     お客様に値引きした薬を買っていかれるのは、結構フクザツな気分。
     返品できない薬は売れなきゃ困るし、でも値段だけ見て効能を確認してるとも思えず心配になる。
     一応、会計するときに念のため症状を尋ねてはいるんだけど、もう「安い買い物をした」というお得感か達成感か、話を聞いて頂ける状態ではない。
     そして値引きしていない薬でも、たまに「どれがお得?」と訊かれることがある。
     頭では、容量と価格の比較なんだろうと理解はしている、しているけれど、容量が多かろうが適応しない薬は買って損だと思うし、目的が一時的な症状の緩和なのか、より根治寄りにしたいのかでも話が変わってくる。
     いや、本来は薬に限らず「必要な物が、お得ですよ」のはず。
     ………すいません、愚痴りました(´・ω・`)

     『鼻炎カプセルLP』をレジに持ってきたお客様から、適応するか尋ねられた。
     こうですよ~、薬を買うならこうでないと。゚(●’ω’o)゚。ウルウル
     主訴は鼻声で、もともと花粉症などのアレルギーはあるものの、特にクシャミや鼻水が出る訳ではなく、しかし周囲の人達から鼻声を指摘され、旅行に行くので念のため携行する薬を探しに来たそう。
     グハッ、難しい( ;゚д゚)・∵.!!
     そのうえ、花粉症の時には病院から処方された薬を使っているそうなんだけど、内容は覚えていないという。
     ただ、原因として思い当たることに、暑さがゆるんで窓を開けたまま寝たのが原因かもというお話があったので、鼻炎だけでなく発熱前の風邪の初期にも使える『葛根湯』を提案した。
     栄養剤の代わりにもなるし、旅行に持っていくには外せないかと。
     持ち運びの容易さで顆粒タイプを勧めたけど、『葛根湯』はいつも『カコナール』を使っているとのことで、液剤タイプを購入された。
     そして、お客様が帰られてから大事なことを伝え忘れたのに気がついた。
     お薬手帳を忘れずに携行してください……と。
     なんか今日は、ダメダメだぁ!乂(´Д`;)

     

  • 時には安楽椅子探偵のように

     『ベンザブロックSプラス』と『葛根湯』を手にして迷われてる様子のお客様に声を掛けてみると、熱は測っていなくて不明なものの熱感は無く、鼻水と鼻づまりを繰り返しているという。
     そうであれば『葛根湯』をと思うものの、体が少しだるく、3日ほど前には喉が痛かったそうなので、もう少し検討したほうが良さそう。
     そこで詳しく訊いてみると、だるいとは云っても食欲が落ちている訳ではない模様。
     喉の痛みについては、喉の奥だったか手前だったかや、ヒリヒリしていたかズキズキしていたか、喉が狭く感じたかなどをヒアリングしてみたけど、治ってしまって覚えていないそうな。
     ううん、まぁ、普通は覚えていないでしょうね。
     まさに、「喉元すぎれば熱さ忘れる」ですが(^_^;)
     スマホや携帯電話という文明の利器があるので、酷くなったら病院へ行こうとか、その前に薬を買おうかと思う時には、日記でもメモでも良いので、体調不良のことを書き残しておくと、後々のために良いです。
     万が一、感染症やら食中毒やらが原因という場合においては、なおさら感染ルートの洗い出しに役に立ちますし。
     それはともかく、お客様が嫌がらず面倒臭からずにヒアリングに応じて頂けたため、鼻水には色が付いているという情報を引き出せた。
     色が付いているとなると、これは風邪が疑われるから、発熱にも備えておいたほうが良さそうだ。
     鼻炎薬でありながら風邪にもそのまま転用できる『葛根湯加川きゅう辛夷』を提案し、試してもらう事になった。
     この手のヒアリングにおいては、本来は質問は多くても三つ程度までとされているから、だいぶ逸脱してしまった。
     これは、今回の反省点である。
     でも、患者さんが根気良く応えてくださると、こちらも本気で向き合いたくなる。
     感情に左右されちゃプロ失格ですが、感情を持った人間でもあるので。
     それにやはり、推理で答えを導くには、証拠集めが必要なんです。
     そうそう、お客様はここのところ入浴せずにシャワーのみで過ごしているとも分かったため、環境的に入れないということが無ければ、ゆったり温まるよう勧めた。

     『セイロガン糖衣錠A』を購入されるお客様に、『正露丸』と違って患部の炎症を抑えて痛みを緩和する甘草と陳皮が入っていないことを伝えると、驚きつつも、そういえば以前に使った時には腹痛が治まらなかったと言われた。
     痛みが治まらなかった原因が別にある可能性はあるけど、やはり『セイロガン糖衣A』は『正露丸』より抗炎症作用は弱いと思う。
     でも、多くの人が『セイロガン糖衣錠A』は、ただ『正露丸』をコーティングして、独特の匂いが無く甘い味付けなだけだと誤解してるんだろうなぁ。
     そもそも『正露丸』は「飲む消毒薬」みたいな物で、戦争で汚染地域に行くことを想定して開発された薬だから、キャンプなどに行くのではなく、国内の都市部への旅行なら他の胃腸薬を検討しても良いだろう。
     今回のお客様は、いつも旅行に常備しいるとのことで、『セイロガン糖衣錠A』をそのまま購入されたけど、他の選択についても質問された。
     対抗は、『安中散』『芍薬甘草湯』を組み合わせた『大正漢方胃腸薬』かな。
     あと、急性の食中りに使える『胃苓湯』が候補になるし、乗り物酔いやら熱中症やらと応用範囲の広い『五苓散』も外し難い。
     お話していて、お客様は漢方薬は長く飲まないと効かないイメージを持ってることが分かった。
     それを言ったら、『正露丸』も生薬の組み合わせで漢方薬みたいなものですし、「風邪には葛根湯」という宣伝文句もあるように、急性症状には早く効きますと説明した。

     

  • 自己判断は危険ですが薬は応用技もあります

     口内炎の薬を買いに来たお客様に、口内炎の原因の多くは神経性胃炎ですと説明しようと思ったら、スナック菓子が口の中に刺さったうえ、腫れたところを噛んでしまったそうな。
     患者さんの話を、まず良く聞くのが重要ですね。
     先に言わなくて、良かった(笑)
     パッチタイプはどうかと尋ねられたけど、どうやらお客様の想像では患部をカバーする物と思っているよう。
     実際には、患部を覆うんじゃなくて、患部に貼り付いて本体ごと薬剤が溶けていくことを説明すると、少しガッカリされた様子。
     塗ると患部を覆うように固まる『ケナログ軟膏』はいかがでしょうと案内するも、軟膏を使うのは躊躇われるようだった。
     ふむぅ、それでは飲み薬でいきましょうか。
     一般的な神経性胃炎による口内炎なら『半夏瀉心湯』というところだけど、今回は炎症を直に抑えたいから『トラフル錠』を勧めて、お買い上げ頂いた。
     ちなみに、中身は喉の痛み止めの『ペラックT』と同じ内容で、パッケージにも小さく口内炎と書いてあるから、自宅に常備しているようなら、口内炎に使えます。
     当然、逆も然りですから、『トラフル錠』が余って、後日に喉が痛い時には流用できます。
     この手の流用は他にもできて、例えば痔の軟膏である『ボラギノール』や『プリザエース』は、消毒剤と止血剤と抗炎症剤の組み合わせだから傷薬として使える。
     もっとも、自己判断は危険なんでドラッグストアーか薬局にはお問い合わせくださいな。
     うちのお店にも、以前に購入された薬どころか、「よそのお店で買ったんだけど」って前置きして電話で使って良いか質問されることがあります。
     言わなきゃ、うちで買ったかどうかなんてわからないのに(笑)

     『ストナデイタイム』と『ベンザブロックSプラス』を手に迷ってる様子のお客様がいたので声を掛けてみたら、小学校低学年の娘さんがエアコンで冷えたらしく、鼻水が出て喉の痛みを訴えているそう。
     発熱は無いというから、発熱していない時に解熱剤が入った風邪薬は適さないことを説明し、『ストナデイタイム』の主成分である『小青龍湯』か、発熱前の風邪の初期に用いる『葛根湯』を勧めた。
     喉の痛みに『小青龍湯』『葛根湯』も本来は向かないが、子供の場合の炎症は新陳代謝が良いため体温を上げて発散してしまった方が予後が良い
     心配なのは、鼻水の原因が内臓の冷えの点。
     体が小さい分、内臓の冷えが伝播し、胃腸の機能が低下して免疫機能まで減衰することで、本格的に風邪に移行してしまう可能性がある。
     お客様には、体内を温めることが重要とお話して、『葛根湯KIDS』をお買い上げ頂いた。
     そして、発熱が無ければお風呂に入れることと、食事は冬の料理を候補にするよう勧めた。

     

  • 薬の利用者の意識というのは難しい

     『九味檳榔湯』に興味を持たれている様子のお客様に声を掛けてみたら、脚の浮腫みと疲労が主訴の模様。
     脚の重だるさに関節痛が顕著なようなら適応すると思われるものの、そこまでいかないなら『防已黄耆湯』をと案内した。
     ただ、お客様の体格は『防已黄耆湯』を勧めるには、やや痩せ型でもあるため判断の難しいところ。
     疲労に焦点を当てた方が良いのではないかと思い、寝汗の有無を確認すると、寝る時にエアコンがタイマーで切れるようにしているため汗をかいているそう。
     一方、仕事中は定時の休憩にしか水分補給ができず、トイレもままならないため、水分を摂っていないという。
     となると、同じ水分代謝でも利尿系より保水系の『五苓散』の方が向いていそう。
     そのうえで疲労のフォローをするとなれば『十全大補湯』が良いでしょうと案内して、試して頂くことになった。

     家族から頼まれたということで、お客様から「パブロンをくれ」と言われ、そのうえ「一番高いのをって頼まれてるんだ」とも言われたけど、用量で値段も変わるから困った。
     しかも、症状を尋ねてみたら、それは聞いてきていないという。
     風邪かどうかすら分からないまま、結局『パブロンS α』を買っていかれた。
     ううん、今度から症状は聞いておいてくださいね(^_^;)
     そういえば、大正製薬の営業さんから聞いた話じゃ、今回の商品のリニューアルで、カスタマーセンターに苦情が殺到しているんだとか。
     苦情の内容は、「同じ価格なのに容量が少なくなった」というもの。
     以前は1回4錠だった物が1回3錠になり、それはつまり1錠に含まれる成分が濃縮されたからでもあるんだけど、お客様としては「容量が減ったのに同じ価格なのは損した気分」という事らしい。
     お菓子じゃないんだから量で比較するのがオカシイし、1回に飲む錠数が減ったのだから、むしろ便利になったはずなのに、利用者の意識というのは難しいもんである。


     

  • 親身になれば良いというものでもない

     成人の娘さんの咳が一週間くらい続いているという相談をお客様から受けて、咳の前に風邪をひき病院で薬を処方されていたというから尋ねてみるも内容は不明。
     もうね、お薬手帳を持ってきた人は、ドヤ顔で提示してくれて良いです。
     満面の笑みで、「(∩´∀`)∩スンバラシィ♪」と褒め称えますよ私(笑)
     体内が乾燥している可能性をお話して『麦門冬湯』を案内したところ、ヘルニアの薬と精神安定剤の他に、それらの薬から胃を保護する薬も処方されていて、飲み合わせを心配された。
     ………なおさら、どうしてお薬手帳を持ってきていないのかと(;´・ω・)
     当然売らないという選択もあるのだけれど、精神不安のある人だと何も用意されなかったという事もまたストレスとなり咳の原因となりかねない。
     比較的安全な『麦門冬湯』でもあるので、成分表をお薬手帳に貼って担当医に報告するようお話して、お買い上げ頂いた。
     あと、お風呂に入れさせて下半身を温めることと、温かい食事をさせるように付け加えた。
     体が温まれば、体の方も患部に無駄な炎症をさせないよう落ち着くはずなので。

     リップクリームを買いに来たお客様に用途を尋ねたら、中学生の娘さんの唇の割れにとのこと。
     この季節に唇が割れるようでは、ただ潤すだけのリップクリームじゃ駄目だろうから、『ユースキンリップケア』と『モアリップW』と『メディカルリップ』を案内して、唇に現れてる症状は胃で起きている状態が表に出てきていると考えられることを説明した。
     そして、内服薬として神経性胃炎の『半夏瀉心湯』と、上半身の炎症を抑える『黄連解毒湯』を紹介したら、アトピー性皮膚炎があるという話が出たので、ファーストチョイスとなる『十味敗毒湯』と、患部に熱感がある場合の『消風散』も案内してみた。
     すると、お客様自身は手の親指の付け根に水疱ができて痒くなるというので、主婦湿疹だとは思うものの、一度も病院を受診したことが無いというから、菌やウイルスが介在している可能性もお話して受診勧奨しつつ、ステロイド剤で痒みを抑えて、洗い物は薄手のビニール手袋を使うよう伝えた。
     今日のところは、『モアリップW』のみを購入された。
     ううん、捲したて過ぎたかなと後で反省。
     自分がアトピー性皮膚炎で苦しんだから、そういう話を聞くとつい、テンションが張ってしまうんだよねぇσ(^◇^;)。

     

  • お薬手帳を持たないで市販薬を購入するのは駄目ですよ

     やや高齢のお客様が来店し、鼻水が喉に落ちてくると相談された。
     鼻水をティッシュに取ると透明だそうなので、冷えによる鼻炎と、胃の機能の低下だろう。
     『小青龍湯』で上半身を温めることを考えたけど、お客様が非常に痩せているため、候補にするには躊躇われる。
     こういう時、店頭に胃腸の弱い人の風邪の初期に使う『香蘇散』が無いのが痛い……(;´・ω・)
     鼻水は表には垂れてこないようだから、胃の方を治せば鼻水も治まる可能性があることをお客様にお話すると、『サクロン』はどうかと尋ねられた。
     でも今回は、低下した機能を改善したいので、消化剤より健胃剤の方が向いているため、『スクラート胃腸薬S』と『大正漢方胃腸薬』を案内した。
     すると、以前に病院でツムラの『大建中湯』を処方されたことがあり、最近は茶色いパッケージに変わったという。
     ところが、その名前は思い出せない模様。
     ううん、薄い茶色なら末尾が6か、濃い茶色なら7のはずだけど、胃腸の働きを助ける『大建中湯』から切り替えるとしたら、『五苓散』『半夏白朮天麻湯』かな?
     でも、そうやって予想を立てるのも無駄になる衝撃の一言が。
     処方されている漢方薬が顆粒で、気管に入りそうなのが怖くて服用していないという。
     ズゲッ!!Σ( ̄□ ̄;)
     しかも、よくよく訊けば他に『ワーファリン』や『デパス』も処方されているそうな。
     いや、それでお薬手帳を持参されないまま市販薬を購入するのは駄目ですよぅ(^_^;)
     処方された薬を飲んでいないことも、ちゃんと担当医に報告しましょう。
     担当医は、次回には服用している前提で診察する訳ですし。
     もちろん、服用しているかどうかを確認するのも医師の仕事だけど、こうやってヒアリングを重ねてやっと言われるようだと、ちょっと確認しただけでは答えないかも……。
     ここで『大正漢方胃腸薬』を売ったところで、また飲まないんじゃお金が勿体無いし、今回は購入はやめてはとお話したものの、どうしても使いたいと言われる。
     うーん、問題は無いとはいえ困ったなぁ。
     じゃあ、錠剤の方にしましょうか?
     そう提案すると、ゆっくりゆっくり飲むから顆粒で良いとのお返事。
     結局、強く申し出られたため『大正漢方胃腸薬』の顆粒を売ることに。
     でも、必ず担当医に使ったことを報告して、お薬手帳は持ち歩いてくださいね、と「お願い」した。
     『半夏厚朴湯』に興味を示していたから、不安神経症もあるのかも。

     『新コルゲントコーワトローチ』をレジに持ってきたお客様に用途を尋ねると、成人した息子さんが喉の痛みに使っていたトローチが切れたため頼まれたという。
     でも、使っていたトローチの内容は不明で、『新コルゲントコーワトローチ』なのかは分からないそう。
     指定しないで頼む方も、確認しないで頼まれる方もどうなのよ(^_^;)
     痛みの原因についても、冷えたからかもという以外には探りようがなく、胃の不調などを確認したかったけど諦めた。
     ただ、消毒系の『新コルゲントコーワトローチ』より抗炎症系のアズレンの方が適応範囲が広いので『パブロントローチAZ』を紹介すると、変更して購入された。

     

  • 小学校の保健体育から教えるべき

     奥さんが風邪をひいたとのことで旦那さんが来店したんだけど、発熱しているというのに熱を計ってないそうな。
     どうして(;´・ω・)?
     他には、喉の痛みと咳があるというお話なものの、喉の痛み方は分からず、食欲の有無も聞いてきていないそう。
     ううん、これは仕方無いのかなぁ……。
     政府も医療費負担軽減のためにセルフメディケーションを推し進めるなら、基本的な“薬の買い方”を、小学校の保健体育から教えるべきだと思う。
     奥さんは子供の面倒を見なければならないため休んでもいられないというお話だったから、総合の風邪薬よりも症状に合わせた方が疲労を抑えられることを説明したけど、そのための情報が無いんだよねぇ。
     とりあえず発熱があるのと喉の痛みは確実なうえ、鼻水は出ていなかったというお話から、『銀翹散』と『パブロンエースAX』を案内してみたところ、家にあった『葛根湯』を服用したと分かった。
     それを、先に言ってください……orz
     いや、服用した薬を確認するのが、こっちの仕事なんですけどね。
     なんか度々、この日記でヒアリング不足を露呈していて恥ずかしい(´・ω・`)
     とにかく、初期に『葛根湯』を服用した事自体は悪くないとはいえ、喉の痛みが主訴で発熱してるとなると、もう『麻黄湯』『柴胡桂枝湯』への乗り換えも検討したほうが良いかもしれない。
     でも今回は、お客様の判断で『パブロンエースAX』を使って頂くことになった。

     最初はお客様から整腸剤について尋ねられたため、『新ビオフェルミンS』と『ザ・ガード』を紹介したところ、9歳の男の子が軟便と軽い腹痛だとのこと。
     って、またヒアリングしてないですね私( ̄▽ ̄|||
     薬を使う人の確認は、重要な質問の一つなのに……。
     軟便なだけでなく腹痛もあるようだと、痛み止めの芍薬が入った『桂枝加芍薬湯』か、腸内細菌の生育を助ける乳糖水和物を加えた『小建中湯』が適応すると考えられることをお話した。
     どちらもストレス性の場合に用いるもので、お客様はストレスについては考えていなかった模様。
     ただそれは、一般的にストレスというのは思い悩んだり緊張といったマイナスのことを考えているからで、楽しいことも興奮により体に負担がかかるストレスなんである。
     旅行に連れて行った子供が便秘になっちゃうのも、そういう種類のストレスが原因だったり。
     また、合宿に持って行かせたいというお話があり、詳しく訊いてみると音楽関係だと分かった。
     そういう事でしたら、どちらも発表会等の緊張緩和に使えますと説明すると、『桂枝加芍薬湯』を購入された。
     うーむ、これは迷うところなんだよねぇ。
     ストレスの軽減という観点で言うと、甘い物がよりストレスの軽減に働くから、『小建中湯』の方が向いてるとも云えるので。
     ちなみに、今回は腸ということで下半身だから『桂枝加芍薬湯』『小建中湯』を候補にしたけど、緊張が喉のつかえ感とか咳払いのように上半身に現れる場合には『半夏厚朴湯』の方が適応する。
     受験生は、ぜひ覚えておいてくださいな(`・∀・´)

     

  • 気軽に売れないので気軽に買わないで

     『ヨクイニン』を求めて来店したお客様に、クラシエの漢方セラピーの物を要望された。
     あうっ、残念ですがお店の定番棚から外れてしまいまして(;´・ω・)
     同じクラシエ製品の、青箱(顆粒)を案内してお買い上げ頂いた。
     ただ、一緒に『防已黄耆湯』もレジに持っていらして、使ったことがあるのか尋ねると「初めて」というお返事。
     そして、お客様の外見上からは適応するようには思えなかったため、用途を詳しくヒアリングしようとしたら、「タクシーを待たせてるから」と断られ、『防已黄耆湯』の購入は取りやめられた。
     タクシーでの来店は仕方ないのかもしれないけど、薬を買いに来る時にはヒアリングする時間は取っておいて欲しいな。
     ちなみに、『防已黄耆湯』が適応する体格は、基本的には「色白で汗をかきやすく」「筋肉が柔らかいぽっちゃりタイプ」なんだけど、これはあくまで参考に過ぎない。
     例えば、立ち仕事での足のむくみや膝の痛みを緩和したいという目的の時には、必ずしも体格には拘らないので。
     ただ、その適応を見極めるには、やはりヒアリングが必要。

     『麦門冬湯』の大容量をお客様から求められて、ご案内。
     比較的副作用が少なく、適応しない症状や体質で空振りしても栄養剤になるくらいなので、そのまま売っちゃっても構わないものの、やはりヒアリングをしない訳にいかない。
     そういう売り方に慣れてしまうと、本質がサボり魔な私は簡単に自動販売機になってしまうヽ( ´ー`)ノ
     どうやら病院で咳止めに処方されたことがあり、良かったらしい。
     ただし、担当医からも調剤した薬剤師からも、作用機序についての説明は受けていなかった模様。
     『麦門冬湯』の構成生薬だけを見ると、炎症を抑えるのは、せいぜいが甘草くらいで、ほとんどが胃の働きを助ける健胃剤である。
     なんなら、胃の具合が悪い時に服用したって良いくらい。(自己判断でしないように。念のため)
     『麦門冬湯』は、胃の働きを整えることで上半身に保水し、その結果として気管支を潤すので咳が止まるのだ。
     そのため、話そうとしたり飲食する時に息を吸うと咳が出るといった、体内が乾燥して起きる咳に向いている。
     風邪で発熱したとか、風邪薬を服用した後に咳だけが残ったら、体内が乾燥している可能性があるので、そういう時には思い出して欲しい。