薬の利用者の意識というのは難しい

 『九味檳榔湯』に興味を持たれている様子のお客様に声を掛けてみたら、脚の浮腫みと疲労が主訴の模様。
 脚の重だるさに関節痛が顕著なようなら適応すると思われるものの、そこまでいかないなら『防已黄耆湯』をと案内した。
 ただ、お客様の体格は『防已黄耆湯』を勧めるには、やや痩せ型でもあるため判断の難しいところ。
 疲労に焦点を当てた方が良いのではないかと思い、寝汗の有無を確認すると、寝る時にエアコンがタイマーで切れるようにしているため汗をかいているそう。
 一方、仕事中は定時の休憩にしか水分補給ができず、トイレもままならないため、水分を摂っていないという。
 となると、同じ水分代謝でも利尿系より保水系の『五苓散』の方が向いていそう。
 そのうえで疲労のフォローをするとなれば『十全大補湯』が良いでしょうと案内して、試して頂くことになった。

 家族から頼まれたということで、お客様から「パブロンをくれ」と言われ、そのうえ「一番高いのをって頼まれてるんだ」とも言われたけど、用量で値段も変わるから困った。
 しかも、症状を尋ねてみたら、それは聞いてきていないという。
 風邪かどうかすら分からないまま、結局『パブロンS α』を買っていかれた。
 ううん、今度から症状は聞いておいてくださいね(^_^;)
 そういえば、大正製薬の営業さんから聞いた話じゃ、今回の商品のリニューアルで、カスタマーセンターに苦情が殺到しているんだとか。
 苦情の内容は、「同じ価格なのに容量が少なくなった」というもの。
 以前は1回4錠だった物が1回3錠になり、それはつまり1錠に含まれる成分が濃縮されたからでもあるんだけど、お客様としては「容量が減ったのに同じ価格なのは損した気分」という事らしい。
 お菓子じゃないんだから量で比較するのがオカシイし、1回に飲む錠数が減ったのだから、むしろ便利になったはずなのに、利用者の意識というのは難しいもんである。


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