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粉薬の飲み方どうしてます?

 やや高齢のお客様が『銀翹散』を買いにいらして、鼻水の有無を確認したところ、頼まれ物だとのこと。
 『銀翹散』『葛根湯』とは反対に、上半身を冷やすことで風邪を治すことを説明すると興味を持たれたので、頼んだ人の症状を詳しく訊くと、1週間ほど前から喉が痛むらしい。
 他の症状は無いそうだから、『駆風解毒湯』『桔梗湯』を紹介しながら、胃炎の可能性もあることをお話したところ、その時期には食欲が落ちていた模様。
 そしてその時には咳もあったというから、そういう時に適応する物として『麦門冬湯』も紹介した。
 本日は、そのまま『銀翹散』をお買い上げ。
 使い分けについてのメモを希望されたため、汚い字で書いてお渡し。
 恥ずかしい(u_u;)

 『ロキソニン』を求めて来店したお客様に、うちのお店には置いていないため『イブA』を提案したところ、以前にイブプロフェンが処方されて効かなかったそう。
 ただ、主訴は肩の痛みで、処方されている『ロキソニン』にしても効いていないらしく、別に座薬の鎮痛剤が処方されており、それは夜には効いているものの朝には痛むという。
 でも、その座薬の内容は不明。
 病院では、自律神経失調による疼痛と診断されているというのだけれど、これまた詳細が不明。
 せめてお薬手帳があれば、他に処方されている薬とか、これまでの履歴で、関連する病状や担当医の治療方針を類推することもできるんだけどなぁ。
 お話を聞く限りでは、頓服に『芍薬甘草湯』を用いて、『釣藤散』を併用するのが良いように思える。
 『釣藤散』はパッケージに「高血圧」と書いてあるのもあって、血流を改善するのが主な効能だけど、案外と神経性の症状を緩和する生薬が入っているので。
 一応はお話をしてみると、帯状疱疹に『十味敗毒湯』を処方されたことがあり、そのさいに血圧が高くなったため服用を中止したという。
 なんだろう、甘草のせいなのかな。
 『十味敗毒湯』の含有量じゃ、ちょっと考えにくいけど。
 甘草が原因だとすると、『芍薬甘草湯』も使えなくなってしまうのだが、その『芍薬甘草湯』を試してみたいと買われてしまった。
 ありゃん(^_^;)
 お客様には、お薬手帳を持ち歩くことと、購入した市販薬も一元管理するよう勧めた。

 やや高齢のお客様が『八味地黄丸』を眺めていたので興味が有るのかなと思い声を掛けたら、病院で処方されていて、効能を確認していたとのこと。
 『八味地黄丸』に限らず、漢方薬には一読しただけでは繋がりが分からない効能が書いてあって混乱するとこがあるんだけど、お客様もそう思われたらしい。
 そのため、血流が滞ると体の材料が行き渡らなくなり痒みを感じたり、腎臓の機能が低下すると目の機能も低下することなどを説明し、体の各部は相互に関係していることをお話した。
 そして、病院で処方されているのが顆粒で、喉に引っかかり声嗄れしてしまうというお話があったため、水を少し口に含んでから薬を口に入れ、追加で水を飲んでみるよう提案した。
 そういうや、粉薬が苦手という人に話を聞くと、たいてい粉だけを先に口に入れて水を後から飲んでたりするんだよね。
 そりゃ、確かに苦しいわと思ったけど、どうしてそういう飲み方をするのか分らない。
 他には、先に水を口に含んでからだと粉薬が飲めないという人もいたけど、先にめいいっぱい水を口に含むから開けられなくなる訳で、水を2回に分けるというのは思いつかないらしい。
 そういう私も子供の頃は粉薬は、袋状のオブラートに包んで飲んでたんだよねぇ。
 だけど、ほぼ毎日飲み続けるのに面倒になって、粉薬を直に飲むようになった。
 その時にやったのが、先に少し水を口に含んで薬を口に放り込み、追加の水で飲み下すという方法。
 誰に教わった記憶も無いから、たぶん自然にやってたんだろう。
 しかしまぁ、人が薬を飲むところをマジマジと観察する事は無いから、意識しないと自分の飲み方が唯一の方法と思ってしまうかも?

 

安全とは言い切れないのは漢方薬でも同じ

 お客様から特定のメーカーの漢方薬シリーズの『甘草湯』を希望されたものの、すでにうちのお店の定番棚から外れていて取り扱っていないため、同じメーカーの別シリーズの『甘草湯』を案内して購入して頂いた。
 以前にそのメーカーの営業さんに聞いた話じゃ、先のシリーズから風邪や咳関係の漢方薬を外して、慢性疾患なんかの漢方薬を充実していくらしい。
 それはともかく、お会計をしながらお客様に『甘草湯』の用途を尋ねると、扁桃炎になりやすく常備薬にしているという。
 うん?
 扁桃炎に?
 確かに抗炎症作用があって、『芍薬甘草湯』『大黄甘草湯』のようにメインとして使われることがあるけれど、一方で多くの漢方処方に甘草湯が入っているのは、保水作用と抗アレルギー作用により効き目を補助し、苦味や辛味を伴う他の生薬との味を整えるためとされている。
 そして甘草の抗炎症作用は、熱を発散するもので冷やす力は無いから、喉の痛みに使うとすれば極めて初期の段階。
 お客様のように常備しておき、喉に違和感を感じたら使うというのは、確かに理に適っている。
 逆に言えば、喉の痛みを感じてから店頭に買いに来た段階では、もう『甘草湯』を使うタイミンクとしては遅いと考えられる。
 そこでお、扁桃炎になりやすいのであれば、進行した場合には患部を冷やす『桔梗湯』と、冷やしつつ熱の発散もする『駆風解毒湯』も覚えておいてもにいたいと思い、お客様に両方を紹介した。
 すると、他の薬との飲み合わせを心配されたが、その点で言うのなら単味剤の『甘草湯』の方が心配だし、甘草は炎症に関わる漢方薬の多くに入っていて、『四物湯』(ジオウ・トウキ・シャクヤク・センキュウ)という漢方薬を基本に生薬を足したり引いたりすることで適応と副作用を勘案するため、一概には安全とは言い切れないのは、どんな漢方薬でも同じことを説明した。
 とはいえ、飲み合わせを気にするのは良いことなので、お薬手帳を持ち歩くよう勧めた。
 あと、喉が腫れた時にも発熱していなければ、お風呂に入って体を温めるようお話した。
 扁桃炎というのは、熱を出すことでウイルス菌を倒す体の防衛機能が正常に働いている証拠。
 しかし、発熱するというのはエネルギーを多量に消費するため、この発熱により体力の低下を招き、喉で敵を撃退できないと風邪として進行してしまう。
 だから、風邪をひいたら体を温かくするというのは、発熱を助けてやりエネルギーの消費を抑えるためなんである。
 そうすれば、体の方も自分だけで無理やり発熱するのを控えて、早い段階で炎症を終えることができる。

 お客様から腰痛ベルトを希望され売り場を案内したが、症状を尋ねると痛むのは朝だけで、動いてからは大丈夫だという。
 それ、寝返りが少なくて同じ姿勢でいるせいや、自重による血行不良じゃないですかねぇ。
 いや、もしかすると寝返りが少ない原因が、特定の姿勢を取ると体に違和感があって、無意識に姿勢を保とうしているのかも。
 症状からすると『疎経活血湯』が適応するように思えますが、現状を把握するために病院を受信してみるよう勧めた。
 そこで、腰痛ベルトが必要かどうかを判断してもらってから購入を決められても良いかと。

 

代替策を多く持つのが課題

 『パンシロン01+』を手にしたお客様から、胸やけの相談を受けた。
 痛みは無いそうで、以前に『大正漢方胃腸薬』を使ってみたものの合わなかった模様。
 原因にはストレスが思い当たるそうで、『安中散』に鎮痙剤の『芍薬甘草湯』を合わせた『大正漢方胃腸薬』が合わないとすると『半夏瀉心湯』かなと思い、鳩尾(みぞおち)から小拳一つ分右にズレた肋骨の下側にお客様に指を入れてもらったけど、痛くはないという。
 ふむぅ、ハズレか。
 それなら、同じ『安中散』の系統で『四逆散』を加えた緊張によるストレスに適応する『爽和』か、水分代謝の異常で思い悩むタイプに向く『安中散加茯苓』をと案内してみた。
 実のところストレスは複合的なもので、スッパリと判別できる訳ではないが、今回は『安中散加茯苓』を試して頂くことになった。

 咳の相談で来店したお客様、仕事の関係で一日に2回の服用タイプをと希望された。
 一応、漢方薬にもエキス増量を謳っていて一日に2回の服用という物はある。
 そうえで、仕事の環境的に空気が悪いそうなので、『麦門冬湯』を案内した。
 上半身を潤す『麦門冬湯』は、外気からの汚染物質を体外に排出する痰にも水分を与えて、より外に出しやすくする。
 すると、煙草も吸うというお話があり、『ダスモック』(清肺湯)を紹介したんだけど、錠剤を希望され、どちらも錠剤タイプを置いていないため、痰を出すことを主目的に『ブロン錠エース』を勧めて、お買い上げ頂いた。

 

吐き気があったり腹痛を伴う風邪には

 やや高齢のお客様より、筋肉痛の相談を受けた。
 原因が山登りとハッキリしているので、急性症状向けのインドメタシン製剤を勧めて購入を決めて頂いた。
 そして、予め分かっているようであれば内服もご検討くださいと『コレムケア』(芍薬甘草)を紹介したところ、一緒に購入された。
 そしてお会計時に、良く足が攣るという話があったため、足が攣る原因は疲労や血行不良だけではなく、心臓機能の低下の可能性があるので油断しないように伝えた。
 足の脹脛は、下半身に降りた血液を心臓に戻すポンプの役割をしていることから「第二の心臓」とも云われていて、そこが過剰に疲労するということは、本物の心臓の機能を補おうとしているから、と考えられるのだ。
 実際、足が攣りやすい人の心臓の血管が詰まっているのが分かり、手術を受けることになった事例もある。
 あと、『芍薬甘草湯』はあくまで頓服的に使う物なので、よく足が攣るようであれば『疎経活血湯』も候補になることを伝えた。

 汗疹の薬を求めて来店したお客様に『アセモア』と『あせもクリーム』を紹介し、痒みが強いことと範囲が広いとのことから、局所麻酔のリドカインの入っている前者を勧めた。
 そして、落ち着いてきたら、菌の繁殖を防いで血行促進の面倒を見てくれる『あせもクリーム』に乗り換える運用方法を提案した。
 反対に、より痒みが強い場合にはステロイド剤で痒みを抑えるのを優先するようお話して、今回は『アセモア』を購入して頂いた。
 そうそう、養生にはお風呂にしっかり入って、汗管を開くことで汗を出し詰まりを解消するのが良いですよん。

 お客様が『ルキノンエース』をレジに持ってきて、腹痛のある風邪に使えるか尋ねられた。
 患者さんはご主人で、微熱と頭痛のうえ腹痛も訴えているという。
 腹痛のある風邪に使える市販薬は、現代薬の中には存在しない。
 胃腸薬で考えても、甘草といった生薬か、甘草の有効成分であるグリチルリチン酸を加えた物となり、胃腸薬では微熱や頭痛の面倒までは見てくれない。
 そのため実質的に選択肢は、『柴胡桂枝湯』の一択となる。
 ただ、メーカーによってはパッケージに「吐き気」とあり、今回のお客様からも「吐き気は無い」と言われた。
 でも、効能書きにある症状というのは、あくまでメーカーが申請した症状であり、効果を確認できた症状を並べていることもあるし、反対に効果がある可能性は高いが治験で有効性を証明するデータを揃えるのに費用がかかるため、あえて申請しなかった症状は書いていなかったりする。
 もちろん販売時に、書いていない効能に対して「効く」とは言えないけど、少なくとも書かれいている効能の症状が必ず現れていなければならないということも無い。
 ちなみに医療用と市販用とでは効能で示されている症状が違い(申請内容が違うから)、医療用の『柴胡桂枝湯』の効能範囲はメチャクチャ広く、全てを発症するのは大変そうである(笑)
 店頭では市販薬として認められている症状以外には販売できないけど、下記は参考までに医療用での効能。
「感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、感冒・風邪の後期、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛」
 お客様には、名前が効能を表しており、柴胡が肝臓を助けて抵抗力を高め、桂枝が胃の働きを補助することで疲労を防ぐことを説明して、お買い上げ頂いた。
 このことは、ぜひご主人にも伝えて下さい。
 効くと思って飲むほうが、より効きますので(*´∀`*)

 

解熱鎮痛剤は一時的に使用する物なので

 お客様から『バファリンルナJ』の錠数の多いものを希望されたけど、容量の多いものは無いことと、そもそも解熱鎮痛剤は一時的に使用する物であることをお話したところ、小学生の子供の生理痛に使うとのことだった。
 『シオノギ解熱鎮痛薬』を案内することも考えたけど、頼り過ぎるようになっても困ると思い今回は紹介せず、そのまま『バファリンルナJ』を購入して頂いた。
 小学6年生では約50%に生理痛あるらしく、そのうち解熱鎮痛剤を使っている子供は少ないらしい。
 私自身は、ツライ時に解熱鎮痛剤を使うのは悪くないと思ってはいるけれど、痛くなるのが当たり前のものとして使用するのが常態化してしまうと、成人してから大病を見逃してしまいがちなので、医療費に補助がある子供のうちに生理痛を軽減するための治療を検討するよう勧めた。
 本人は元気で活発なようだから、『桂枝茯苓丸』が候補になるかもしれない。

 『アンメルツヨコヨコ』や『バンテリンEX』などを見比べているお客様がいたので声を掛けてみたところ、筋肉痛に備えてとのことだったので、鎮痛効果を三段階で説明すると一番弱い『アンメルツヨコヨコ』を選択された。
 常用するのであれば、弱いものからで充分だろう。
 鎮痛剤は使い慣れてしまうと、やがてその先が無くなってしまうので。
 他に虫刺されの薬も希望されたため売り場を案内しつつ、筋肉痛の内服薬として『コムレケア』(芍薬甘草湯)も紹介した。
 そうそう、『芍薬甘草湯』自体は頓服薬として使うものだけど、スポーツをしていたりするのなら『疎経活血湯』を運動の前後に服用するという方法もあります(・o・)

 

「普段どうだったか?」というのは薬を選定するうえで重要な情報

 『爽和』と『太田漢方胃腸薬2』を見比べて迷っているお客様がいたので声を掛けてみたけど、案内は断られた。
 どちらもストレス性の胃の不調を謳っているから、分かりづらいかと思ったんだけどな。
 『爽和』は『安中散』に手足の冷えを改善する『四逆散』を加えたもので、仕事が変わったとか誰かに怒られるとか外部から受けるストレスに対応する。
 一方、『太田漢方胃腸薬2』は『安中散』に水分代謝を改善する茯苓を加えた『安中散加茯苓』という処方で、起きてもいないことを心配したりといった内面的なストレスに向いている。
 ただ、どちらにも痛み止めは入っていないので、胃が不調で胃痛があるようなら、『安中散』と痛み止めの『芍薬甘草湯』を合わせた『大正漢方胃腸薬』の方が良い。
 今回は『太田漢方胃腸薬2』を選ばれ、お会計をしながら症状を尋ねるとゲップが出るというお話があったため、『半夏瀉心湯』も紹介してみたけど、パッケージに「胸やけ」とあるのを見て「違う」とのことで、そのまま購入となった。
 まぁ確かに『安中散加茯苓』もゲップには対応しているものの、それだと『六君子湯』も候補になるから実に難しいところ。
 本当は、鳩尾(みぞおち)に指を入れようとして痛むかどうかを確認したいところだったけど、そこまで踏み込める雰囲気ではなかったから訊けなかった。
 人差し指と中指と薬指の3本を揃えて鳩尾に少し食い込ませてみて痛むようなら、神経性胃炎の『半夏瀉心湯』が適応するのに対して、元から胃弱で基本機能が低い場合は『六君子湯』が使える。
 ここで問題になるのは、胃の基本機能と症状が相対的だということ。
 例えば、走るのが遅いからといってそれは足が悪いということにはならないが、無理に早く走ろうとすればその疲労の度合は大きくなるだろう。
 その場合は元々の足の機能に対して無理をしたことを考慮した、中長期的なケアが必要となる。
 でも、元が頑健な足であるのなら一時的な疲労などものともしないだろうから、下支えのようなケアは不要。
 それは胃腸薬の使い方にも云えて、「普段どうだったか?」というのは使用する薬を選定するうえで重要な情報なのだ。
 先のように鳩尾に指を入れてみて痛むようなら胃酸過多が考えられるが、それは同時に元々の胃の機能は低くないと考えられる。
 また、普段から水や氷といった冷たい飲み物を好むのなら、胃の機能が高い一方で胃炎を起こしやすいと推測でき、お湯や温かいお茶を好むのは胃の機能が低下していて内臓が冷えやすいことを示している。
 お年寄りが温かいお茶を好むのは、なんとなく落ち着くというよりも加齢により胃の機能が衰えているからとなる。
 今回のお客様はストレスの表記があるパッケージの『爽和』と『太田漢方胃腸薬2』から選んだのだから、ストレスが思い当たるのは間違いないのだろうけど、ストレスに対する体への負担も元々の機能と相対的だから、果たしてどうだったのかは分らない。
 実のところ、それを知りたい欲もあるんだよねぇ。
 ぶっちゃけ適応するかどうかを知識として覚えても、実際に運用しての効果は患者さんから教えてもらわないと分からない。
 でも、ドラッグストアーじゃ薬を売った後に患者さんが報告に来てくれることは滅多に無く、その積み重ねは難しい。
 なので、たまに「良くなったよ」と言ってもらえると、気持ち的に「☆⌒ヾ(*゚∀゚)ヒャッホゥ♪」と嬉しいだけでなく、勉強になるから有り難いです。
 もちろん、「効かなかったねぇ」と言われて落ち込むこともある訳ですが(´・ω・`)

 お客様から「胃腸炎の薬を」と頼まれ症状を尋ねると、食べると胃痛がするとのこと。
 ひとまずお客様の意を汲んでパッケージに「胃腸炎」と書いてある『柴胡桂枝湯』を紹介しつつ、痛み止めの入っている『大正漢方胃腸薬』を案内してみた。
 しかし、詳しく話を訊いてみると疲労もあるようだった。
 そうであれば、『桂枝湯』で胃の機能を補強して柴胡剤で疲労を緩和したほうが良さそうなので、『柴胡桂枝湯』を使って頂くことにした。

 

ドラッグストアーの役割は、あくまで「治療」ではなく「症状の緩和」

 『ドリエル』を求めて来店したお客様に、ひとまず同じ処方の『ドリーミオ』の方を勧めて購入を決めて頂いた。
 そのうえで睡眠の状況を尋ねると、寝つきが悪く30分以上かかるうえ、寝ても眠りが浅く感じるという。
 おそらく暑さで肝臓がやられて、そこに湿度で胃に負担が掛かってるのだろうと思われる。
 単純に寝つきが悪いだけなら『柴胡加竜骨牡蛎湯』のケースだけど、『柴胡桂枝湯』で肝臓と胃の両方の面倒を見れば改善するのではないか。
 でも、お客様の方がそこまで話を聞いて頂ける感じではなかったため、今日のところは見送ってしまった。
 この、案内するべきかトラブルにならないよう引くかというのは、何百人、何千人と相手していても難しい。

 外用消炎剤のジクロフェナクナトリウム製剤を購入されるお客様に、他の薬との併用に気をつけるようお話すると、ギックリ腰に使うそうで、前にもなったというから、改めて受診するよう勧めた。
 ついつい、「前も同じだったから」と考えがちだが、本当に同じかは分らない。
 ギックリ腰は、予後の養生も大事なので、今どうなっているかを把握するためには、ひとまず改善しても病院で様子を確認してもらったほうが良いだろう。
 今回の症状を詳しく訊いてみると、痛みというより、背中からこわばる感じだそうなので、筋肉の緊張を解く『芍薬甘草湯』が効きそうな気もする。
 そういうことも含めて、自己判断だけに頼らずに検証の幅を広げることで、他の体の不調との関連が見えてくることもあるし。
 特にギックリ腰は、腎臓とも関係して、早い話が冷えによる水分代謝の異常や、同じく水分を含む血行不良が原因だったりする。
 冷えが原因なら『桂枝加苓朮附湯』が、患部に痺れを感じるような血行不良には『疎経活血湯』を、加齢による腎機能の低下だと『八味地黄丸』『牛車腎気丸』が候補になる。
 今回は、やはりお客様が『芍薬甘草湯』の話のところで、興味無さげだったため、以降の話はせず。
 ドラッグストアーの役割は、あくまで「治療」ではなく「症状の緩和」という目的では、最初にお客様自身で選んだ薬で充分とも云えるのかもしれんけど、患者さんは本当にそれで良いのかとの疑問は拭えない。

 

時には安楽椅子探偵のように

 『ベンザブロックSプラス』と『葛根湯』を手にして迷われてる様子のお客様に声を掛けてみると、熱は測っていなくて不明なものの熱感は無く、鼻水と鼻づまりを繰り返しているという。
 そうであれば『葛根湯』をと思うものの、体が少しだるく、3日ほど前には喉が痛かったそうなので、もう少し検討したほうが良さそう。
 そこで詳しく訊いてみると、だるいとは云っても食欲が落ちている訳ではない模様。
 喉の痛みについては、喉の奥だったか手前だったかや、ヒリヒリしていたかズキズキしていたか、喉が狭く感じたかなどをヒアリングしてみたけど、治ってしまって覚えていないそうな。
 ううん、まぁ、普通は覚えていないでしょうね。
 まさに、「喉元すぎれば熱さ忘れる」ですが(^_^;)
 スマホや携帯電話という文明の利器があるので、酷くなったら病院へ行こうとか、その前に薬を買おうかと思う時には、日記でもメモでも良いので、体調不良のことを書き残しておくと、後々のために良いです。
 万が一、感染症やら食中毒やらが原因という場合においては、なおさら感染ルートの洗い出しに役に立ちますし。
 それはともかく、お客様が嫌がらず面倒臭からずにヒアリングに応じて頂けたため、鼻水には色が付いているという情報を引き出せた。
 色が付いているとなると、これは風邪が疑われるから、発熱にも備えておいたほうが良さそうだ。
 鼻炎薬でありながら風邪にもそのまま転用できる『葛根湯加川きゅう辛夷』を提案し、試してもらう事になった。
 この手のヒアリングにおいては、本来は質問は多くても三つ程度までとされているから、だいぶ逸脱してしまった。
 これは、今回の反省点である。
 でも、患者さんが根気良く応えてくださると、こちらも本気で向き合いたくなる。
 感情に左右されちゃプロ失格ですが、感情を持った人間でもあるので。
 それにやはり、推理で答えを導くには、証拠集めが必要なんです。
 そうそう、お客様はここのところ入浴せずにシャワーのみで過ごしているとも分かったため、環境的に入れないということが無ければ、ゆったり温まるよう勧めた。

 『セイロガン糖衣錠A』を購入されるお客様に、『正露丸』と違って患部の炎症を抑えて痛みを緩和する甘草と陳皮が入っていないことを伝えると、驚きつつも、そういえば以前に使った時には腹痛が治まらなかったと言われた。
 痛みが治まらなかった原因が別にある可能性はあるけど、やはり『セイロガン糖衣A』は『正露丸』より抗炎症作用は弱いと思う。
 でも、多くの人が『セイロガン糖衣錠A』は、ただ『正露丸』をコーティングして、独特の匂いが無く甘い味付けなだけだと誤解してるんだろうなぁ。
 そもそも『正露丸』は「飲む消毒薬」みたいな物で、戦争で汚染地域に行くことを想定して開発された薬だから、キャンプなどに行くのではなく、国内の都市部への旅行なら他の胃腸薬を検討しても良いだろう。
 今回のお客様は、いつも旅行に常備しいるとのことで、『セイロガン糖衣錠A』をそのまま購入されたけど、他の選択についても質問された。
 対抗は、『安中散』『芍薬甘草湯』を組み合わせた『大正漢方胃腸薬』かな。
 あと、急性の食中りに使える『胃苓湯』が候補になるし、乗り物酔いやら熱中症やらと応用範囲の広い『五苓散』も外し難い。
 お話していて、お客様は漢方薬は長く飲まないと効かないイメージを持ってることが分かった。
 それを言ったら、『正露丸』も生薬の組み合わせで漢方薬みたいなものですし、「風邪には葛根湯」という宣伝文句もあるように、急性症状には早く効きますと説明した。

 

何を飲んで何をやめるか

 お客様から疲労について、『人参養栄湯』と『新パワーアクトEX』などのビタミン剤との使い分けを質問された。
 栄養は血で運ばれるので、手足が冷たいというように血流不良があると、ビタミン剤などで栄養を摂っても体の隅々にまで行き渡らないと考えられる。
 だから、栄養を取る前の土台作りとして『人参養栄湯』で体を温めながら血流改善をしたうえで、ビタミン剤を後から用いるか併用するという使い方になりますと説明。
 もちろん血流不良を実感していなければビタミン剤単体でも構わないし、血行促進のためにビタミンEが含まれている物を選べば充分ということもある。
 今回は『人参養栄湯』の購入を決められ、他に人参を簡単に摂れる物は無いかと相談された。
 ちなみに、漢方薬の人参と、野菜の人参とは別種。
 念のため。
 漢方薬で使う人参はウコギ科で、エゾウコギとかを聞いたことのある人もいるはず。
 一方、野菜の人参はセリ科の植物で、パセリやセロリなどの仲間である。
 お客様には、クラシエ薬品の『セパホルンZ3』を紹介したところ、一緒に購入された。

 やや高齢の、二人組のお客様が来店。
 お一人からは『芍薬甘草湯』を求められたので、『コムレケア』の内容が同じ物であることを説明して案内したけど、なにしろパッケージが腓返(こむらがえ)りを強調しているため、胃痙攣にも使えるのか質問され、下痢や吐き気が無ければ適応することを伝えた。
 もう一人からは『八味地黄丸』を頻尿に使っていて、『ナイシトール』(防風通聖散)と併用できるか尋ねられた。
 生薬構成上は問題無いものの、『防風通聖散』自体が生薬の種類が多く、一般論として漢方薬は生薬の種類が多くなるほど効果が穏やかになる傾向がある。
 『防風通聖散』を単純にダイエットの薬として宣伝してるメーカーもどうかと思うけど、その作用は発汗・利尿・便通促進など多岐にわたり、体全体の新陳代謝を活性化するので、正直コレに他の漢方薬を足すのは無意味。
 頻尿などの顕著な症状があるのなら、そちらを優先した漢方薬を用いるのが良いだろう。
 そうお話すると、『八味地黄丸』は自分で選んで市販で購入したもので、あまり効いた気がしないという。
 うん、まぁ実際に起きている症状と体質でも違いますからねぇ。
 例えば同じ頻尿でも、『八味地黄丸』は夜間の下半身の冷えによる頻尿に適応し、昼間の頻尿は加齢による腎機能の低下が関係するため『牛車腎気丸』の方が適応するだろうし、疲労が顕著な場合は『知柏地黄丸』という選択も考えられる。
 ところが詳しくお話を訊いてみたら、そもそも飲んだり飲まなかったりなんだとか。
 それは……、効きませんね(^_^;)
 まずは、集中的に服用してみてはいかがでしょうとお話した。
 ただ、お客様の体格はガッシリしていたので、もしかすると『八味地黄丸』をやめて『防風通聖散』を使ったほうが、新陳代謝の活性化により頻尿が改善するのではないかと思われたため、補足で伝えてみた。
 今日のところは、家に『八味地黄丸』が余っていることから購入は無し。
 あっ、ちなみに『防風通聖散』は肝臓に負担をかけるのか、肝機能障害の報告もある。
 売り場には本部の指示で山積み展開していますが、3ヶ月以上の長期連用をするようであれば、費用面からしても肥満治療として病院を受診して処方してもらったほうが良いと思われ(・o・)

 

接客に地雷はつきもの、三十六計逃げるに如かず

 お客様から、「足の疲れを取る貼る物を」とのご注文。
 ひとまず鎮痛効果が大きく分けて三段階あることを説明したうえでパップ剤を紹介したうえで、マッサージを兼ねて塗り薬も選択肢にしてはどうかと提案した。
 また、体内から筋肉の炎症を緩和する内服薬として『芍薬甘草湯』も案内してみた。
 そして、『サロンパス』と『サロンパスA』の違いを質問され、Aの方には局所麻酔として働くdl-カンフルが加わっていますと答えた。
 今回のように痛みではなく疲労回復が目的なら、不要ということ。
 という訳で、『サロンパス』を買っていかれた。
 それと、マッサージをする時には力を強く入れるより、掌の親指の付け根で優しく撫でるだけでも充分なことを伝えた。
 マッサージというと、つい強く揉むイメージになりがちだけど、力を入れて上手くできるのはプロの技なればこそ。


 いつもは頭痛に『ロキソニン』を使っているというお客様から、今回は効かなくて、友人からもらった『セデス・ハイ』が効いたとのことで、同じ物をと求められた。
 いや、まぁ、いいですけど……、気軽に人から薬をもらうのは危ないですよ(;´∀`)
 使ってた薬と同じというのならともかく、今回のように効かなかった薬の代わりに初めての物を使う場合は特に。
 ひとまず『セデス・ハイ』を案内しつつ詳しく症状を尋ねると、首の後から肩にかけて痛み、奥歯が浮く感じがするという。
 肩こりの延長や患部の周囲が延焼している可能性を考えると、『釣藤散』が使えるように思える。
 それに、『ロキソニン』が効かないというのは、以前の頭痛と原因が違う可能性がある。
 例えば、胃の不具合から起きる頭痛とかだと、胃に負担のかかる『ロキソニン』は効かないだろう。
 その場合は、水分代謝の改善が必要だから『五苓散』の出番。
 でも、そのお話をしてみたら強く否定されたうえ、「野菜とか食べてますから!!」と急に不機嫌になられた。
 うえっ、何か地雷を踏んだかしらん……。
 どこから野菜の話が出てきたのか、見当もつかない。
 さっきの「気軽に人から薬をもらうのは危ない」って話も、お説教と受け取られてお客様を不愉快にしてしまう事があるんで、今回は避けたんだけどな。
 仕事に真摯に向き合えば、「安全上の注意は必ずする」「安易な判断で薬を売らない」という職責もある訳ですが。
 何が地雷になるか分からないから、接客業は怖いわ~。
 ともかく地雷を踏んだら逃げるに限るので、話を打ち切り『セデス・ハイ』を会計してトンズラ( ・(OO)・ )ノシ

 
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