• タグ別アーカイブ: 芍薬甘草湯
  • 吐き気があったり腹痛を伴う風邪には

     やや高齢のお客様より、筋肉痛の相談を受けた。
     原因が山登りとハッキリしているので、急性症状向けのインドメタシン製剤を勧めて購入を決めて頂いた。
     そして、予め分かっているようであれば内服もご検討くださいと『コレムケア』(芍薬甘草)を紹介したところ、一緒に購入された。
     そしてお会計時に、良く足が攣るという話があったため、足が攣る原因は疲労や血行不良だけではなく、心臓機能の低下の可能性があるので油断しないように伝えた。
     足の脹脛は、下半身に降りた血液を心臓に戻すポンプの役割をしていることから「第二の心臓」とも云われていて、そこが過剰に疲労するということは、本物の心臓の機能を補おうとしているから、と考えられるのだ。
     実際、足が攣りやすい人の心臓の血管が詰まっているのが分かり、手術を受けることになった事例もある。
     あと、『芍薬甘草湯』はあくまで頓服的に使う物なので、よく足が攣るようであれば『疎経活血湯』も候補になることを伝えた。

     汗疹の薬を求めて来店したお客様に『アセモア』と『あせもクリーム』を紹介し、痒みが強いことと範囲が広いとのことから、局所麻酔のリドカインの入っている前者を勧めた。
     そして、落ち着いてきたら、菌の繁殖を防いで血行促進の面倒を見てくれる『あせもクリーム』に乗り換える運用方法を提案した。
     反対に、より痒みが強い場合にはステロイド剤で痒みを抑えるのを優先するようお話して、今回は『アセモア』を購入して頂いた。
     そうそう、養生にはお風呂にしっかり入って、汗管を開くことで汗を出し詰まりを解消するのが良いですよん。

     お客様が『ルキノンエース』をレジに持ってきて、腹痛のある風邪に使えるか尋ねられた。
     患者さんはご主人で、微熱と頭痛のうえ腹痛も訴えているという。
     腹痛のある風邪に使える市販薬は、現代薬の中には存在しない。
     胃腸薬で考えても、甘草といった生薬か、甘草の有効成分であるグリチルリチン酸を加えた物となり、胃腸薬では微熱や頭痛の面倒までは見てくれない。
     そのため実質的に選択肢は、『柴胡桂枝湯』の一択となる。
     ただ、メーカーによってはパッケージに「吐き気」とあり、今回のお客様からも「吐き気は無い」と言われた。
     でも、効能書きにある症状というのは、あくまでメーカーが申請した症状であり、効果を確認できた症状を並べていることもあるし、反対に効果がある可能性は高いが治験で有効性を証明するデータを揃えるのに費用がかかるため、あえて申請しなかった症状は書いていなかったりする。
     もちろん販売時に、書いていない効能に対して「効く」とは言えないけど、少なくとも書かれいている効能の症状が必ず現れていなければならないということも無い。
     ちなみに医療用と市販用とでは効能で示されている症状が違い(申請内容が違うから)、医療用の『柴胡桂枝湯』の効能範囲はメチャクチャ広く、全てを発症するのは大変そうである(笑)
     店頭では市販薬として認められている症状以外には販売できないけど、下記は参考までに医療用での効能。
    「感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、感冒・風邪の後期、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛」
     お客様には、名前が効能を表しており、柴胡が肝臓を助けて抵抗力を高め、桂枝が胃の働きを補助することで疲労を防ぐことを説明して、お買い上げ頂いた。
     このことは、ぜひご主人にも伝えて下さい。
     効くと思って飲むほうが、より効きますので(*´∀`*)

     

  • 解熱鎮痛剤は一時的に使用する物なので

     お客様から『バファリンルナJ』の錠数の多いものを希望されたけど、容量の多いものは無いことと、そもそも解熱鎮痛剤は一時的に使用する物であることをお話したところ、小学生の子供の生理痛に使うとのことだった。
     『シオノギ解熱鎮痛薬』を案内することも考えたけど、頼り過ぎるようになっても困ると思い今回は紹介せず、そのまま『バファリンルナJ』を購入して頂いた。
     小学6年生では約50%に生理痛あるらしく、そのうち解熱鎮痛剤を使っている子供は少ないらしい。
     私自身は、ツライ時に解熱鎮痛剤を使うのは悪くないと思ってはいるけれど、痛くなるのが当たり前のものとして使用するのが常態化してしまうと、成人してから大病を見逃してしまいがちなので、医療費に補助がある子供のうちに生理痛を軽減するための治療を検討するよう勧めた。
     本人は元気で活発なようだから、『桂枝茯苓丸』が候補になるかもしれない。

     『アンメルツヨコヨコ』や『バンテリンEX』などを見比べているお客様がいたので声を掛けてみたところ、筋肉痛に備えてとのことだったので、鎮痛効果を三段階で説明すると一番弱い『アンメルツヨコヨコ』を選択された。
     常用するのであれば、弱いものからで充分だろう。
     鎮痛剤は使い慣れてしまうと、やがてその先が無くなってしまうので。
     他に虫刺されの薬も希望されたため売り場を案内しつつ、筋肉痛の内服薬として『コムレケア』(芍薬甘草湯)も紹介した。
     そうそう、『芍薬甘草湯』自体は頓服薬として使うものだけど、スポーツをしていたりするのなら『疎経活血湯』を運動の前後に服用するという方法もあります(・o・)

     

  • 「普段どうだったか?」というのは薬を選定するうえで重要な情報

     『爽和』と『太田漢方胃腸薬2』を見比べて迷っているお客様がいたので声を掛けてみたけど、案内は断られた。
     どちらもストレス性の胃の不調を謳っているから、分かりづらいかと思ったんだけどな。
     『爽和』は『安中散』に手足の冷えを改善する『四逆散』を加えたもので、仕事が変わったとか誰かに怒られるとか外部から受けるストレスに対応する。
     一方、『太田漢方胃腸薬2』は『安中散』に水分代謝を改善する茯苓を加えた『安中散加茯苓』という処方で、起きてもいないことを心配したりといった内面的なストレスに向いている。
     ただ、どちらにも痛み止めは入っていないので、胃が不調で胃痛があるようなら、『安中散』と痛み止めの『芍薬甘草湯』を合わせた『大正漢方胃腸薬』の方が良い。
     今回は『太田漢方胃腸薬2』を選ばれ、お会計をしながら症状を尋ねるとゲップが出るというお話があったため、『半夏瀉心湯』も紹介してみたけど、パッケージに「胸やけ」とあるのを見て「違う」とのことで、そのまま購入となった。
     まぁ確かに『安中散加茯苓』もゲップには対応しているものの、それだと『六君子湯』も候補になるから実に難しいところ。
     本当は、鳩尾(みぞおち)に指を入れようとして痛むかどうかを確認したいところだったけど、そこまで踏み込める雰囲気ではなかったから訊けなかった。
     人差し指と中指と薬指の3本を揃えて鳩尾に少し食い込ませてみて痛むようなら、神経性胃炎の『半夏瀉心湯』が適応するのに対して、元から胃弱で基本機能が低い場合は『六君子湯』が使える。
     ここで問題になるのは、胃の基本機能と症状が相対的だということ。
     例えば、走るのが遅いからといってそれは足が悪いということにはならないが、無理に早く走ろうとすればその疲労の度合は大きくなるだろう。
     その場合は元々の足の機能に対して無理をしたことを考慮した、中長期的なケアが必要となる。
     でも、元が頑健な足であるのなら一時的な疲労などものともしないだろうから、下支えのようなケアは不要。
     それは胃腸薬の使い方にも云えて、「普段どうだったか?」というのは使用する薬を選定するうえで重要な情報なのだ。
     先のように鳩尾に指を入れてみて痛むようなら胃酸過多が考えられるが、それは同時に元々の胃の機能は低くないと考えられる。
     また、普段から水や氷といった冷たい飲み物を好むのなら、胃の機能が高い一方で胃炎を起こしやすいと推測でき、お湯や温かいお茶を好むのは胃の機能が低下していて内臓が冷えやすいことを示している。
     お年寄りが温かいお茶を好むのは、なんとなく落ち着くというよりも加齢により胃の機能が衰えているからとなる。
     今回のお客様はストレスの表記があるパッケージの『爽和』と『太田漢方胃腸薬2』から選んだのだから、ストレスが思い当たるのは間違いないのだろうけど、ストレスに対する体への負担も元々の機能と相対的だから、果たしてどうだったのかは分らない。
     実のところ、それを知りたい欲もあるんだよねぇ。
     ぶっちゃけ適応するかどうかを知識として覚えても、実際に運用しての効果は患者さんから教えてもらわないと分からない。
     でも、ドラッグストアーじゃ薬を売った後に患者さんが報告に来てくれることは滅多に無く、その積み重ねは難しい。
     なので、たまに「良くなったよ」と言ってもらえると、気持ち的に「☆⌒ヾ(*゚∀゚)ヒャッホゥ♪」と嬉しいだけでなく、勉強になるから有り難いです。
     もちろん、「効かなかったねぇ」と言われて落ち込むこともある訳ですが(´・ω・`)

     お客様から「胃腸炎の薬を」と頼まれ症状を尋ねると、食べると胃痛がするとのこと。
     ひとまずお客様の意を汲んでパッケージに「胃腸炎」と書いてある『柴胡桂枝湯』を紹介しつつ、痛み止めの入っている『大正漢方胃腸薬』を案内してみた。
     しかし、詳しく話を訊いてみると疲労もあるようだった。
     そうであれば、『桂枝湯』で胃の機能を補強して柴胡剤で疲労を緩和したほうが良さそうなので、『柴胡桂枝湯』を使って頂くことにした。

     

  • ドラッグストアーの役割は、あくまで「治療」ではなく「症状の緩和」

     『ドリエル』を求めて来店したお客様に、ひとまず同じ処方の『ドリーミオ』の方を勧めて購入を決めて頂いた。
     そのうえで睡眠の状況を尋ねると、寝つきが悪く30分以上かかるうえ、寝ても眠りが浅く感じるという。
     おそらく暑さで肝臓がやられて、そこに湿度で胃に負担が掛かってるのだろうと思われる。
     単純に寝つきが悪いだけなら『柴胡加竜骨牡蛎湯』のケースだけど、『柴胡桂枝湯』で肝臓と胃の両方の面倒を見れば改善するのではないか。
     でも、お客様の方がそこまで話を聞いて頂ける感じではなかったため、今日のところは見送ってしまった。
     この、案内するべきかトラブルにならないよう引くかというのは、何百人、何千人と相手していても難しい。

     外用消炎剤のジクロフェナクナトリウム製剤を購入されるお客様に、他の薬との併用に気をつけるようお話すると、ギックリ腰に使うそうで、前にもなったというから、改めて受診するよう勧めた。
     ついつい、「前も同じだったから」と考えがちだが、本当に同じかは分らない。
     ギックリ腰は、予後の養生も大事なので、今どうなっているかを把握するためには、ひとまず改善しても病院で様子を確認してもらったほうが良いだろう。
     今回の症状を詳しく訊いてみると、痛みというより、背中からこわばる感じだそうなので、筋肉の緊張を解く『芍薬甘草湯』が効きそうな気もする。
     そういうことも含めて、自己判断だけに頼らずに検証の幅を広げることで、他の体の不調との関連が見えてくることもあるし。
     特にギックリ腰は、腎臓とも関係して、早い話が冷えによる水分代謝の異常や、同じく水分を含む血行不良が原因だったりする。
     冷えが原因なら『桂枝加苓朮附湯』が、患部に痺れを感じるような血行不良には『疎経活血湯』を、加齢による腎機能の低下だと『八味地黄丸』『牛車腎気丸』が候補になる。
     今回は、やはりお客様が『芍薬甘草湯』の話のところで、興味無さげだったため、以降の話はせず。
     ドラッグストアーの役割は、あくまで「治療」ではなく「症状の緩和」という目的では、最初にお客様自身で選んだ薬で充分とも云えるのかもしれんけど、患者さんは本当にそれで良いのかとの疑問は拭えない。

     

  • 時には安楽椅子探偵のように

     『ベンザブロックSプラス』と『葛根湯』を手にして迷われてる様子のお客様に声を掛けてみると、熱は測っていなくて不明なものの熱感は無く、鼻水と鼻づまりを繰り返しているという。
     そうであれば『葛根湯』をと思うものの、体が少しだるく、3日ほど前には喉が痛かったそうなので、もう少し検討したほうが良さそう。
     そこで詳しく訊いてみると、だるいとは云っても食欲が落ちている訳ではない模様。
     喉の痛みについては、喉の奥だったか手前だったかや、ヒリヒリしていたかズキズキしていたか、喉が狭く感じたかなどをヒアリングしてみたけど、治ってしまって覚えていないそうな。
     ううん、まぁ、普通は覚えていないでしょうね。
     まさに、「喉元すぎれば熱さ忘れる」ですが(^_^;)
     スマホや携帯電話という文明の利器があるので、酷くなったら病院へ行こうとか、その前に薬を買おうかと思う時には、日記でもメモでも良いので、体調不良のことを書き残しておくと、後々のために良いです。
     万が一、感染症やら食中毒やらが原因という場合においては、なおさら感染ルートの洗い出しに役に立ちますし。
     それはともかく、お客様が嫌がらず面倒臭からずにヒアリングに応じて頂けたため、鼻水には色が付いているという情報を引き出せた。
     色が付いているとなると、これは風邪が疑われるから、発熱にも備えておいたほうが良さそうだ。
     鼻炎薬でありながら風邪にもそのまま転用できる『葛根湯加川きゅう辛夷』を提案し、試してもらう事になった。
     この手のヒアリングにおいては、本来は質問は多くても三つ程度までとされているから、だいぶ逸脱してしまった。
     これは、今回の反省点である。
     でも、患者さんが根気良く応えてくださると、こちらも本気で向き合いたくなる。
     感情に左右されちゃプロ失格ですが、感情を持った人間でもあるので。
     それにやはり、推理で答えを導くには、証拠集めが必要なんです。
     そうそう、お客様はここのところ入浴せずにシャワーのみで過ごしているとも分かったため、環境的に入れないということが無ければ、ゆったり温まるよう勧めた。

     『セイロガン糖衣錠A』を購入されるお客様に、『正露丸』と違って患部の炎症を抑えて痛みを緩和する甘草と陳皮が入っていないことを伝えると、驚きつつも、そういえば以前に使った時には腹痛が治まらなかったと言われた。
     痛みが治まらなかった原因が別にある可能性はあるけど、やはり『セイロガン糖衣A』は『正露丸』より抗炎症作用は弱いと思う。
     でも、多くの人が『セイロガン糖衣錠A』は、ただ『正露丸』をコーティングして、独特の匂いが無く甘い味付けなだけだと誤解してるんだろうなぁ。
     そもそも『正露丸』は「飲む消毒薬」みたいな物で、戦争で汚染地域に行くことを想定して開発された薬だから、キャンプなどに行くのではなく、国内の都市部への旅行なら他の胃腸薬を検討しても良いだろう。
     今回のお客様は、いつも旅行に常備しいるとのことで、『セイロガン糖衣錠A』をそのまま購入されたけど、他の選択についても質問された。
     対抗は、『安中散』『芍薬甘草湯』を組み合わせた『大正漢方胃腸薬』かな。
     あと、急性の食中りに使える『胃苓湯』が候補になるし、乗り物酔いやら熱中症やらと応用範囲の広い『五苓散』も外し難い。
     お話していて、お客様は漢方薬は長く飲まないと効かないイメージを持ってることが分かった。
     それを言ったら、『正露丸』も生薬の組み合わせで漢方薬みたいなものですし、「風邪には葛根湯」という宣伝文句もあるように、急性症状には早く効きますと説明した。

     

  • 何を飲んで何をやめるか

     お客様から疲労について、『人参養栄湯』と『新パワーアクトEX』などのビタミン剤との使い分けを質問された。
     栄養は血で運ばれるので、手足が冷たいというように血流不良があると、ビタミン剤などで栄養を摂っても体の隅々にまで行き渡らないと考えられる。
     だから、栄養を取る前の土台作りとして『人参養栄湯』で体を温めながら血流改善をしたうえで、ビタミン剤を後から用いるか併用するという使い方になりますと説明。
     もちろん血流不良を実感していなければビタミン剤単体でも構わないし、血行促進のためにビタミンEが含まれている物を選べば充分ということもある。
     今回は『人参養栄湯』の購入を決められ、他に人参を簡単に摂れる物は無いかと相談された。
     ちなみに、漢方薬の人参と、野菜の人参とは別種。
     念のため。
     漢方薬で使う人参はウコギ科で、エゾウコギとかを聞いたことのある人もいるはず。
     一方、野菜の人参はセリ科の植物で、パセリやセロリなどの仲間である。
     お客様には、クラシエ薬品の『セパホルンZ3』を紹介したところ、一緒に購入された。

     やや高齢の、二人組のお客様が来店。
     お一人からは『芍薬甘草湯』を求められたので、『コムレケア』の内容が同じ物であることを説明して案内したけど、なにしろパッケージが腓返(こむらがえ)りを強調しているため、胃痙攣にも使えるのか質問され、下痢や吐き気が無ければ適応することを伝えた。
     もう一人からは『八味地黄丸』を頻尿に使っていて、『ナイシトール』(防風通聖散)と併用できるか尋ねられた。
     生薬構成上は問題無いものの、『防風通聖散』自体が生薬の種類が多く、一般論として漢方薬は生薬の種類が多くなるほど効果が穏やかになる傾向がある。
     『防風通聖散』を単純にダイエットの薬として宣伝してるメーカーもどうかと思うけど、その作用は発汗・利尿・便通促進など多岐にわたり、体全体の新陳代謝を活性化するので、正直コレに他の漢方薬を足すのは無意味。
     頻尿などの顕著な症状があるのなら、そちらを優先した漢方薬を用いるのが良いだろう。
     そうお話すると、『八味地黄丸』は自分で選んで市販で購入したもので、あまり効いた気がしないという。
     うん、まぁ実際に起きている症状と体質でも違いますからねぇ。
     例えば同じ頻尿でも、『八味地黄丸』は夜間の下半身の冷えによる頻尿に適応し、昼間の頻尿は加齢による腎機能の低下が関係するため『牛車腎気丸』の方が適応するだろうし、疲労が顕著な場合は『知柏地黄丸』という選択も考えられる。
     ところが詳しくお話を訊いてみたら、そもそも飲んだり飲まなかったりなんだとか。
     それは……、効きませんね(^_^;)
     まずは、集中的に服用してみてはいかがでしょうとお話した。
     ただ、お客様の体格はガッシリしていたので、もしかすると『八味地黄丸』をやめて『防風通聖散』を使ったほうが、新陳代謝の活性化により頻尿が改善するのではないかと思われたため、補足で伝えてみた。
     今日のところは、家に『八味地黄丸』が余っていることから購入は無し。
     あっ、ちなみに『防風通聖散』は肝臓に負担をかけるのか、肝機能障害の報告もある。
     売り場には本部の指示で山積み展開していますが、3ヶ月以上の長期連用をするようであれば、費用面からしても肥満治療として病院を受診して処方してもらったほうが良いと思われ(・o・)

     

  • 接客に地雷はつきもの、三十六計逃げるに如かず

     お客様から、「足の疲れを取る貼る物を」とのご注文。
     ひとまず鎮痛効果が大きく分けて三段階あることを説明したうえでパップ剤を紹介したうえで、マッサージを兼ねて塗り薬も選択肢にしてはどうかと提案した。
     また、体内から筋肉の炎症を緩和する内服薬として『芍薬甘草湯』も案内してみた。
     そして、『サロンパス』と『サロンパスA』の違いを質問され、Aの方には局所麻酔として働くdl-カンフルが加わっていますと答えた。
     今回のように痛みではなく疲労回復が目的なら、不要ということ。
     という訳で、『サロンパス』を買っていかれた。
     それと、マッサージをする時には力を強く入れるより、掌の親指の付け根で優しく撫でるだけでも充分なことを伝えた。
     マッサージというと、つい強く揉むイメージになりがちだけど、力を入れて上手くできるのはプロの技なればこそ。

     いつもは頭痛に『ロキソニン』を使っているというお客様から、今回は効かなくて、友人からもらった『セデス・ハイ』が効いたとのことで、同じ物をと求められた。
     いや、まぁ、いいですけど……、気軽に人から薬をもらうのは危ないですよ(;´∀`)
     使ってた薬と同じというのならともかく、今回のように効かなかった薬の代わりに初めての物を使う場合は特に。
     ひとまず『セデス・ハイ』を案内しつつ詳しく症状を尋ねると、首の後から肩にかけて痛み、奥歯が浮く感じがするという。
     肩こりの延長や患部の周囲が延焼している可能性を考えると、『釣藤散』が使えるように思える。
     それに、『ロキソニン』が効かないというのは、以前の頭痛と原因が違う可能性がある。
     例えば、胃の不具合から起きる頭痛とかだと、胃に負担のかかる『ロキソニン』は効かないだろう。
     その場合は、水分代謝の改善が必要だから『五苓散』の出番。
     でも、そのお話をしてみたら強く否定されたうえ、「野菜とか食べてますから!!」と急に不機嫌になられた。
     うえっ、何か地雷を踏んだかしらん……。
     どこから野菜の話が出てきたのか、見当もつかない。
     さっきの「気軽に人から薬をもらうのは危ない」って話も、お説教と受け取られてお客様を不愉快にしてしまう事があるんで、今回は避けたんだけどな。
     仕事に真摯に向き合えば、「安全上の注意は必ずする」「安易な判断で薬を売らない」という職責もある訳ですが。
     何が地雷になるか分からないから、接客業は怖いわ~。
     ともかく地雷を踏んだら逃げるに限るので、話を打ち切り『セデス・ハイ』を会計してトンズラ( ・(OO)・ )ノシ

     

  • 機会があれば誰か教えてください

     お客様から「のど飴を」と求められて『ヴイックスドロップ』のある棚を案内したものの、症状を尋ねたら患者さんは10歳の娘さんで、喉が赤く腫れているのを視認しているという。
     ありゃん(^_^;)
     それなら消毒薬もどきじゃなくて、炎症を抑えるアズレン系の『パブロントローチAZ』の方が良いかと。
     そうお話をしたら、薬を使うのを躊躇された。
     他に服用している薬があるのか尋ねるも、それは無いというお返事。
     それじゃあ、薬でアレルギーを起こした事でもあるのかと思ったけど、それも無い模様。
     結局、薬を避けようと思った理由は分からずじまい。
     それでいて同じアズレン系の『マードレトローチ』に興味を持たれたが、こちらは15歳以上という年齢制限がある。
     一瞬、年齢制限を見落としそうになった。
     アブねぇアブねぇ(;´Д`)
     15歳以上に制限されているのは、アズレンの他にクロルヘキシジン塩酸塩が入っているからだろうか。
     後で調べたら、アナフィラキシーショックの事例があるらしい。
     『パブロントローチAZ』を購入して頂いたものの、喉が赤く腫れているのを確認していながら薬の使用を避けようと思った理由が分からないままで、なんだかスッキリしない。
     そういう思考というか、気持ちというか、そういうモノに寄り添わなければならないのだけど、言ってもらわないと理解できないのは、私の方の技能不足か人間的欠陥かと悩み始めると止まらないんですよ……。

     外用消炎剤の棚で、成分の区別無く選んで迷っている様子のお客様がいたため、声を掛けてみた。
     自分自身はパソコンを買うにもパーケージングされた商品の外箱に書いてあるようなスペックではなく個々の部品、つまり薬でいうところの個々の成分を調べて、備わっている機能と自分の使用目標や目的と照らし合わせて、購入する物を選んでいる。
     いわば、素人ながらも少しばかり勉強してからパソコンを選んで、分らないことは店員さんに尋ねて教えてもらうようにしていた。
     だから、お客様が薬の外箱に書いてある少ない情報だけを見比べて、どういう判断をしているのかが、サッパリ分らない。
     効能として書いてあるのはメーカーが治験データに基づいて申請した物だけだから、実は効能があっても申請していないため書いていないケースもあるし、逆に効能には書いてあっても効き方としては弱い事がある。
     分かりやすい例だと、炎症を抑えるトラネキサム酸は、喉の痛み止めの薬に入っているかと思えば、口内炎の薬にも入っていたりする。
     でも、喉の痛み止めの薬の効能書きに「口内炎」とは書いていない商品があり、口内炎の薬に「のどの痛み」とは書いていなかったりする。
     同じ成分で、炎症を抑える効果は当然同じでも、メーカーが申請していない効能は書けない決まりだから。
     もちろん原則として、薬の使用の際には用法・用量は守らなければならないけど、考え方の一つとして「トラネキサム酸の入った喉の痛み止めが手元にあれば、口内炎の時にも使える」というのはある。
     逆に、アレルギーなど体質の関係で避けなければならない成分がある場合はどうか。
     これも例えば、鎮痛薬でアスピリンを使えない人は『バファリンA』も駄目なのだけれど、『バファリンA』の成分表示にはアスピリンとは書いていない。
     しかし、主成分のアセチルサリチル酸がアスピリンなんである。
     この辺はややこしくて、『アセチルサルチル酸』を開発したドイツのバイエル社が『アスピリン』の名前で商標登録したため一般名詞としては『アセチルサルチル酸』なのに、第一次世界大戦でドイツが敗戦した時に連合国が『アスピリン』の商標を取り上げ、それをまた第二次世界大戦後にアメリカのスターリング社からバイエル社が買い戻すという数奇な運命を辿っていて、何故か日本薬局方では『アスピリン』が『アセチルサルチル酸』の正式名称になっている。
     それをどうしてまた、『バファリンA』を製造販売しているライオン社が成分表示にアセチルサリチル酸の名称を用いているのかは謎。(今度、営業さんが来たら訊いてみようかな?)
     そんな訳で、効果的な薬を選ぶにしても、避けるべき薬を確認するにしても、外箱に書いてある内容は情報不足な訳で、お客様がそれを手掛かりに何を基準にして選んでいるのか、それが分からないから、私としては戸惑うばかり。
     で、逸れた話を戻すと今回のお客様は、成人の息子さんが、ここ数日ほど両足とも腓返(こむらがえ)りを起こしているというお話だった。
     そして、高齢の母親が病院で処方された湿布薬を使ったというのだけれど、その内容が不明のうえ、実際に使ってみての効果については、本人から聞いてきていないそう。
     あうっ(・_・;)
     案内する手掛かりが無い……。
     安楽椅子の名探偵だって、ヒントが無ければ推理できないと思うの。
     他に情報は無いかと息子さんの仕事について尋ねてみると、営業職で車の運転が多いらしい。
     同じ姿勢による筋肉の疲労と、営業職としてのストレスの混合が原因かも。
     湿気と暑さも、当然考えられるしなぁ。
     推理の範囲を狭めるつもりが、広げてしまった……。
     無難なところで、外用消炎剤としては中程度で浸透力のあるフェルビナク製剤にしておきましょうかね。
     ということで『ほぐリラ 冷感』をお買い上げ頂き、本人はシャワー派だというので血流改善のために入浴するよう伝えてくださいとお話した。
     あっ、そうそう。
     家族でも、内容を理解しないまま薬を融通するのは危険だし、飲み薬と比べて貼り薬だから安心ということは無いので、やめて下さいね。
     そして帰られてから、ハッと気がついたΣ( ̄□ ̄;)
     内服薬に『コムレケア』(芍薬甘草湯)を紹介し忘れたことに。
     いつもなら、むしろ内服薬のことを先に考える私なのに、処方された湿布薬を流用したという話に気を取られ過ぎたか……。

     

  • 経口補水液は小まめに複数回に分けて飲む

     お客様が『爽和』などのストレス性の胃腸薬の箱を手に取り、『半夏厚朴湯』のパッケージも眺めていたため声を掛けてみた。
     お話を聞くと、主訴は胃痛と胃のつかえ感とのこと。
     私が触診をする訳にはいかないため、お客様自身に(みぞおち)に指の第一関節までを食い込ませようとすると痛いか試してもらったら、痛むというので『半夏瀉心湯』の方が適応すると考えられることをお話した。
     『半夏厚朴湯』がストレスによって気管支が詰まるのに適応するのに対して、『半夏瀉心湯』は食道からもう少し下の胃の上部にかけて緊張を解く。
     まぁ、「瀉心」というのが瀉心とは「心下のつかえを下ろす」という意味だし。
     一応、『爽和』についても説明して、こちらは健胃剤として働く『安中散』に、緊張によって細い血管が締まり手足が冷えるときに緩和する『四逆散』を加えたもので、どちらかという対人や環境といった外的な要因でのストレスに適応する。
     類似処方には、同じく『安中散』に、水分代謝を改善する茯苓を加えた『安中散加茯苓』があり、こちらは胃に余分な水分が溜まることで前かがみがちになって、起きてもいないことを心配して悩むような内的な心因性のストレスに適応する。
     今回のお客様は、外的なストレスが思い当たるらしく、もし『半夏瀉心湯』が効かない場合の乗り換え先として『爽和』は次点候補となることを説明すると、ひとまず『半夏瀉心湯』を試して頂くことになった。

     知人から漢方薬を勧められたというお客様が来店したんだけど、肝心の漢方薬の名前を覚えていない(^_^;)
     とりあえず症状を尋ねてみると、こむら返りということだから『芍薬甘草湯』の『コムレケア』を案内してみたら、間違いない模様。
     ただ、こむら返りに『芍薬甘草湯』というのは当然の選択ではあるものの、最近購入される方はテレビの影響らしいので、いくつか確認をと思い、ヒアリングしてみた。
     すると、今までにも何度かなっているものの、季節などが関係するかは、発症時に意識したことが無いため分からないという。
     それでも、漢方薬を勧めた知人からは水分補給が必要なことも教えられたらしく、ペットボトルの経口補水液を数種類ほど買い物カゴに入れていた。
     それは確かに、その通り。
     だけど、経口補水液は一時にまとめて飲むのではなく、小まめに複数回に分けて飲むのでなければ体が適切に処理できないことをお話したら、知らなかった様子。
     例えるなら、ゲリラ豪雨で用水路に水が溢れるようなもので、人間の体も急に水を送られてきても処理できないのだ。
     実際、経口補水液のペットボトルには目盛りが付いているのに、案外と知らない人が多いし。
     知人さん、できればそこまで教えてあげて下さいな(^_^;)
     あと、腸は体温より低いと吸収できないため、冷たい物は胃で温まるまで留め置かれてしまい、経口補水液を熱中症対策に使う場合には冷やし過ぎないことも重要。
     熱中症が疑われる場合に体を冷やすのが必要なのは確かだけど、補給する水分は常温のほうが良い。
     こむら返り対策に寝る前に飲むにしても、冷たい状態で飲むと胃に留め置かれて寝付きが悪くなるし。
     そして、こむら返りの原因は水分代謝の異常や筋肉疲労ばかりではなく、心臓疾患でも起きるため、繰り返す場合は病院の受診も視野に入れるようお話した。

     

  • 患者さんの連れが適応しない薬を勧めるのに困ることも

     お客様が、のどスプレーの『フィニッシュA』をレジに持ってきたけど、痛むのは喉の奥だという。
     喉の奥だと、逆流性食道炎や胃炎が原因の可能性も考えられる。
     その場合は、殺菌消毒系の物は合わなかったりするため、炎症を抑えるアズレン系ののどスプレーを勧めたうえで、内服薬の『パブロントローチAZ』や『マードレトローチ』と『駆風解毒湯』を案内した。
     でも、のどスプレーを希望されていたので、アズレン系ののどスプレーをお買い上げ。
     一応は、頭重感や鼻炎など風邪の兆候が無いことからすると、胃炎の可能性は外せないので、消化に良い食事をするようにお話した。

     日焼けの相談でお客様が来店したんだけど、これがもう見事なくらい顔だけでなく太ももや腕も真っ赤で、完全にヤケド状態。
     日焼けしたのは昨日だというから、できれば昨日の段階で来てもらいたかった。
     お客様にもヤケドと同じ状態であることを説明し、痛痒さを抑えるために抗炎症成分の入っている『フリージローション』(桃の葉ローション)を勧めた。
     そして、一緒に日焼けケアの内服薬として『黄連解毒湯』を案内したところ、液剤を希望された。
     どうも、液剤のほうが効きが早いと思われているようだった。
     こむら返りに使う『芍薬甘草湯』でも服用後15分ほど、風邪に用いる『葛根湯』も1時間以内には効いてくるもので、剤形はあまり早さに関係しないことを説明したうえで、一応は『五苓黄解』の液剤を紹介した。
     全身の日焼けは全身ヤケドと同じで、実のところ内臓、特に胃腸にもダメージを受けていると考えられるから、熱を降ろしつつつ水分代謝を改善する『五苓黄解』という選択は有効ではある。
     ただ、一日あたりの価格面では、やはり『黄連解毒湯』の方がお得感がある。
     その辺りも説明すると、『フリージローション』と『黄連解毒湯』を一緒に購入して頂けることになった。
     他に、布団に敷く『エコシート』を買おうとされたけど、あくまで冷感であって熱を下げる訳ではないので費用対効果の点で勧められないことを説明し、『冷えピタ』の方を大量に購入して頂いた。
     私としては、『冷えピタ』も勧められなくて、二重にしたビニール袋に氷を入れた方が良いんだけど。
     まぁ、この場合「何かしら買いたい」というのもお客様の要望だからということで。
     そうそう、『アロエ軟膏』はどうかとも訊かれたけど、痒み止めの成分が入っていないから今の段階では早く、使うとすれば痛痒さが治まってからのケアでの乗り換え先にとお話した。
     あと、皮膚の炎症を軽減するには、温かい食事をして内臓を温めるよう勧めた。
     これは、体としては炎症を起すことで新陳代謝を活性化して皮膚の再生を促そうとするんだけど、いわばそれが痛痒い訳で、体が火照るからといってそこで冷たい物を飲んでしまうと、体の方は「体が冷えちゃう。もっと熱を出さなきゃ!!」と頑張ってしまい、より炎症症状が酷くなってしまうのだ。
     温かい物を飲むことで、体の方は「自分で無理に温めなくてもイイか(・∀・)」と落ち着き、ダメージを受けている胃腸も労(いたわ)ることができる。
     ………お客様と一緒にいた友人らしい人が、たびたび口を挟んできて、湿疹の薬なんかをお客様に勧めるんで、それを阻止するのに苦労した(;´Д`)
     なにせお客様とその人の関係性が分からないから、強く否定して面目を潰すようなマネはできないし、さりとて同意する訳にもいかないし。
     お客様は私の方の話を聞いてくれたけど、なんだったんだろうあの友人の行動は。
     親切心なのか、お客様の役に立つ自分をアピールしたかったのか謎。