吐き気があったり腹痛を伴う風邪には

 やや高齢のお客様より、筋肉痛の相談を受けた。
 原因が山登りとハッキリしているので、急性症状向けのインドメタシン製剤を勧めて購入を決めて頂いた。
 そして、予め分かっているようであれば内服もご検討くださいと『コレムケア』(芍薬甘草)を紹介したところ、一緒に購入された。
 そしてお会計時に、良く足が攣るという話があったため、足が攣る原因は疲労や血行不良だけではなく、心臓機能の低下の可能性があるので油断しないように伝えた。
 足の脹脛は、下半身に降りた血液を心臓に戻すポンプの役割をしていることから「第二の心臓」とも云われていて、そこが過剰に疲労するということは、本物の心臓の機能を補おうとしているから、と考えられるのだ。
 実際、足が攣りやすい人の心臓の血管が詰まっているのが分かり、手術を受けることになった事例もある。
 あと、『芍薬甘草湯』はあくまで頓服的に使う物なので、よく足が攣るようであれば『疎経活血湯』も候補になることを伝えた。

 汗疹の薬を求めて来店したお客様に『アセモア』と『あせもクリーム』を紹介し、痒みが強いことと範囲が広いとのことから、局所麻酔のリドカインの入っている前者を勧めた。
 そして、落ち着いてきたら、菌の繁殖を防いで血行促進の面倒を見てくれる『あせもクリーム』に乗り換える運用方法を提案した。
 反対に、より痒みが強い場合にはステロイド剤で痒みを抑えるのを優先するようお話して、今回は『アセモア』を購入して頂いた。
 そうそう、養生にはお風呂にしっかり入って、汗管を開くことで汗を出し詰まりを解消するのが良いですよん。

 お客様が『ルキノンエース』をレジに持ってきて、腹痛のある風邪に使えるか尋ねられた。
 患者さんはご主人で、微熱と頭痛のうえ腹痛も訴えているという。
 腹痛のある風邪に使える市販薬は、現代薬の中には存在しない。
 胃腸薬で考えても、甘草といった生薬か、甘草の有効成分であるグリチルリチン酸を加えた物となり、胃腸薬では微熱や頭痛の面倒までは見てくれない。
 そのため実質的に選択肢は、『柴胡桂枝湯』の一択となる。
 ただ、メーカーによってはパッケージに「吐き気」とあり、今回のお客様からも「吐き気は無い」と言われた。
 でも、効能書きにある症状というのは、あくまでメーカーが申請した症状であり、効果を確認できた症状を並べていることもあるし、反対に効果がある可能性は高いが治験で有効性を証明するデータを揃えるのに費用がかかるため、あえて申請しなかった症状は書いていなかったりする。
 もちろん販売時に、書いていない効能に対して「効く」とは言えないけど、少なくとも書かれいている効能の症状が必ず現れていなければならないということも無い。
 ちなみに医療用と市販用とでは効能で示されている症状が違い(申請内容が違うから)、医療用の『柴胡桂枝湯』の効能範囲はメチャクチャ広く、全てを発症するのは大変そうである(笑)
 店頭では市販薬として認められている症状以外には販売できないけど、下記は参考までに医療用での効能。
「感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、感冒・風邪の後期、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛」
 お客様には、名前が効能を表しており、柴胡が肝臓を助けて抵抗力を高め、桂枝が胃の働きを補助することで疲労を防ぐことを説明して、お買い上げ頂いた。
 このことは、ぜひご主人にも伝えて下さい。
 効くと思って飲むほうが、より効きますので(*´∀`*)

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