• タグ別アーカイブ: 知柏地黄丸
  • 患者さんの情報の小出しに悩む。初見で信頼してもらう難しさ

     やや高齢の女性2人組のお客様から、『ベリチーム酵素』と『タナベ胃腸薬ウルソ』の違いを尋ねられた。
     端的に言ってしまえば、『ベリチーム酵素』は胃での消化を助け、『タナベ胃腸薬ウルソ』は腸での消化を助ける。
     消化というと胃を思い浮かべがちだが、胃の役割は食べ物を柔らかくすることで、喩えるなら鉄を酸でボロボロにして、実際に溶かして吸収するのは腸で行われる。
     一応は『ベリチーム酵素』にも腸で作用するパンクレアチンが含まれてはいるけれど、胃で作用する酵素成分のほうが多い。
     ちなみに健康食品やサプリメントに「酵素」があるが、実際に胃腸で働くには加工技術に寄るところが大きいため、医薬品として認可を申請できない程度の物では効果は望めない。
     高価な酵素食品を求めるくらいなら、『ベリチーム酵素』の方が効果は確実。
     また、『タナベ胃腸薬ウルソ』の主成分であるウルソデオキシコール酸は体内で循環しており、それを自動車のオイル交換のように新しくして消化力を上げるのが目的なので、1週間以上は毎日欠かさずに服用するのが効果的。
     こちらもちなみに、病院では肝臓疾患に用いられる薬で、市販薬をその目的で使うことはできないが、飲酒が多い人で下痢しがち、便秘しがちであるのなら胃腸薬として選択肢に入れておいたほうが良い。
     するとお客様は、お腹の張りに病院で『ガスター』を処方されてるとのことだったが、それは自分から医師に頼んだ物だそうで、しかし胃の灼熱感や上がってくる感じは無いというため、適応するとは思えない。
     医師の判断だから口は挟めないけれど、強く求められて自身の監督下だから処方したのだろうか。
     風邪に抗生剤は不要でも、患者から頼まれると出す医師がいるという話は聞くし。
     また、『タナベ胃腸薬ウルソ』の購入を決められたものの、胃潰瘍や胃炎に処方される薬も出ていると分かり、飲み合わせを調べたうえでお買い上げいただいた。
     さらに、お会計の段になってチエノトリアゾロジアゼピン系に属する睡眠導入剤も処方されていると知らされた。
     なんで、そんなに小出しにするの(ToT)?
     しかも、この睡眠導入剤は胃の働きにも影響するから、現在の胃の張りの原因が副作用ということも考えられる。
     お客様には、お薬手帳に成分表示を貼って一元管理することと、医師や調剤している薬剤師には使ったことを報告し、お薬手帳を持ち歩くようお願いした。
     市販薬を買うときにも、お薬手帳を見せてもらえれば処方されている薬が一発で確認できるし、病院や調剤した薬局の営業時間内なら、飲み合わせを問い合わせることだってできる。
     それに、病院に行かなくても普段から持ち歩いていれば、出先で事故に遭ったさいの救命措置に役立つうえ、大規模災害により避難することになったら特例として医師の診察を受けずとも必要な薬を受け取ることが可能となる。

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     お客様から、ご主人の胃もたれの相談を受け『第一三共胃腸薬プラス』の他に『ギャクリア』(六君子湯)と『セルベール整胃』を案内した。
     いずれも、胃の働きを助ける胃薬である。
     今回は『第一三共胃腸薬プラス』をお買い上げいただいたが、胃薬を選ぶのは人づてでは症状の詳細が分からず難しいので、遅くまで営業してるお店での本人の購入が望ましいことを伝えた。

     お客様から胃腸薬を求められ売り場を案内したところ、いつも『大正漢方胃腸薬』を使っているとのことで、購入を決められた。
     そのさいに、お湯と水とを飲み較べてどちらで楽になるかを試してみる鑑別法を教えると、睡眠導入剤があるか尋ねられ、市販されてるのは睡眠補助剤であることを説明し、『ドリエル』と『ウット』を紹介したところ後者を試していただくことになった。
     ちなみに、お湯を飲んで楽になるのは胃が冷えているか疲れていると考えられるから胃の働きを助ける胃薬が適応し、水で楽になるようだと胃炎を起こしていると考えられるため、胃酸の出過ぎを抑え胃壁を保護する胃薬が候補となる。
     そして、お客様の睡眠の状態は、寝つくまでに時間がかかるのと、ウトウトして夢を見ることが多く、中途覚醒していまうという全てがあるそうで、特に翌日に用事があると寝つけないというため、数を数える単純な方法を勧めた。
     漢方的には、寝つくのに時間がかかるのは肝の働き過ぎで、眠りが浅くなるのは脾胃(胃腸)の疲れ、中途覚醒は腎の機能低下が考えられる。
     肝の働きを抑制するのには『柴胡加竜骨牡蛎湯』『抑肝散陳皮半夏』が考えられ、脾胃を助けるのは『桂枝加竜骨牡蛎湯』あるいは『加味帰脾湯』が候補となり、腎を養うのには『牛車腎気丸』『知柏地黄丸』などが適応する。
     お客様の場合は、一つ一つの問題というよりバランスが取れなくなっているのだろう。
     数を数えるというのは、1から100までをゆっくり心のなかで数え、それを10セット、つまり1000を数える。
     えらく退屈な作業であるが、退屈な映画を見たり本を読んだりしたときに眠くなるのと同じで、脳を退屈させるのが目的。
     だから、途中で数え間違えたりしても気にしない。
     間違えるのは退屈してきている証拠で、そのまま眠ってしまう可能性が高い。
     お客様からは、睡眠の相談に応じたことを大変喜ばれた。

     

  • 女性は排尿後の拭き取り方に注意! 店頭ではお話しにくいのでココで

    お客様が『ボーコレン』(五淋散)を購入されるさいにヒアリングしたところ、他のお店の薬剤師さんから勧められたとのこと。

    どうして、そのお店で買わなかったのかは分からない。

    置いていないけど紹介だけしたのか、それとも品切れだったのか。

    あるいは、お客様が相談はしたけど迷ったのか。

    念のため、『猪苓湯』『竜胆瀉肝湯』を交えての使い分けを説明し、他に『腎仙散』も案内した。

    いかにも膀胱炎に効きそうな名前の『ボーコレン』だけど、適応するのは疲労が思い当たる場合。

    お客様は疲労感はあるというため、適応すると伝えたうえで、前に効いた薬が次も効くとは限らないので、そのつど検討するようにお話した。

    その薬剤師さんからは他の薬のことは知らされなかったそうだけれど、商品名から効そうな薬を案内したから、効くと思って使う薬は効くことを期待して、あえて言わなかったということも考えられる。

    漢方的には、生薬の種類が少ないほどシャープに効くという考え方があり、そこからすると『猪苓湯』が一番効果的と云えるし、病院でも処方されることが多い。

    一方、『竜胆瀉肝湯』は排尿時に灼熱感があり、体力が充実している人向け。

    漢方薬と勘違いされやすい『腎仙散』は民間薬の一種で、生薬の種類がやたらと多いため、広く浅く効くと考えられる。

    あっ、そうそう。

    話の流れと、女性のお客様には言い出しにくくて伝えられなかったのだけれど、排尿後の陰部の拭き取りには気をつけてもらいたい。

    トイレットペーパーなどで拭き取る動作をすると、原因菌を広げてしまい、それが膀胱炎の原因となったり持続させてしまったりする。

    叩くようにして紙に染み込ませるのが、陰部を清潔に保つ方法である。

    女の子のお子さんがいる家庭では、本人に教えてあげて下さいな。

    ホント、店頭ではこの話を切り出しにくいもので(;´Д`)

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    やや高齢のお客様から、頻尿に『ユリナールb』を求められたけれど、患者はご主人で、テレビか何かで見たらしく、適応するのは体力の弱い人や食欲が落ちている人と説明し、一般的には『八味地黄丸』がファーストチョイスになる物として紹介した。

    お客様がご主人に電話をして直接ヒアリングさせてもらったところ、疲労倦怠感や胃腸が弱っているということも無いようなので、『ユリナールb』は適応しない可能性が高いことを説明し、『八味地黄丸』の『ベルアベトン』を試していただくことになった。

    また念のため、食欲はあっても疲労を感じる場合の『サモンエース』(知柏地黄丸)も紹介した。

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  • 薬を買うときに少しだけ、お話する時間を持ちませんか?

     お客様から浣腸の20ccを求められたけど置いていないため、10ccを2本使う方法を勧めたところ11歳の子供とのことで、お買い上げいただいた。
     そもそも浣腸は刺激物なので20ccをいっぺんに使うより、様子を見て追加する方が安心である。
     そしてお客様には、トイレでの排便しやすい姿勢を教えた。
     人間の直腸は立っている時に蓋をする構造になっていて、そのおかげで立ちションはできても立ちウ○コはできないようになっている。
     だから急な便意に襲われた場合、お腹を押さえるような姿勢で腰をかめてしまうと漏れるので、背筋を伸ばしたほうが良い。
     トイレに飛び込んでも、下着を脱ぐさいに腰をかがめると悲劇になるので、便座に腰掛けるまでは油断しないように。
     でもって、便秘している時にはその逆をすると排便しやすくなる。
     つまり、理想は和式便器に座る姿勢。
     洋式便器に座ったら、膝が胸につくくらい前かがみになるか、台を用意して足を乗せるのだ。

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     若いお客様から睡眠導入剤を注文されたけれど、市販薬は睡眠補助剤であることを説明したうえで売り場を案内すると、前に使ったという『ドリエル』を購入された。
     古いタイプのアレルギー性鼻炎や皮膚の痒みに使われている成分の、眠くなる副作用を利用した薬で、急激に眠くなるから寝入りに時間がかかる人に向いているものの、寝起きがスッキリせず頭がボウッとするかもとお話したところ、働いていないから大丈夫とのお返事。
     病院を受診してるかは不明で、睡眠障害にも種類があることをお話してみたけれど、本人は「ストレスだから」とか「頭が忙しいから」とあまり話を聞いてもらえなかった。
     むむっ、もしかすると病院で何か処方されていたかもしれないなぁ。
     もう少し上手く話を引き出すべきだった。
     当然のことながら眠りは、感情との関係が深い。
     寝入りに時間がかかるのは肝臓が過剰に働いている場合で、感情の特徴は「イライラが持続する」ことなため『柴胡加竜骨牡蛎湯』や読んで字の如しの『抑肝散陳皮半夏』が適応する。
     寝ることができても、ウツラウツラとして寝た気がしないのは胃腸の機能が低下しており、感情面では「起きていないことを心配する」ことに現れて『桂枝加竜骨牡蛎湯』が候補となり、看護師など夜勤をする人ならば『加味帰脾湯』で改善が期待できる。
     年を取って多くなる、夜中や明け方に目が覚める中途覚醒は腎臓の機能低下と連動していて、感情としては「無気力」だったり、今まで愉しめていたことが「愉しいと感じることができない」というケースが多く、腎を助ける『牛車腎気丸』や『サモンエース』(知柏地黄丸)を用いる。
     そして大事なことだが、人間の体は機械ではないから、これらの状況がいっぺんに現れることがあるし、若い時の中途覚醒は内臓もまた成長途上でエネルギー不足ということもあるので、フローチャートのように当てはめていくのは適切でない。
     そこを探っていくためにも「薬ちょうだい」ではなく、対話していきたいんである。 

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     お客様が『太田胃散』を購入されるさいに、鼻炎薬との併用に気をつけるように伝えると興味を持たれたので説明すると、大変に驚かれた。
     厳密には成分の組み合わせで決まることなのだけれど、総合胃腸薬に制酸剤として入ってることの多いマグネシウムやアルミニウムは、鼻炎薬の一部の成分を吸着して体への吸収を妨げて、鼻炎薬の効き目を落してしまう可能性がある。
     また、『太田胃散』には入っていないが、やはり制酸剤として使われることの多いロートエキスは下痢止めとしても使われ、要は内臓の機能を低下させる作用があり、鼻炎薬や咳止め、あるいはその両方の入った総合風邪薬と併用すると、さらに内臓機能を低下させてしまう。
     とにかく胃腸薬は、処方されている成分の種類が多いジャンルなため、他の薬や持病との兼ね合いを考えるのが難しい反面、気軽に買う人が多いうえ、高齢者ともなると「昔から使ってるから」という理由で選んでいることもあるから、売る側としては神経を使うんである。

    「ホントは難しい胃薬の選び方」
     

  • 一つ一つの市販薬はそれほど怖くはないかもしれないけれど、使い方が心配なのです

     お客様が『ルキノンエースα』を購入されたけれど、主訴は喉の痛みと熱感だというので、鎮痛剤を提案したところ「これだと下痢しない」とのお話だった。
     入ってる咳止め成分と鼻炎止め成分に腸の働きを鈍らせる副作用があるから、そのせいかもしれないとお話したところ、癌で胃を取ってるというため薬剤師や医師に相談してみるよう勧めたけれど、それ以上は何を言っても聞いてもらえなかった。
     直接的には問題は無いかもしれないが、他の薬についても同じ感覚で使われていると事故を起こす可能性が高まって心配。

     お客様が『ウット』を購入されるのでヒアリングしてみたところ、前にも使ったとのことだけれど、困っているのは夜中に目を覚ます中途覚醒というため、合わないかもしれないと伝えたが、時間を気にしてる様子で漢方薬を紹介できなかった。
     睡眠補助剤も成分によって系統が違ううえ、『ウット』は大脳皮質の機能を抑制させることで眠気を誘う薬を主体に、他の鎮静剤も加えてあるため体の機能そのものを低下させてしまう。
     そして中途覚醒は腎機能の低下が考えられるから、『ウット』を使い続けると、ますます中途覚醒の原因となりかねない。
     漢方薬では『牛車腎気丸』や『サモンエース』(知柏地黄丸)などが候補になるけれど、お客様の様子からすると精神面の影響がありそうだったから、『加味逍遥散』が使えるように思えたのだけれど。
     ちなみに、寝るまでに時間がかかる寝付きの悪いタイプは肝の問題と考えられ、『柴胡加竜骨牡蛎湯』とか『抑肝散陳皮半夏』のような漢方薬が候補となる。
     寝るには寝られても、ウツラウツラと意識があって寝た気がしないというのは消化器官である脾胃が弱っていることが多く、夜勤などで食事時間なども安定していない人には『加味帰脾湯』を勧めている。


     
     お客様が『アイボンうるおいケア』をレジに持ってきたけれど、目の痒みの他にホコリ取りに使うとのことで、抗炎症成分の多い『アルガード目すっきり洗眼α』を案内し、変更となった。
    「立ってる者は親でも使え」との言葉があるように、立ってる店員は遠慮無く使って下さいと伝えた。

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  • 家族で同じ病院を受診して個人情報を共有してもらうのも、病院の上手な使い方

     高齢のお客様から『デルモゾール軟膏』を求められたけれど、病院の処方薬のため同程度のステロイド剤に殺菌剤も加えた物として『フルコートf軟膏』を案内して、お買い上げいただいた。
     軟膏はベタつくのを嫌がる患者さんもいるけれど、服と擦れたりしないよう患部を保護するのが目的なので、あのベタつくのが大事なんである。
     クリーム剤はというと、人間の皮膚は案外とバリヤー機能が高く成分を浸透させるのが難しいから、そのバリヤーを破って浸透させるのに向いている。
     そのため、患部が複数箇所に点在している場合、患部の位置と患部の状態によって、同じ薬の剤形違いを使い分ける場合もある。

    フルコートf

     やや高齢のお客様から滋養強壮剤の『ビイレバーキング』を求められ、うちの店には置いていないためヒアリングしたところ成人の息子さんが仕事でイライラしている様子だというので、『ヘパリーゼプラスII』を紹介した。
     滋養強壮剤というと、スッキリシャッキリ元気になる物と思うかもしれないが、実は大別すると2種類あり、カフェインなどで「体をビックリ」させて「元気になったと錯覚する」タイプと、ハッキリした効果は感じられなくても実際に体を支えるタイプとがあり、『ビイレバーキング』や『ヘパリーゼHP』は後者に当たる。
     息子さんは寝付きが悪いと言うため、肝臓の働きが亢進している場合に適応する『柴胡加竜骨牡蛎湯』『抑肝散加陳皮半夏』なども紹介した。
     寝てもウツラウツラと意識があって寝た気がしない場合は、胃腸機能の低下が考えられ『桂枝加竜骨牡蛎湯』『加味帰脾湯』が候補になり、特にタクシーの運転手や看護師といった夜勤の患者さんに重宝されている。
     私は中途覚醒しやすく、これは腎臓の影響によるものなので『牛車腎気丸』『八味地黄丸』、あるいは疲労を伴う場合『知柏地黄丸』の『サモンエース』が候補となる。
     いずれにせよ、不眠対策は家庭環境や仕事の内容など、極めて個人的な領域にまで踏み込まないと適応する薬を検討するのは難しいから、本当は本人に来店してもらうのが最善。
     お客様の息子さんの場合は、最近離婚したばかりで、以前に精神科に通院していたという話も伺った。
     そして医師から病名を付けられそうになったため行くのやめたというので、内科医は精神科の知識は少なくても精神科の医師は内科的なことは基礎知識として持っているはずなので、それは「モッタイナイのでは」とお話しした。
     すると、自身は心臓を患ったことがあり、ご主人も同じかかりつけ医に診てもらっているのに、医師には家族であることを明かしていないというから、個人情報は開示した方が良いと勧めた。
     まぁ、住所などの情報があるから医師は気が付いてるかもしれないけれど、同じ環境で生活しているというのは重要な情報であるから、医師とはそういう話も共有した方が良い。
     それから、息子さんには自分が使っている『敬震丹』をあげたそうで、処方の内容としては適応すると考えられるものの、家族だからといって薬を分け与えるのは好ましくありません、と付け加えた。

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  • 歯磨き粉の成分を無駄にしないためには、歯を磨いた後のうがいは一回だけ

     女性の親子のお客様が『のどぬーるスプレー』をレジに持ってきたけれど、それは殺菌が目的だから、抗炎症成分のアズレン製剤を紹介したところ変更となった。
     スプレー製剤はもちろん、トローチなども薬の形より成分で選ぶのが重要なことを伝えた。
     すると2種類の歯磨き粉の比較を尋ねられ、皮膚の再生を促すアラントインと血流を良くするビタミンEの入っている方を勧めた。
     また、歯を磨いた後のうがいは一回だけにしたほうが、成分を全て洗い流さずに済んで無駄にならないことをお話しした。
     歯磨きした後に、何度もうがいしてしまっては歯磨き粉を使う意味が無くなってしまう。
     それならいっそ、歯磨きをする前にうがいをして虫歯の原因菌と食べカスを、ある程度流しておいた方が効率的。
     お客様からは、「勉強になりました」と言ってもらえた。

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     若いお客様が小林製薬の『ノコギリヤシ』と『ノコギリヤシEX』を比較したところに声をかけてみたら、頻尿とのことだったので『八味地黄丸』を紹介した。
     医薬品メーカーということで信用されているけれど、サプリメントに関しては「やらかした過去」があるから、私はオススメしない。
     また、疲労感がある場合の頻尿にと『サモンエース』(知柏地黄丸)も紹介すると、以前に『ユリナールb』(清心蓮子飲)を使ってみて効くかなかったというため、年齢的にも、ガッシリた体格的にも合わないと思われることをお話しして、今回は『八味地黄丸』を試していただくことになった。
     お客様は、かなり前に病院を受診したきりで、ストレス性と診断されて処方された薬が効かなかったようだが、その薬の名前を覚えておらず、医師がどんな判断をしたのかも分からない。
     頻尿は水の飲み過ぎとは限らず、塩分を摂りすぎるとそれを排出しようとしてトイレが近くなることもあるとお話ししたところ、味の濃い食事が好きとのことだったから、やはり関係しているかもしれない。
     またシャワー派とのことだったが、お風呂に入ろうと思えば入れるというので、入浴をして内臓を温めるのも養生法であることを伝えた。

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  • 咳を花粉症と思わない人は多い

     お客様から『ドリエル』を求められ、売り場を案内すると探しているのは『ドリエルEX』だった。
     主成分は全く同じで、違いとしてはEXの方が水溶液を閉じ込めたソフトカプセルで、溶けやすく早く効くという点である。
     そのままお買い上げいただき、お会計のさいに不眠の状況を尋ねると、入眠困難と浅い眠りが重なっているようだったため、浅い眠りは胃の不具合との関係が考えられることをお話したところ、思い当たるようだった。
     ちなみに入眠困難は、肝臓の働きが過剰になっていることが考えられる。
     お客様には入浴を勧めたけれど、ワンルームで浴槽が無いというため、皮膚が薄くて太い血管が通ってる場所に重点的にシャワーを浴びるようにお話した。
     特に髪や体を洗っている時間を使って、背中側からシャワーを浴びるのが効果的である。
     今回は、初めから『ドリエル』を指定されたため紹介できなかったが、体格が細く肌の色がくすんでいることからすると、『加味帰脾湯』が適応するようにも思えた。

     雑貨のお買い物をされるお客様が、会計中に咳を繰り返していたためヒアリングしてみたところ、花粉症かもしれないとのお話だった。
     咳を花粉症と思わない人は多く、説明しても信じてもらえないことも多いから珍しい。
     異物を外に出そうとするのが咳の役割であるから、花粉も同じことなんだけどね。
     病院からも花粉症の薬が処方されているとのことだったので、症状を軽減するためには防衛機能を担っている腸の働きを整えるのが有効と説明して、お腹周りを温めるようお話したところ、咳をどうにかできないかとの相談を受け、上半身に保水して咳を抑える『麦門冬湯』を紹介した。
     すると、電車内で咳を止めたいというため『ルルメディカルドロップ』を案内すると、『麦門冬湯』と一緒に購入された。

     もう閉店時間だったが、お客様から頻尿の相談を受け対応し、前に使っていたという『八味地黄丸』をお買い上げいただいた。
     漢方薬だから長く飲まないと効果が出ないのか尋ねられ、そんなことはありませんと答えたけれど、合っているかは検証が必要なことを伝え、疲労感がある場合には『サモンエース』(知柏地黄丸)の方が適応することをお話して紹介した。

     

  • 人には時として増長も必要?

     高齢のお客様から、病院で『ビオフェルミン』を処方されているものの、便秘に効かないと相談を受けた。
     病院で処方されている薬の代わりなんて、ドラッグストアーでおいそれと提案できるもんじゃないけど『ビオフェルミン』は、まぁ乳酸菌だから、ちょっと考えてみよう。
     症状を詳しく訊いてみると、腸が動かない感じだそうなので、『桂枝加芍薬湯』を案内してみた。
     内臓が未発達な幼児の便秘には水飴の入った『小建中湯』を使うが、その『小建中湯』から水飴を抜いたのが『桂枝加芍薬湯』で、本来はストレス性による便秘や下痢を正常の状態に戻す漢方薬である。
     他に、食事の量が減っているというお話もあったため、腸内の水分を吸収して便の嵩を増やす『サトラックス』も紹介した。
     とはいえ、病院に通っているのであれば、加齢による体内の水分の不足で起きる便秘を改善する『潤腸湯』を処方してもらうという手もある。
     なので、担当医に『潤腸湯』『桂枝加芍薬湯』の処方について相談してみるよう勧めた。
     自信は必要だけど、天狗になっちゃ駄目なんである。

     『ルルアタックNX』を購入されるお客様に念のため症状を尋ねると、主訴は鼻水と咳であるものの、鼻水は透明なサラサラで咳もそれほどではないそう。
     ふむぅ、そういうことでしたら体内を温めるだけで改善しそうにも思えます。
     そうお話して『葛根湯』を勧めると、一緒にお買い上げになった。
     勿論、上半身を温める『葛根湯』は咳には適応しないんだけど、咳がそれほどでもないというのは、単純に寒暖差によるものか、花粉などの異物を吸って反応しているだけかもしれず、そういう場合には無視しても構わないので。
     一応の咳についての鑑別方法としては、冷たい水と温かいお湯のどちらを飲むと楽になるかで試すというのがあることを、お客様に伝えた。
      冷やして咳が楽になるようなら『五虎湯』か適しているし、温めて楽になるのなら『葛根湯』『小青龍湯』となる。
     今回の場合は、内臓が冷えていると出る透明でサラサラな鼻水ということだったので、その点は考えなかったけど。

     やや高齢のお客様がサプリメントの『ノコギリヤシ』をレジに持ってきて、「夜飲べば効くか」と質問されるので症状を尋ねると、夜間にトイレで起きてしまうからとのことだった。
     確かに『ノコギリヤシ』は、アメリカなどではそういう用途で処方される薬だけど、日本では医薬品としての効能は、まだ認められていない。
     効能が認められている漢方薬のほうが良いのではないと話すと興味を持たれたので、『八味地黄丸』を紹介すると購入を決められた。
     また、『八味地黄丸』で効果がイマイチと感じる場合には、高齢でもあるから『サモンエース』(知柏地黄丸)や『ジェントスルー』(八味地黄丸加五味子麦門冬)というような乗り換え先もあることを伝えた。

     『チクナイン』(辛夷清肺湯)を購入されるお客様に使用経験を確認したところ、初めてとのこと。
     ただ、蓄膿症と診断されたことはあり、鼻汁が喉に落ちるというから、適応から考えても最初の候補となるので、そのままお買い上げ頂いた。
     そして、鼻汁が喉に落ちてくるのは胃が弱っているためと考えられるので、胃に優しい食事に切り替えることと、蓄膿症は上半身に不要な熱が篭るのが原因だから、上に昇る熱が循環するように下半身を温めるよう勧めた。

     

  • 家を出る前に家にある薬の撮影を

     お客様から、子供の発熱にと『パブロンkids』の効果を尋ねられたけど、他に目立った症状は無く、行こうと思えば病院に連れて行けるというので、39度を超えなければ薬を飲ませなくても良いのではとお話したところ、まだ微熱の段階だそう。
     それなら、家に『葛根湯』があれば使ってみるよう提案すると、置いてはあるものの錠剤の味を嫌がるという事から、『葛根湯kids』の方を購入された。

     『キューピーコーワゴールドαプラス』と『パワーアクトゴールドα』の比較を尋ねられ、後者には血流改善のための当帰が入っていないことを説明した。
     そして今日は売り出し日でお得なため、まとめ買いをされるか悩まれたようなので、同じ物をまとめ買いするより別な物を揃えてはどうかと提案し、肝機能を補助する『ネオレバルミン』を紹介した。
     栄養剤にしろ薬には代わりないから、肝臓の負担を軽減するのが良いかと。
     もっとも、その『ネオレバルミン』にしたって肝臓で代謝される訳ですが。
     すると、近くにあった『サモンエース』(知柏地黄丸)に興味を示された。
     四十代以降の人には、男の更年期といった頻尿とか局所的な冷えや熱感といった不定愁訴に役に立つものの、そういう年齢的な疲労を感じてるようでもないため、今回は勧めなかった。
     そして、今までに話には出なかったけど鼻炎の話になり、鼻づまりと鼻水を行ったり来たりというようなので『葛根湯加川きゅう辛夷』を案内したら、『キューピーコーワゴールドαプラス』と一緒にお買い上げ頂いた。
     売り出し日には、こういうふうに話があっちに行ったりこっちに行ったり走り幅跳びしたりで、良く分からなくなる。
     日記に書いてみて、ようやく流れが把握できた。

     中学生の子供が鼻づまりと咳を訴えてるとのことで、お客様から相談を受けた。
     発熱などの風邪の兆候は無く、『パブロン』が効かなかったそう。
     ただし、どの『パブロン』だったのかは覚えていないとのこと。
     買い物に出る時には冷蔵庫の中を携帯電話やスマホで撮っておくという小技が雑誌に紹介されていたけど、薬に関しても同じ。
     使った薬や、家にある薬を撮っておいてもらえると、提案できる幅が広がって有益です(・o・)
     そして今回は、鼻汁が喉に落ちてきて咳になってるようだという事が分かり、蓄膿症と診断された事もあるというお話から、風邪薬ではなく鼻炎薬を使うように提案し、『チクナイン』(辛夷清肺湯)を案内した。
     蓄膿症に特化して考えると『チクナイン』という名前は悪くはないんだけど、漢方薬名の『辛夷清肺湯』の方が使いどころが分かりやすいように思える。
    「辛い物で夷(鼻汁)を通し肺を清める」と覚えれば、これが鼻づまりと咳を連想で結び付けられるので。
     まぁ、中身は胃薬なんですけどね。
     胃が弱ると、喉に落ちてくる異物を押し返せなくなる。
     つまり、胃が弱っているから鼻汁が喉に落ちてくるという次第。
     しかし、以前にお客様自身に処方された『小青龍湯』を飲ませたら、辛苦くて嫌がったそう。
     しかも、薬剤師さんからはアイスクリームに混ぜる方法を教わり、それを試してみたら、なおさら駄目だったとか。
     それは、駄目でしょうねぇ(;´Д`)
     スイカに塩を振るようなもので、甘い物と一緒にしたら辛苦さが強調されるだけ。
     むしろ、カレースープとかミネストローネスープのような香辛料の入る物と混ぜたほうが違和感が無いはず。
     ただ、『辛夷清肺湯』は名前に反して甘い生薬も多めだから、『小青龍湯』よりは飲みやすいと思われますとお話して、お買い上げ頂いた。

     

  • 同じ症状のようで原因と対応策は複数あります

     やや高齢のお客様より、『ハルンケア』のご相談。
     最近になって、夜中に2~3回起きてしまう頻尿とのことで、テレビCMで見た『ハルンケア』を気に留められたそう。
     夜中ということだと、冷えや湿気が考えられるので下半身を温める『八味地黄丸』の『ハルンケア』は、適応すると考えられることをお話した。
     すると、効能書きに頻尿には関係無さそうな、かすみ目や腰痛などもあるのが不思議に思えるようなので、糖尿病が失明に繋がることがあるのを例にして、加齢による腎機能の低下が関係することを説明した。
     そして、一日分の『ハルンケア』より、小容量の錠剤の方が費用的には安く済みますと勧めて、お買い上げ頂いた。
     ちなみに、『八味地黄丸』の適応より虚弱な人には『知柏地黄丸』が、疲労感が顕著な場合は『杞菊地黄丸』を、より高齢で不定愁訴の場合には『牛車腎気丸』が候補となります( ・∀・ )ゞ

     『葛根湯』を購入されるお客様に、風邪の場合は発熱したら適応時期を過ぎていることをお話すると、旦那さんの肩こりと、成人の息子さんの鼻炎に使うつもりとのこと。
     いずれも『葛根湯』で対応できるとは思われるものの、詳しくお話を訊くと、旦那さんは自分で風邪だと思い、発熱していないのに総合風邪薬を服用したそう。
     ありゃん(;・∀・)
     発熱していない段階で総合風邪薬を使うと、神経に作用するため疲労してしまうことをお話して、より肩こりに寄せた処方の『独活葛根湯』を紹介した。
     すると、旦那さんは偏頭痛もあるらしく、仕事で車を運転することが多いそうなので、緊張型頭痛の場合に用いる『釣藤散』と、悩みによるストレス性の頭痛に用いる『コリッシュ』(治肩背拘急方)を案内してみた。
     それから、息子さんは花粉症があり、鼻炎は鼻水と鼻づまりの両方を行ったり来たりのようなので、『葛根湯』の変方である『葛根湯加川きゅう辛夷』を紹介した。
     興味を持って聞いてもらえたとは思うけど、とりあえず『葛根湯』は双方に通じる基本処方でもあるので、そのままお買い上げ頂いた。
     お二人ともお風呂には入るそうだから、のぼせ対策に水で濡らしたタオルを頭に乗せるなどして、少しばかり長湯(20~30分)をするよう勧めた。