何を飲んで何をやめるか

 お客様から疲労について、『人参養栄湯』と『新パワーアクトEX』などのビタミン剤との使い分けを質問された。
 栄養は血で運ばれるので、手足が冷たいというように血流不良があると、ビタミン剤などで栄養を摂っても体の隅々にまで行き渡らないと考えられる。
 だから、栄養を取る前の土台作りとして『人参養栄湯』で体を温めながら血流改善をしたうえで、ビタミン剤を後から用いるか併用するという使い方になりますと説明。
 もちろん血流不良を実感していなければビタミン剤単体でも構わないし、血行促進のためにビタミンEが含まれている物を選べば充分ということもある。
 今回は『人参養栄湯』の購入を決められ、他に人参を簡単に摂れる物は無いかと相談された。
 ちなみに、漢方薬の人参と、野菜の人参とは別種。
 念のため。
 漢方薬で使う人参はウコギ科で、エゾウコギとかを聞いたことのある人もいるはず。
 一方、野菜の人参はセリ科の植物で、パセリやセロリなどの仲間である。
 お客様には、クラシエ薬品の『セパホルンZ3』を紹介したところ、一緒に購入された。

 やや高齢の、二人組のお客様が来店。
 お一人からは『芍薬甘草湯』を求められたので、『コムレケア』の内容が同じ物であることを説明して案内したけど、なにしろパッケージが腓返(こむらがえ)りを強調しているため、胃痙攣にも使えるのか質問され、下痢や吐き気が無ければ適応することを伝えた。
 もう一人からは『八味地黄丸』を頻尿に使っていて、『ナイシトール』(防風通聖散)と併用できるか尋ねられた。
 生薬構成上は問題無いものの、『防風通聖散』自体が生薬の種類が多く、一般論として漢方薬は生薬の種類が多くなるほど効果が穏やかになる傾向がある。
 『防風通聖散』を単純にダイエットの薬として宣伝してるメーカーもどうかと思うけど、その作用は発汗・利尿・便通促進など多岐にわたり、体全体の新陳代謝を活性化するので、正直コレに他の漢方薬を足すのは無意味。
 頻尿などの顕著な症状があるのなら、そちらを優先した漢方薬を用いるのが良いだろう。
 そうお話すると、『八味地黄丸』は自分で選んで市販で購入したもので、あまり効いた気がしないという。
 うん、まぁ実際に起きている症状と体質でも違いますからねぇ。
 例えば同じ頻尿でも、『八味地黄丸』は夜間の下半身の冷えによる頻尿に適応し、昼間の頻尿は加齢による腎機能の低下が関係するため『牛車腎気丸』の方が適応するだろうし、疲労が顕著な場合は『知柏地黄丸』という選択も考えられる。
 ところが詳しくお話を訊いてみたら、そもそも飲んだり飲まなかったりなんだとか。
 それは……、効きませんね(^_^;)
 まずは、集中的に服用してみてはいかがでしょうとお話した。
 ただ、お客様の体格はガッシリしていたので、もしかすると『八味地黄丸』をやめて『防風通聖散』を使ったほうが、新陳代謝の活性化により頻尿が改善するのではないかと思われたため、補足で伝えてみた。
 今日のところは、家に『八味地黄丸』が余っていることから購入は無し。
 あっ、ちなみに『防風通聖散』は肝臓に負担をかけるのか、肝機能障害の報告もある。
 売り場には本部の指示で山積み展開していますが、3ヶ月以上の長期連用をするようであれば、費用面からしても肥満治療として病院を受診して処方してもらったほうが良いと思われ(・o・)

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