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  • 健康情報は必ず「自分に引き寄せて」

     湿布を求めて来店したお客様は、膝の痛みに使うということだった。
     私は普段は、常用するのなら鎮痛効果の弱い物から段階を踏んで乗り換えることを提案して、打ち身とか急性であれば短期決戦に強い物をと勧めている。
     そのうえで漢方薬を紹介して、興味を示されるかを探ってみる。
     漢方薬というと、「長く飲む物」とか「すぐには効かない」と思い込んでいて、全く話を聞いてもらえないことも少なくない。
    「風邪には葛根湯」という言葉もあるくらいで、誤解なんだけどねー。
     湿布を常用するのなら、飲み薬の方も検討してみてはと思う。
     今回のお客様は興味を持ってもらえたので、お風呂で温まると楽になるというお話から『桂枝加苓朮附湯』を候補にした。
     しかし、詳しくお話を訊くと、立ち仕事で足が浮腫むということが分かり、外見的に水太りの傾向も見られたため、水分代謝を改善して痛みを緩和する『防已黄耆湯』の方を勧めて、お買い上げ頂いた。
     あと、あまり水分を摂らないというお話で、そうするとむしろ体の方は保水しようとするため、量は必要無いので小まめに飲むよう伝えた。
     ちなみに、飲み薬については全く考えていなかったそう。
     選択肢は、多い方が良いですよん(´∀`)

     お客様から、以前に治療した奥歯が痛むので、何か塗り薬をと要望された。
     うちには『デンタルクリーム』が置いてないから、『新今治水』を案内してお買い上げ頂いた。
     飲み薬を避ける理由は、話を振ってみても何も答えてくれなかったため不明。
     何か他の薬を飲んでるのを、隠したかったのかなぁ。
     服用している薬の種類によっては、鎮痛剤なんて売れないからね。
     一応、歯科医に行くのを優先するようには伝えたけど。

     やや高齢のお客様が、漢方薬の棚をウロウロ。
     声を掛けてみても、「大丈夫」と断られた。
     そしてしばらくすると、「漢方薬あるのに、芍薬甘草湯は置いてないの?」と訊かれた。
     私がこの店で働き始めて漢方薬の種類を充実してきたけど、『芍薬甘草湯』は置けない物の一つで困る。
     というのも、本部から大量の『コムレケア』が送り込まれていて在庫を抱えているから。
     中身は、同じ『芍薬甘草湯』なんですけどね。
     『コムレケア』のパッケージは、こむら返り専用のようなデザインだし、『芍薬甘草湯』の名前は成分表示を見て分かる程度で、『芍薬甘草湯』を探しているお客様からすると、「置いてないの?」となってしまう。
     お客様には同じ物であることを説明して、お買い上げ頂けた。
     ただ、よく足が攣るというので、ちょっと心配。
     脹脛(ふくらはぎ)は「第二の心臓」とも呼ばれていて、下半身に降りた血液を筋力をポンプ代わりに使って上半身に戻す補助をしている。
     足が攣るというのは筋肉の疲労が関係する訳で、脹脛が疲労するほど働くのは、本物のポンプの心臓の機能が低下している可能性があるのだ。
     頻繁に足が攣る人が、病院で調べてみたら心臓の血管の一部が詰まっていることが判明して、手術を受けた例もある。
     怖がらせるつもりは無いですが、薬に頼ってばかりだと重大な病気を見逃してしまいがちなので、病院を受診することも検討するようにお話した。
     現代薬より漢方薬を勧める私だけど、漢方薬を常用している人の中には、「病院嫌いだから」と頼っている人もいるので、注意喚起はしておかないと。
     何ごとも、一辺倒とか極端なことは良くありません。

     とか思っていたら、やや高齢のお客様が同じく『芍薬甘草湯』を求めて来店した。
     それで先のお客様と同じように、よく足が攣る場合には気をつけて下さいねとお話したら、テレビ番組で『芍薬甘草湯』が紹介されていたと分かった。
     なるほど(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚ )
     番組の内容は分かりませんが、それこそ薬を指名で買う前に、症状については店頭で相談して下さいね。
     『芍薬甘草湯』自体は、頓服として一時的な筋肉の痙攣による疼痛に使う物で、だから下痢や嘔吐の無い腹痛に使う訳ですが、漢方薬だからと「長期連用しても安心」では無いですし。
     それこそ足が攣る原因は、怖い心臓疾患より水分代謝の異常で血中の水分不足で起きることの方が多いから、水分代謝を改善する『五苓散』の方が適していたり。
     そういや前に、健康番組で糖尿病予防の特集をやっていた時に、「サラダを最初に食べることで、血糖値の急激な上昇を抑えられる」と紹介していて、その後にお店に来たお客様の何名かが口を揃えて「サラダを最初に食べると健康にいいんだってね」と言っていたっけ。
     ちゃんと番組中ではテロップで「糖尿病予防」って出ていた通り、それは「血糖値の急激な上昇を抑える」のが目的の食べ方で、「健康に良い食べ方」じゃないのに、どうも頭の中で自動変換されてしまうらしい。
     胃の働きを良くするために、味噌汁などの温かい物を最初に飲むという方法もある訳で、「自分の身体状況に合わせる食べた方」をすることが大事なので、健康情報は必ず「自分に引き寄せて」検討したうえで実践しましょう。
     それはともかく、やっぱり薬を指名で買う前に、症状については店頭で相談して下さいね。
     今まで知らなかった薬なら、なおさらのこと。

     

  • 治りかけの風邪に使える風邪薬は無い!?

     ご主人が風邪とのことで、お客様が来店。
     『パブロンSゴールド』と『ルルアタックEX』を使ったが、改善しないという。
     しかし症状の経過を確認すると、そもそもの主訴は喉の痛みだけだと分かった。
     となれば、解熱だの鼻炎だのの成分は余計な物で、しかも神経を抑えてしまうから、患部の炎症を長引かせてしまう。
     風邪薬よりも、主訴にターゲットを絞ったほうが効果的なことを説明して、『駆風解毒湯』と『ペラックT』を紹介してみた。
     すると、以前に病院で処方されたトローチを今日になって使ってみたと言われた。
     なんで、後出し……。
     話してるうちに、思い出したのかもしれないけど。
     ただ、そのトローチの内容は不明で、効果があったのかは本人から聞いていないので分からないという。
     代理で薬を買いに来る時には、せめて使った薬を確認して、現在の症状を確認してきて下さいな(;´・ω・)
     いや、いつものお客様に比べたら、使った市販の薬銘柄を覚えていただけでも、「スゴ━━━(*゚∀゚*)━━━イ」と思っちゃうのは、毒されてきてるのか。
     でもそこまでで、病院で処方される薬と市販薬をリンクさせて考えてもらえるところまでの道のりの、なんと遠いことか………。
     今回のお客様は、『ペラックT』を選ばれてお買い上げ。
     本当は、喉の痛みが手前なのか、奥の方なのかも確認したかったんだけどね。
     奥の方なら、健康な人でも1日に50回くらいは胃液が逆流していて、いわゆる逆流性食道炎を「喉の痛み」と認識しているケースがあるから。
     そんな訳で、念のため食事は消化の良い物にして量を控えるようにとお話した。

     またご主人が風邪で治りが悪いと、別なお客様から相談された。
     こちらは、一時は38度まで発熱して汗をかき、3日ほど経過しているというから風邪だったのは間違い無さそう。
     そして今は、昼は平熱なものの夜に微熱になるというお話から、風邪は後期に差しかかっていると思われることを説明して、『柴胡桂枝湯』を勧めた。
     風邪の後期での市販薬選びの難しいところは、実質的に『柴胡桂枝湯』しか選択肢が無いこと。
     現代薬の風邪薬は、「症状の緩和」を目的とした処方で、いわば「熱が出るのを抑える」とか「咳が出るのを抑える」とか「鼻炎などの炎症を抑える」とか、とにかく「症状を抑える」のが主目的。
     ところが、風邪の治りかけとなれば、それらの症状はすでに弱まっている訳で、今さら抑えることに意味は無く、微熱を抑えるのなんか、這いつくばってヨロヨロと前進しようとしている背中を踏みつけるようなもんである。
     つまり、杖となり、土台となり、「体を起こす」働きが、現代薬の風邪薬には無い。
     あるとすれば、せいぜいが栄養ドリンクくらいか。
     そして、栄養ドリンクがガソリンだとすれば、風邪で弱ってるのはホディでありエンジンであり各部の部品だから、ガソリンを入れたところで車体のメンテナンスがされなければ、やっぱり車は正常に走れない。
     その点『柴胡桂枝湯』は、効果範囲が名前に現れており、柴胡は肝臓を助け、桂枝は胃腸を助ける。
     暑さ寒さの温度変化に弱い肝臓は、もちろん発熱によってもダメージを受け、風邪薬などを服用したとすれば、その代謝と解毒のために過労状態になっている。
     胃にしても、発熱で消化力は衰え、風邪のウイルスが内蔵に及んでいれば、胃腸炎を引き起こしているかもしれず、腸の機能の低下は栄養の吸収を悪くする。
     だから、風邪の後期には『柴胡桂枝湯』が適応するのだけれど、患者さんが「漢方薬は嫌い」という事になると、もう選択肢が無い。
     漢方薬が嫌で、どうしても薬をと言われたら、生薬配合の栄養ドリンクを候補に挙げて、「ゆっくり休んで下さい」としか……。
     でも今回は、そのまま『柴胡桂枝湯』で承知して頂けて、正直ホッ(*´∀`)=3

     やや高齢のお客様が、湿布を求めて来店。
     ご主人が手の神経痛に病院から湿布を処方されており、同じ物をと注文されたものの、お薬手帳や説明書のたぐいを持ってきていないため不明。
     しかも、今回買いに来た目的はその、手の神経痛のためではなく膝の痛みのためだという。
     どうやら、膝の痛みに同じ湿布を使っているもんだから、次の診察までに使い切ってしまったらしい。
     そして何故か、膝の痛みについては担当医に話していないそうな。
     整形外科に通ってる患者さんが、胃の不具合とかは科が違うからという理由で相談しないケースにはよく遭遇するけど、同じ科目と考えられるのに相談しない理由がよく分からない。
     次の通院までの期間に膝が急に痛くなったのではなく、前から痛がってたみたいなのに。
     とりあえず湿布をとの注文に、『フェルビナク』を案内してお買い上げいただくことになった。
     膝の方は、冷えると痛むようだというお話もあったため、『桂枝加苓朮附湯』を紹介してみたけど、興味は持ってもらえなかった。
     まぁ、それは仕方無いとして、通院先の病院の担当医には、今回購入した湿布を使ったことを報告して、膝についても相談するよう勧めた。

     
     

     

  • 店頭に来てもらうのが一番ではあるものの帰りが心配

     やや高齢のお客様が外用消炎剤の棚の前で迷われていて、漢方薬も手にとっていたので興味が有るのかなと思い声を掛けてみた。
     主訴は腰痛で、家では『フェイタスローション』を使っているものの、あまり効いた感じがしないという。
     病院では『葛根湯』を処方されたらしいのだけど、どうして上半身を温める『葛根湯』が処方されたのかは不明で、やはりというか当然というか効かなかったそう。
     腰の痛みは「鉄板が張り付いたような感じ」で、お風呂に入ると楽になるというお話から、血流が悪くなっている場合に対応する『疎経活血湯』と、温めて水分代謝を改善する『桂枝加苓朮附湯』を紹介した。
     また、病院では「更年期障害でしょう」と言われたそうで、冷えを強く感じるというお話もあったため『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』も案内した。
     ただ、近く改めて検査に病院に行くと分かったため、漢方薬の名前と適応症をメモして渡した。
     本日のところは、塗り薬として『インドメタシンローション』を案内して、そちらをお買い上げ頂いた。
     そして、担当医が漢方薬に理解が無い時に備えて、漢方薬に詳しい診療所を紹介した。

     鼻風邪ということで来店したお客様は、熱は計っていないというお話だったけれど、見た目からも顔が赤くて目が虚ろで、家に帰れるのかが心配になるくらいだった。
     主訴は鼻水と咳ということから、『小青龍湯』にアセトアミノフェンとエテンザミドを合わせた『ストナデイタイム』を勧めて、お買い上げ頂いた。
     食欲は有るとの事だったけど、風邪を治すためのエネルギーが欲しくて脳が指示しているだけで、すでに胃腸の機能は低下しているだろうから、消化に良い物にして、量を控えるよう伝えた。
     どうか、無事に家に辿り着いて下さい(;´Д`)ノ~

     

  • 選ぶのは患者さんですから

     以前に風邪で来店された時に、『麻黄湯』『柴胡桂枝湯』を案内したお客様が、今回『麻黄湯』を購入。
     寒気のせいか、朝起きると寒さがこたえ、日中に体を動かしていても寒く、悪寒のように感じるとのこと。
     そうであれば、血行も良くする『葛根湯』の方が向いているように思える。
     単純に体内を温めるのなら、『小青竜湯』も適しているだろう。
     ところが、胃の具合が悪いというお話も出た。
     ありゃ、そうなると『麻黄湯』ばかりでなく、他の物も胃に負担になるかも。
     薬ではないけど、『くず生姜』で温まったらどうでしょう?
     本日のところは、『麻黄湯』を使ってみるという事に。

     やや高齢のお客様が家族と一緒に来店し、『ロキソニン』を求められたけれど取り扱いが無いことを説明し、『バファリンプレミアム』を案内してみた。
     特に『ロキソニン』と決めてる訳じゃないそうなんで。
     用途を尋ねてみたら、椎間板ヘルニアを患ってから腰痛と十数年来付き合っているそう。
     病院から処方されているのは痛み止めだけで、冷えると痛み、温湿布で楽になるというお話から、『桂枝加苓朮附湯』を案内したところ、立ち仕事が腰の負担になっているというお話もあったため『疎経活血湯』も案内した。
     病院で処方してもらうよう勧めてみてお礼は言われたものの、本人にはあまり興味を持ってもらえなかった模様。

     

  • 分かってて使いたい薬を指定されるのならアリだと思うんだけど

     腰痛と膝痛の相談で訪れたお客様から、以前に『ロイヒつぼ膏』でかぶれたことがあり、原因はトウガラシエキスだと思うと言われた。
     えーと、トウガラシエキスは入っていないんですけど……。
     こういう時、お客様の気分を害さずに指摘するのに悩む(;´・ω・)
     頭の中は、言い回しや言い換えをバーッとリストアツプして軽くパニックに。
     いや、まぁ、唐辛子に微量ながらノニル酸ワニリルアミドが含まれているから、まったくの別物とはならないのかもしれんけど。
     主な効果は温感刺激作用なので、かぶれの原因なのは確かだろうし。
     温めると具合は良くなるそうなので、同じ成分で配合量が少ない『温感パッチアスコラル』と、別な成分の『ハリックスほぐリラ温感』を案内してみた。
     すると、湿布の匂いが気になるという話もあったため、一般的に湿布の匂いと思われているのは、サリチル酸系であることを説明した。
     フェルビナクが浸透力に優れていることをお話すると興味を持ったものの、丸いタイプの方が好みとのことで、『温感パッチアスコラル』を購入された。
     また、内服薬として『桂枝加苓朮附湯』と『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介すると興味を示されたので、近くの漢方薬に詳しい病院を勧めたら、主治医だそうな。
     ただ、腰痛と膝痛については整形外科とマッサージに通っていて、その漢方薬に詳しい病院が掲げてる科目が内科のため、話したことが無いという。
     ありゃん(^_^;)
     掲げてる科目は、あくまで得意分野という事だけだったりするし、自分で診れないと思えば他の病院を紹介してくれたりするから、言うだけ言ってみるのが良いですよん。
     それに、病態が意外な疾患と関係あったりするので。
     頻繁に繰り返す腓返(こむらがえ)りの原因が、心臓の血管の塞栓だったとかね。
     症状の関係性を見い出すのが医師の仕事だから、気になる症状は何でも伝えてみて下さいな。

     お客様から風邪ということで相談を受けたけど、鼻づまりの他は目立った風邪の兆候は無い様子。
     以前は『パブロンエース錠』を使っていたらしく、『新ルルAゴールド』との比較を尋ねられた。
     う~ん、鼻炎だけなら余計な物が入っていない鼻炎薬の方が、お勧めなんだけどなぁ。
     お客様としては風邪薬を使いたいらしく、そのうえ使いたい薬の候補も決められているというのは、選択肢が狭すぎて難しい……。
     成分の比較として、『新ルルAゴールド』の方がマシかな、と消極的なスタンスで勧めて、お買い上げ頂いた。
     せめて、『ベンザブロックS』も候補に加えられると良かったんだけど。
     主訴が鼻炎なのに、どうしてそっちに目が行かなかったのか分らない。
     鼻炎と風邪の区別がつきにくい時には、『葛根湯加川きゅう辛夷』も便利なんで、紹介したかった。

     今日はバレンタインデー。
     奥さんからは、例年通り何も無い(・o・)ノ
     次郎はというと、同じクラスの憧れの女の子からはもらえず、次郎曰く「人間ふなっしー」(なんだそりゃ)の女の子からもらったそうな。
     オマエね、好意を示してくれる女の子は大事にしなきゃアカンよ。
     好きな子と相思相愛なんて無いんだからね(´。・ω・。`)
     で、私は女友達から、バレンタインデーに柿の種をもらった。
     なんだよ、柿の種って(笑)
     私がお酒好きだからだそうな。
     晩酌に美味しく頂いた。
     ウマー(´¬`)

    Screenshot of www.kitazono.jp

     

  • お気に入りの薬が終売になるのは乗り換えるチャンス?

     以前から『ファリフルハップ温感』を使用しているお客様が買いにみえたけど、メーカーで終売になっていることをお知らせした。
     うちで売り切れた時に、周辺のドラッグストアー数軒に問い合わせてみて、どこも取り扱っていなかったから、どうしたのかと思ってメーカーに問い合わせたら生産終了が分かった次第。
     生薬にオオバコが配合されていて、良い湿布だったんだがなぁ。
     お客様からは同じように効く物をと要望されたけど、アルニカチンキを配合した『ハリックスほぐリラ温感』くらいしか無い。
     ひとまず試して頂くことになったけど。
     そもそも患部は足首で、指圧マッサージに通っているだけだそうなので、温めると痛みが軽減するというお話から、『桂枝加苓朮附湯』と『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介して、整形外科で処方してもらえないか相談してみるよう勧めた。

     以前に、咳止めに『麦門冬湯』を勧めて使って頂いたお客様がいらした。
     今回も主訴は咳で、出張先で『麦門冬湯』を入手できなかったため、『アネトン』を使っていたそう。
     でも『アネトン』は、服用した直後は一時的に咳が治まるものの、改善しないため来店したとのこと。
     ただ今回の咳は、夜に冷たい空気を吸うと咳になるというから『小青龍湯』の適応が頭をよぎった。
     しかしさらに訊いていくと、布団に入ると咳が強くなるそうなので考え直し、患部を冷やしつつ熱を発散する『五虎湯』を試して頂くことにした。
     冷たい空気を吸って咳になるのは単純に気管支の反射で、布団に入って咳になるのは熱が篭ってしまうからと推測。
     あと、アレルギーの可能性も話してみたところ、秋頃に庭の木に触れて腕がかぶれたとか。
     今回と関係するかは不明だけど、花粉の季節になるとまた咳になるかも。
     その時には、『麦門冬湯』の出番です。 

     

  • 薬で心配なのは相互作用なんですよ

     高齢の母親のアレルギーの目薬が欲しいと、お客様が来店。
     病院で処方されているのと同じ物を探してるそうで現物を持参されていたけれど、市販に同じ成分の物は無いことを説明した。
     また他に、やはりアレルギーの内服薬も処方されているというお話。
     でもそちらは内容が不明で、現物は持ってきていない。
     薬は相互に影響する可能性があるから、処方されている薬は全部教えてもらわないと……。
     その把握のためにお薬手帳があるのに、どうして活用してくれないの(´・ω・`)?
     仕方がないので、担当医に問い合わせるか、調剤してもらった薬局に市販品で使える物を紹介してもらうよう提案した。
     しかし、頼まれ物ですぐに買って帰りたいと言われ(そのためにお薬手帳が必要なんですよ?)、影響が分かりやすい、ほぼ単味剤の『ザジテンAL点眼薬』を案内し、異常があれば使用を中止して下さいと念押しして、お買い上げ頂くことに。
     ………売りたくない。
     他に、お客様自身の膝の痛みの相談を受け、冷えが関係ありそうだったため『桂枝加苓朮附湯』を案内してみたが、急に太ってしまったというお話と、水太りの傾向がありそうに見受けられたので、『防已黄耆湯』を試して頂くことになった。

     やや高齢のお客様が、風邪で『パブロンL』を服用していて効かなかったため『コンタックEX』に乗り換えたけど、まだ効かないと相談を受けた。
     しかし詳しく症状を尋ねると、そもそも発熱は無く、鼻炎にもならず、喉が痛むだけだという。
     それは、風邪ではなかったのでは……。
     扁桃腺炎か、もしくは逆流性食道炎や胃炎を喉の痛みと感じた可能性がある。
     さらに症状の経過を確認してみると、食欲が落ちてきたというので『柴胡桂枝湯』を案内して、お買い上げ頂いた。
     最初に喉が痛む段階で、風邪薬なら『ルルアタックEX』や『銀翹散』といった喉の症状がメインの物を使うか、むしろ喉だけにターゲットを絞って『ペラックT』や『駆風解毒湯』を使っていれば適応したように思える。
     まぁ、食欲が落ちてきたという点からすると、やはり胃炎が喉の痛みの原因だった可能性も捨てきれない。
     その場合は、胃薬の『半夏瀉心湯』か、体内の乾燥を取る咳止めの『麦門冬湯』が候補になるけど、これを店頭で判断するのは、なかなかに難しい。
     でも、頼まれ物だったりすると勧めにくいけど、こうして本人が来ていただければヒアリングの中で適応を絞り込むことができるから、買う前に相談して下さいませ。

     

  • 勉強の手間を省く代行業です

     昨日、昼食後に腹痛と下痢をしたと来店し、『大正漢方胃腸薬』を購入して頂いたお客様が再訪。
     ひとまず効いたらしいのだけれど、良くなったと思って食べたら、またお腹を壊してしまったそう。
     それも、どうやらここのところ、同じことを繰り返しているという。
     ありゃん、それは昨日には聞き出していなかった話(;´・ω・)
     反省して、今度はもう少し詳しく聞いてみると、胃の不調は以前からでストレスが思い当たるらしい。
     ということは、食欲は脳が感じるだけで胃の機能は低下したままですから、良くなったと思っても消化しやすい食事をしばらく継続するように勧め、『安中散』に外部からのストレスを軽減する『四逆散』を加えた『爽和』を紹介し、お買い上げ頂いた。
     自分で鬱々と悩んでしまう場合のストレスには、『リフレライフ』(安中散加茯苓)の方が適応することも説明して。
     昨日は『大正漢方胃腸薬』も買って頂いたから、無駄な買い物をさせてしまった……。
     痛みが強かったら、『芍薬甘草湯』の入った『大正漢方胃腸薬』が向いていたとも言えるけど。
     どちらにしてもヒアリングが足りなかったのは事実で、ショボーン(´・ω・`)

     やや高齢の父親から『コンドロイチン』を頼まれたとのことで、成人のお客様が来店。
     父親は膝の痛みを訴えているそうだけど、病院で検査を受けたことは無いという。
     とりあえずコンドロイチン製剤をひと通り案内したうえで、膝の痛みが軟骨の減りなどではない可能性もあることをお話して、冷えと水分代謝の不良に使う『桂枝加苓朮附湯』と、血行不良による神経痛に用いる『疎経活血湯』を紹介した。
     また、骨の異常が明確ではないため、サプリメントという選択も提案した。
     父親とは同居している訳ではなく、たまにしか会わないという事だったので、できれば膝が痛む時の条件を聞き出しておくことと、病院で検査を一度はするよう話してみることを勧めた。
     それと、今回案内した商品を父親に検討してもらう役に立てばど、スマホで写真を撮るよう提案した。
     各商品の写真を撮り、今回は『ビタミネンアクティブ』を購入された。

     『ルルアタックFX』をレジに持ってきたお客様に症状を尋ねてみたら、3日前から発熱し、一時は38度にまでなったという。
     そして今の症状はというと、微熱に落ち着いた一方、胃の具合が悪く食欲が落ちているそうな。
     あうっ、それでは胃に負担のかかる麻黄が入っている『ルルアタックFX』は不適当です(;´∀`)
     そういう事であれば、やっぱり自分で選ばないで相談してもらいたいところ。
     どうしたら、相談してもらえるようになるのかなぁ……。
     手軽に買えるという事は、手軽に選べる事とはイコールじゃなくて、むしろ手軽に買える分だけ、自分で選ぶのが難しいって事なんだけれど。
     いわば個人個人が勉強する手間を代行するのが私たち販売員な訳で、そういう面倒なことは任せて下さいな♪
     とにかく、食欲が落ちているのは風邪が胃腸炎に移行していると考えられることを説明して、風邪の後期に用いる『柴胡桂枝湯』を案内し、お買い上げ頂いた。

     

  • 約15万人が行方不明です

     『パブロンエース』を購入されたお客様に念のため症状を尋ねたところ、ご主人が喉の痛みを訴えているとのこと。
     しかし喉の痛み以外には症状は無いようだったため、2日ほど服用して効果を感じられなかった場合には、改めて相談して下さいと伝えた。
    「効くと思って飲めば効く」というプラシーボ効果もあるから、この「効かない場合は」というフレーズを、何か別に言い回しにできないものか。
     たまに、喉の痛みなどで総合の風邪薬を一週間以上も服用し続けて、使い切ったからと追加を買いに来る人もいるため、どうしても訊かずにはおれない気持ちもあって、つい口にしてしまうのだけれど。
     そう考えると、いつもは「本人に来て欲しい」と思っているものの、伝聞となる頼まれ物の方が、プラシーボ効果を阻害しなくて良いんじゃないかと思えたり。
     でも、本人にしか分からない、頼んだ相手に話していない自覚症状もあるだろうから、そう単純には言えない面もあって、考え始めると、もう頭の中がグチャグチャ。
     こういう事を、他の登録販売者の人達に相談したいから、登録販売者のSNSを見つけては入ってみるものの過疎地だったり、あまり情報交換をしていなくて寂しい限り。
     現時点で、約15万人以上いるらしいのに、いったい何処に隠れているのやら……。
     おっと、愚痴になってしまった。
     今回のお客様には、下半身を温めて血行を良くすることで上半身の炎症を抑えられることを説明して半身浴を勧めてみたが、のぼせやすいというので、ドアを開けたままの入浴を提案してみた。
     また、食欲はあるというお話だったけれど、脳が食べたいと感じているだけで、胃は弱っている可能性があるため、食事は控えめにとお話した。

     やや高齢のお客様から、『いきいき樹液シート』が置いてあるか尋ねられた。
     ああ、なんか『登録販売者.com』で紹介されていたのを見た気がする。
     

    Screenshot of www.torokuhanbaisya.com

     サイトの方では、なんか登録販売者の「イイこと」しか書いてなくて、「暗黒面」に触れていないのをどうかと思ったけど(笑)
    「登録販売者の資格を活かしていくのはあなた次第!」って、それを考えるのはむしろ経営者なんじゃない?
     まぁ、登録販売者のいる喫茶店とか経営したら面白いだろうなぁ。
     法制度からすると、薬局に喫茶店を併設する形態か。
     サイトで紹介されている「仕事で役立つ実務知識」なんかも、あくまで知識なんだよねぇ。
     むしろ知りたいのは、そういう知識に収まらない「多くの例外的な事例」の方なんだけど、そういうのはフォローしてくれないところが残念。
     ……またまた話が逸れた。
     お客様に使用目的を尋ねると、リウマチと寒さによる関節痛というお話だった。
     ご希望の『いきいき樹液シート』を案内しつつ、『桂枝加苓朮附湯』を紹介してみた。
     すると、以前に『通導散』を服用していたそうな。
     ただし、使用感は覚えていないとのこと。
     血行を良くして便通を改善するのが目標だから、関節痛という観点で考えると、遠いように気がする。
     お客様自身は医師だそうで、同僚に訊いてみると何も買わずに帰られてしまった。
     ありゃん(;´∀`)

     

  • カッコイイ名言は数あれど実践するのは難しい

     『メンタームAD』を求めて来店したお客様に、その商品を案内したけど、パッケージのデザインを覚えておらず不安そうだったため、『メンタームEX』とも比較してみせた。
     EXの方は全く見覚えが無いということで、安心して頂けた模様。
     ただ、痒みが強ければADを、痒み止めと皮膚の再生を促すにはEXをと説明したところ、患部は手で痒みは無いそうなので『ワムナールプラス20』を勧めて、そちらを購入して頂くことになった。
     ところが今度は、お会計を済ませた後に、入浴すると痒くなると話された。
     ありゃん、それだとまた対策が変わってしまう。
     しかし次のお客様がレジに並んでいたため、案内できなかった(;´・ω・)

     手荒れの相談を受けて患部を見せてもらうと、指先の薄皮が剥けているものの、痒みは無いとのことなので『ワムナールプラス20』を案内して、お買い上げ頂いた。
     好きな銘柄があると、こうやって勧める商品に偏りが出たりするから、お気をつけあれ(´∀`)
     いや、一応は成分や効能を確認してはいるんですけどね。
     逆に言うと、よく知らない製品は勧めにくいというのもあるし。
     そうそう、今回のお客様には、指先に栄養が行き渡らないのも手荒れの原因になるため、シャワーを浴びる時には指先にもと提案した。
     食器洗いの時のイメージで、お湯で指先を洗うのが手荒れになると考えてしまいがちだけど、あれは洗剤のせいであって、お湯のせいでは無い。
     しかも、シャワーの器具を手に持ってしまうと、確実に手にシャワーを浴びることが無くなるため、意識的に手にシャワーを浴びるのは重要なことなのだ。
     ちなみに、手にお湯を浴びて指先が痺れる感じがしたら、お湯が熱すぎるのを別にすれば、やはり指先の血行が悪くなっている証拠。
     狭くなっている血管に急激に血が流れ込み、その負荷を痺れと感じるので。

     サプリメントを購入されるお客様に、何か相談がありましたらと伝えたところ、手先にリウマチが発症したというお話があった。
     ありゃん、墓穴を掘った(笑)
     リウマチは、店頭で対応できるような疾患ではないので。
     まぁ、『無謀キャプテン』の堀田戊傑も言ってます(o ̄∇ ̄)o
    「自分の墓穴くらい自分で掘れなくてどうする! 自分で掘るのが怖いのかっ? いったい誰に掘ってもらうつもりだ!! おれは今まで数かぎりなく自らの墓穴を掘り、そしてそれを飛び越えてきた!!」
     ………セリフはカッコイイんだどね、実際には難しいわ。
     病院には通い始めたばかりで、『リウマトレックス』を処方されて様子を見ることになっているそう。
     ということは、サリチル酸系の解熱鎮痛薬は避けないといけませんね。
     なので、お薬手帳は、持ち歩くようにお話した。
     うーん、店頭でできる話は、それくらいかなぁ。
     一応は、痛みに寒さが関係するようであれば『桂枝加苓朮附湯』や『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』が候補になるし、浮腫のある人なら『防已黄耆湯』が使えて、血行不良には『疎経活血湯』という選択も。
     お客様は該当しないと思うけど、もう少し高齢の人なら『牛車腎気丸』が適応すると考えられる。
     とはいえ、他の病気の併発が考えられるし、保険適用の漢方薬でリウマチに適応する物は、店頭にある物より圧倒的に多い。
     漢方薬に興味を示されたので、近くの漢方医院を紹介しておいた。