• タグ別アーカイブ: 桂枝加苓朮附湯
  • 見立て違いもありまして

     やや高齢のお客様が『ホッカイロ』を求めて来店され、足の甲の痛みということだったので『桂枝加苓朮附湯』も案内しようかなと思ったら、以前に『疎経活血湯』を紹介したお客様だった。
     『疎経活血湯』は病院で処方してもらったそうなのだが、合わなかったのか効果が出ず、現在は代わりに処方された『芍薬甘草湯』を頓服的に用いて少し効いているとのことだった。
     ありゃん、見立て違いだったかしらん(^_^;)
     季節的にカイロが売っているか心配されていたけれど、通年で置いておきますと伝えた。
     私が初めてこの店に来た頃には、本部の指示で全部返品していたのだが、翌年に上司の目を盗んで保管しておき、その翌年は売り場を確保して置いておいたら、通年で定期的に売れるようになった。
     そりゃそうだよね、梅雨寒の頃や夏場でも冷房が効き過ぎてる施設で過ごした時なんかには必要になるもの。

     お客様が『ベンザブロックS』をレジに持ってきたさいに症状を確認すると、11歳の子供が頭痛を訴えていて、いつも鼻から風邪になるため選んだというのだが、今は頭痛だけというお話から『バファリンルナJ』を提案した。
     すると、成分を『バファリンA』と同じだと思われているようだったため、病院で子供用の解熱鎮痛剤として処方される『カロナール』と同じことを説明すると、自分が処方された分が家にあるとのことだった。
     自分に処方された薬を、家族とは言え他の人に使うのはもちろん好ましくない。
     なので、『葛根湯』を提案し、改善しなければ『カロナール』の使用を検討するということをお話しして、『葛根湯』をお買い上げいただいた。
     あと、食欲があっても食事の量は控えるように伝えたところ、すでに食べた後だった。
     消化にもエネルギーを使うから、風邪を治すエネルギーが消化に取られちゃうのが困るんだけど、まぁ仕方がない。
     この後は、安静にさせてくださいな。

     お客様から『ナイトミン』(酸棗仁湯)の効果を効かれ、不眠の状況を確認したところ、寝つきが悪いというよりウツラウツラと眠りが浅く疲労感があるというお話だった。
     眠りが浅いのは胃か心臓が弱っていると考えられるので、疲労感を伴う不眠に『酸棗仁湯』は適用するだろうと考えられる。
     ただ念のため、比較としてイライラして眠れない場合は肝臓を助ける『柴胡加竜骨牡蛎湯』と、些細なことが気になって眠れないような胃を悪くしている場合には『桂枝加竜骨牡蛎湯』をと紹介したうえで『ナイトミン』をお買い上げいただいた。

     

  • 声を掛けるタイミンクを逃して心配

     乳幼児を連れたお客様が胃腸薬の棚を見ていたため、頃合いを見計らって声を掛けようと思っていたら、他のお客様がレジに並んでしまいタイミングを逃してしまった。
     そして、その乳幼児を連れたお客様が『スクラート胃腸薬』をレジに持ってきたので、授乳を有無を確認しようと思ったら、そのお客様も尋ねる素振りを見せず、次のお客様がレジに並んでしまい、授乳していたら中止するようにと伝え損ねてしまった。
     あうっ、もっと早い段階で声を掛けるべきだった……(;´Д`)
     せめて、尋ねる素振りを見せてもらえれば、会計時に話を振りやすかったんだけどな。(言い訳)
     『スクラート胃腸薬』に含まれてるロートエキスは、乳幼児に移ると脈が早くなるという報告があるので。
     似た名前の『スクラート胃腸薬S』の方なら、成分が違って授乳中でも安心して使えるんですが。
     もちろん、すでにお客様がそのことを知ってるか、授乳はしていないという可能性もある訳だけど。
     風邪薬や鎮痛剤なんかは気をつける人が多いのに対して、胃腸薬の危険性を認識している人は少なくて心配ε-(´・_・`)

     『イソジンうがい薬』を求めて来店したお客様に、現に喉が痛む場合には避けるようお話したところ、喉の痛みで病院を受診していて、薬も処方されているそう。
     なので、お薬手帳について尋ねたら、持ってはいるものの薬局で記入してもらっていないという。
     あうっ、なんで(^_^;)?
     じゃあ覚えているかというと覚えておらず、現物も持ってきていない。
     あうっ、なんで(;^ω^)?
     病院で薬を処方してもらっているのに、『イソジンうがい薬』を買いに来る人は少なくない。
    「もっと何かを」と思うのか、たかが「うがい薬」と思われてるのか……。
    『イソジンうがい薬』の注意書きにも、併用薬がある場合は専門家に相談するようにとあるように、安易に使って良い物ではないんだけどねぇ。
     そしてお客様は現在は、喉は痛いというよりイガイガするというお話だったため、体内が乾燥している可能性をお話して『麦門冬湯』を紹介した。
     でも、いずれにしも処方されている薬は分かった方が良いので、その薬を持参してくださいませ。
     あと、お薬手帳には記帳するようにお願いします。
     本日は、お買い上げは無しとなった。

     お客様から、『サロンパスハイ』と『ハリックス55EX温感』の匂いについて尋ねられ、サリチル酸グリコールがいわゆる「湿布臭い」匂いがして、サリチル酸メチルの方が相対的に匂いが弱いことを説明した。
     まぁ、メントールが入ってると、どのみち「湿布の匂い」はしてしまう訳ですが。
     あと、その匂い自体にもリラックス効果があるから、症状の軽減には必要だったりしますと付け加えた。
     主訴の方はというと、肩こりと腰痛だそうで、患部によってや、急性と慢性でも成分の違う物を使い分けた方が良いことをお話した。
     腰痛には、浸透力のあるフェルビナクの方が個人的にはお勧め。
     症状に寒さや湿気は関係しないそうだけど、私自身が雨で膝が痛む場合に『桂枝加苓朮附湯』を使っていることを話すと興味を持たれたので、寒さや湿気が関係しないようならと坐骨神経痛や筋肉痛に使う『疎経活血湯』を紹介した。
     本日は、『サロンパスハイ』と『ハリックス55EX温感』の両方を購入された。

     

  • いびきは難しい疾患の一つです

     『ボルタレンテープEX』を購入される高齢のお客様に症状を尋ねたところ、腰痛と膝痛に使うそうで、冷えや寒さで発症するというお話。
     鎮痛効果は高いけど、膝に貼るのであれば鎮痛効果は弱いながらも、湿布に切れ目を入れて伸ばすと膝を包むように貼れる『のびのびサロンシップ』もお勧めですよと案内してみると、それは家にあり、今回は違う物を試してみようと思ったとのこと。
     ただ、『ボルタレンテープEX』がジクロフェナクナトリウムという、鎮痛効果も浸透力も高いことは知らないで選んだらしい。
     そのままお買い上げ頂くことになり、冷えが関係するならばと、内服薬として『桂枝加苓朮附湯』『牛車腎気丸』を紹介すると、興味は持たれた模様。

     お客様から、いびきの相談をされたのだけれど、いびきというのは疲労や加齢による咽頭部の緩みや、ストレスによる気道の閉塞に、肥満による呼吸障害など原因が多様なため、一度は受診してみるよう勧めた。
     鼻腔を広げる『ブリーズライト』に興味を持たれたものの、あくまで鼻腔を広げるものなため、咽頭部や気道の閉塞には無意味なことを説明した。
     適応する薬についても訊かれ、明確に効能としている物は無いことをお話し、枕も関係するため、今使っている枕にタオルを丸めて添えるなどして試してみるよう勧めた。
     あまり、役に立てなくてスイマセン(´・ω・`)

     サプリメントの『ルテイン』を求めて来店したお客様から。在庫がもっと無いか尋ねられ、現在庫しか無いことを伝えた。
     用途は、かすみ目というので『ルテイン』単独よりブルーベリーなど一緒の物の方が良いのではとお話すると、ブルーベリーのサプリメントと一緒に飲んでおり、実際に効いてる気がするとのこと。
     一方、臨床試験済みと宣伝されている『えんきん』は、一ヶ月ほど飲んでいても、光化はく分からなかったそう。
     まぁ、この辺は相性とかあるからねぇ。
     そして、お客様自身は加齢によるものと認識しているようだったので、『牛車腎気丸』を紹介すると興味を持たれた。
     本日は、あるだけの『ルテイン』を買い占められた。
     しかし、こうして見ると、やっぱり『牛車腎気丸』は、かすみ目から腰痛まで適応範囲が広いな。

     

  • 閲覧者の中に漢方薬に詳しい動物のお医者さんはいませんか?

     以前に飼猫の尿漏れに『猪苓湯』を案内したお客様から、今度は軟便の相談を受けた。
     犬猫は、人間が大丈夫な食べ物でも駄目だったりするから、漢方薬が安全とは言い切れないんですが。
     一応、生薬ごとに調べてはみるけど、ネットでは情報不足。
     どこかに、漢方薬に詳しい獣医さんはいないかしらん。
     とりあえず、自分が猫を飼っていた時に使った事のある漢方薬から『桂枝加芍薬湯』を候補として考えたけど、どうも体力も落ちているらしいため『柴胡桂枝湯』の方を試して頂くことになった。

     『ハリックス55EX温感』を購入されるお客様に、温めて楽になるようであれば『葛根湯』が効くかもしれませんと伝えてみたところ、主訴は腰痛だというので『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を紹介した。
     手足の冷えもあるというから適応しそうだし、比較として『桂枝加苓朮附湯』も案内した。
     漢方薬は飲んでから効くまで時間が掛るのではと質問されたので、「風邪には葛根湯」を例に急性症状にも使える事と、私なんかはスキーに行く時に『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を防寒対策の一つとして使っている事をお話した。
     試してみたいと、『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を一緒にお買い上げ頂くことになり、もし効くようなら保険の適用薬でもあるため、その場合は医師に相談してみるよう伝えた。

     『命の母A』を購入されるお客様に、使用経験を尋ねてみると初めてということだったため、症状について少しヒアリングした。
     主訴は疲労感で、精神不安は無いというから適応を外している可能性が頭をよぎったけど、イライラ感はあるそうだから、そのままお買い上げ頂くことになった。
     ただ、『命の母A』が漢方薬なのかを質問されたので、現代薬とのハイブリットであることを説明した。
     本当は、そういうお話も含めて購入を決められる前に尋ねてもらえると、もう少し踏み込んだヒアリングもできるんだけどな(´・ω・`)
     『命の母A』は、更年期障害への効能を謳って「気」「血」「水」を調整する内容になってるけど、その中でも突出しているのが、芍薬・桂皮・香附子・吉草根・半夏と、鎮静作用に関わる生薬が多いから、精神不安やイライラ感が選択の指標になるので。

     

  • 情報の提供はリクエストに応える前か後か

     やや高齢のお客様から、『コンドロイチンZS』について尋ねられた。
     主訴は膝痛で、冷えや湿度は関わっていないようだったけど、なにしろ『コンドロイチンZS』は価格が高いから、原因が推測できないと私としては勧めにくい。
     そうお話すると、座る動作がつらくなり、病院では膝関節の軟骨の減りを指摘されたという。
     なるほど、そうであれば無駄になることも無いか。
     ただ、血行不良による患部周辺の栄養不足も痛みとして脳は認知するため、血流改善する『疎経活血湯』が適応する可能性はあるし、やはり冷えが関係するようなら『桂枝加苓朮附湯』で温めたほうが良いこともある。
     それに、お客様のポッチャリ体型は水分代謝の異常による水毒も考えられるため、関節部の痛みが強い場合の『防已黄耆湯』と下半身に疲れを感じる場合の『九味檳榔湯』を合わせて紹介してみた。
     すると、漢方薬は効くのに時間が掛かると思われているようだったため、「風邪には葛根湯」と云われるように、痛み止めを目的とするような急性症状には早く効くことを説明した。
     もちろん、体質改善となれば長く掛かるけれど、長期連用は医師の診察を受けながらのほうが良いし、何よりも保険が適用されるのは費用面で重要な事だろう。
     というようなお話をして、本日のところはお買い上げは無し。

     やや高齢のお客様から、『パテックスうすぴたシップ』と『ハリックス55EX冷感A』の違いを質問されたので、前者は抗炎症剤のみで後者には血流改善のトコフェロール酢酸エチルが加わっていることを説明した。
     患部は膝だそうなので、湿布の真ん中に切れ込みを入れて膝頭をその穴に入れ、四方を伸ばすと膝の周囲を包める『のびのびサロンシップ』を紹介したところ、そちらの購入を決められた。
     それから、膝が痛む時には冷えが関係するようなお話があったため、『桂枝加苓朮附湯』を紹介してみたけど、その時にはもう私に正対してくれなかったから、興味は持ってもらえなかった模様。
     ひとまずお客様のリクエストに応えてから提案するのが、案内やヒアリングの基本的な手法なんだけど、目的を果たしてからだと別な提案や追加の情報を提供しても聞いてもらえないということがあるんだよねぇ。
     難しいもんである( ´Д`)=3

     

  • 押売りする気は全く無いんですが

     『パブロンSせき止め』をレジに持ってきたお客様に症状を詳しく訊いたところ、3日ほど前から咳が出て喉も痛むとのこと。
     そのため、咳止めだけでなく喉の炎症も抑える成分が入っている『ルキノンせき止め』の方を勧めてみたけど、価格の安い物を望んでいると分かり、そのままお買い上げ頂くことに。
     ただ、そうであれば咳以外の症状(今回なら喉の痛み)が残った場合には、薬の乗り換えね検討するようにお話した。
     結構、一つの症状が治まったから、残った症状も同じ薬で治そうと思って、適応しないまま飲み続けて使い切ってしまうこと言うことがあり、その方がトータルでは勿体無いので。
     個別包装になっている薬なら、残った分をそのまま使用期限まで次の機会に取っておいたほうが経済的なのだ。
     目薬や瓶のタイプのビタミン剤などは、保管の状態にもよるけれど一ヶ月程度が限界。
     塗り薬は……、自分の家族なら半年後くらいでも平気で使わせるけど、真似しないように(^_^;)
     あと、お客様には咳や喉の痛みに発熱などの風邪の兆候が無ければ、胃炎の可能性もあることをあることを付け加えたら、「それはないです!!」と強く否定された。
     ビックリした~(>_<)
     何か売りつけられると思われちゃったのかな……。
     まぁ、『麦門冬湯』は念頭にはあったけど。

     お客様から、膝の痛みに『コンドロイチンZS錠』はどうかと質問を受けた。
     病院ではヒアルロン酸の注射を受けているそうで、症状はというと、主に同じ姿勢をしていると動き始めた時に痛むという。
     あー、それ私もです。
     書道と柔道をやってたけど、すぐに立ち上がれない。
     足は痺れないのに、他の人からは「足痺れたの?」って訊かれる。
     私は湿気と低気圧も関係してるんだけど、お客様はそういうことを意識したことが無いそうで、分からないという。
     いずれにしても、ヒアルロン酸の注射を受けているのならコンドロイチンまで摂る必要は無いかもしれませんねぇ。
     よくある誤解として、コンドロイチンは軟骨に多く存在しているものの、コンドロイチンが軟骨になる訳ではないから、加齢によって減少した軟骨を増やしたりもしない。
     主な効果は、軟骨の分解を抑制し、軟骨の保水力を保つことである。
     だから、加齢による関節の機能の低下を防ぐための補助にはなっても、現に関節に異常がある場合の治療にはなりえない。
     それに、体質によっては保水性が余計な水分となって寒気の影響を呼び込み関節痛を強める可能性もある。
     だから、現に関節に異常があるようなら、まずは病院を受診してから使用するか判断したほうが良いだろう。
     価格が高いしヽ( ´ー`)ノ
     では他の物はどうかと尋ねられたので、疲労感を伴い下半身に力が入らないようなら『九味檳榔湯』が候補になり、湿気の影響を受けたり汗をかきやすいなどの水分代謝の異常があれば『コンドロイザー』や『防已黄耆湯』を、寒冷により悪化するようだと『桂枝加苓朮附湯』が適応する可能性がありますと案内した。
     すると、寒冷は思い当たるようだった。
     今日のところは相談のみとなったが、いずれかを使う場合は、一年を通して同じ薬ではなく、季節ごとに乗り換えるほうが効果的という事もあることをお話した。
     あっ、そうそう、普段私は「栄養は血で運ばれるから血行が大事」と言っていますが、こと軟骨に限っては周囲に血管が通っておらず、代わりに軟骨まで栄養を運ぶのは骨と骨の間の関節腔を満たす『滑液』なので、滑液を動かすために曲げ伸ばしの運動が必要です。
     お客様はヒアルロン注射をしているから、医師からの指導でストレッチをしているそう。
     滑液の主成分が、ヒアルロン酸ですものね。

     

  • ドラッグストアーの役割は、あくまで「治療」ではなく「症状の緩和」

     『ドリエル』を求めて来店したお客様に、ひとまず同じ処方の『ドリーミオ』の方を勧めて購入を決めて頂いた。
     そのうえで睡眠の状況を尋ねると、寝つきが悪く30分以上かかるうえ、寝ても眠りが浅く感じるという。
     おそらく暑さで肝臓がやられて、そこに湿度で胃に負担が掛かってるのだろうと思われる。
     単純に寝つきが悪いだけなら『柴胡加竜骨牡蛎湯』のケースだけど、『柴胡桂枝湯』で肝臓と胃の両方の面倒を見れば改善するのではないか。
     でも、お客様の方がそこまで話を聞いて頂ける感じではなかったため、今日のところは見送ってしまった。
     この、案内するべきかトラブルにならないよう引くかというのは、何百人、何千人と相手していても難しい。

     外用消炎剤のジクロフェナクナトリウム製剤を購入されるお客様に、他の薬との併用に気をつけるようお話すると、ギックリ腰に使うそうで、前にもなったというから、改めて受診するよう勧めた。
     ついつい、「前も同じだったから」と考えがちだが、本当に同じかは分らない。
     ギックリ腰は、予後の養生も大事なので、今どうなっているかを把握するためには、ひとまず改善しても病院で様子を確認してもらったほうが良いだろう。
     今回の症状を詳しく訊いてみると、痛みというより、背中からこわばる感じだそうなので、筋肉の緊張を解く『芍薬甘草湯』が効きそうな気もする。
     そういうことも含めて、自己判断だけに頼らずに検証の幅を広げることで、他の体の不調との関連が見えてくることもあるし。
     特にギックリ腰は、腎臓とも関係して、早い話が冷えによる水分代謝の異常や、同じく水分を含む血行不良が原因だったりする。
     冷えが原因なら『桂枝加苓朮附湯』が、患部に痺れを感じるような血行不良には『疎経活血湯』を、加齢による腎機能の低下だと『八味地黄丸』『牛車腎気丸』が候補になる。
     今回は、やはりお客様が『芍薬甘草湯』の話のところで、興味無さげだったため、以降の話はせず。
     ドラッグストアーの役割は、あくまで「治療」ではなく「症状の緩和」という目的では、最初にお客様自身で選んだ薬で充分とも云えるのかもしれんけど、患者さんは本当にそれで良いのかとの疑問は拭えない。

     

  • 効能書きだけで選ぶのは無理ですから

     漢方薬の棚を眺めているお客様が電話で話していて、「坐骨神経痛」と聴こえたので、聞き耳を立ててしまった。
     どうやら『疎経活血湯』と『桂枝加苓朮附湯』のどちらを購入するか迷っているらしく、電話を切ったところで声を掛けてみた。
     すると、父親に頼まれたそうなんだけど、その頼み方というのが、排尿痛に『竜胆瀉肝湯』を服用しており、同じメーカーで「効能書きに坐骨神経痛とある物を」なんだそうな。
     そして、お客様はお客様で、『疎経活血湯』の効能書きを見てみたら、効能書きに書いてある症状が「全て当てはまらないと駄目」だと思っていた模様。
     それだと『疎経活血湯』はまだ「関節痛、神経痛、座骨神経痛、腰痛、筋肉痛」と関連してそうな効能だけど、『牛車腎気丸』なんか「下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、痒み、排尿困難、頻尿、むくみ」でカオスなことに(^_^;)
     でも歳を取ると腎の働きが衰え、腎臓病が失明になる事があるように目のかすみと関係し、水分代謝が悪くなると冷えの影響を受けやすく下半身の関節痛を引き起こすため、『牛車腎気丸』の効能書きの症状は、ちゃんと関係している。
     漢方薬に限った話ではないけれど、効能書きはあくまでメーカーが申請して効能書きに記すことを許可された内容だけだから、成分ごとの作用を考えないと意味が無い。
     しかも、主成分の副作用を防ぐために加えられている成分もあるため、相互作用も考えなければならない。
     鎮痛薬に胃を守る成分が入っていたり、というのが分かりやすい例だろう。
     病院でもらう薬の種類が多いとネットで大騒ぎする人がいるけど、総合風邪薬の成分表示を見れば9種類以上入っているなんてのはザラで、それぞれがバラバラに処方されたら多くなろうというものである。(長期的に漫然と同じ薬が処方されているとかとは、別問題である)
     そのうえ漢方薬では、体質や症状での判別も必要になるため、初見の人がパッケージで選ぶのは無理というもの。
     しかもそれが頼まれ物では、なおさらである。
     父親についてのヒアリングを試みてみたものの、外見上の体格などは分かっても、冷えると症状が悪化するかや、痛み方に痺れ感があるかなどは分からなかった。
     今さっき電話をしていたのだから、電話をし直して本人に確認してくれると良いんだけどなぁ……。
     駄目なのかなぁ……。
     こっちからは言い出しにくいしなぁ……(;´・ω・)
     仕方がないので、未開封であれば一定の期間以内は返品を承りますとお話して、お買い上げ頂いた。

     お客様から「鼻風邪の薬を」と注文されたのだけれど、症状を確認すると、主訴は鼻炎とクシャミと喉の痛み。
     ひとまず『ベンザブロックSプラス』を案内したものの、発熱は無いそうなので、解熱剤の入っていない物の方が疲労を防げることをお話して『葛根湯加川きゅう辛夷』を紹介すると、試して頂くことになった。
     すでに夕食を食べたということだったが、この後は内臓の疲労を防ぐために量を控えるよう勧めた。
     栄養面を心配されたけれど、普段の食事が偏っていなければ大丈夫ですとお話した。
     体としてはすでに戦闘状態な訳で、戦う前に武器や燃料の補給は有効でも、戦闘中に補給をするのは人手をそちらにも割かなければならず、戦闘力が低下してしまうのだ。

     

  • 桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)
    ………神経痛、関節痛

    適応症状 

     体力虚弱で、手足が冷えてこわばり、尿量が少なく、ときに動悸、めまい、筋肉のぴくつきがあるものの次の諸症:
     関節痛、神経痛

    用方・容量(顆粒製品の場合) 

     1日3回、成人1回1包(2.5g)を食前にお湯または水で服用してください。
     ただし、15歳未満7歳以上は2/3包、7歳未満4歳以上は1/2包、4歳未満2歳以上は1/3包。

    組成(顆粒製品の場合) 

     3包(7.5g)中、次の成分を含みます。
       ケイヒ(桂皮)2.0g       
       シャクヤク(芍薬)2.0g
       ビャクジュツ(白朮)2.0g    
       タイソウ(大棗)2.0g
          ブクリョウ(茯苓) 2.0g
       カンゾウ(甘草)1.0g   
        ショウキョウ(生姜)0.5g
       ブシ末(附子末)0.25g
     以上の割合に混合した生薬より得たエキス3.75g含有します。

    類似処方鑑別 

    越婢加朮湯  比較的体力がある人で、本方と同様の関節症状があるが冷え症の傾向が無く、口渇・自然発汗がある場合に用いる。

    防已黄耆湯  皮膚は概して色白で、筋肉軟弱、水太りの人で疲れやすく、多汗、尿量減少、下肢の浮腫などのある場合に用いる。

    使用上の注意 

    1.次の場合には医師または薬剤師に相談してください
     (1)本剤を服用後、症状の改善が認められない場合は、他の漢方薬を考慮する事。
     (2)甘草を含有する漢方薬を長期服用する場合は、血清カリウム値や血圧の測定などを充分に行い、異常が認められた場合は、服用を中止する事。
     (3)複数の漢方薬を併用する場合は、含有生薬の重複に注意する事。(特に甘草を含有する漢方薬の併用には、より注意を必要とする。)
    (4)自覚的に熱感のある患者、または肥満体質の患者。(熱感、ほてり、発汗、しびれ等の症状が現れる事がある。)
    (5)妊婦及び、妊娠している可能性のある婦人には慎重に投与すること。


    2.服用に際して、次のことに注意してください
     (1)定められた用法、用量を厳守してください。
     (2)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
     (3)本剤は、2歳未満の乳幼児に服用させないでください。


    3.服用中または服用後は、次のことに注意してください
     (1)本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ、悪心、食欲不振、胃部不快感等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。 
     (2)本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (3)1ヵ月位(感冒、鼻かぜ、頭痛に服用する場合には、数回)服用しても症状の改善がみられない場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (4)長期連用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。


    4. 保管及び取扱い上の注意
     (1)小児の手のとどかない所に保管してください。
     (2)直射日光をさけ、なるべく湿気の少ない涼しい所に保管してください。
     (3)1包を分割した残りを使用する場合には、袋の口を折り返して保管し、2日以内に使用してください。


    5. その他
     本剤は生薬(薬用の草根木皮等)を用いた製品ですので、製品により多少色調等が異なることがありますが効能・効果には変わりありません。


     

  • 自分の薬を安易に家族に分け与えないように

     若いお客様から、風邪の相談。
     昨日から喉が痛み、熱は計っていないものの熱感はあるという。
     鼻に症状は無いそうなので、漢方薬の『銀翹散』を筆頭に、現代薬からは『ルルアタックEX』と『パブロンエースAX』を候補として案内した。
     錠剤を希望され、予算面で『ルルアタックEX』を選択された。
     食欲はあるという話だったけど、風邪を治すエネルギーが消化吸収に使われてしまうと治りが遅くなることを説明して、食事は消化の良い物を量を控えめにと伝えた。

     以前に腰痛に『疎経活血湯』を案内したお客様が、効果があったとのことで追加を求めて来店した。
     ただ、一緒に服用したご主人には合わなかった模様。
     あまり安易に、自分の薬を家族に与えないで下さいね(^_^;)
     ご主人の主訴は膝痛で、リハビリのために通院しており、温めると症状が楽になるそうなので、『桂枝加苓朮附湯』の方を紹介してみた。
     ご主人は「痛い」とも言わない人だそうで、今の病院では薬を処方してもらっていなくて、それでいて病院を変えたがらないそうな。
     むー、困りましたねぇ。
     奥さんが渡した薬は飲むのだから、薬嫌いという訳でも無いはずなのに。
     そのため奥さんからは、『コンドロイザー』をご主人に買っていってみようかと相談された。
     確かに、温めて関節の痛みが緩和される場合には、『桂枝加苓朮附湯』で温める方法とは別に、防已で水分代謝を改善するという方法がある。
     『コンドロイザー』が合うようであれば、『防已黄耆湯』も効果があるかもしれませんとお話しして『コンドロイザー』をお買い上げ頂いた。

     常連のお客様が来店して、火傷の薬を求められた。
     例によって、「火傷の薬というのは無いんですよ」とお話しつつ、原因について尋ねたら、シャツを着たままアイロンを掛けて、腹部にアイロンを当ててしまったらしい。
     火傷の原因を尋ねると、たいていの患者さんが、うっかりミスを恥ずかしがって言い淀むところを正直に話してくださって助かる。
     ……服を着たままアイロンって馬鹿ですか。
     馬鹿ですね。
     私もやった事あります(;´∀`)
     状況が分かったところで患部を確認させてもらうと、やはり範囲が広め。
     これは感染を防ぐための軟膏を塗って、下着が擦れないようにガーゼで覆いましょうと提案し、『クロマイN軟膏』と滅菌ガーゼをお買い上げ頂いた。
     そして、後で『アロエ軟膏』などでケアするよう勧めた。