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  • 思春期のニキビは時間をかけて治す

     お客様が『ポピショットのどスプレー』をレジに持ってきたが、喉の痛みが一週間ほど続いてると言うので、抗炎症のアズレン製剤の方を勧めた。
     また、喉の奥の方が痛く、風邪で発熱したというお話があったため、胃炎起こして体内が乾燥してる可能性を伝えた。
     そして、内服薬も検討してはと提案し、『ペラックT』と『駆風解毒湯』を紹介したところ、病院で抗生剤を処方されたというので、薬の名前を尋ねると、最初は思い出せなかったようだが、後から『クラリスロマイシン』だと分かった。
     『クラリスロマイシン』は胃に負担がかかるので、体内の乾燥を取り除くために胃薬も兼ねる『麦門冬湯』を紹介したうえで、今回はアズレン製剤の『のどスプレー』をお買い上げいただいた。
     お客様には言わなかったけれど、『クラリスロマイシン』は副作用が少ない代わりに効果対象の菌種は少ないから、患者さんを安心させるために処方したということなのだろうか。
     この辺は、医師や薬剤師さんに訊かないと分からないな。

     幼児連れの夫婦のお客様が来店し、『ムヒこどもかぜシロップ』を子供に持たせてレジにいらしたが、子供が透明な鼻水を垂らしていたので病状を確認したところ、一度風邪をひいて、既に熱は下がったという。
     声嗄れ程度の喉の痛みがあるというお話から、甘草も入っている『ムヒこども鼻炎シロップ』の方を勧め、変更してお買い上げいただいた。
     鼻水は内臓の冷えと考えられることを話ししたところ、ご主人が暑がりで冷房を強くしているそうなので、子供には厚着をさせるように勧めた。
     特に、下半身の厚着が大事である。

     お客様からモノモライの相談を受け、抗菌目薬として『ロート抗菌目薬 i 』と『抗菌アイリス』を案内し、目の修復成分は無くても良いとのことから、後者をお買い上げいただいた。
     そして、一度帰られてから高校生の娘さんを連れて再訪し、ニキビの相談を受けた。
     成長期における赤ニキビのようだったので『ビフナイト』と『クレアラシル』を案内し、後者の肌色タイプを使っていただくことになった。
     また、内服薬として『清上防風湯』と、患部の熱感が強い場合に使う『黄連解毒湯』も紹介した。
     本人には、顔を洗いすぎないよう、泡を顔に付けたら、そのまま伸ばさず流すだけの洗い方をお勧めした。
     それと、患部を気にして手で触るのも良くないため、肩から上に手を上げそうになったら、下げることを意識するようにお話した。
      入浴は長いほうだそうなので、それは皮膚のターンオーバーのためにも続けるよう伝えた。
     何より大事なことだが、ニキビは成長の一環で体の仕組みなどが変わっていく過程において、設計図に対して材料が過剰だったり不足だったり、あるいは作り方を体が試行錯誤していることでもあるので、焦らずに着実に治していくことの大切さを付け足した。
     例えるなら、蝶になる前の蛹のようなもの。
     異性にしろ同性にしろ周囲の視線を意識する思春期だからこそ、今ニキビを何とかしたいという気持ちも分かるけれど、大人になってから輝くために、安易なニキビの除去法には飛びつかないことだ。

     

  • 海外に持っていく常備薬3選

     お客様が日焼け後のローションとことで『シーブリーズ』を求めて来店した。
     しかし、娘さんを日差しの強い海外に行かせるというので、涼感と爽快感だけの『シーブリーズ』より、日焼けした場合には炎症を抑える『桃の葉ローション』をとお勧めして、お買い上げいただくことになった。
     また、日焼けによる火照りを抑える物として『黄連解毒湯』も紹介した。
     その後で『セイロガン糖衣A錠』をレジに持っていらした。
     もとより『正露丸』は「飲む消毒薬」であるから、海外に行くのであれば常備薬として欠かせない。
    、しかし、『正露丸』から抗炎症作用のある成分を抜いたのが『セイロガン糖衣A錠』であるため、海外に持っていくのであれば『正露丸』の方が安心なことを伝えた。
     とはいえ、匂いが気になるというのも分かる。
     そこで、抗炎症のためには胃腸炎に使える『柴胡桂枝湯』を紹介した。
     海外でも風邪薬は入手できるが、胃腸炎の薬は、なかなか手に入らない。
     国内の総合風邪薬も、「発熱・頭痛・喉の痛み・咳・鼻炎」といった症状への効能は謳っていても、「吐き気」など胃腸の症状の風邪に適応する市販薬は、漢方薬以外には存在しない。
     その点『柴胡桂枝湯』は、胃腸炎の他に頭痛にも発熱にも対応できるため、応用範囲が広く、海外に行くさいには重宝するのだ。
     すると、鎮痛剤の相談を受け、娘さんは普段は頭痛薬も飲まないうことから、常用しないのは良いことであるものの、相性は忘れがちであろうから、成分表示は取っておく用お話した。
     そのうえで、『バファリンルナ i』の試供品をお渡しした。
     もし、ズキズキするような偏頭痛であれば、胃の不具合と関係する頭痛である可能性が高いため、そういう時には食事を胃に優しい物にすると頭痛も和らぐことを説明し、それこそ『柴胡桂枝湯』が使えることを教えると、一緒に購入された。
     他に、海外に行かせるのに必要な物はと尋ねられたため、抗生物質とステロイド剤の入った外用薬を持たせるように伝えた。
     虫刺されの薬を持っていくという人は多いが、実は力不足となる可能性がある。
     炎症を抑えるにはステロイド剤が頼りになるし、日本と違って海外では擦り傷程度でも感染症は怖いから、抗生物質はあった方が良い。
     『クロマイP軟膏』は両方を兼ねるから、持っておくと安心だ。
     という訳で私が勧める、「海外に持っていく常備薬3選」は、風邪や疲労にと効果範囲が広い『柴胡桂枝湯』と、食中りに『正露丸』、外用薬に『クロマイP軟膏』です。
     他の湿布なんかは、都市部なら現地で入手できるので。
     あと、向こうではシャワーのみの生活になると思われるので、疲れを癒やすためのシャワーの浴び方を案内した。
     具体的には、太い血管が通っていて皮膚が薄いところを重点的に浴びるということだが、例えば胸の辺りにシャワーを浴びても実は何にもならないので、首から背中にかけてや、太ももの内側などに浴びるのが効果的である。

     やや高齢のお客様が来店し、消毒用エタノールを求められた。
     目的が油性ペンによる服の染み抜きだそうなので、期待してるほどには綺麗にならないことと、より確実に落とすには除光液が良いものの今度し布地がボロボロになるか服の色も抜けてしまう可能性をお話しした。
     一応、ゼブラのサイトに染み抜きの方法が載っているが、クリーニングに出した方が良いと思われることを話しし、お客様はガッカリしてお帰りになられた。
     ゴメンね(´・ω・`)

    Screenshot of www.zebra.co.jp

     

  • お店にある商品を全て把握するのも難しい

     お客様から、『キューピーコーワゴールドαプラス』と『パワーアクトゴールドα』の違いを質問されたので、前者には血流を良くする当帰が入ってることを説明した。
     いくら栄養を摂っても、栄養を運ぶ血液の流れが悪ければ行き渡らないので血流は大事です。
     また、『新パワーアクトEX』についても聞かれたため、上半身の疲れに適応することを伝え、使い分けることを提案した。
     今回は、『パワーアクトゴールドα』をお買い上げいただいた。

     顎の下にあせもができて痒みも強いとお客様から相談されたため、局所麻酔の入っている『テオドラントホワイトL』と『タクトローション』を案内してみたが、持ち歩くのに容器が大きすぎるというお話のため、ステロイド剤だけれど『エフェクトプロクリーム』を紹介し、お買い上げいただいた。
     日光アレルギーで、首に巻いていた物であせもになったということで、お帰りになってから『黄連解毒湯』も紹介しておくべきだったかもしれないと思った。
     自店にある商品を把握していないと、忘れがち(´・ω・`)

     

  • 子供の薬を親が買いに来てはいけない理由

     高校生の息子さんから頼まれたとのことで、『イボコロリ』を買いにお客様が来店。
     以前に、家にあった『イボコロリ』の液剤を使ったそうなのだが、イボは大きいらしく、しかし痛みについては分からないそう。
     どうも液剤を塗るだけで絆創膏などは貼っていなかったみたいなので、貼るタイプの『イボコロリ』を勧めた。
     『イボコロリ』がやっているのは、表皮をわざと腐られて下層からの皮膚の再生を促すのが目的だから、液剤を塗っただけで患部を覆わなければ意味が無い。
     ちゃんと添付文書を、読んでいないのだろう。
     イボがどんな物なのか、どうやって治療するのかの話を医師から教えてもらうためにも受診勧奨したうえで、もし本人が貼るタイプを気に入らなければ、未開封品は返品に応じますと伝えた。
     それに、若いうちに病院に行く練習は機会があれば、何度でもしておいた方が良い。
     その練習が不足していると、医師に「お任せ」になってしまい、使っている薬の内容も把握せず、国の負担する医療費は増えるは、患者さん自身の疾患も改善しないはなんて悪循環に陥ってしまう。
     病気の治療のチームリーダーは患者さんであって、医療従事者はリーダーに情報を提供し、作戦を立て、実行をサポートするだけ。
     こう言ってはなんだけど、複数の治療方針から予算や好みなんかを勘案し、決断するのは患者さん自身がしなければならないのだ。
     例えば、弁護士が法律や資料を駆使して経験から弁護方針を立てたとして、依頼者の判断を仰がずに「これが最善だから」と勝手なことをしたら困るでしょ。
     いや、中には本当に「お任せ」にしちゃう依頼者もいるかもしれないけど。
     ともかく国も本気で医療費の財政支出を抑えるつもりならば、子供の頃から保健体育なんかで病気治療におけるリーダーシップは患者にあることを教えると良いと思うんだけどねぇ。
    「お客様は神様です」以上に、勘違いしちゃう輩が出るかな?
     あれだって、最近じゃ「神様にも、貧乏神や疫病神がいます」という返しがあるけど。

     中学生の娘さんから、『ビフナイト』を頼まれたというお客様が来店。
     しかし、以前に『クレアラシル』を使って効かなかったからというお話があったので、成分は殆ど変わらないことを伝えた。
     すると、『ペアアクネクリームW』も使ったことがあるという。
     ううん、次々と乗り換えるのなら成分表示は確かめてもらいたいところ。
     商品名が違うだけで同じ処方内容というのは良くあることだし、処方によって治療の狙いが違う。
     おでこに、頂点の赤いニキビができているというから、『ビフナイト』と『クレアラシル』の方が適していて、『ペアアクネクリームW』は選択肢から外れるはず。
     治りにくい要因として、患部を触ってしまうことや、洗いすぎということも考えられるから、実のところ本人と話してみないと、効かなかった原因の特定は難しい。
     特に患部を触らないというのは重要で、意識的に「腕を肩から上に上げない」練習が必要なくらい。
     そうしないと、つい患部を触ってしまうからだ。
     そして、患部を洗いすぎると体を守る皮脂や常在菌が少なくなり、ますますアクネ菌が活躍しやすくなってしまう。
     一応今回は、頼まれ物でもあるので『ビフナイト』を販売し、内服薬として『清上防風湯』を紹介した。
     ニキビの状態からすると、最初に『黄連解毒湯』で炎症を抑えてから『清上防風湯』に乗り換えたほうが良いかもしれないが。
     いずれにせよ、本人に来てもらわないと分からないことだらけ。
     『クレアラシル』が効かなかったというのも、具体的にどれくらいの期間使っていたのか。
     お客様が帰ってから、ニキビの治療は焦ってはいけないことを伝え忘れたことに気がついた。
     いや、気持ちは分かるんだけどね、焦る気持ちは。
     思春期だもの、人に見られるのを意識しちゃうよね。
     でも、思春期のニキビは成長途中でのバグみたいなもの。
     全身の細胞が同じ速度で成長してるわけじゃないから、皮脂が多く出たり細胞分裂が一部で過剰になり、それがニキビとして現れる。
     つまり、体の仕組みが変わっていく過程で、自然に修正されていくもの。
     そこで焦って患部だけに直接的なこと(触りすぎとか、洗いすぎとか)をしてしまうと、自然に修正されていくのを邪魔することにもなってしまう。
     酷なようだけど、20代くらいにまで治すつもりの長いスパンでの治療が必要。
     それを本人はもちろんだけど、親も理解してサポートしてあげてくださいな。

     

  • 時にはスルー能力が必要です

     お客様が『サトウ口内軟膏』をレジに持ってきたが、もう1週間ぐらい続いていて、その間に風邪もひいたという。
     口内炎の原因の多くは胃炎でもあるから、風邪で胃を悪くしたため治るのに時間が掛かってるのかもしれない。
     内服薬では、炎症が強い時には『黄連解毒湯』か『ペラックT』を、軽ければ『半夏瀉心湯』で胃炎を治すか、患部の修復に『チョコラBB』が適応する。
     痛みは強くないというので、患部の修復にアラントインの入った『口内炎軟膏大正A』の方を勧め、変更してお買い上げいただいた。
     皮膚の修復には、長めに入浴をして血行を良くすることが大事だと伝えた。
     あと、口内炎の時に食べて涼感が心地よいキュウリやトマトなどは傷の治りを遅くなるので、控えるようにとも付け加えた。

     夫婦のお客様が来店し、『パブロンSゴールドW』を選ばれ、一緒に飲める栄養ドリンクをと訊かれたので、併用はやめたほうが良いと言いかけると、「じゃあやめる」とご主人に即答された。
     患者はご主人で、主訴は喉の痛みと鼻水ということから、飲むとするならノンカフェインの物をとお話しして、『新ヒストミンゴールド』を紹介しつつ、風邪との鑑別をするため鼻水の色を尋ねたら、「ピンク」とのお返事。
     つ、疲れる……。
     実際には透明なようなので、内臓の冷えがあるかもしれないことと、喉の痛みは胃炎でも起きることを説明すると「焼肉食べたわ」と食べ過ぎアピール。
     いや、これはちゃんと答えてもらってるか。
     何かお話すると、必ず患者であるはずのご主人が茶化してきて、微妙にイラッ(;´∀`)
     喉の痛みに特化してはどうかと提案し、『ペラックT』と『駆風解毒湯』を案内したところ、当初の『パブロンSゴールドW』はやめて、『ペラックT』を購入された。
     胃炎の可能性に対して、『第一三共胃腸薬プラス』が家にあるというので、それは併用してみても良いですとお話しした。
     この時も何か言ってたけど、取り敢えず会計を終えてホッとしたから、耳に入らなかったσ(^◇^;)。
     どうも、何か茶化さないと気が済まないらしい。
     難儀やなぁ。
     身体的には、この陽気さは心臓が心配。

     

  • 患者さん本人とのリアリングが上手くいくとも限らない

     お客様が12歳の子供を連れ、咳止めを求めて来店した。
     本人に酷くなる時の状況を尋ねると、話そうとしたりして息を吸おうとすると喉に引っ掛かる感じがするとのこと。
     そして痰が多く出るそうで、喉の痛みもあるということから『ルキノン咳止め錠』を候補にしたけど、咳の音からするとカラ咳で体内の乾燥も考えられるため『麦門冬湯』を紹介し、胃炎が原因でストレスが関係するかもとお話すると、中学受験が思い当たるみたい。
     本人の選択により『麦門冬湯』を試してもらうことになり、夏野菜を避けて根菜を摂る食養生と、入浴などで下半身を温めるよう伝えた。
     トマトやキュウリは苦手だそうだから、今回の症状では良かったかも。
     それにしても、ちゃんと自分で答えようとする子供と、話に割り込まずにサポートに徹する親というのは珍しい。
     親子両方の性格によるものなのか、教育による賜物か、他の要因か。
     自分の体のことなのに関心無さ気に親に任せてしまう子や、子供に症状も剤形の好みも語らせず勝手に話を運んでしまう親の方が圧倒的に多いから、感心してしまった。
     普段の家での関係は知らないけど、良好なんじゃないかと勝手に想像。

     『柴胡桂枝湯』に興味を持った様子のお客様に声を掛けてみると、ここ数日食欲が無くて吐き気がして食べていないため、今朝は胃液だけ嘔吐したそう。
     うわっ、大変じゃないですかΣ(´∀`;)
     ちっとも、そうは見えなかった……。
     下痢は無いそうだけど、疲労感はあるというから『柴胡桂枝湯』は適応しそうなので、勧めてそのままお買い上げ頂いた。
     もし食欲が戻っても、胃腸の方はすぐに受け入れ体制は整えられないはずなため、まずは味噌汁やスープといった噛まずに食べられる物から再開するように伝えた。

     お客様から「メンタームを」と注文されて案内したら、探していたのは『メンソレータム』のリップクリームだった。
     まぁ、名前が似ているから間違えるのも無理は無い。
     元々は、アメリカのメンソレータム社から『メンソレータム』を輸入販売していた近江兄弟社が製造まで手掛けるようになった後に事実上の倒産をし(正確には自主再建を断念し会社更生法を申請)、『メンソレータム』の販売権はロート製薬が取得した。
     面白いのはその後で、大鵬薬品工業の資本参加で近江兄弟社が再建をはかるさいに、主力製品だった『メンソレータム』の製造販売をしようとしたところ、メンソレータム社が許可を与えなかったため、以前に『メンソレータム』の略称として商標登録してあった『メンターム』を商品名として類似処方で販売を開始したんだそうな。
     いやもう、自分で書いてて混乱してくるよ(笑)
     で、話戻ってお客様の症状はというと、口角炎。
     患部を見ると、見た目で分かるくらいパックリと両方の口角が切れているので、『ヒビプロLP』や『モリアップ』などでの治療を勧めたら、何も買わずに帰られてしまった。
     ありゃん、面倒臭がられたか(;´Д`)
     というか、しきりに「スナック菓子の食べ過ぎで~」とか「まともに食事してないから~」と言っていて、会話が成立しなかった……。
     口角炎の原因は、お菓子の食べ過ぎなんかの偏食もそうだけど、胃炎の可能性があるから『半夏瀉心湯』『黄連解毒湯』で炎症を抑えつつ、『チョコラBB』といったビタミン剤で栄養を補うのが最善の策。
     というような話も、出来なかったよ。

     マスクと『葛根湯』をレジに持ってきたお客様に、『葛根湯』は咳のある風邪と発熱には向かないことをお話すると、体がダルイとのこと。
     それでしたら、『柴胡桂枝湯』の方が適応すると考えられますと紹介すると変更して購入された。
     食欲はまだあるそうだけど、消化の良い物に切り替えて量を控えるように伝えた。

     

  • お客様から訊かれて初めて知ることは多い

     ご主人の咳と声嗄れの相談を、お客様から受けた。
     咳は1週間ほど続いていて、その前にあった鼻水が治まったと思ったら咳になったそう。
     発熱したかを訊くと「無い」と即答されたものの、その後に「38度くらい」と訂正。
     どうやら、それくらいの熱は発熱の範囲に入ると思わなかったらしい。
     症状のヒアリングの時、人によって感覚や尺度や解釈の違いがあるから油断できません。
     さて、発熱したとなると体内が乾燥している可能性をお話して『麦門冬湯』を案内してみたけど、「粉はちょっと……」というため、『ブロン錠エース』と『ブロン錠』を紹介した。
     痰が出にくい時には『ブロン錠エース』を、痰が出るのなら『ブロン錠』という使い分けになる。
     しかし、痰の状態を訊くと分らないとのこと。
     ですよねー(^_^;)
     市販薬を買うのにも、簡単な問診票みたいなフォーマットはできないものだろうか。
     薬を買うのを、人に頼んだり頼まれたりする時のチェックリストみたいな。
     喉の痛みもあるのならば、桔梗の入った『ルキノン咳止め』という選択もあるんだけど、喉の痛みについても分らない。
     粉が飲めれば、声嗄れに焦点を合わせて『響声破笛丸』も候補に挙げたいところなれど、剤形の好みで初めから候補から外さなければならないのはモッタイナイところ。
     実際、患者さん本人だと自分の苦手さと症状の苦しさを天秤に掛けて、苦手な剤形でも試してみますとなる事はあるから、剤形が苦手というのがど程度なのかも知りたいんだよねぇ。
     それでも追加情報として、咳が酷くなる時間帯を尋ねてみたら夜だということが分かったので、『アネトンせき止めZ錠』を案内して、お買い上げ頂いた。
     でも、養生についての話も伝えようとしたら、聞いてもらえずサッサッと帰られてしまった。
     色々と訊いたから、面倒臭がられたか何か気に障られたか(;´Д`)

     お客様が『パテックス機能性サポーター』の膝用をレジに持ってきて、太もも用は無いかと尋ねられた。
     えっ?
     太もも用?
     ………知らない(゚∀゚;)
     サポーターは関節の動作をサポートする物だと思っていたから、太もも用があるなんて知らなかった。
     勉強不足で申し訳ありませんm(_ _)m
     話を逸らかすため……、もとい、主訴を尋ねたら足の付根が痛むそう。
     病院に行ったことは無いというので、一度は行ってみるよう勧めたら「どうせ治らないから」と言われ、膝用を買っていかれた。

     やや高齢のお客様が、友人に頼まれたとのことで酔い止めを買いにみえた。
     でも、銘柄を指定されておらず、酔い止めも当然成分違いの物が複数存在し、使用感は人によって違うため、使ったことのある物が無難なとこを説明した。
     すると、本人に選んでもらうという事になったので、パッケージを写真に撮って訊いてみるよう勧めた。
     そして、お客様自身は皮膚炎の薬が欲しいと注文された。
     痒み止めということかなと思い、軽いステロイド剤と非ステロイド剤を案内しつつ、飲み薬に『十味敗毒湯』と、それに現代薬を合方した『タウロミン』を紹介してみたら、南半球に旅行に行くから日光皮膚炎に使いたいというため、『黄連解毒湯』を勧めた。
     口内炎を含めて皮膚や粘膜の炎症を冷やすので、夏場の日焼け後のケアにも使える漢方薬である。
     ただ、冷やす力が強く、胃腸が弱い人は軟便や下痢に注意。
     お客様も胃腸が弱いというので合わないかなと思ったものの、詳しく訊くとストレス性のようだったため、そちらには『桂枝加芍薬湯』を案内して、一緒にお買い上げ頂いた。

     

  • ちょっとした情報が大切です

     お客様が来店し、ご主人が口内炎で飲み薬を希望しているというため、『トラフル錠』を案内したうえで、スプレータイプの『のどスプレー アズリースロート』を紹介した。
     要するに口内の炎症を抑えるのが基本なので、抗炎症剤のトラネキサム酸やアズレンが入っていれば構わないので。
     炎症が強い場合には、ステロイド剤のほうが良いけど。
     漢方薬では、原因となることが多い神経性胃炎の『半夏瀉心湯』を基本に、炎症が強い場合の『黄連解毒湯』を使う。
     今回の患者さんは、口の中を噛んでしまったのがキッカケらしい。
     それなら神経性胃炎は関係無さそうに思えるが、実は寝ていて筋肉がビクッと動くのと同じように、疲労などによる自律神経の失調で、口の筋肉が動いしてしまった可能性も考えられる。
     だから、ストレスの軽減に努めるよう伝えた。
     今回は、『トラフル錠』をお買い上げ頂いた。

     『インドメタシンローション』と『スキュータムA』を見比べているお客様がいたので声を掛けたところ、打った覚えは無いのに、お尻に青痣ができていて痛むとそう。
     原因は不明なれど急性症状でもあるから、鎮痛効果の高い物のほうが良いかな。
     そう思いながら、鎮痛効果としては『スキュータムA』はサリチル酸で一番弱く、フェルビナク製剤がその上で浸透力もあり、インドメタシン製剤は市販では強い部類であることを説明した。
     すると、当初はお客様本人の話のはずだったのに、鎮痛剤の説明をしているうちに、患者が第三者のような話になった。
     どういうことなのか(^_^;)
     なんだか患者さんの特定をできないまま、鎮痛効果が高くて浸透力もあるジクロフェナクナトリウムの『ボルタレンローション』をお買い上げ頂くことになった。
     でも、1週間ほどして改善しなければ、病院を受診してくださいねと伝えた。
     ああ、打撲の内服薬として『桃核承気湯』を紹介し損なったな。
     まぁ、患者さんを特定できないことには勧めにくいけど。

     やや高齢のお客様から風邪薬をと求められたけど、主訴を確認すると喉の痛みだけで他に症状は無いというため、扁桃腺炎に用いる『駆風解毒湯』を案内した。
     しかし、さらに詳しく症状を訊くと、痛いところまでもいってなくて、喉に違和感を感じる程度だそう。
     ふむぅ、それは体の中が乾燥してるのかもとお話して、『麦門冬湯』を紹介した。
     すると、いつもは喉が痛むときには扁桃腺が腫れて、外側からも分かるほどだと言われた。
     むむっ、それは重要な情報。
     つまり今回は、そうなっていないのだから扁桃腺炎ではないということ。
     そんな訳で、『麦門冬湯』を使って頂くことになった。

     

  • 外用の消炎鎮痛剤は、患部の状態に合わせて検討を

     『パテックスうすぴたシップ』をレジに持ってきたお客様に、鎮痛剤としては弱い部類であることを伝えると、お客様自身はリウマチに、そして息子さんの肩こりに使うとのこと。
     本当はダイレクトに用途や症状を尋ねたいところなんだけど、地雷になることもあるため、こちらからの情報提供という体裁を取ったりして探りを入れることもあります。
     今回のお客様には、症状によっては家族で同じ物を使うのが適さない事もあることをお話して、市販の湿布薬には鎮痛剤の強さは大きく分けて三段階あることと、浸透力の違いもあることを説明した。
     すると、病院では『ロキソニンテープ』が処方されているという。
     『ロキソニンテープ』と比べたら、『パテックスうすぴたシップ』は四段階くらい弱くなりますけど(^_^;)?
     シップに鎮痛作用に違いがあることは、考えたことが無い模様。
     とはいえ、お客様自身が「リウマチは治らないのよね」と言われるように、継続的に使うことを考えると、普段使いを弱い物にして、痛みが強い時に『ロキソニンテープ』を使うという方法もある。
     そうお話をしてみたら、「出かけるときかね」と言われ賛同した。
     そして、内服薬として『疎経活血湯』を紹介し、本日のところは『パテックスうすぴたシップ』をそのままお買い上げ頂いた。

     お客様から『デンタクリーム』という口内炎薬を指定されたけど、うちのお店には置いていない。
     しかも、私が知っている森下仁丹製とはパッケージのデザインが違うみたいで、話が噛み合わなかったため、お客様のスマホを見せてもらったら、ノーチエ薬品製だった。
     医薬品は、製造元と販売元が異なっていたり、同じ処方を他社に提供していたりするから、メーカーやブランドを指定されてしまうと、同じ物を求めるのは難しいんである。
     せめて同じ成分で妥協しないと、お店を何件も廻ってすら見つけられないという事になる。
     さらに、それが頼まれ物だったりすると、頼まれた人が可哀想。
     その点、今回はお客様自身が探しているので、代替品を提案できそう。
     どちらのメーカーの物にしろ、『デンタクリーム』を置いていないしね。
     そこで症状を尋ねてみると、一週間ほど前に口の中を噛んでしまったというお話。
     ありゃん、そんなに経過しているのでは非ステロイド剤とはいえ、痛み止めを二種類も重ねている『デンタクリーム』の出番はとっくに過ぎていると思われ。
     そうお話して、抗潰瘍作用のあるアズレンを主成分とした『サトウ口内軟膏』か、それに組織修復作用と殺菌成分を配合した『トラフル軟膏』を提案した。
     すると、『トラフル軟膏』をお買い上げ頂くことになり、シャワー派だそうなので入浴することと、食事も症状が出ている間は思いっきり根菜や緑黄色野菜に偏らせるよう勧めた。
     皮膚の材料を積極的に摂って、それを血液で運んでもらうため。
     噛んでしまった初期なら、内服薬として喉の痛み止めの『ペラックT』や日焼けに使う『黄連解毒湯』を案内したかったところ。

     

  • 風邪薬は使うタイミングを見極めて

     成人の娘さんが一昨日に転んで打撲を負ったとのことで、外用消炎剤を買いにお客様が来店。
     患部の腫れは引いたものの、痛みが残っているという。
     急性でもあるので『フェイタスZ』を案内したけど、家には『バンテリン液』があるそうな。
     でしたらそれを使ってみてはと言うと、本人が貼る物を希望しているのだとか。
     ふむぅ、急性だからと『フェイタスZ』を案内したものの、日が経ったことを考えると、鎮痛効果を落として浸透力のあるフェルビナク製剤のほうが良いかな。
     残っている痛みの程度が不明ではあるけれど、もう3日しても痛みが残るなら剥離骨折をしているということも考えられるため、その時には病院を受診するようにとお話して、『フェルビナク5.0』を購入して頂いた。
     あと、内服薬として『桃核承気湯』を紹介した。
     貼る物にしろ塗る物にしろ飲む物にしろ、剤形を初めから決めてしまうと選択範囲を狭めてしまうから、知っておいてもらいたいなと。
     特に、打撲で内服薬というのは考えないだろうから。

     お客様から喉の痛みの相談を受け詳しく訊くと、ツバを飲むのも痛いそうで『パブロンエースAX』は効かなかったという。
     体感としては発熱しそうという話だけど、だとすれば使うタイミングが早かったのかもしれない。
     総合風邪薬には、解熱だ咳止めだ鼻炎を抑えるだのと色々と入っているため、特定の症状しか出ていない時に使うと、出ていない症状に対する薬効成分は無用なだけでなく体に余計なダメージを与えてしまいがち。
     なによりも、主訴への効き方が弱くなる。
     喉が痛いだけなら『駆風解毒湯』でも良さそうだが、発熱しそうという感覚を無視する訳にもいかず、お客様に安心してもらうために『銀翹散』を勧めて、お買い上げ頂いた。
     『銀翹散』は喉の痛みだけでなく、発熱にも対処できる。
     漢方薬だからという訳ではないけど、こと風邪薬では漢方薬は予防的に出ていない症状に先んじて使うことができる点が便利。

     お客様から口内炎の塗り薬を要望されたので、痛みが強い時に炎症を抑える物と、痛みはそれほどではなく患部の再生を促す物を案内した。
     今回は珍しくお客様から相談を受けたから案内できたけど、自分で選んで買う人は違いに注意。
     そして今回のお客様は、よく口内炎ができて、毎回同じ場所ではないという。
     同じ場所にできるようだと、歯が当たっているせいだったりするから、そういう場合には歯科医に相談を。
     今回は、お話からすると胃が原因と考えられることを説明し、神経性胃炎に使う『半夏瀉心湯』を紹介した。
     ストレス性の胃の不具合は思い当たるらしく、ついでながら『安中散』『四逆散』を合わせた『爽和』と、『リフレライフ』(安中散加茯苓)も案内してみた。
     『爽和』の方は環境や対人といった外部からのストレス向けで、『リフレライフ』は起きていないことを心配してしまうような内面的なストレスに適応することを説明すると、『リフレライフ』の購入を決められた。
     じゃあ当初の口内炎についてはどうするかというと、『バファリン』などの鎮痛剤を使うのはどうかと訊かれた。
     『バファリン』は胃に優しい方ではあるものの、やはり避けたほうが良いでしょうとお話した。
     痛みはそれほどではない事から、塗り薬をやめて『チョコラBB』の液剤を使ってみますと、お客様自身が選択された。
     ちなみに、痛みが強い場合の口内炎で漢方薬を使うとすれば、夏場の日焼けにも使う『黄連解毒湯』が適応します。