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  • 紹介されると緊張します

     常連のお客様が、友人らしき人の手を引いて来店。
    「良く効くのよ~」と私を紹介され、嬉しいやら恥ずかしいやら、恐縮です゚+。(〃ノωノ)。+゚
     てか、日々「当てずっぽう」なんて言えない………。
     その連れられてきた人の主訴は咳と喉の痛みで、一週間ほど前に風邪をひき、微熱があったとのこと。
     もともと体温は高めらしく、体内が乾燥している可能性をお話し、喉の痛みはそれほどではないということから、『麦門冬湯』を案内してお買い上げ頂いた。
     それと、仕事で声を使うというお話があったため声嗄れに使う『響声破笛丸』を紹介し、症状に合わせて乗り換えていくのが効果的なことを伝えた。
     喉のケアのためも血流が大事だから入浴を勧めたけどシャワー派だそうなので、首周りに重点的に浴びるよう勧めた。

     お客様から、成人の息子さんが疲労と喉の痛みを訴えているという相談を受け、まず疲労に『柴胡桂枝湯』を案内したうえで、喉の痛みについては、元々お腹が弱いというお話から冷やす力の強い『桔梗湯』は避けて、『駆風解毒湯』を勧めた。
     しかし、本人は粉薬が苦手らしく、体の土台を支える『柴胡桂枝湯』はなんとか飲ませてみるが、喉の方は錠剤をと希望され『ペラックT』に変更してお買い上げ頂いた。
     息子さんは帰りが遅くシャワーで済ませてしまうという話だったから、睡眠時間を削ってでも入浴したほうが睡眠の質が上がることを説明した。
     ただ、どうしても入浴を嫌がるようであれば、首周りや膝の裏など、皮膚が薄くて太い血管が通っている場所に重点的にシャワーを浴びるようにと伝えた。
    「お風呂を沸かし直すと光熱費が上がるからねぇ( ´Д`)=3」と言われたけど、それが薬代に変わるだけですとお話した。

     

  • 患者さんが目の前にいないと分からないことがあります

     『セイロガン糖衣錠』の携帯用をレジに持ってきたお客様に、普通の『正露丸』と違い炎症を抑えるカンゾウとチンピが入っていないことを伝えたところ、一旦はそのまま購入されようとしたものの、よく食中りを起こすと言われた。
     詳しく話を訊いてみると、普段は『ビオフェルミン』を飲んでいて、『ザ・ガード』を試してみたものの合わなかったという。
     よく食中りになるというのが、どのような状況でどんな症状になるのかまで踏み込めなかったけど、神経質そうにみえたため便秘と下痢の両方を整える『桂枝加芍薬湯』と、胃腸炎を起こしやすい場合の『柴胡桂枝湯』を紹介した。
     本日のところは、普通の『正露丸』の携帯用に変更して購入された。
     過敏性大腸症候群とかも考えられるから、受診勧奨しておくべきだったかなぁ……。
     お客様が自分から相談したいそぶりが無いと、なかなか店頭で踏み込めない。

     夫婦で訪れたお客様、最初はご主人から『ユーグレナ』(ミドリムシ)の取り扱いがあるか尋ねられて、扱っていないことをお話した。
     個人的には興味あるけど、仕入れルートが無いんだよね。
     そして、奥さんの方が常連で、以前に乾燥の咳に『麦門冬湯』を使って頂き、その後に『ダスモック』(清肺湯)に乗り換えてもらい、当時より症状は軽減したものの、まだ咳が続いていると相談された。
     ありゃん、それは申し訳ない。
     もちろん、長く続く咳は他の病気の可能性もあるから受診勧奨が視野に入るんだけど、咳は常時ではなく、たまに咳き込み、強く出るときのキッカケは分らないということで、快方に向かってはいるみたい。
     そして最近、手首をひねってしまい病院で鎮痛剤が処方される際に担当医から、風邪薬を使うようであれば漢方薬をと云われたそうな。
     うへぇ、責任重大だわ(;´Д`)
     目の前で咳が出ていれば咳の音で分かることもあるんだけど、あいにくと今は咳が出ないらしく、鼻水もあることからすると『小青龍湯』が考えられるものの、痰が喉に引っ掛かって出そうで出ないという話からすると、気道が狭くなっているのを痰の引っ掛かりと錯覚する梅核気(ばいかくき)かもしれず、それなら『半夏厚朴湯』の出番だしと迷いに迷った。
     すると、ちょうど咳をされて、ガラガラと喉に掛かる音がした。
     やぁ、これは『カンポアズマ』の適応ですね(゚∀゚)
     いや、患者さんを前に喜んじゃいけない。
     もし『カンポアズマ』が効くようであれば、冷えと疲労が原因と考えられるので対策を講じてくださいとお話をしたうえで、お買い上げいただいた。
     もし病院で処方をしてもらうのなら、『神秘湯』『柴朴湯』を担当医に相談してみてくださいませ。

     

  • 飲むより飲まないほうがマシということも

     風邪薬の棚で迷っている様子のお客様に声を掛けて症状を尋ねてみると、主訴は鼻の奥の痛みと鼻水だとのこと。
     風邪とアレルギーや冷えの鑑別をするため鼻水の状態を確認したところ、白っぽいというから風邪ではあるらしい。
     そして、『新ジキニン顆粒』を使っているという話だったのだけれど、眠くなるのか嫌で1日1回しか服用していないそうな。
     あうっ、それなら飲まない方がマシです(;´Д`)
     体の方は、断続的に入ってくる薬を無駄に処理しなければならず、風邪を治すためのエネルギーが削がれてしまうので。
     それに、発熱も咳も無いというから、そもそも『新ジキニン顆粒』は適応しないと思われる。
     主訴からすれば上半身を温めるのが有効そうなため『葛根湯』を提案すると、使ってみたものの胃が重くなる感じがしたという。
     ああ、麻黄なんかが胃の負担になるからねぇ。
     胃の弱い私なんか、『葛根湯』『麻黄湯』が使えなくて、風邪の初期から後期まで『柴胡桂枝湯』で通してしまう。
     しかし、使った時には症状の方は楽になったという話だから、1回の服用量を減らし1日の回数を増やす方法を勧めた。
     この辺り、先の『新ジキニン顆粒』の間引き服用とは反対のようだけど、そういう服用の仕方が一部の漢方薬では可能なのだ。
     あと、鼻水が出るような今回の症状では使えない物だけど、『葛根湯』とは反対に上半身を冷やして風邪を治す『銀翹散』も紹介した。
     知っておいてもらえば、役に立つ機会もあろうかと。
     今回は、『葛根湯』をお買い上げ頂いた。
     

     やや高齢のお客様より、点鼻薬の『ナザールスプレー』と『スットノーズα』の違いを尋ねられたので、後者には局所麻酔のリドカインが入っていることを説明した。
     個人的には勧めないけど、鼻のムズ痒さが強いと痛く感じることもあるから、リドカインが入っている方が楽になると考えられる。
     漢方薬推奨の私ですが、喘息がそうであるように、苦しい時に「一時的に」という自覚を持っていれば、強めの薬を選択して症状を緩和するのを優先するのは悪くない。
     さて、主訴が鼻づまりの今回のお客様、以前に使っていた物が鼻がスースーして気持ち良かったというのだけれど、名前も内容も不明。
     メントールが入っていたのかもしれないし、添加物のエタノールでもそう感じるかもしれないから、「鼻がスースーした」というだけでは全く絞り込めない。
     他に、『コールタイジン』を使ってことがあるという話もあったが、そっちは使い心地を覚えていないそう。
     ううむ、困ったなぁ。
     困ったときには、話を逸らすに限る。←マテ
     もともと花粉症があるというので、『葛根湯加川きゅう辛夷』を紹介し、下半身を温めるよう勧めたところ、寝汗をかいて着替えるくらいだと分かった。
     話を逸らしてみて良かった、もとい、詳しく訊いてみるもんだ。
     寝汗をかくというのは、体温調整が上手くいっていない証拠。
     体としては何か無理やり熱を発したい理由があり、一方で急に体温が上がりすぎたため汗を出して冷ますという極端なことをしている状況。
     こういう場合は、体が熱を発しなくても良いようにしてあげることが大切なので、腹巻きやモモヒキなどを使い温めるのが有効である。
     鼻づまりも、上半身に不要な熱が篭るのが原因であろう。
     下半身が冷えがちだと、温かい空気は上昇するため、下半身を温めることで体内の熱の偏りを正すのが症状の緩和に役立つ。
     今回は、『スットノーズα』と『葛根湯加川きゅう辛夷』をお買い上げ頂いた。
     

     

  • 映画で「これは独り言だが……」と聞こえるように云うシーンが好き

     各種の『のどスプレー』を次々と手にしているお客様がいたので声を掛けてみると、ヨード系を避けたいというお話。
     詳しく訊いてみたら、高校生の子供が『橋本病』だそう。
     となると、アズレン製剤以外はポピドンヨード製剤だから、どれを選んでも同じこと。
     そう説明したうえで症状について確認したところ、喉の痛みではなく咳払いが多いという。
     橋本病自体は「慢性甲状腺炎」だから、抗炎症のアズレン製剤が無駄になることは無いだろうけど、同時に「慢性」に繰り返し使うのも問題がある。
     細菌などと戦う甲状腺炎と違い、自己免疫の異常によるものだから、炎症で体内が乾燥しているようなら『麦門冬湯』で上半身を潤したほうが良いし、自己免疫の異常はストレスとも関係しているため『半夏厚朴湯』で気道を開いたほうが咳払いも抑えられるのではないか。
     両方を紹介して、担当医に相談してみてはと提案してみたけど、「漢方薬は駄目だと思う」という返事。
     これが、「漢方薬は効かないと思う」という意味なのか、それとも「子供が漢方薬は嫌がる」という意味なのか、ちょっとニュアンスが掴めなかった。
     結局、「自分も使うから」とアズレン製剤の『のどスプレー』を購入。
     仮にも、ノズルを口の中に入れて使う物を共有するのは避けて欲しいんだけどなぁ(^_^;)
     あまり深くまで立ち入って地雷を踏むのみも怖いから引いてしまったけど、やはりその点は注意しておくべきだったかも。
     できれば、本人が直接店頭に来てくれると良いんだけどねぇ。
     漢方薬に限らず、「粉は駄目」とか「錠剤は駄目」といった剤形ですら、本当に本人がそうなのか、親の思い込みなのか分からないし。
     そもそも今回も、主訴の咳払いについての薬を、本人が望んで親が買いに来たのか、本人の意志とは関係無く親心で買いに来たのかも分からないもの。

     
     以前に、病院で処方された『柴胡加竜骨牡蛎湯』が合わないというお話に『十全大補湯』を紹介して試して頂いたら適応したらしく、それから何度か買いにいらっしゃるお客様から、今日は『ドキシン錠』が鎮痛剤として使えるか質問された。
     あれ?
     デジャヴ?
     と思ったら、確かに数日前に他のお客様からも訊かれていたのを後で日記で確認した。
     主成分のメトチカバモールは筋弛緩剤で、配合されているエテンザミドが炎症を抑えるものの、鎮痛剤として考えていると期待した効果は得られないかと思われますと説明したうえで用途を尋ねると、椎間板ヘルニアと診断されていて、病院からは鎮痛剤が処方されているそう。
     そして担当医からは、自然に治るのを待つしかないと云われているらしい。
     ふむぅ、そういう事でしたら担当医に『ドキシン錠』を使って良いか相談してみてはいかがでしょう。
     鎮痛剤と併用しても悪くないはずで、もしかすると同じような別な薬を処方してもらえるかもしれませんし。
     もし相談されるなら、『疎経活血湯』もどうですかねと紹介したら、そのまま購入されてしまった。
     あうっ(;´∀`)
     信頼していただけるのは有り難いですが、あまり簡単に飛びつかれると、それはそれで困る……。

     お客様から、「インフルエンザの予防になる物を」とリクエストされて答えに窮する。
     インフルエンザの予防は一般的には、うがいと手洗いという事になるけど、実は厚生労働省では手洗いは推奨していても、うがいは推奨していない。
     うがいが無駄というよりは、実際に効果的に運用するためには1時間ごとにうがいをしなければならず、実用的ではないというのが理由の一つらしい。
     それならマスクで、感染する機会を減らし、かつ口の中に湿度を保って体温でウイルスの活動を抑制するほうが効果が期待できる。
     そういうお話をしてみたら、そういう予防ではなく、もっとダイレクトな内服薬での予防を求められた。
     あうっ、なおさら無理ですよぅ(;´Д`)
     じゃあね、あくまで効くとは言えません。
     効能として、明言できません。
     ただ、人間の免疫機能の約6割は腸が担っているとされています。
     そして、肝臓が解毒作用を司っています。
     だから、病気への抵抗力を高くするという考え方の一つとして、胃腸と肝臓を助けるというのがあります。
     そこから、『柴胡桂枝湯』を常備しておき、疲労を感じたときに体力の低下を防ぐのを目的として使うという方法がなきにしもあらずです。
     それ以上は……、ムニャムニャ(´~`)
     胃腸炎にも使えるという点を伝えて、お買い上げ頂いた。
     ことに現代薬の風邪薬には、「吐き気」に対応した物は存在せず、ほぼ『柴胡桂枝湯』一択なので常備薬として手元に置いて損は無いという話を付け加えた。
     対抗は、『かっ香正気散』かな。
     『かっ香正気散』は、夏バテで胃腸が弱った時の風邪に向いているのに、マイナー過ぎて売れた試しが無いけど。

     

  • 風邪で重要なのは体力の温存

     お客様が『新コンタックかぜEX』の空箱を持ってきて、中学生の息子さんに3日ほど飲ませて効いたから、「あとどれくらい飲ませ続ければ良いか」と質問された。
     しかも、また同じ物を買おうと思っている模様。
     詳しくお話を訊くと、一時期は38.5度まで発熱して今は下がったものの、咳と頭痛が残っているという。
     そして試験期間中で、まだ2日ほど続くから早く治してあげたいとのこと。
     ええ、親心は大変分かりますが、総合風邪薬は風邪を治すわけではなく、あくまで症状を抑えるだけで、その分体への負担は掛かるから、できるだけ服用は短期間にしないと余計に本人は苦しいことになります。
     そう説明して、風邪の後期に用いる『柴胡桂枝湯』を勧めた。
     現代薬には、解熱後の回復期に使える物は無いので。
     まぁ、咳が残っている点からすると『竹じょ温胆湯』も候補になるんだけど、試験でゆっくり休めないとなると胆力に影響する胃と肝臓を助ける必要があるだろうと判断した。
     咳には代わりに、発熱による体内の乾燥を補う『麦門冬湯』を案内してみたけど、咳き込むほどではないそう。
     そして、お客様は早く体力をつけさせるために普通の食事に戻そうと思っているというようなお話があったが、内臓の方はまだ弱っているだろうから消化に良い食事にして、これまた代わりに『新ヒストミンゴールド液』を提案した。
     『新ヒストミンゴールド液』には、保湿する麦門冬湯と炎症を抑える甘草が入っていて、咳による体力の消耗を防ぐことができる。
     一応、再びの発熱を心配したお客様は『新コンタックかぜEX』と一緒に、『柴胡桂枝湯』と『新ヒストミンゴールド液』を購入された。
     まぁ、この辺は親心ですな。
     そうそう、症状をヒアリングしている時に「本人じゃないと分からないわね」と言われた。
     まさにその通りで、寝込んでいるのでなければ、将来のためにも本人に薬を買わせる練習をさせた方が良いですねとお話をした。

     高校生の娘さんを連れたお客様が来店。
     娘さんが風邪薬の棚で迷っている様子だったから声を掛けてみたけど、案内は断られた。
     そして『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきて症状を尋ねたところ、主訴は喉の痛みで他に症状は無いというので、起きていない症状の成分まで入っている総合風邪薬では、それらの成分を処理する過程で体が疲労してしまう可能性を説明した。
     ごく初期の喉の痛みであれば、『葛根湯』でも対処できることをお話すると、家にあるというので購入は取りやめとなった。
     親御さんが風邪をひき、自分の風邪が娘さんに移ったのかと心配していたけど、喉の痛みは必ずしも風邪の兆候ではないことを説明した。
     特に試験期間中ともなれば、ストレスで胃炎を起こして、それを喉の痛みと感じることもあるので。
     もし本当に風だとすれば、そのまま『葛根湯』が適応するから、オカシイと思ったら早めに使う方法を勧めた。
     空振りだったとしても、『葛根湯』は栄養剤になるし。
     一応、喉の痛みが強い場合には、患部を冷やす『桔梗湯』か、熱の発散と冷やすのとを一緒に行なう『駆風解毒湯』をと紹介した。

     

  • 「痛み」というのは表面に現れた症状の一つです

     お客様から、『リングルアイビー』と『ドキシン錠』の比較について質問され、逆に用途を尋ねると椎間板ヘルニアと診断されていて、でも鎮痛剤が処方されていないため市販薬を探しにきしたそう。
     そして、以前に『リングルアイビー』を使ったことがあり、少しは効いたとのこと。
     となると『ドキシン錠』は、鎮痛剤というよりは筋弛緩剤で、筋肉をほぐして血流を促すための物なので、椎間板ヘルニアに有効であるものの鎮痛剤と同じに考えていると期待外れになるかもと説明した。
     そもそも病院で鎮痛剤が処方されていないというのは、以前は病院でステロイド剤を注射をしてもらっていたのが、引越しで病院を変えたら、そこの担当医はステロイド剤の注射をしてくれず、鎮痛剤も処方してもらえなかったそう。
     ううむ、確かに日本では、ステロイド剤注射を良く思っていない医師は多いという話がある。
     実際、最低3ヶ月以上の間隔を空けるとか、年に2回までというように制限があり、ステロイド剤を使うと免疫力が落ちるため感染症のリスクもあるため、気軽に実施できる治療法ではないらしい。
     そのうえ、これは私の感じた印象だけど、お客様の話しぶりからすると、『バンテリン』なども独自て使っていたらしく、鎮痛剤を乱用しそうな危険性が拭い切れない。
     あくまで、印象の話ですが。
     お客様には保険の適用薬でもある『疎経活血湯』を紹介し、こういう物を鎮痛剤と一緒に処方してもらえないか担当医に相談してみてはと提案した。
     痛み止めだけに頼るのではないという姿勢を、見せてみるのはどうかと。
     本日のところは、『リングルアイビー』を購入された。
     売らない理由も無いので。

     『葛根湯』をレジに持ってきたお客様から、「風邪の初期」に効くのかと質問されたので、「初期とはいつか」というお話をした。
     一般的に「風邪の初期」というと「熱の出始め」や「喉が痛くなったら」と考えられているけど、『葛根湯』の適応する「風邪の初期」は「熱が出る前」であり、「寒気がする……かな?」とか「頭が重い……気がする」というタイミング。
     そのうえ、「喉の痛み」に関しては、風邪の兆候とは限らず、現在の日本人には多い「胃炎」や「逆流性食道炎」による炎症を「喉の痛み」と勘違いしているケースもあり、上半身を温める『葛根湯』では適応しないことがある。
     そういうお話をすると、頭痛にはどうかと訊かれた。
     もちろん『葛根湯』の効能にも頭痛があり、効果はあるのだが、頭痛にも種類があり、上半身を温める『葛根湯』は、高血圧を伴うようなズキンズキンと血管が拍動するタイプの頭痛や、胃が不調になり下に引っ張られるような頭痛にも『葛根湯』は胃に負担を掛けるため向かない。
     簡易な鑑別法としては、冷たい水を飲んで楽になるか、温かいお湯を飲んで楽になるかという見分け方があり、温めて楽になるのなら『葛根湯』が適応すると考えられる。
     ちなみに、朝方の頭重感や高血圧を伴う頭痛には『釣藤散』が適応し、天井が回るような目眩(めまい)をともなう頭痛には『苓桂朮甘湯』が向いており、冷たい水を飲んで楽になるなら『五苓散』を、そこに疲労感も重なっているなら『柴胡桂枝湯』となる。
     頭痛に限った話ではなく「痛み」というのは表面に現れた症状の一つで、本質的には難しいところ。
     迷ったら、営業時間であれば電話でもご相談くださいと伝えた。
     本日は、そのまま『葛根湯』をお買い上げ頂いたので、家に置いておくよりも持ち歩いて、出先で「予感がした」時に服用するよう勧めた。
     さっきの話に矛盾するようだけど、『葛根湯』は早さが勝負で、進行すると『葛根湯』が適応しなくなるケースでも、例えば初期の炎症症状であれば熱を発散したりすることで解消する可能性が高いので。

     

  • 売りつける気はありませんが思い入れはあります

     『麻黄湯』を購入されるお客様に症状を尋ねると、発熱はまだだというので『葛根湯』を提案すると、家にあるとのこと。
     使わないのはモッタイナイとお話して、先に『葛根湯』を服用して、発熱に移行してしまってから『麻黄湯』に乗り換え、発熱で汗をかく段になったら『柴胡桂枝湯』をと案内した。
     ここで『麻黄湯』をキャンセルされても仕方ないかなと思ったけど、『麻黄湯』はそのままお買い上げ頂けた。
     金銭的に損はさせたくないけど、売上には響くので内心ホッε-(´∀`*)

     『ドライノーズスプレー』が欲しいとお客様がいらしたけど、あいにくと置いていないため成分の近い『アルシャット鼻シャワー』を案内した。
     違いとしては、保湿作用のあるクリセリンが加わっているくらい。
     一方、症状の方を訊いてみると、鼻の中が乾いているのは目的から当然として、喉の方まで乾いて咳になることが多いそう。
     それはもしかして、胃炎を起こしてるんじゃないですかね。
     胃炎の熱が上半身を乾燥させている可能性をお話すると、体は冷えがちでカイロをお腹周りに貼ったりしているという。
     むむっ、それは怪しい。
     内臓の冷えを補うために、胃が頑張って炎症を起こしているように思える。
     胃を正常にして上半身を潤す「咳止め」の『麦門冬湯』を紹介してみると、アルシャット鼻シャワー』と一緒にお買い上げ頂けた。
     この辺が漢方薬の面白いところで、『麦門冬湯』の生薬構成は健胃剤のはずなのに、効能は咳止めなんだよねぇ。
     咳の原因は幾つかあるけど、現代は住環境が整った屋内は乾燥しやすく、ストレスの多い社会では胃炎で体内が乾燥するから、個人的には『麦門冬湯』は季節を問わず出番の多い「咳止め」だと思う。
     それこそ健康番組なんかで、「実はこの咳止めの薬、中身は胃薬と同じなんです」とか解説したら、話題になるんじゃないかな。
     芸人たちの「えーっ!?」というウザイ声が入るだろうから、私は見たくないけど(o ̄∇ ̄)o

     飲み会対策のコーナーに置いた『肝生』を見ていたお客様が、隣の『ネオレバルミン』の方を購入されるので、使用したことがあるのか尋ねたところ初めてで、ご主人に買ってあげようと思ったとのこと。
     『ネオレバルミン』は、私が今の店で勤務し始めた頃は在庫の山が誇りをかぶっている状態で、なんでこんな良い薬がと不思議に思っていたら、従業員が誰も関心を持っておらず、私がメーカーに頼んで空箱を貰って山盛り陳列したり、肝臓が心配というお客様にことあるごとに紹介していたら、いつの間にか仕入れても仕入れても継続的に売れるようになったもんで愛着がある。
     他の店舗では販売数が芳しくなかったのか、本部からは取扱中止の指示が出たけど、うちの店舗だけ継続的に売れてるもんで、問屋に在庫確保をお願いしないといけないからと本部のエライ人に「迷惑」と言われてしまった。
     そんなの知らないもーん( ̄▽ ̄)
     そんな訳で、売れてくれるのは嬉しんだけど、だからといって手放しで売れるに任せておく訳にはいかないのが薬なため、声を掛けた次第。
     ご主人は、特別飲み過ぎる訳ではないのに、遺伝的なものか肝臓の数値が健康診断で悪く出がちだそうな。
     ふぅむ、確かに足の早い人遅い人がいるように、内臓の働きも人それぞれで、病気と呼べるレベルではないものの機能が人より低いというのはあり得ること。
     肝臓は、暑さ寒さに極端に弱い臓器でもあるため、季節ごとに適温を保つ服装を心がけるように伝えて下さいとお話した。
     本人は暑がりだというお話だから、『柴胡桂枝湯』とか柴胡剤が必要かもしれないなぁ。
     ところで、『肝生』を仕入れたのは私なんだけど、ちっとも売れない。
     肝臓疾患に使える市販薬の選択肢が、『ネオレバルミン』一択というの良くないと思って仕入れたのに。
     生薬構成からしても、肝臓疾患には『ネオレバルミン』に劣ることは無いんだけど、やはり売る側の思い入れの違いかしらん(笑)

     

  • 薬は強ければ良いというものではないので

     ヒビ割れの薬を求めて来店したお客様に患部を見せてもらうと、指の関節部が切れているようで、水仕事が原因らしい。
     昼の仕事では手袋を付けられず、家での家事では手袋をしているそう。
     ふむぅ、できれば傷口を絆創膏で塞ぎたいところなんだけど。
     ひとまず『ヒビケア』と『ヒビエイド』を案内し、傷口が治ってきたら『ユースキンA』に乗り換えて夜間にケアするよう勧めた。
     それと、皮膚の再生を促進するために夏野菜を一時的に排除するくらいの勢いで、思いっきり根菜に偏らせるようお話した。
     特定の目的のためには、バランスの良い食事ではなく、期限を切って食生活を偏らせるという手法も必要になるので。

     『バジルシード』を求めてお客様が来店したけど、うちのお店では取り扱っていない。
     どうやらテレビ番組で取り上げたらしく、『チアシード』より栄養があってダイエットに向いていると紹介されたそう。
     お客様からは「置けば買いに来る人いっぱいいるわよ」と言われたけど、どうせ一ヶ月も経たずに売れなくなるに決まってる。
     本部から送り込まれた『ココナッツオイル』なんて、売場で山積みのまま賞味期限切れを待つばかりである(;´д`)
     番組では、一人の人の体重の変化を追跡してたらしいけど、お客様には健康情報を見たり人から勧められた時には、相手と自分とにどれだけ共通点があるかを参考にして、安易に飛びつかないようにお話した。
     まぁ、それでも『チアシード』は買っていかれましたが。

     カップルが『ロキソニン』を求めて来店し、置いていないため、化学構造式の似ているイブプロフェンで代用できるのではと『イブA』を提案したところ、使う女性が持っているとのこと。
     じゃあどうして『ロキソニン』を買いに来たのかというと、「ロキソニンの方が効くと思って」と男性のお答え。
     ところが、用途を確認すると朝方に頭痛がするそうで、痛み方はズキズキするという。
     その頭痛は、血圧の変化か胃の不調が原因じゃないかなぁ。
     頭痛は朝方だけで昼前には治まるというから、血流改善の『ズッキノン』(釣藤散)か胃腸の関連する頭痛の面倒を見てくれる『柴胡桂枝湯』が適応しそうですが、と紹介してみた。
     少なくとも、胃の不調が原因だとすれば、胃に負担のかかる『ロキソニン』は避けたほうが良いし、『イブA』で効くのなら継続してみてはとお話しした。
     そして、室内では暖房を入れていても下半身に二重に何か履くようにして、下半身を積極的に温めるよう勧めた。

     

  • 頼まれて来た人に説明しても伝えきれない

     東南アジア系と思われる、外国人のお客様が二人組で来店。
     患者さん本人は全く日本語が出来ないらしく、同行している人に通訳してもらったところでは、どうやら皹(あかぎれ)らしく、指先が数ヶ所割れていた。
     通訳の人の話では、手荒れのクリームをという事だったけど、これは『ヒビケア』でいったん治してから、『ワセリン』で保護したほうが良いと伝えた。
     ただ、うちのお店に置いてある局方の『ワセリン』は、小瓶と大瓶の極端な物しかなくて、医薬部外品の物は価格が高めになってしまい、患者さん本人が躊躇してしまったため、アロエエキス入りの『メンターム アロバ 薬用スキンクリーム』を紹介してみたら、『ヒビケア』と一緒に購入して頂けた。
     住んでいる所にはお風呂が無くシャワーのみだそうなので、首の後や脇の下といった、皮膚が薄くて太い血管をある部位にシャワーを浴びて血の流れを良くするよう、通訳の人を通じて説明した。

     『麻黄湯』の液剤を購入されるお客様に発熱の有無を確認したところ、ご主人から「液剤の風邪薬を」と頼まれてきたという。
     しかし、ご主人の症状については把握してきていなかったらしく、パッケージに「風邪の初期」と書いてあることから選ばれたそう。
     ううむ、麻黄の効果で体感的にはシャキッとするかもしれませんが、悪寒の有無や発熱などの経過観察をして、発熱前なら『葛根湯』を使い、発熱して汗をかくようになったら『柴胡桂枝湯』に乗り換えることも検討するよう、ご主人に伝えておいてくださいな。
     そう説明して、そのまま『麻黄湯』をお買い上げ頂いた。
     せめて頼む方も自分の状態を伝えておいて欲しいし、頼まれる方も症状を確認してから来てもらいたいところ(;´д`)

     『パブロンSα』をレジに持ってきたお客様に症状を尋ねてみると、成人の息子さんに「風邪薬を」と頼まれたという。
     嫌な予感しかしないなぁ(^_^;)
     一応は、喉の痛みと鼻水が主訴であるらしいことは分かった。
     でも、鼻水の状態は確認してきていないそう。
     万能な鑑別法じゃないけど、鼻水に色が付いているか、あるいは白っぽくて粘り気があるか、それともツーッと垂れてくる透明かというのは、風邪かどうかを見分けるのに重要なので、ぜひ鼻水の状態の確認は意識してもらいたいところ。
     透明で、本当に水みたいな鼻水なら、これからの季節では単純に冷えのせいと考えられ、風邪薬なんか飲まなくても体を積極的に温めてしまえば回復には充分。
     喉の痛みの方も、冷えた体を温めようと体が頑張ってしまい、これまた単純に温かい空気は上に昇るから上半身が乾燥してしまったか、胃炎になっていて直通している食道や近くの気管支が、トバッチリで炎症している可能性が高い。
     その場合は、お風呂に入ったり温かい物を飲んだり、腹巻きでもして体を温めれば、体の方も頑張って熱を出す必要が無くなり、炎症が治まる。
     もし、冷えによる鼻水とは別に、外敵と戦ったりするための扁桃腺炎なら、喉の痛みだけに薬を使い、風邪薬を処理するための体力の低下を防ぐほうが、年末に向けて休みにくい状況では良いだろう。
     そんな話をしてみると、お客様自身は体がだるい時には『葛根湯』を使うそうな。
     上半身を温める『葛根湯』は喉の痛みには向かないが、ごく初期の段階なら炎症の熱を発散する効果はあり、冷えによる鼻水にも当然効くから、今の段階なら充分行けるはず。
     そう思ったら、息子さんは粉を嫌がり、家にある『葛根湯』は飲まないそう。
     好き嫌いはしょうがないけど、その好き嫌いは症状の苦しさと天秤に掛けて、せっかく手元にある物を活用する機会を失っても良いものなのか。
     ひとまず今回は、そのまま『パブロンSα』をお買い上げ頂いた。
     咳も痰も発熱も無いようなら、無駄だと思うんだけどねぇ。
     いや、お金のことだけどしゃなくて、取り込んだ後に処理するために働かされる体のほうが。
     体としては、冷えた体を温める方にエネルギーを回したいはずで、余計な物の処理にエネルギーを持っていかれたら、疲労して本当に風邪をひいてしまいかねない。
     『葛根湯』なら、栄養剤も兼ねてるような処方内容だから、あるなら活用したほうが、財布にも体にも優しいのに。
     でもそういう話は、頼まれて来た人に説明しても伝えきれない。
     体調不良で動けなかったり、時間的に無理でなければ、人に頼まず来店してくださいませm(_ _)m

     

  • 新人にしか出来ないこと

     『プレコール持続性カプセル』をレジに持ってきたお客様に症状を尋ねると、咳はそんなに出るわけではなく、むしろ気になるのは嗄声(しわがれごえ)だという。
     それはおそらく体内が乾燥しているからでしょうとお話して『麦門冬湯』を案内してみたけど、顆粒は飲めないというから、それだと『響声破笛丸』も使えない。
     他に何か使える物はないかと、顆粒以外の喉の薬の成分を確認して探し、『ルキノン咳止め錠』を勧めるとお買い上げ頂けた。
     これだって、ジヒドロコデインリン酸塩だのクレマスチンフマル酸塩が入っていて、勧めるのには躊躇うんだけどね。
     神経に作用して、余計に体内を乾燥させてしまうから。
     それでも、甘草で炎症を発散させ、桔梗で患部を冷やすのを期待してのこと。
     そして、胃を悪くして胃炎を起こしているのが原因かもしれないため、消化の良い食事をするよう伝えた。
     それにしても、解熱剤と鼻炎薬と咳止めが入っている薬を、どれ一つとして現れていない症状のために使おうとする人は多い。
     私としては、良く分からない考え方なんだけど。
     登録販売者の講師のブログを覗いたら、新人の登録販売者から「良く効く薬を教えて下さい」と質問されるというのを読んだことがあるけど、それはお客様にされることが多い注文。
     思わず、「下には下がいるもんだなァ」と安心してしまった(゜゜☆\(–メ)ポカッ
     でも、それは実は凄いアドバンテージなんだよねぇ。
     子供の頃から、喘息だアトピー性皮膚炎だのと患ってきた自分は、現代薬も漢方薬も自分で色々と使ってきたから、「とりあえず症状を抑える薬」と「根治治療を目指す薬」の使い分けを身を持って学習してしまった。
     これが今ではネックとなって、お客様から「良く効くのを」と注文されても、「とりあえず症状を抑える薬」と「根治治療を目指す薬」は別と考えてしまい判断に迷って、時にお客様から「面倒くさい」とか「分らないの?」と思われてしまう。
     いわばお客様と同じように考えることができる登録販売者の方が、お客様に寄り添って薬を選べるということ。
     当面の私の課題であるε-(‐ω‐;)

     『リポビタンDスーパー』10本入りを購入されるお客様が、会計時に1日2本ずつ毎日飲んでいるというので、本数を減らして『ユンケル』などの生薬系にしてはどうかと提案すると、3千円以上する物まで含めて全部飲んだことがあるんだとか。
     ありゃ、もしかして依存症になっているのでは……(・_・;)
     そう心配したのが顔に出てしまったのか、子供たちが医療関係者で同じように本数を減らすように言われているという。
     そして、『リポビタンDスーパー』自体は家にまだ残っているというので、今日のところは購入を控えるというお話になった。

     風邪薬の棚を見ていたお客様が、マスクだけをレジに持ってきたので状況を尋ねてみたら、旦那さんから「発熱しそう」と連絡があったそう。
     発熱前なら、自宅に『葛根湯』があれば使ってみてはとお話したら、あるとのこと。
     ただ、『葛根湯』は発熱してからでは遅いため、実際に発熱してしまったら『麻黄湯』を、疲労感が出てきたら『柴胡桂枝湯』をと紹介した。