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  • 漢方薬の不味いというイメージは『葛根湯』?

     胃腸薬の棚を見ていたお客様から、15歳の子供が嘔吐していると相談され、下痢は無いとのことから『柴胡桂枝湯』を案内した。
     すると、漢方薬は子供が嫌がるかもしれないとのことから現代薬を希望されたが、市販薬で嘔吐に使える物は他に無いことを説明し、お買い上げいただいた。
     あえて現代薬から挙げるとすれば酔い止めくらいだけど、それでも吐き気の緩和程度だ。
     嘔吐に下痢が伴うようなら、同じく漢方薬の『五苓散』が候補になるが、嫌がったのは『葛根湯』のようだ。
     一般に漢方薬の不味いというイメージは『葛根湯』によるもので、生薬に苦いのと辛いのとが入っているから、まぁ確かに不味い。
     でも漢方薬の味は生薬構成で決まり、『柴胡桂枝湯』には苦い物が入ってはいるが、辛いのが入っていない分だけ舌への刺激も少なく無理は無いはずである。
     咳止めの『麦門冬湯』となれば粳米も入っていて、かすかな甘みを感じるくらい。
     そうそう、嘔吐をしているさいには薬を水で一気に飲むと、また吐いてしまうかもしれないので、小皿にお湯で溶いてスプーンで舐めるように服用する方法を教えた。

     胃痛を訴えるお客様に、『大正漢方胃腸薬』と『スクラート胃腸薬S』を案内してみたら、以前に逆流性食道炎と診断されたことがあるというので、指を肋骨の下側に入れてもらったところ痛いと言うため『半夏瀉心湯』を勧めた。
     しかし、容量が3日分と少ないのが不安らしく『爽和』にも興味を持たれたため『太田漢方胃腸薬2』も交えて、前者は人から激しく怒られるなどの外から来るストレスに対応し、後者は自分で思い悩んでしまう様なストレスに向いていることを説明した。
     そして今回は、鎮痛鎮痙現剤の『芍薬甘草湯』の入っている『大正漢方胃腸薬』をお買い上げいただいた。
     逆流性食道炎の場合、さっきの指を肋骨の下側に入れて痛くなければ『ギャクリア』(六君子湯)も候補になる。

     

  • 彼女のために薬を買うのに最低限必要なこと

     やや高齢のお客様が腰のサポーターを買いにいらっしゃり、サンプルが無いため開封して試してもらったところ、そのままお買い上げいただいた。
     病院で脊柱管狭窄症と診断されて鎮痛剤と他にも何か薬を処方されているそうだけど、腰が痛むというよりは片足が攣るような感じがすると言うので『疎経活血湯』を紹介した。
     それと、人から温めるのも良いと聞いたと言うので、ゆったりとしたぬるめのお湯での入浴を勧めた。

     若い男性のお客様から、彼女が頭痛なので「早く効く物を」と注文されたのだけれど、肝心の彼女が使ったことのある鎮痛剤は聞いてきておらず、痛み方も分からないという。
     お菓子やジュースを買いに来たのではないんだから、最低限使っていた薬と起きている症状は確認してきて欲しい(´・ω・`)
     そもそも早く効くと言っても20分ぐらいで効くのが10分で効くとかそういうレベルの話なので、使ったことのある薬や症状を把握しているのでなければ、この場合は効果範囲の広い物を選んだ方が良いでしょうとお話して、『バファリンプレミアム』を案内し、お買い上げ頂くことになった。
     ところがお会計を済ませてから「二日酔いかも」と言われたので、『アルピタン』(五苓散)を紹介し、ズキズキする頭痛はたいてい胃の不具合と関係することを伝えた。
     というか、何故その情報を先に出してくれないのか( ´Д`)=3
     『バファリンプレミアム』にはイブプロフェンが入っており、イブプロフェンは胃の保護機能を低下させるので服用中は消化に良い食事をするようお話しした。
     もし本当に頭痛の原因が二日酔いであるのなら、いずれにせよ消化の良い食事をしなければならないし。
     あと、アルコールによる脱水症状もあるはずなので、水分補給を忘れずに。

     

  • 薬を確認しないで自己判断で買うのはもったいない

     お客様が『プリザエース軟膏』をレジに持って来たさいに、痛みが強ければステロイド剤の入っている『ボラギノール A軟膏』が適していることをお話したところ迷われたが、痔の痛みは少なく出血があると言うので、止血成分の入っている『プリザエース軟膏』をそのままお買い上げいただいた。
     入浴はしているそうなので、それは良いことだと伝えた。
     切れ痔の場合、気にしてお風呂に入らないという人もいるが、血行を良くすることは患部の修復には大事なことなのだ。
     あと、痔の薬で迷ったら強い炎症を止める成分の入ってる物と、止血成分の入っている物とで違うので、分からない場合は、登録販売者か薬剤師に相談してもらいたいところ。
     そのためにお店に常駐しているし、販売している薬にはそのお給料も含まれているので、確認しないで自己判断で買うのはもったいない話なんである。

     お客様から「眠くなりにくい酔い止めを」と注文され『ヒヤ乗り物酔いどめフィルム』を案内したが、以前に『アネロンニスキャップ』を使ったそうなので、その時の使用感が悪くなければ同じ物を使うのが安心ではと提案し、『アネロンニスキャップ』をお買い上げいただいた。
     成分だけで考えると眠くなりやすいといえるものの、人間の体は機械ではないから同じ反応を示すとは限らず、相性も大事。
     乗るのはバスとのことだったので、乗車前には温かい食事をして胃の消化物を早く腸に送り出し、乗ったら冷たい飲み物をこまめに飲んで胃の働きをわざと悪くして吐き気を抑える方法を伝えた。
     本当のところ、眠くなりにくい酔い止めとしては平衡感覚を保つ『苓桂朮甘湯』や、吐き気を抑える『五苓散』が使えるのだが、なかなか漢方薬というのは勧めにくい。
     眠くなる成分が入っていないから、観光旅行などの時には一番適している。
     初めに何に乗るのかとか、目的が分かると話を切り出しやすいのだけれど。

     

  • 正しい目薬のさし方は意外と面倒

     やや高齢のお客様から、眠くなりにくい酔い止め薬をと注文を受け、『ヒヤ乗り物酔いどめフィルム』を案内し、お買い上げいただいた。
     日帰りのクルーズ船を友人に誘われたそうで、内容は不明のようだが、乗る前の食事は温かい物を選び、乗船後は冷たい飲み物をこまめに摂ると船酔いを和らげることをお話しした。
     今回は話の流れで案内できなかったけれど、観光で眠くなりにくい酔い止め薬が欲しい場合は、目眩に用いる『苓桂朮甘湯』や、二日酔いに活躍する『五苓散』が使える。

     お客様から、『新なみだロートドライアイ』と『新ロートドライエイドEX』の違いを尋ねられ、成分だけで言えば大して変わらないことを説明した。
     後者の方は使ったことがあり、使用感はまぁまぁだったというので、それは薬を選ぶさいに参考になることをお話しした。
     主訴はもちろんドライアイで、痒みなどの症状もあるようなため、炎症を抑える『新緑水』を紹介し、病院に行ったことがあるかを確認すると、ドライアイと診断され2種類の目薬を処方されているというのだけれど、内容は分からなかった。
     処方されてる目薬があるとすると、市販薬の組み合わせはやはり考えなければならない。
     そして目薬は使用して良い成分が国で指定されているため、実のところ新製品なども成分の組み換えにすぎない。
     そんな話をしながら、『サンテメディカルアクティブ』にはヒアルロン酸が含まれていることを伝えると、処方された一つがそれだったとのことで、『サンテメディカルアクティブ』を購入された。
     お客様には、入浴して血行を良くすることと、目の周りを温めることを勧めたところ、『めぐリズム』などを使うと乾燥すると思っていたそうで、誤解を解いて一緒にお買い上げいただいた。
     それから、目薬をさした後は目を閉じて下を向く様に教えた。
     上を向いたままだと目薬が鼻腔を伝わって喉の奥の方に落ちてしまい、すぐにまぶたを開くと目薬が睫毛に持ってかれてしまう。
     だから目を閉じて下を向くことで、目の周りに目薬が行き渡るようにするのが効果的なのである。
     なお、製薬会社の研究員さんから聞いたところでは、目を閉じて下を向いたうえで目頭を押さえ、そのまま1~2分は過ごして欲しいと言われた。
     さすがにそれは、実践する人はいないんじゃなかろうか(;´∀`)

     

  • ネット検索は、本当に知らないことを調べるのには向いていない

     お客様から『パンシロン01』や『パンシロンキュア』しか置いていないのか尋ねられたので『パンシロンG』を案内したのだけれど、使っていたのは無印だと言われる。
     ううん、『パンシロン』のシリーズに無印は無いはずなのだが……。
     しかも詳しく訊いてみると、その謎の『パンシロン』を服用すると排尿しにくくなるとのお話。
     ええと、それはマグネシウムやナトリウムなどのミネラル成分が影響しているのでは?
     そう伝えてみたら、胃もたれに他の店で何か漢方薬を購入したそうなのに、その名前は覚えていないという。
     『六君子湯』『半夏瀉心湯』『五苓散』と『大正漢方胃腸薬』と次々と揚げてみたが、どれも違うとのこと。
     ただ、排尿困難に『ジェントスルー』(八味地黄丸加五味子麦門冬)を使ってるというので、それ自体が胃薬でもあることを説明したところ、本日はお帰りになられた。
     無印の『パンシロン』というのも謎だし、飲むと具合が悪くなるというのに飲みたがるのも謎だった。

     口唇ヘルペスだというお客様が来店し、自身でネットで市販薬を調べたというのだが、口唇ヘルペスの薬は第1類なため薬剤師のいる店でしか扱えないことを伝え、近くのドラッグストアを紹介した。
     しかしそのドラッグストアに問い合わせてみると、もう薬剤師さんが帰ってしまった後で販売できないということだった。
     お客様が発症したのは昨日で、食事を食べ過ぎたというお話から、胃炎による口唇部の炎症の可能性も高いことを伝えた。
     それに、口唇ヘルペスはウイルス性だから本当のところ、一度は病院で診察を受けて確実でないとドラッグストアーでは売ってもらえないこともある。
     炎症ということで考えれば『黄連解毒湯』も使えるし、患部の修復には『チョコラBB』などのビタミンB剤が役に立つことを紹介したが、今日のところはお帰りになられた。
     ネットで調べるのは悪いことではないけれど、それを参考にしたうえで、やはり専門家に確認するという手順は踏んでもらいたいところ。
     口唇ヘルペスの市販薬は第1類で、薬剤師のいないお店では買えないことを知らない段階で、その調べ方に欠陥があったということなので。

     

  • やたらと薬は売れません

     やや高齢のお客様が来店し、ご主人が転んで腕を強打して患部が赤く腫れているとのこと。
     転んだのは一昨日のことで、38度まで発熱したという。
     頭は水枕で冷やしたそうだが、患部は湿布を貼っていたそうだ。
     貼った湿布は、自身に処方されたインドメタシンらしい。
     発熱が打撲と関係あるかは分わからないが、剥離骨折などの可能性もあるため受診を勧めた。
     しかし、お客様が知っている整形外科はあまり好きではないらしく、ご主人は解熱剤を望んでいる模様。
     ところが、ご主人は降圧剤や溶血剤など8種類ほどの薬を服用しているそうで、各薬の説明書を持参していた。
     説明書を持参しているだけマシではあるけど、本当はお薬手帳でこれまでの履歴が分かるほうが良い。
     履歴によっては、単発でどんな病気になったことがあるかや、医師の治療方針なども見えてくるので。
     一応、処方されている薬を調べたところ、イブプロフェンは使えそうなことを確認したが、発熱にも意味があるため、むやみに解熱させない方が良いことをお話し、近くの病院を2軒紹介した。
     すると、話に出てきた整形外科が嫌というのは、患部を固定するだけで薬を出してもらえなかったのが不満らしいと分かった。
     ということは、剥離骨折しているかどうかなどは医師が診断しているか。
     多くの薬を処方されているから医師が大事を取ったか、薬は不要と判断した可能性がある。
     やたらと薬を出すと批判され、薬を出さないと不満がられる医者も大変である。
     お客様には、薬が不要と診断された可能性もあるため、要望は医師に伝えて、よく相談してみるようお話し、本日はお帰りになられた。
     薬を売ってくれなかったと、うちのお店にも不満を持たれるだろうか……(´・ω・`)

     やや高齢のお客様から、『OS-1』のペットボトルと『ウィダーインゼリー』を購入される際に、嘔吐してるご主人に食事をさせた方が良いか尋ねられた。
     嘔吐の原因は分からないが、下痢はしていないようだから食中りや感染症ということではないだろう。
     とはいえ胃が正常に機能していないのだから、脱水症状さえ防げば、無理に食事をさせないようにと伝えた。
     また、『OS-1』はボトルに目盛りが書いてあるように、小分けにして飲ませるように説明した。
     お客様は人から「若い人はポカリスエットと聞いた」というので、確かに「飲む点滴」とも云われていて運動する人向けであり、そうでない人はマグネシウムやアミノ酸も配合されている『アクエリアス』の方が 適応することを伝えた。
     薬の相談だったら、水分代謝の異常を解消する『五苓散』か、胃腸炎に対応する『柴胡桂枝湯』を案内したかった。

     外国人のお客様から『GH-Creation』が欲しいと相談され、調べてみると「身長サプリメント」という怪しげなもので、ネット通販でしか入手できないことが分かり、お客様には取り扱っていないことと、あまりお勧めできないことを伝えた。
     他に、『滋養強壮薬α』についても欲しいと頼まれ、これも調べてみると『キューピーコーワゴールα』と『パワーアクトゴールドα』が同じ内容だと分かった。
     そう説明し、一度は銘柄が違うのは嫌ということだったが、改めて成分表示を見せると『パワーアクトゴールドα』を購入された。

     

  • 息が鳴るか鳴らないか

     夫婦のお客様が来店し、 以前に病院でつわりの漢方薬を処方してもらったというので『茯苓飲合半夏厚朴湯』の名前を挙げたところ間違いないようだった。
     しかし市販では入手しにくいため、『半夏厚朴湯』『五苓散』を候補とし、実際には吐かないということから『半夏厚朴湯』を使っていただくことになった。
     養生として、食事の前に温かい物を飲んでおくようお話しした。

     お客様から、中学生の子供が一昨日から咳で、夜が激しいとの相談を受けた。
     風邪をひいたりはしておらず、 明後日に学校で合唱会があるため、そこで咳をしないようにしたいとの要望だった。
     発声のことも考え、患部の保水をする『麦門冬湯』を案内してみたが、喘息があるというお話と、本人が唱うことについては考えなくても良いというので『アスクロン』も紹介したところ、『麦門冬湯』を選ばれた。
    養生として入力をして体を温めることと夏野菜を、この期間だけでも避けるようにと伝えた。

     『アスクロン』を選ばれたお客様に症状を訊くと、ご主人が咳だとのことで、話そうとしたりして息を吸うと出るとのことから、体内の乾燥が考えられるため『麦門冬湯』も候補になることを話ししたうえで、そのままお買い上げいただいた。
     『アスクロン』は本来、ヒューヒューと息が鳴る喘鳴の時に使う物で、漢方薬なら『半夏厚朴湯』なんだけど、喘鳴がするとは言っていないのが気がかりではあるが。
     そしたら、以前に風邪の前兆がある時は『葛根湯』で体を温めるようにと案内したお客様だと分かった。
     ありゃん。
     できるだけお客様の顔を覚えようとしてるんだけど、どうにも記憶力が悪くて困る。

     

  • 頭痛の原因は多種多様

     お客様から、ご主人の頭痛についての相談を受け、以前に『ロキソニン』を使ったことがあるというので、科学構造式の似ているイブプロフェン製剤の『イブA』を案内した。
     すると、本人はあまり薬を飲まないようにしているそうで、漢方薬はどうかと相談された。
     そうなると、ズキズキして吐き気を伴う場合の『呉茱萸湯』や、低血圧で目眩を伴う時の『苓桂朮甘湯』、肩が張り血圧の関係する『釣藤散』、暑気あたりや胃を悪くしたさいに使う『五苓散』というように、頭痛の種類を鑑別しなければならないことを説明した。
     こうして比べてみると、鎮痛剤は痛みを感じなくさせるだけで、治すものではないというのが良く分かる。
     同時に、鎮痛剤は誰が買いに来ても良い物ではないというのも分かってもらえるだろうか。
     本日のところは、本人に訊いてみるとお帰りになった。

     高校生の親子が来店し、『バファリンルナi』と『バファリンプレミアム』の違いを尋ねられ、いわゆる同銘柄のスタンダードである『バファリンA』とは縁もゆかりも無いことを基本情報に、それぞれの成分の違いを説明した。
     また、『エルペインコーワ』のように鎮痛剤に子宮の痙攣を抑える鎮痙攣薬を合わせた生理痛の薬もあるので、生理痛と頭痛薬とで薬を使い分ける方法も提案した。
     そして、娘さんは病院には行ったことがないそうなので、定期的に受診してみることを勧めた。
     毎度の生理痛が当たり前と思っていると、成人してから大病を見逃してしまう可能性があるので。
     漢方薬では、『当帰芍薬散』『桂枝茯苓丸』を体質に合わせて選び生理前から服用すると、期間中の随伴症状が軽減されるから、辛い時だけ鎮痛剤を併用することで、鎮痛剤の利用回数を減らす方法もお勧めである。
     本日は、『バファリンルナi』をお買い上げいただき、お会計のさいに母親が自身は頭痛だと話されたので、ズキズキする頭痛なら胃と関係があり『呉茱萸湯』を、肩が張ったりお湯を飲んで楽になるようなら上半身を温める『葛根湯』が適応することを伝えた。

     

  • 「痛み」というのは表面に現れた症状の一つです

     お客様から、『リングルアイビー』と『ドキシン錠』の比較について質問され、逆に用途を尋ねると椎間板ヘルニアと診断されていて、でも鎮痛剤が処方されていないため市販薬を探しにきしたそう。
     そして、以前に『リングルアイビー』を使ったことがあり、少しは効いたとのこと。
     となると『ドキシン錠』は、鎮痛剤というよりは筋弛緩剤で、筋肉をほぐして血流を促すための物なので、椎間板ヘルニアに有効であるものの鎮痛剤と同じに考えていると期待外れになるかもと説明した。
     そもそも病院で鎮痛剤が処方されていないというのは、以前は病院でステロイド剤を注射をしてもらっていたのが、引越しで病院を変えたら、そこの担当医はステロイド剤の注射をしてくれず、鎮痛剤も処方してもらえなかったそう。
     ううむ、確かに日本では、ステロイド剤注射を良く思っていない医師は多いという話がある。
     実際、最低3ヶ月以上の間隔を空けるとか、年に2回までというように制限があり、ステロイド剤を使うと免疫力が落ちるため感染症のリスクもあるため、気軽に実施できる治療法ではないらしい。
     そのうえ、これは私の感じた印象だけど、お客様の話しぶりからすると、『バンテリン』なども独自て使っていたらしく、鎮痛剤を乱用しそうな危険性が拭い切れない。
     あくまで、印象の話ですが。
     お客様には保険の適用薬でもある『疎経活血湯』を紹介し、こういう物を鎮痛剤と一緒に処方してもらえないか担当医に相談してみてはと提案した。
     痛み止めだけに頼るのではないという姿勢を、見せてみるのはどうかと。
     本日のところは、『リングルアイビー』を購入された。
     売らない理由も無いので。

     『葛根湯』をレジに持ってきたお客様から、「風邪の初期」に効くのかと質問されたので、「初期とはいつか」というお話をした。
     一般的に「風邪の初期」というと「熱の出始め」や「喉が痛くなったら」と考えられているけど、『葛根湯』の適応する「風邪の初期」は「熱が出る前」であり、「寒気がする……かな?」とか「頭が重い……気がする」というタイミング。
     そのうえ、「喉の痛み」に関しては、風邪の兆候とは限らず、現在の日本人には多い「胃炎」や「逆流性食道炎」による炎症を「喉の痛み」と勘違いしているケースもあり、上半身を温める『葛根湯』では適応しないことがある。
     そういうお話をすると、頭痛にはどうかと訊かれた。
     もちろん『葛根湯』の効能にも頭痛があり、効果はあるのだが、頭痛にも種類があり、上半身を温める『葛根湯』は、高血圧を伴うようなズキンズキンと血管が拍動するタイプの頭痛や、胃が不調になり下に引っ張られるような頭痛にも『葛根湯』は胃に負担を掛けるため向かない。
     簡易な鑑別法としては、冷たい水を飲んで楽になるか、温かいお湯を飲んで楽になるかという見分け方があり、温めて楽になるのなら『葛根湯』が適応すると考えられる。
     ちなみに、朝方の頭重感や高血圧を伴う頭痛には『釣藤散』が適応し、天井が回るような目眩(めまい)をともなう頭痛には『苓桂朮甘湯』が向いており、冷たい水を飲んで楽になるなら『五苓散』を、そこに疲労感も重なっているなら『柴胡桂枝湯』となる。
     頭痛に限った話ではなく「痛み」というのは表面に現れた症状の一つで、本質的には難しいところ。
     迷ったら、営業時間であれば電話でもご相談くださいと伝えた。
     本日は、そのまま『葛根湯』をお買い上げ頂いたので、家に置いておくよりも持ち歩いて、出先で「予感がした」時に服用するよう勧めた。
     さっきの話に矛盾するようだけど、『葛根湯』は早さが勝負で、進行すると『葛根湯』が適応しなくなるケースでも、例えば初期の炎症症状であれば熱を発散したりすることで解消する可能性が高いので。

     

  • 人間は経験でしか認識できない

     旦那さんから咳止めを頼まれたというお客様に症状を詳しく訊くと、決まった時に咳き込むというより、常時咳をしていて痰が出にくいようだというお話だったため、体内の乾燥に適応する『麦門冬湯』を案内した。
     しかし、念のため喫煙の有無を確認するとタバコを吸うそうなので、『ダスモック』(辛夷清肺湯)の方を勧めて、お買い上げ頂いた。

     鼻炎薬の棚を見ていたお客様から、血圧や糖尿病の薬を服用していて併用は大丈夫かと質問された。
     でも、そういう質問をする人でさえ、お薬手帳は持ってきていないという不思議。
     質問されるだけでもマシと言うべきなのか、どうなのか……(^_^;)
     今回のお客様は、いつもは持ち歩いてるそうなんだけど。
     いずれにしても、現物も持参しておらず薬の名前を思い出せないようでは、適切な案内ができないことを伝えた。
     処方されている薬の中には、漢方薬もあるらしく、利尿作用か説明されたというのだけれど、『五苓散』などではない模様。
     漢方薬には水分代謝を改善する処方が多く、利尿作用のあるというだけでは範囲が広すぎて絞り込めない。
     主訴は鼻づまりで、肺に痰が張り付いてるかのような感じがするそうなので、『チクナイン』(辛夷清肺湯)を紹介したうえで、保険の適用薬でもあるため担当医に相談するよう勧めた。

     やや高齢のお客様から、頭痛に『バファリンルナi』は『バファリンA』より効くか質問された。
     主成分の作用機序からすると「効く」とは言えるものの、同じブランド名を冠していても、そもそも内容が全く違い、効くかどうかは体との相性もあるため一概には言えないことを説明した。
     でも、こういう説明がかえって患者さんを迷わせてしまうのかなぁとも思ったり。
     患者さんが訊きたいのは、そういうことではなくスバッと一刀両断するような回答を期待してるんだろうし。
     あと、薬において「効く」というのは「苦痛を緩和する」ことと「原因を取り除いて治癒する」は別物だけど、患者さんがどちらを望んでいるのかは、話し込んでみないと分らない。
     いや、私だって喘息の発作なんかで苦しい時には、「今さえ楽になれば後のことは考えない」と思いがちなんだけど、その安易な選択は薬物の乱用を招き、命だって落としかねない訳で。
     症状が現れていない時にする判断と、実際に症状が現れている時の判断を同列に扱うことはできないだろう。
     だから、鎮痛剤が欲しいその時には痛みを緩和するのが主目的だとして、落ち着いたら改めて原因の探求や次に起きた時の対処を考えてもらいたいところ。
     頭痛一つとっても、血圧や筋肉の緊張、胃の不具合、水分代謝の異常と原因が色々とあり、関係の無さそうな体の部位での問題を頭痛と感じている可能性があるので。
     どうしてそうなるかというと、人間は経験でしか認識できないから。
     例えるなら、「リンゴを知らない人に、どうやってリンゴのことを説明するか」というのに似ている。
     形は梨に似ていると言えば、教えられた人はリンゴの味も梨と同じと想像するかもしれない。
     色はトマトの味に似ていると言えば、教えられた人はリンゴの味もトマトと同じと想像するかもしれない。
     同様に、内臓に異常があったとしても内蔵には痛覚神経が無く、周囲の神経が代わりに脳に異常を知らせるのだが、脳からは内臓の様子が見えないため受け取った信号のみで状況を判別し、とりあえず本人が過去に経験したことに近い反応として頭痛と表現したりするのだ。
     というところにまでは今回は踏み込まなかったけど、お客様には今まで効いていた実感がある薬を、あえて変更しなくても良いのではとお話して、『バファリンA』をお買い上げ頂いた。
     もちろん、ちゃんと服用した薬を記録しておくのであれば、別な薬を試してみるというのは有用である。

     ご夫婦のお客様がいらして、胃腸薬の棚を眺めながら『ワカ末止瀉薬』や『正露丸』に『ビオフェルミン』と『桂枝加芍薬湯』など、つながりが良く分からない物を次々と手にしていたため、気になって声を掛けてみたけど案内は断られた。
     もしかして、逆に薬に詳しい人なのかなとも思った。
     たまに薬剤師さんだったりして、「しまった! 声を掛けるんじゃなかった(;´∀`)」ということもあるので(笑)
     その後も、『リフレライフ』(安中散加茯苓)や『第一三共胃腸プラス』なども見ていて、最終的に『リフレライフ』と『正露丸糖衣錠』を購入され、つい好奇心に負けて用途を尋ねた。
     すると、夫婦それぞれで自分の薬を選んでいたそう。
     家族で同じ薬を使おうと考える人か少なくなく、いつも家族でも別々な薬を選択して方が良いことをお話していたもんだから、逆に珍しいと思って行動を理解できなかったんだな私は。
     人間は経験でしか認識できないから。