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  • 常備薬でも家族別に揃えた方が良いことがある

     『パブロンエースAX』をレジに持って来たお客様に症状を確認したところ、主訴は喉の痛みと声嗄れと悪寒とのこと。
     症状に適応しない訳ではないが、以前に服用して膨満感があったと言うので、体質に合っていない可能性をお話しして『柴胡桂枝湯』を紹介すると、『パブロンエースAX』は家族が使うとのことで一緒に購入された。
     どうやら『パブロンエースAX』を常備薬にしているようなのだけれど、家族間でも症状や体質は違うので、それぞれ個別に揃えた方が良いこともありますと伝えた。
     でないと、今回のように自分には合わないのに使い続けるなんてことになる。

     若いお客様から舌炎の相談を受け、患部は舌の裏側ということでスプレーを希望されたため『アズリートのどスプレー』を案内した。
     そのうえで抗炎症に優れたステロイド剤の『ケナログ』も紹介してみたが、抗炎症と消毒を兼ねた『パープルショットW』と、皮膚の再生を助ける『チョコラBBピュア』を購入された。
     養生についてもお話ししようとしたものの、興味が無さそうだったので取りやめた。
     養生しないと、また繰り返してしまう可能性があるのだけれど。
     基本は、消化に良い食事をして胃に負担をかけないことと、患部の再生を促すための血流を良くするための入浴。
     そして、食べると患部には気持ち良いけど炎症を強めてしまう、キュウリやトマトといった夏野菜を避けることです。

     若いお客様が『ルルアタックEX』を見てから『エスタックイブファインEX』をレジに持ってきたので、症状を尋ねたところ、主訴は喉の痛みと鼻水で鼻水は透明だということから、そちらは体を温めるだけで治る可能性があるため処方がシンプルな『ペラックT』と『駆風解毒湯』で喉だけに対処する方法を提案し、今回は『ペラックT』をお買い上げいただいた。
     どうしても風邪薬には、解熱剤やら咳止めやらも入っていて、体の方ではその処理に無駄なエネルギーを消費するため、その疲労で本当の風邪に進んでしまう可能性がある。
     あと、痛むのは喉の奥だそうなので胃炎の可能性をお話しし、鼻の症状も胃と関係することを伝えると「へぇ、へぇ、へぇ、へぇ」と感心されて、少しやりにくかった(^_^;)

     

  • 「患者が誰か」は重要な情報

     子供用の風邪薬を見ていたお客様が『麦門冬湯』を手にされたので声をかけてみたところ、6歳の子供が痰の絡んだような咳をしていて、特に夜中に激しいというため『五虎湯』を勧めて使っていただくことになった。
     病院からは以前に、気管支拡張剤の『ホクナリンテープ』が処方されていたことがあるというので、同じような効果を期待できることを伝えた。
     また、お腹周りが冷えていることが原因とも考えられるため保温するように勧めた。

     家族が咳と声枯れ、それに頭痛があるとのことで風邪薬の相談を受けたのだが、咳の状態は不明。
     頭痛については締めつけられるような痛みだと言うので、『パブロンエースAX』を案内して、お買い上げいただいた。
     ただ、肝心の「患者が誰なのか」は何故か最後までボカされてしまった。
     子供なのか奥さんなのか親なのか、副作用のことなんかもあるから重要な情報なんだけどな。
     声枯れについては、まずは咳が治まってからの後回しになることを伝えた。

     女性二人のお客様が来店し、『ルルアタックEX』を選ばれたお客様が同伴者と「他のルルは気持ち悪くなった」と話しているのが耳に入ったので、お会計時に『新ルルA錠S』に入っているノスカピンの副作用で吐き気が起きることや、同じシリーズでも成分が大きく異なることを説明し、成分表示を取っておくよう勧めた。
     また、薬を乗り換える場合はメーカーも変えてしまうと、かえって同じ成分の物を選んでしまう可能性があるので、今回のように同シリーズからの乗り換えは良い方法ですと伝えた。
     ただ、肝心の主訴については今回は相談してもらえなかったので、『ルルアタックEX』が症状に合ってるかは分からなかった。
     どういう基準で風邪薬を選んでいるのか、心配なところだ。

     

  • 同じブランド名でも成分から用途から何もかもが違うということもある

     やや高齢のお客様から、家にあるという咳止めと胃薬の飲み合わせについて質問されたが、咳止めは『アネトンせき止めZ錠』だと思うというものの正確には覚えておらず、胃薬の方は『第一三共胃腸薬』のようだった。
     風邪薬の『パブロン』シリーズや鎮痛剤の『バファリン』シリーズを例に、ブランド名が同じでも成分が大きく違う事があることをお話したうえで『アアネトンせき止めZ錠』という前提のもと、飲み合わせに問題無いことを説明した。
     お客様は、咳止めが胃を悪くすると考えて胃薬も一緒にと思ったようだったので、そういう心配であれば咳止めには『麦門冬湯』をと紹介すると、以前に漢方薬で具合を悪くしたということだったのだが、何を使ったかは覚えていなかったため、それもまた成分で変わることをお話しした。
     薬を飲むにあたって、こうやって飲み合わせを相談してもらえるのはとても良いことである。
     ただ、そのためには薬の情報は正確でないと困るけど。
     『アネトンせき止めZ錠』にしても、『アネトンせき止め液』とはまた内容が異なるので。
     あとお客様は、マルチビタミンとミネラルのサプリメントをご主人と一緒に摂っているとのことだったが、自分に良い物が家族にも良いとは限らないことと、歳を取ってからのミネラルの摂りすぎには注意が必要なことを伝えた。
     ミネラル豊富なことを謳っている塩などがあるけれど、年を取るとミネラルの排出機能が衰えてきて結石などの原因になりやすいし、やはり腎臓への負担が大きくなる。

     お客様が『ヒビエイド』をレジに持ってきたが、爪の間の皮膚が硬くなるのに使うと言うので、『ヒビエイド』は傷の修復に使うものであることを説明し、皮膚を柔らかくするには『ケラチナミンコーワ』など尿素が入った物が良いことをお話しして、そちらをお買い上げいただいた。
     選ばれたのは、同じ『ケラチナミン』のブランドだったため勘違いされたようだ。
     さっきの客様もそうだけれど、同じブランド名でも成分から用途から何もかもが違うということもあるので、気をつけてもらいたいところ。
     お客様は患部が気になるのか、お話ししている間も触りがちだったので綿手袋するように勧めると「やっぱり寝るときは必要ですか?」と訊かれたため、「いえ、起きている時もです」とお答えした。

     

  • 警戒されない情報提供の仕方に悩みます

     やや高齢のお客様からトローチが『コルゲンコーワトローチ』しか置いていないのか尋ねられたので、医薬品もあることをお話して売り場を案内したうえで『コルゲンコーワトローチ』は消毒系で、抗炎症には『パブロントローチAZ』あるいは両方を合わせたものとして『マードレトローチ』があることを紹介した。
     最初に言われた主訴は喉の痛みということだったが、詳しく訊いてみると痛みはそれほどではないらしく、喉の違和感の方があるということからすると、胃炎の可能性も考えられることをお話しすると「胃は悪くない」と言われたけれど、口内炎によくなるとも言うので口内炎も胃と関係することと、胃には痛覚神経が無く案外と鈍感であることを説明した。
     今回は炎症を鎮める物として『パブロントローチAZ』をお買い上げいただいた。
     年をとると体内が水分不足になりがちなのと、胃の機能が低下しがちなことをお話しして『麦門冬湯』は紹介しておいた。
     漢方薬は長く飲むイメージがあるというため、『葛根湯』を例に症状によることを説明した。
    「風邪には葛根湯」というように、漢方薬も急性症状には早く効くのである。

     家族がノロウイルスと診断されたとのことで、お客様から『ウイルスシールドスプレー』が使えるか訊かれ、塩素系なので使えることを説明し『キッチンハイター』でも良いことを伝えると、すでに購入してあるとのことで取りやめになった。
     『手ピカジェル』のことも尋ねられ、基本的にエタノールではノロウイルスに対抗できないことと、黄色いノズルの『手ピカジェルプラス』の方はリン酸を添加することで少し優位であることを伝えた。
     今回は経口補水液の『OS-1』のみ購入され、市販薬では『柴胡桂枝湯』が有効なことをお話したところ、売りつけられると思われたらしく急に態度を硬化されてしまった。
     ううん、情報提供って難しい(´・ω・`)
     病院から処方された薬があるそうなので、そのせいかもしれんけど。
     もし患者さんが吐いてしまうようなら、処方された薬をお湯に溶き、スプーンで舐めるように服用させる方法を勧めた。

     

  • 市販薬の効能は原則的に主な作用が文頭に書かれていることが多い

     『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたお客様に、喉の痛みには弱いことを伝えると迷われたため、同シリーズなら『パブロンエースAX』を、銘柄にこだわらなければ『ルルアタックEX』をと紹介した。
     途中、他のお客様の相手をしてから改めて主訴を確認すると、喉の痛みと軽い咳で発熱や鼻炎は無いそうだから『ペラックT』や『駆風解毒湯』といった主訴に絞った物を提案してみた。
     しばらく離れたが、それからも迷われた様子なので風邪寄りの物として『銀翹散』と『新エスタックゴールド』(葛根湯桔梗石膏)を紹介すると、ますます迷わせしまったようだ。
     ううむ、これは失敗。
     つい、選択肢が多いほうが良いと考えてしまう。
     お客様は『桔梗湯』にも興味を持たれたようなので、しばらくまた一人で選んでいただき『新エスタックゴールド』と決まった。
     そうそう、喉の奥が痛むというお話と咳の音が渇いていたため体内の乾燥の可能性をお話しして、『麦門冬湯』も紹介していたのだ。
     やはり今回は、あまりにも選択肢を増やし過ぎてしまった。
     反省(´・ω・`)

     また『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたお客様に、喉の痛みには弱いことをお話しすると、喉の痛みは落ち着いてきて鼻水は透明であり、主訴としては咳と痰だとのこと。
     内臓の冷えが原因となる透明な鼻水は体を温めるだけで改善する可能性が高いため、痰が出にくくて咳になるということに合わせ、解熱剤の入っていない『ブロン錠エース』と体内を潤す『麦門冬湯』を紹介した。
     痰が出にくい理由として気道の繊毛が抜けてしまっているか、体内が乾燥して痰が気道に張りついている可能性をお話しして、気道の滑りを良くする『ブロン錠エース』を試していただくことになった。
     普段はシャワーだということだったので入浴を勧めたうえで、シャワーで済ませる場合には「皮膚が薄くて太い血管が通っている」首の後ろや脇の下、太ももの内側などを重点的に浴びるよう勧めた。
     さて、今回は提示する薬の種類は絞ってみたけど、やはり中には選択肢が多いほうが良いという人もいるかもしれない。
     もちろん、お客様が選んだ物なのだからそのまま売っても構わないかもしれないし、お客様にしてもそのまま売ってくれれば良いという人もいるだろう。
     問題は、お客様がその薬を選んだ根拠が分からない点。
     例えば、『パブロンSゴールドW』はパッケージの表側に「のどの痛み・せき・鼻水に」と目立つように書いてあるけれど、処方構成からすれば明確に「のどの痛み」に対応した成分は入っていない。
     登録販売者のSNSでも、「どの成分が、のどの痛みに効くんだろうね?」「あえて云えば、粘膜を修復するL-カルボシステインか?」「アセトアミノフェンの解熱作用なんじゃ?」「でも、アセトアミノフェンは炎症(腫れ)を取る作用は弱いですよ?」と議論になったくらいだ。
     一応、パッケージの成分表記ではアセトアミノフェンの部分に「発熱、頭痛、のどの痛み等、熱と痛みをしずめます」と書いてあるものの、表側では「のどの痛み」が文頭にあるのに対して、裏側に書いてあるこちらでは文の後ろになっている点を無視できない。
     パッケージの表側はあくまで宣伝文句であり、重要なのは裏側や横に書いてある効能の方である。
     というのも、薬の効能は原則的に文頭に主な作用が書かれていることが多いからだ。
     ちなみに、大正製薬の「中の人」に尋ねたところ、アセトアミノフェンで充分と判断しているらしいのだけれど、それもあくまで「常備薬として」という前提だとのこと。
     やはり、喉の痛みが強いようなら同シリーズでは『パブロンエースAX』の方が効果的なようだ。
     蛇足ながら、『パブロンSゴールドW』に鼻炎のために入っているクロルフェニラミンマレイン酸はクシャミにこそ効果があり、鼻づまりには効き目が弱いとされている。
     なので、やはり成分表記では「くしゃみ、鼻みず、鼻づまりの症状をおさえます」という順序だ。
     そして、クロルフェニラミンマレイン酸を鼻水に対応させようと考えた場合、一緒に入っているL-カルボシステインには鼻汁を出しやすくする作用もあるため、鼻水に対しては効果を減じてしまう可能性がある。
     つまるところ、『パブロンSゴールドW』の得意分野は「痰のからむ咳」のある風邪だろう。
     効能表示においても、一番上に「せき・たん」と書いてある。
     というように、お客様がそれらをパッケージから総合的に判断しているとは考えにくい。
     初対面でお客様の好みや病気への対処の方針を推察するというのは、なかなかに難しいから「当たるも八卦当たらぬも八卦」という博打打ちでもなければ、ぜひ最初に店員に声をかけて相談してもらいたいところ。
     ちなみに、『パブロンSゴールドW』のメーカーによる解説ページはコチラ。

    Screenshot of www.taisho.co.jp

     パーケージへの表現には法的な規制があるし、スペース的に書ききれないコトもあるうえ、当然ながらネットでの解説にも法的に規制がある。
     しかし、薬剤師や登録販売者には内部資料として臨床試験のデータなどが配布されていたりして、ネットで検索するだけでは出てこない情報も持っている。
    「立ってる者は親でも使え」の格言(?)にもあるように、ドラッグストアーに来て店員に尋ねないのはモッタイナイですよん(*´∀`*)

     

  • 一介のドラッグストアーの店員では難しいコトばかり

     お客様から『リココデ』を求められたが、詳しく訊くと『小児用リココデS』を欲しいというのが分かった。
    「飲むと一発で治る」と言われたが、『ムヒのこどもかぜシロップSアルファ』にジヒドロコデインリン酸塩を加えた物であることを説明した。
     咳がそれほど酷くなければこれで十分なはずである。
     しかし使うのはご主人で、喉の痛みと微熱があり、もう1週間は続いてるとのこと。
     そしてその間には『コルゲンIB透明カプセルα』と『新ルルAゴールドDX』も使ってたというため、内臓がダメージを受けて症状が長引いてる可能性をお話して『柴胡桂枝湯』を紹介したうえで『ペラックT』など個別の症状に対応させて体力の消耗を防ぐよう提案した。
     すると、今回は病院に行かせてみるとのことでお帰りになった。
     発熱が長引いているようなら、病院を受診するのは良い選択。
     ご主人には、あまりあれもこれもと薬を乗り換えないようにお伝え下さいとお話しした。
     だいたい、既に服用している二つの薬と比べたら『小児用リココデS』は、当然ながらもっと弱くしたような処方だし。

     やや高齢のお客様が来店し、「よく効く風邪薬は?」と訊かれたが目立った主訴は無く、だるさと熱が少しある気がするだけで測っていないという。
     だるさを主訴として『ゼナジンジャー』を案内し『柴胡桂枝湯』も紹介しようとしたところ、『ゼナジンジャー』の購入を即決して「そんなもんは、もういいんだ!」と怒鳴られた。
     体を休めるという場合には内臓も含めて休めた方がいいため消化の良い食事をとお話すると「そうなの?」と訊いてきたため、うどんを勧めると「糖尿だから炭水化物はダメなんだ!」と、これまた怒鳴られて帰られた。
     ううむ、あの怒りっぽさも糖尿病の影響かな……。
     糖尿病は感情の抑制がきかなくなり、そのせいで継続的な治療を真面目にすることができなくなるケースがあるため、 一人暮らしだったりすると悪化させやすい。
     だから家族や周囲の人のサポートが必要になるのだけれど、一介のドラッグストアーの店員ではなかなか難しい。
     せめて今回だけではなく、この後もいらして話し相手になれると良いのだけれど。
     ううむ、最初に白糖の入っている『ゼナジンジャー』を案内したのは失敗だった。
     糖尿病であるのならば、むしろ『柴胡桂枝湯』の方が向いていたのに(´・ω・`)

     

  • お客様が選んだ後に他の薬の提案は難しい

     お客様が『新ルルAゴールドDX』をレジに持ってきたけれど、ハッキリした主訴は無く、だるくて鼻水が出るという。
     その鼻水にしても透明だと言うから、内臓が冷えてる可能性をお話しして、家に『葛根湯』があれば使ってみてはと提案したところ、飲んだけど効かなかったとのこと。
     もしかすると、お客様の体格はガッシリしているが内臓は見かけほど丈夫ではないのかもしれない。
     そこで、だるさの方に主眼を置いて『柴胡桂枝湯』を紹介したところ、お買い上げいただいた。
     いつも『新ルルAゴールドDX』を使ってるとのことだったが、症状がハッキリ現れてから使うように勧めた。
     今回の症状で言えば、鼻水に対しては効果的であるものの、他は喉の痛みや咳がある時に向いている。
     しかし、 だるさに使える風邪薬は現代薬では皆無であり、『柴胡桂枝湯』などの漢方薬ぐらいしかないので注意が必要。

     『ルルアタックNX』を購入されるお客様に症状を確認したところ主訴は鼻炎だけで、もともと花粉症なため透明な鼻水と色のついた鼻水とを行ったり来たりしており、病院で処方されているアレグラを常用しているという。
     併用できないわけではないが、それでは口渇とか眠気といった副作用の無いアレグラを服用する意味が無くなってしまう。
     そのままお買い上げいただいたが、薬の併用にはお気をつけくださいと伝えた。
     また透明な鼻水は内臓の冷えの原因となるため、積極的に温めることを勧めたところアイスが好きなそうなので、単独で食べずに温かいお茶と一緒にとお話しした。
     本当は、『ルルアタックNX』には咳止めなどの余計な物が入っているから『葛根湯加川きゅう辛夷』を勧めたいところだったけど、提案するタイミングがつかめなかった。
     やはり先に薬を選んでレジに持ってこられると、症状を確認するだけで精一杯(^_^;)

     お客様から、こめかみの皮膚炎の相談を受けた。
     痒みは無いとのことだったが、患部の赤みは強く引っ掻いた痕もあったため、炎症はしていると考えられることを伝え『ロコイダンクリーム』を案内したところ、使ったことがある気がするとのことでお買い上げいただいた。
     薬を塗った後は患部を触らないようにとお願いしたが、できればガーゼが絆創膏を当てておいてもらいたいところ。

     

  • 腸内を殺菌しすぎないように注意

     やや高齢のお客様が『セイロガン糖衣A錠』を求めて来店し、売り場を案内したうえで『正露丸』との違いを説明するとご存知なかったため、イヅミ製との違いも説明した。
     有名な大幸薬品の『正露丸』は飲む消毒薬としての効能が一番で、そこに炎症を抑える生薬が二つ加わっているのに対して、『セイロガン糖衣A錠』はその二つの生薬を抜いてあるのである。
     そして食中りの場合は、下痢を止めるよりも早く排出した方が体のためなので、実は下痢止め効果はそれほど強くはない。
     しかし『正露丸』下痢止めとして飲むニーズが多いため、イヅミ製の『正露丸』は下痢止めのロートエキスを足してあるのだ。
     お客様は海外旅行に持っていくためで、飲食すると他の人は平気でも自分だけお腹を壊してしまうとのこと。
     そういうことであれば、下痢止めに効果があるロートエキス入りのイヅミ製の『正露丸』が良いだろう。
     そして、風邪と胃腸炎の両方に使える『柴胡桂枝湯』を備えておくと安心ですとお話ししたところ、両方を購入された。
     また、普段は『新ビオフェルミン錠S』を使用しているようなので、腸内を消毒してしまう『正露丸』と併用しては意味が無くなることをお話した。
     お客様はニンニクでもお腹を壊すそうだから、同じ原理であることを説明した。
     つまり腸内環境を整えるには乳酸菌のみならず他の細菌も必要で、ニンニクの強力な殺菌力で殺してしまうためお腹を壊しやすくなるのだ。
     『正露丸』もたまに使うだけなら問題は無いが、あまり常用すると腸内環境を悪くして下痢の元となるので気をつけてもらいたい。

     若いお客様が来店し、開口一番「だるい!」ということだったので『柴胡桂枝湯』を案内し、悪寒もあると言うので適用することを伝えると、お買い上げいただいた。
     栄養ドリンクも求められ、ゆっくり休むためにはノンカフェインの物の方が良いため『新ヒストミンゴールド液』を紹介すると一緒に購入された。

     お客様が、『イソジンうがい薬』を買いにいらしたので、現に喉が痛い時には避けるようお話しすると、家族がノロウイルスと診断され、病院から薬を処方されたとのこと。
     もし薬を飲んでもすぐ吐いてしまうようであれば、薬をお湯に溶いてスプーンで舐めるように飲む方法を教えた。
     また、他の家族の予防として『柴胡桂枝湯』も紹介した。
     患者さんはサラダとカップスープしか摂っていないということだったが、 なによりも胃腸に負担をかけないのが一番なので、それで良いことを伝えた。
     むしろ、生野菜のサラダの方は回復してからでないと、やはり胃腸に負担をかけてしまうので注意が必要なことをお話した。

     

  • 薬の試供品をもらったときには注意事項の確認を

     『フェイタス』シリーズのキャンペーンで来店したお客様に試供品のジクロフェナクナトリウム製剤の『フェイタスZαジクサス』を渡したけれど、鎮痛力と浸透力について知らないようだったので説明をした。
     ジクロフェナクトリウムは単純に鎮痛力が強いだけでなく浸透力に優れ血液中にも入っていくため、例えば糖尿病の治療中であるとか心臓の薬を飲んでいるという場合には避けなければならないし、内服薬の鎮痛剤との併用は気をつける必要がある。
     薬の試供品をもらったときには、必ず注意事項も読むようにして下さいね。

     お客様が『エスタックイブ』をレジに持ってきたが、他に症状が出ていなければ、いらない成分の処理が体の負担となり、それで疲労して本当に風邪に進んでしまう可能性を説明した。
     患者はご主人で、主訴は喉の痛みだけと言うため『ペラックT』と『駆風解毒湯』を案内すると、漢方薬に興味を持たれ後者をお買い上げいただいた。
     『駆風解毒湯』は、ガラガラとうがいをするように服用すると効果的なことを伝えた。

     やや高齢のお客様から「薬剤師さん?」と声をかけられ「違います」と答えると、すぐお帰りになられようとしたけれど、「薬剤師のいるお店をご案内しますからお話だけでも」と伝えたところ、足が攣りやすいとのことだった。
     市販薬には『コムレケア』(芍薬甘草湯)があるので紹介してみたら、糖尿病の治療を受けていると分かり、それを薬剤師に相談したかったようだが、おくすり手帳を持ってきていないというため「それでは薬剤師もお手上げです」とお話し、本日はお帰りになった。
     帰りぎわに、今回は薬の現物を持ってきてはいなかったが現物があれば良いのか尋ねられたので、薬の履歴が分かることが大切ですと伝えた。
     情報というものは一部だけを切り取っても判断できないことがあり、連続で記録されていることこそが重要なのだ。

     

  • 頼まれて薬を買いに来る時には患者さんからの聴き取りを

     『コルゲンコーワトローチ』をレジに持って来たお客様に消毒型であることと、他に抗炎症剤のトローチもあることを伝えたところ、奥さんが3日ほど前から咳をしていて喉の痛みを訴えているということだった。
     抗炎症のアズレン製剤の説明をして、グリチルリチン酸と合わせた『パブロントローチ』と、患部を冷やす桔梗の入った『マードレトローチ』を案内すると、後者をお買い上げいただいた。
     ところが会計時になって、鼻水もあると言われたので色を確かめるよお話しした。
     透明な鼻水だと内臓が冷えている可能性があり、桔梗が余計に冷やしてしまうかもしれないので。
     一方、咳の方は胃炎の可能性もあり、仮に風邪だとしても戦うにはお腹周りを温めて免疫力を高めることが重要なことを伝えた。
     鼻水の件は忘れていたのかもしれないけれど、頼まれて薬を買いに来る時には、患者さんの症状の聴き取りをしてメモを残すくらいであってほしいと思う。
     患者さんの代理であって、買い物の代理では無いのです。

     お客様が『南天のど飴』と『龍角散』を比較していたので声をかけたところ娘さんが妊娠3ヶ月目で、病院からは咳に漢方薬が処方されているものの、あまり効かないとのこと。
     しかし何の漢方薬を処方されたのかは不明で、咳の原因も分からないため気道を広げる『南天のど飴』は使えるとしても、気道を広げることが適応するのかは判断できないことを伝えた。
     話をしようとすると出る咳なようだから、体内の乾燥と考えれば『麦門冬湯』が候補になるが、すでに処方されている可能性もあるし、それが訊かないとなれば服用量を増やすという方法もある。
     ただし、その判断は私にはできない。
     お客様には、調剤してもらった薬局に漢方薬を増量して良いかや、他の選択肢があるか問い合わせるを勧めて本日はお帰りいただいた。
     悪阻(つわり)がそうであるように、精神的な気道の閉塞であれば『半夏厚朴湯』『柴朴湯』も候補になるのだが……。
     市販薬を買いに来る時にもおくすり手帳か、せめて現物を持ってきてもらいたいものである。
     もっとも、のど飴や漢方薬などなら妊婦さんに安全だろうと錯覚されるのは困る。