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  • 風邪においての現代薬と漢方薬の使い分け

     お客様が『アデロンゴールド』と『葛根湯』を見較べていて乾いた咳をしていたため気にかけていたところ、両方をレジに持ってきたので『葛根湯』は乾燥性の咳には適応しないことを伝えた。
     すると『アデロンゴールド』は自分用で、『葛根湯』は小学生の子供用に常備しておくとのことだった。
     『葛根湯』の適用について興味を示されたので、風邪に限らず肩こりなど上半身を温めると改善する症状に適応することを説明し、喉が痛む場合には『桔梗湯』との併用や、上半身を冷やして治す『銀翹散』との使い分けを説明した。
     また、発熱してからは『麻黄湯』に乗り換えることと、吐き気のある風邪に市販薬で対応できるのは『柴胡桂枝湯』くらいしか無いことを教えたところ、今回は『葛根湯』『柴胡桂枝湯』に変更して『アデロンゴールド』と一緒に購入された。
     風邪においての現代薬と漢方薬の使い分けとしては、今を乗り切れば後はゆっくり休めるという場合に現代薬を使い、まだ予感の段階や先が長いという場合には漢方薬で体力を維持しながら乗り切るという方法が考えられる。
     または昼間は直接的に症状を抑えるために現代薬を使い、夜は体を回復させるために『柴胡桂枝湯』を使うという方法もあることを伝えた。

     お客様が『新ルルA錠』をレジに持ってきたが、咳の有無を尋ねると無いそうで、主訴は喉の痛みと色のついた鼻水ということから『新ルルAゴールドDX』の方を勧めて変更となった。
     すると、いつもは『新ルルAゴールドDX』を買っているとのことだった。
     うう……、どうしてそんなテキトーな買い方をしているのか……。
     どれも似てはいるが、まずは咳があることが条件となる。
     そのうえで『新ルルA錠』を基本と考えた場合、他の二つは鼻水が酷い場合に有効で、なおかつ喉の痛みが強い場合には『新ルルAゴールドDX』の方が向いていると考えられるから、症状との対応を確認してもらいたいところ。

     

  • 相談第一! 薬を買わなくても構いません

     お客様から、風邪以外に喉が痛くなることがあるのか訊かれたので、外部からの侵入だとウイルスだけでなく花粉でも起こり、喉の奥の場合は胃炎や逆流性食道炎でもなることを説明した。
     すると、主訴は喉の痛みと血痰で、風邪薬を飲んだけど治らなかったとのことだった。
     使った風邪薬の銘柄は不明なものの、意外と総合風邪薬には喉の炎症を抑える成分が入っていないことを伝えた。
     血痰については医師からは「問題無い」と言われたものの、セカンドオピニオンで病院を変えようかと言うので、紹介状を書いてもらうよう勧めた。
     ただ病院を変えるだけだと診療履歴が継続されなくなり、患者が病院を転々としていることを医師が把握できなくなるのは好ましくない。
     お客様は神経質そうな感じもあったため、血管が浅いと切れやすいことをお話した。
     そして『ペラックT』と『駆風解毒湯』を案内したところ、ポリープの話も出たため実際には何もできていないのに喉が締まる感じがする場合の『半夏厚朴湯』も紹介してみた。
     本日は相談のみで、お買い上げは無し。

     お客様から『葛根湯』を求められたが、奥さんが鼻水と喉の痛みを訴え微熱もあるというため、単独では適応しないと考えられるため、『桔梗湯』との併用を提案した。
     しかし、だるさもあると分かったので、疲労で熱が出せないことによる微熱の可能性をお話して、『柴胡桂枝湯』を案内したところ、直前にはお腹を壊しており、以前に購入した物があるという。
     『葛根湯』は胃腸に負担をかけるから、そういう時には使ってはいけない。
     むしろ、すぐにでも連絡して『柴胡桂枝湯』を服用してもらうのが一番と勧めて、本日はお買上げは無しとなった。
     ただ、お帰りになってから喉の痛みにだけ『ペラックT』を案内しても良かったかもしれないと気がついた。

     閉店時間を過ぎてお店を閉めようというタイミングでお客様が来店し、数日前に打撲したとのことで『サロンパス』に興味を持たれたが、以前に使ったことがあるのは『フェイタス』シリーズだったというため、同じ物かインドメタシン製剤を使ってみてはと提案した。
     ただ購入は無く、外に出てからメモをしていたと他の従業員から聞いたので、もしかしたら価格調査だったのかも。

     

  • 咳が無いのであれば風邪薬を選ぶ必要はありません

     お客様が『葛根湯』『桔梗湯』『銀翹散』を見較べていたため声をかけたところ、高校生の子供が昨日から咳が出てダルさを訴えているらしく、3日後が遠足だとのこと。
     上半身を温める『葛根湯』は咳には適さないことと、喉の痛みが無いのであれば『桔梗湯』『銀翹散』も候補にはならないのだが、風邪に適応する漢方薬をと考えたのだろう。
     ダルさがあることを考えると、すでに胃腸の機能が低下している可能性を説明し、咳止めには『五虎湯』を使い、ダルさに『柴胡桂枝湯』を組み合わせる方法を提案した。
     しかし粉薬は飲めないそうで、味についても気にされたため味に関しては生薬によって違い、『五虎湯』はともかく『柴胡桂枝湯』は比較的味は悪くないことをお話ししたが、やはり難しいようだ。
     味の不味さで云えば、『葛根湯』に較べたら大抵の漢方薬は飲みやすいと思うんだけどね。
     お客様自身は『ホノビエン錠』を普段使っているらしく、子供に飲ませてみたが効かなかったという。
     中身は『荊芥連翹湯』と現代薬を合わせた物で、『荊芥連翹湯』は鼻づまりや熱性のニキビに使うのだから、咳に適応するとは思えないのだけれど、どうして飲ませようと思ったのか(^_^;)
     それから、お客様から栄養ドリンクについて尋ねられ、以前に風邪薬は病院から処方されたさいに薬剤師から勧められた物が家にあるというのだが銘柄は不明なため、良いとも悪いとも判断がつかない。
     栄養ドリンクは大きく分けて、体に気合を入れるだけのタイプと体を下支えするタイプがあることを説明し、下支えしつつ気管支を潤す効果が期待できる『新ヒストミンゴールド液』を案内したところ購入を決められた。
     そして、漢方薬と現代薬を合わせた『新エスタック錠』(葛根湯加桔梗)の併用を提案し、一緒にお買い上げ頂いた。
     現代薬の成分に咳止めが入っているから、咳による体力の消耗は防げるはずである。
     とにかく体力の温存が必要なので内臓を休ませ、エネルギーを治すほうに集中させるために、本人の食事は量を控えて消化の良い物にするようお話をした。

     お客様が『パブロンエースAX』や『ベンザブロックSプラス』などを見ていて、『プレコール持続性カプセル』をレジに持ってきたのだが、マスクに鼻水が滲みるほどだったため主訴を確認したところ、やはり透明な鼻水が多く出るというお話だった。
     他に症状はないと言うから、風邪薬ではなく鼻炎薬の方が効果的で体への負担も少ないことを説明したのだけれど、風邪薬を希望されたことからベラドンナ総アルカロイドが鼻汁の分泌を抑えることを説明し、『ルルアタックNX』を使っていただくことになった。
     本当のところ市販の風邪薬は、もれなく咳止め成分が入っていて、その成分によっては体がダルくなるから、咳が無いのであれば風邪薬を選ぶ必要は無い。
     そして透明な鼻水は内臓の冷えが原因と考えられるため、体を外からではなく中から温めることが重要なことをお話し、温かい物を積極的に飲むことと入浴を長めにすること、あと半身を厚着するよう勧めた。

     

  • 患者さん自身が病気を決めてしまうのも問題あり?

     お客様が『桔梗湯』をレジに持ってきたのだけれど、鼻水が出ていたため適応しないことをお話した。
     『桔梗湯』は喉の炎症などにおいて冷やす力が強く、お腹の弱い人の場合は下してしまうこともある。
     そして鼻水が出る時というのは内臓が冷えている時なので、『桔梗湯』は避けた方が良い。
     お客様は、痛むのは喉の奥だと言うので胃炎の可能性をお話したのだが、「風邪だから」と否定された。
     もちろん登録販売者は病気の診断なんかできないし、診断できるのは法的にも技術的にも医師だけ。
     その点からすると、患者さん自身が病気を決めてしまうのも問題あるんだよね。
     そして透明の鼻水は風邪とは関係ないと考えられるのだけれど、どうしても鼻水や喉の痛みを風邪と直結して考えられやすい。
     とりあえずお客様の要望を満たすのが優先なので、喉の痛みには『駆風解毒湯』を案内し、お使いいただくことになった。
     鼻水の方は、お風呂に長めに入るとか温かい物を飲むとかするだけで対応は充分なことをお話すると、それは納得していただけた模様。
     また、体がだるいと言うので『柴胡桂枝湯』を紹介した。
     ドリンク剤を一緒に飲んで良いか訊かれたから、食事を控えるなら良い選択ですと答え、そのさいにはノンカフェインの物をと『新ヒストミンゴールド液』を勧めた。
     カフェインが入ってる栄養剤は、そのせいで体が元気になったと錯覚するだけなので、それで無理をしてしまうと本当の風邪に進行してしまう危険がある。

     幼児を連れた夫婦のお客様が来店し『ルルアタックEX』を見ていたため気にかけていたところ、『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたので使用者を確認すると奥さんだったのだが、授乳はしていないとのこと。
     ただ、主訴は喉の痛みだそうなので、風邪薬としては喉の痛みに対応する成分の入っていない『パブロンSゴールドW』より、『ルルアタックEX』の方が向いている。
     どうして『ルルアタックEX』を見ていたのに、『パブロンSゴールドW』を選んでしまったのか不思議でならない。
     おそらく、私たちとは見ているところが違うのだろう。
     いずれにせよ、他に症状は無いそうなので風邪薬を最初に使うより喉の痛みに特化してはと提案し、『ペラックT』と『龍角散ダイレクトスティック』を案内してみた。
     そして本日は、『ペラックT』を使っていただくことになった。
     また、喉の奥の方が痛むようなので胃の不具合の可能性があることも伝えた。

     やや高齢のお客様から喉の痛みと熱感を相談され、ごく初期とのお話だったので『葛根湯』を提案したところ、すでに服用して効かなかったというので『銀翹散』も案内してみたが、現代薬を希望されたため『パブロンエースAX』を紹介して、お買い上げいただいた。
     『葛根湯』は上半身を温めて治すものなので、すでにタイミングが遅くて合わなかったのかもしれない。
     そういう意味では『葛根湯』は持ち歩いて、出先で悪寒がしたり喉が痛い気がした段階ですぐに使うのが望ましいことを伝えた。
     また、脳は風邪を治すためのエネルギーを欲しがって空腹を訴えるかもしれないけれど、内臓の方は先に弱ってると考えられるため、食事は量を控えて消化に良いものにするよう勧めた。

     

  • お店の系列ごとにパッケージデザインが違う薬もあります

     お客様からクラシエ薬品の『葛根湯』をという注文を受け売り場を案内してみたら、お客様がスマホで撮ってきた物とはパッケージデザインが違ったため、購入を躊躇われた。
     『葛根湯』自体は古い処方なのでエキスの濃縮の違いなどはあるものの、体質との相性もあるため濃ければ良いという物でもない。
     それに製薬メーカーによってはドラッグストアーの系列ごとにパッケージデザインを変えたり、あるいはスーパーの医薬品売り場に卸す商品は違うデザインにしていたりするので、あまりパッケージにこだわる意味は無い事をお話した。
     しかし、結果としては今日のところはお買い上げは無しとなった。
     ただお客様は、 風邪の中期に用いる『麻黄湯』や後期に適用する『柴胡桂枝湯』をご存知無いようだったので、紹介してみた。
     また、風邪の初期に使う『葛根湯』は上半身を温める一方で胃に負担がかかるため、胃の弱い人は最初から『柴胡桂枝湯』で通す方法もあることをお話した。

     『銀翹散』『桔梗湯』を一緒に購入されるお客様に、どちらも体を冷やすため併用しないように伝えたところ、そもそも内容を知らないようだった。
     喉の痛みだけが主訴であれば『桔梗湯』を単独で使うか、喉が痛くて風邪の予兆がある時には『銀翹散』を単独で使うよう勧めた。
     また、体が冷えて鼻水が出る一方で喉の痛みがあるというような場合には、上半身を温める『葛根湯』と体の中を冷やす『桔梗湯』の組み合わせの方が汎用性があることを伝えた。
     本日は、『銀翹散』をお買い上げ。

     『パブロンSゴールドW』を購入されるお客様から、他に栄養ドリンクは飲んだ方が良いか訊かれた。
     ご主人が風邪をひいたそうで、食事をしないのであればノンカフェインの『新ヒストミンゴールド液』を、食べるのなら特に栄養ドリンクは必要無いことをお話し、『パブロン SゴールドW』のみを、お買い上げいただいた。
     風邪をひくとどうしても栄養を摂らなければと考えがちだが、風邪には何よりも体を休めることが一番。
     そして体を休めるというのは、内臓を休めることも含めてなので、普段よほど不摂生して栄養不足な生活をしているのでなければ、無理に食事や栄養ドリンクを摂らなくても良い。

     

  • 総合風邪薬の得意な症状と起きる症状が一致するとは限らない

     お客様から普段、喉から風邪になるとのことで常備薬の相談を受け、総合風邪薬を選ぶか症状別で揃えるかをお話ししたところ、『ベンザブロックL』を以前は使っていたとのこと。
     家に鎮痛剤があるかを尋ねると『ナロンエース』があると言うので、喉が痛くなった時には先に『ペラックT』を単独で使い、発熱や頭痛になったら『ナロンエース』を併用するという方法を提案し『ペラックT』をお買い上げいただいた。
     総合風邪薬を1つ揃えておくというのは手軽だけれど、その総合風邪薬の得意な症状と、起きる症状が一致するとは限らないから、私は症状別の薬を小容量で揃えるのを推したいところ。
     また、お客様の家には『葛根湯』があるそうなので、家に置いておくよりも常に携帯して頭が重く感じたり悪寒を感じたり、或いは喉の違和感を感じた時にすぐに服用してみるようお話しした。
     お客様からは、「薬の使い方は難しい」と言われたので、電話でも相談を受けますと伝えた。
     実際、家にある薬を服用して良いか電話で問い合わせを受けたことは何回かある。

     お客様が『葛根湯』をレジに持ってきたけれど、主訴は喉の痛みと鼻水とのことで、鼻水には適応するものの喉の痛みには『桔梗湯』を併用した方が効果的なことをお話しした。
     しかし一つの薬で済ませたいと言うので、『ルルアタックEX』を案内し変更となった。
     ただ帰りぎわに、喉の痛みはそれほどではなく違和感程度だと言うので、そのまま『葛根湯』でも良かったかもしれない。
     なぜ最初に、喉が痛いと言われたのか(^_^;)
     喉は胃とつながっているから炎症は影響するし、鼻水は胃の不具合とも関係するため、食事を消化の良いものにとお話したのだが、もう買い物袋には夕食も買ってあるようだった。
     ううん、食事を買う前にドラッグストアーに来てくれればなぁ。

     成人のお客様が母親と来店し『桔梗湯』を2つレジに持ってきたため、お腹の冷えすぎに気をつけるよう伝えたところ興味を持たれた様なので、比較として患部を冷やしつつ熱を発散する『駆風解毒湯』を紹介したところ、1つを交換して購入された。
     『桔梗湯』は冷やす力が強いので炎症に効果を期待できる一方、悪寒や鼻水がある時には体を冷やしすぎるので『葛根湯』との併用が良い。
     鼻水などの冷えを示す症状が無い喉の痛む風邪にはと、『銀翹散』も紹介した。

     

  • 症状が出てから葛根湯を買うのは遅い

     お客様が『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたけれど、主訴は喉の痛みで他の症状は無いそうなので、効能を絞ることを提案し、『ペラックT』と『パブロントローチAZ』、それに『駆風解毒湯』を案内してみた。
     すると、『葛根湯』を服用して効かなかったというお話があったため、鼻水が無いことを確認して『銀翹散』を勧め試していただくことになった。
    「風邪には葛根湯」という言葉が広まって喉の痛みにも使われることがあるけれど、よほどの最初期でもない限りは上半身を温めてしまうから、喉の痛みや咳、発熱してからの風邪には適応しないので注意が必要だ。

     『葛根湯』の液剤をレジに持って来たお客様に、喉の痛い風邪や咳の風邪には向かないことを伝えると、喉の痛みを感じたのは朝方だと言うので、そのタイミングであれば使えたと思うものの、もう夕方なことから遅いかもとお話しした。
     代わりに炎症の熱を発散しつつ冷やす『駆風解毒湯』と、お腹の弱い人だと内臓まで冷やすため軟便になってしまうくらい効果的な『桔梗湯』を提案したところ、風邪にも使いたいとのことから、鼻水が無いことを確認したうえで『銀翹散』を紹介した、試していただくことになった。
     『葛根湯』は早め早めのタイミングが重要なので、家に置いておくよりは持ち歩いて、出先で異変を感じたらすぐにに使うよう勧めた。
     今回のケースで言えば、起き抜けに飲むべきだったろう。

     若い夫婦のお客様が『葛根湯』をレジに持ってきたさいに、喉の痛みや咳の風邪には向かないことを伝えたところ、ご主人が喉が痛いということで、他に症状は無いそうだから『桔梗湯』を併用するか『駆風解毒湯』を単独でと勧めてみた。
     また、頭重感など風邪の予兆があれば鼻水が無いことを条件に『銀翹散』を使う方法もあることをお話した。
     今回は、『駆風解毒湯』をお買い上げ。
     奥さんはいつも『葛根湯』を使っていると言うので、ごく初期であれば適用することと、持ち歩くと活用しやすいことを伝えた。
     なんだか『葛根湯』を目の敵にしてるような一日になっちゃったけど、『葛根湯』自体は優れた処方。
     上半身を温め血流を良くし、熱を発散する甘草も入っている。
     ただ、どんなに優れていても適材適所と使うタイミングというものがあるから、「なんにでも効く」訳はなく、「買いに来るのでは遅い」ので、こうして周知している次第。
     繰り返すけど、『葛根湯』は効能に「肩こり」があるように、「上半身を温めると改善する」症状に向いている。
     つまり、上半身を温めたら具合が悪くなるような症状には適応しない。
     すなわち、喉がヒリヒリやズキズキするような炎症の痛み、コンコンと乾燥しているような咳、発熱してからでは症状が増悪してしまう。
     ごくごく初期の喉の違和感程度、鼻水があり薄い痰を伴う咳、発熱前の悪寒、これらが『葛根湯』に向いている。
     ただし、鼻水があり咳をすると水のような痰が出るようなら『小青龍湯』の方が、より適応するだろう。
     という訳で『葛根湯』は早さが勝負なので、買い置きしておいて下さい( ̄ー ̄)ニヤリ

     

  • 市販薬の効能は原則的に主な作用が文頭に書かれていることが多い

     『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたお客様に、喉の痛みには弱いことを伝えると迷われたため、同シリーズなら『パブロンエースAX』を、銘柄にこだわらなければ『ルルアタックEX』をと紹介した。
     途中、他のお客様の相手をしてから改めて主訴を確認すると、喉の痛みと軽い咳で発熱や鼻炎は無いそうだから『ペラックT』や『駆風解毒湯』といった主訴に絞った物を提案してみた。
     しばらく離れたが、それからも迷われた様子なので風邪寄りの物として『銀翹散』と『新エスタックゴールド』(葛根湯桔梗石膏)を紹介すると、ますます迷わせしまったようだ。
     ううむ、これは失敗。
     つい、選択肢が多いほうが良いと考えてしまう。
     お客様は『桔梗湯』にも興味を持たれたようなので、しばらくまた一人で選んでいただき『新エスタックゴールド』と決まった。
     そうそう、喉の奥が痛むというお話と咳の音が渇いていたため体内の乾燥の可能性をお話しして、『麦門冬湯』も紹介していたのだ。
     やはり今回は、あまりにも選択肢を増やし過ぎてしまった。
     反省(´・ω・`)

     また『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたお客様に、喉の痛みには弱いことをお話しすると、喉の痛みは落ち着いてきて鼻水は透明であり、主訴としては咳と痰だとのこと。
     内臓の冷えが原因となる透明な鼻水は体を温めるだけで改善する可能性が高いため、痰が出にくくて咳になるということに合わせ、解熱剤の入っていない『ブロン錠エース』と体内を潤す『麦門冬湯』を紹介した。
     痰が出にくい理由として気道の繊毛が抜けてしまっているか、体内が乾燥して痰が気道に張りついている可能性をお話しして、気道の滑りを良くする『ブロン錠エース』を試していただくことになった。
     普段はシャワーだということだったので入浴を勧めたうえで、シャワーで済ませる場合には「皮膚が薄くて太い血管が通っている」首の後ろや脇の下、太ももの内側などを重点的に浴びるよう勧めた。
     さて、今回は提示する薬の種類は絞ってみたけど、やはり中には選択肢が多いほうが良いという人もいるかもしれない。
     もちろん、お客様が選んだ物なのだからそのまま売っても構わないかもしれないし、お客様にしてもそのまま売ってくれれば良いという人もいるだろう。
     問題は、お客様がその薬を選んだ根拠が分からない点。
     例えば、『パブロンSゴールドW』はパッケージの表側に「のどの痛み・せき・鼻水に」と目立つように書いてあるけれど、処方構成からすれば明確に「のどの痛み」に対応した成分は入っていない。
     登録販売者のSNSでも、「どの成分が、のどの痛みに効くんだろうね?」「あえて云えば、粘膜を修復するL-カルボシステインか?」「アセトアミノフェンの解熱作用なんじゃ?」「でも、アセトアミノフェンは炎症(腫れ)を取る作用は弱いですよ?」と議論になったくらいだ。
     一応、パッケージの成分表記ではアセトアミノフェンの部分に「発熱、頭痛、のどの痛み等、熱と痛みをしずめます」と書いてあるものの、表側では「のどの痛み」が文頭にあるのに対して、裏側に書いてあるこちらでは文の後ろになっている点を無視できない。
     パッケージの表側はあくまで宣伝文句であり、重要なのは裏側や横に書いてある効能の方である。
     というのも、薬の効能は原則的に文頭に主な作用が書かれていることが多いからだ。
     ちなみに、大正製薬の「中の人」に尋ねたところ、アセトアミノフェンで充分と判断しているらしいのだけれど、それもあくまで「常備薬として」という前提だとのこと。
     やはり、喉の痛みが強いようなら同シリーズでは『パブロンエースAX』の方が効果的なようだ。
     蛇足ながら、『パブロンSゴールドW』に鼻炎のために入っているクロルフェニラミンマレイン酸はクシャミにこそ効果があり、鼻づまりには効き目が弱いとされている。
     なので、やはり成分表記では「くしゃみ、鼻みず、鼻づまりの症状をおさえます」という順序だ。
     そして、クロルフェニラミンマレイン酸を鼻水に対応させようと考えた場合、一緒に入っているL-カルボシステインには鼻汁を出しやすくする作用もあるため、鼻水に対しては効果を減じてしまう可能性がある。
     つまるところ、『パブロンSゴールドW』の得意分野は「痰のからむ咳」のある風邪だろう。
     効能表示においても、一番上に「せき・たん」と書いてある。
     というように、お客様がそれらをパッケージから総合的に判断しているとは考えにくい。
     初対面でお客様の好みや病気への対処の方針を推察するというのは、なかなかに難しいから「当たるも八卦当たらぬも八卦」という博打打ちでもなければ、ぜひ最初に店員に声をかけて相談してもらいたいところ。
     ちなみに、『パブロンSゴールドW』のメーカーによる解説ページはコチラ。

    Screenshot of www.taisho.co.jp

     パーケージへの表現には法的な規制があるし、スペース的に書ききれないコトもあるうえ、当然ながらネットでの解説にも法的に規制がある。
     しかし、薬剤師や登録販売者には内部資料として臨床試験のデータなどが配布されていたりして、ネットで検索するだけでは出てこない情報も持っている。
    「立ってる者は親でも使え」の格言(?)にもあるように、ドラッグストアーに来て店員に尋ねないのはモッタイナイですよん(*´∀`*)

     

  • 喉が痛む時に共通する手立ては一つ

     『葛根湯』を手にしたお客様から、高校生の娘さんの喉の痛みに漢方薬をとの要望を受けたので、上半身を温める『葛根湯』は適さないことを説明したうえで痛み方について尋ねると、詳しくは聞いていないとのことだった。
     喉が痛いという場合、喉の手前側が痛いとか奥の方が痛いといったような患部の場所と、ズキズキするヒリヒリするといったような炎症しているのか腫れているのか乾燥しているのかなど症状の違いがあるので、そこは代わりに買いに来るさいには確認しておいてもらいたいところ。
     喉の手前側が痛む場合には外敵と戦っている炎症と考えられ、奥の方であれば胃炎などによる炎症の可能性も想定しなければならない。
     今回は、患部の場所も状態も不明なため、患部を冷やす『桔梗湯』と、患部を冷やしながら熱を発散する『駆風解毒湯』に、患部を潤す『麦門冬湯』を案内してみたところ、『駆風解毒湯』をお買い上げいただいた。
     患部の場所や状態が不明でも、喉が痛む時に共通する手立ては一つ。
     普通の食べ物が喉を通るだけでも患部には刺激になるから、喉にも内臓に負担がかからないよう消化の良い食事にすることが大事なので、それをお客様に伝えた。

     親と一緒に来店した高校生から喉飴を注文され、医薬品と医薬部外品があることを説明したうえで売り場を案内した。
     喉は手前側が痛むようなので、消毒系の医薬部外品よりも、抗炎症の『パブロントローチAZ』と患部を冷やして熱を発散する『駆風解毒湯』を紹介したところ、前者をお買い上げいただいた。
     どうやら漢方薬の味を気にされたようだが、生薬ごとに味が違い、代表的な『葛根湯』は苦いのと辛いのが入っているため飲みにくいことを説明した。
     でも肝心の本人は他の売り場の方に行ってしまったため、母親に消化に良い食事をするようにと伝えた。
     高校生にもなったら、自分の体のことであるから自分で責任を持つようにして欲しいと思うんだけどな。

     

  • 風邪に『葛根湯』を飲み続けて良いか

     やや高齢のお客様から、関節用の絆創膏を指先に使って良いか尋ねられ、問題は無いものの使い勝手は悪いと考えられることを説明した。
     用途は手荒れで、清掃の仕事をしており、ゴム手袋は使っているそうだが薬剤荒れも考えられるため、皮膚の修復を促す『ヒビケア』を案内してみた。
     しかし、価格が高いとのことだったので価格と効き目は直接的な関係はな無いことを伝えたうえで『エルモディアひびあかぎれクリーム』を紹介した。
     すると、『ユースキンA』を使っていたこともあるそうなのだが、足に使ったらかぶれたという。
     薬でのかぶれは、体調や部位によっても起きたり起きなかったりすることを伝え、使い分けるようお話しした。
     また、普段使いに『ワセリン』を提案したところ、ベタつくことを気にされたため、ベタつきに関しては塗り過ぎと考えられることを説明した。
     手の甲に塗るだけでも人差し指で薬をすくってしまう人は多いと思うが、手の甲の範囲であれば小指の爪先に引っ掛けて米粒程度の量で十分なんである。
     本日は、絆創膏のみをお買い上げいただいた。

     お客様から、風邪に『葛根湯』を飲み続けて良いか尋ねられたので、効果的なタイミングと合わない風邪に注意するようお話しした。
     『葛根湯』は早さが勝負だから、悪寒がするような「気がする」とか、頭が重い「かな?」というタイミングで使うのが効果的。
     だから、家に置いておくよりは持ち歩いたほうが良いし、出先が思わぬ寒さだった時には体を温めるのに役立つ。
     そして合わない症状は、『葛根湯』は上半身を温めて治すので、喉が痛い時とか咳が出ている時に使うと、かえって症状が悪化してしまう。
     また、既に発熱してしまってからでは遅い。
     ごくごく初期であれば喉の痛みにも使えるが、その場合でも単独で使うよりは『桔梗湯』を合わせた方が良い。
     あるいは、喉の痛い風邪で鼻水が無いのならば、上半身を温めるのではなく冷やす『銀翹散』の方が向いている。
     さらにお客様には、風邪が進行して発熱した場合には『麻黄湯』に乗り換え、汗をかくようになったら今度は『柴胡桂枝湯』へと変えていくことで体力の下支えし、風邪のぶり返しを防ぐ方法を伝えた。
     どうしても「風邪には葛根湯」というイメージが定着してしまっているが、それは昔でも同じらしく落語には『葛根湯医』というお話がある。
     何でも『葛根湯』を使う医者の話で、大工が屋根から落ちたと聞きつけて「よし葛根湯だ!」と答えるのだ。
     お客様に、そんな枝葉のお話までして、喉の痛みだけで他に風邪の兆候が無ければ、胃炎による体内の乾燥の可能性も説明し『麦門冬湯』を紹介したところ、鼻汁が喉に落ちてくることもあるというから、やはり胃が不調と考えられることを説明し、『チクナイン』(辛夷清肺湯)も案内した。
     本日は、特にをお買い上げは無かったが、家にある薬の使用の判断に迷った時には、電話でも相談に応じることを伝えた。