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  • 本当は難しい『葛根湯』の使いどころ

     子供を連れたお客様が『葛根湯』を購入されるさいに、適応しない症状があることを伝えると「知らなかった」とのことで、常備薬にしてるというため比較として『銀翹散』を紹介した。
     上半身を温めて血流を良くする『葛根湯』は、喉の痛みや咳があると余計に炎症を強めて症状を悪化させてしまうし、発熱しているのでは温める必要が無い。
     つまり、温めると具合が悪くなる症状には『葛根湯』は適さず、上半身を冷やす『銀翹散』の出番となる。
     またお客様には、風邪の進行に合わせた乗り換え先に『麻黄湯』『柴胡桂枝湯』も案内した。
     発熱して汗をかくまでは『麻黄湯』で熱を散らして、汗をかいて風邪が後半戦になってきたら『柴胡桂枝湯』で体力の低下を防ぐ。
     風邪の初期にと云われる『葛根湯』の適応する「初期」とは、喉が痛い「気がする」とか、悪寒がした「かな?」という状態のことで、お客様も「早め早めに使う」ということは知っている模様。
     そう、だから『葛根湯』は具合が悪くなってから買いに来たのではもう遅いから、家に置いておくより持ち歩いていた方が良い。
     ただ、「今、間に合ってるんで」と言われてしまった。
     買わされると思ったのかも。
     世の中には『葛根湯』至上主義のような人もいるもんで、つい熱くなり過ぎてしまったと反省。

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     お客様が『葛根湯』を購入されたけれどヒアリングしてみると、成人の息子さんが咳をしていて発熱もしているというため、適応しないことを説明し、『麻黄湯』を案内したところ一緒にお買い上げとなった。
     咳の音は湿ってるようなので、咳が激しくなければ『麻黄湯』でもいけるので、体は保温するよう勧めた。
     また、食欲があっても内臓を休ませるために食事は控えるようにお話した。
     もし食べるのであれば、インスタント味噌汁やインスタントスープのような具の少ない物、そして味の濃いものにするよう伝えた。
     うどんやおかゆも良いのだけれど、脳が満腹感を得ないと量を食べたくなってしまうのと、水分とともに塩分を補給しておいてもらいたいからである。

     カップルのお客様が胃腸薬の棚で話し込んでいて、迷ってるように見受けられたので案内を申し出たが、断られた。
     それだけならいつもの事なのだけれど、終始ニヤニヤしていて気持ち悪かった。
     『ガスピタン』を購入され、胃腸薬は症状に合わせた選択が難しいと伝えると、やはりニヤニヤとされる。
     医学生や薬学生、あるいは同業者だろうか。
     私の心が汚れてる( ;´Д`)?

    ガスピタン

     夫婦のお客様が『ベンザブロックS』をレジに持ってきたけれど、患者は奥さんで、鼻水と鼻づまりを行ったり来たりしており、咳が少しある程度とのことだったので鼻炎薬を提案したところ、『パブロン鼻炎カプセルSα』に変更となった。
     多くの鼻炎薬は少しの咳なら効果の期待できる成分が入っており、その逆もしかり。
     鼻炎が主で咳が少しなら鼻炎薬を、咳の方が激しく鼻炎は弱ければ咳止め薬を使うと、総合風邪薬を使うより体の負担を減らせる。
     そして鼻水は内臓の冷えや胃の疲れが原因で起こりやすく、鼻づまりは鼻の奥の血管が炎症して腫れている状態であることを説明した。
     なので、両方を行ったり来たりしてる時には、温かくて消化の良い食事をし、上に昇ってる熱を下ろすために入浴したり下半身に厚着したりして熱を循環させるのが養生法となる。

     

  • 脳を騙せば少食に!? あえて濃い味付けで、胃腸を休ませてみる

     お客様から、ご主人が鼻水が出て体がだるいと訴えており、『ヒストミンゴールド液プラス』で良いか尋ねられた。
     鼻水は胃が冷えているか疲れていると考えられるため、体のだるさに適応する。
     鼻水をピタリとは止めないが、効果は期待できることをお話したうえで、より疲労回復に振ってある『柴胡桂枝湯』を紹介したところ、そちらを購入された。
     食欲はあるそうだが、それは脳が感じることであって、体がだるいとなると既に内臓の機能は低下していると考えられるため、内臓を休めるために消化に良い食事を量を控えてとお話した。
     うどんや、おかゆなどだとアッサリし過ぎて満足感を得られず量を食べたくなるかもしれないから、あえて濃い目の味付けをするよう勧めた。
     そうすれば脳の満腹中枢を刺激して、食べる量を減らすことができる。
     一般的に、食べ始めてから20分程すると満腹感を感じるようになるとされているから、一回の量を少なくて、お代わり方式にするという手もある。
     温め直すとか、お代わりする時間を少し置くことで早く満腹を感じるようにするのだ。
     よく血圧などを気にして、減塩醤油などを使う人がいるけれど、トータルで考えなきゃ駄目なんである。
     最近の研究でも、塩分の摂り過ぎよりも運動不足のほうが健康の維持に関係することが分かってきている。

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     お客様が『プレコール持続性せき止めカプセル』を購入されるさいにカラ咳をしていたので、体内が乾燥してる可能性をお話して、患部を潤す現代薬の『ストナ去たんカプセル』と、上半身に保水をする『麦門冬湯』を乗り換え先として紹介した。
     カラ咳は、胃炎を起こして胃にかぶさっている肺が乾燥してる可能性も考えられるため、消化に良い食事をするよう勧めた。
     お客様が『プレコール持続性せき止めカプセル』を選んだ理由は分からないけれど、実はカラ咳には良い選択。
     市販の咳止め薬には、咳中枢を抑えて咳を止める麻薬系の成分が入っていることが多く、いわば体の機能を低下させてしまうため体の保水機能も狂わせて、継続して飲んでいると体内が乾燥し咳の原因となってしまうのだ。
     その点、『プレコール持続性せき止めカプセル』は非麻薬性の咳止め成分のうえ、喉を潤す物も入っていてカラ咳に向いている。
     ただし、呼吸しやすくするために覚醒剤系の成分が入っているから、疲労感を感じにくくなってしまうことがあるので、仕事などで無理をしないように注意が必要。

     

  • 鼻炎と咳や喉の痛みの症状は一つが解決すれば、まるっと治ることも期待できます

     お客様が風邪薬の棚を見ていたので声をかけたところ、14歳の子供が部活で水筒を回し飲みをしていたことから風邪だと思うというお話だった。
     主訴は鼻水と咳とはいえ、それだけでは風邪とは限らず、鼻水は内臓の冷えが原因とも考えられるため、温かい物を積極的に飲むよう勧めると、アイスを好んで食べているというので、食べる時には温かい飲み物を一緒に用意するようお話した。
     そして、咳の方が強く出ているというお話から、鼻水にも効果が期待できる咳止めとして『パブロンSせき止め』を案内すると購入された。
     もし鼻水の方が酷くて咳が軽ければ、咳止めにも効果がある成分を含んだ鼻炎薬の方を勧めていた。
     総合風邪薬には、解熱鎮痛剤に鼻炎薬と咳止めなどが入っていて一見お得のように思えるかもしれないけれど、体からすれば使いもしない余計な成分が入ってくれば処理しなければならず、そこで無駄なエネルギーを消費すると、そのせいで本格的な風邪に進行してしまうことがある。
     だから、出ている症状のうち抑えたい方から先に対応するのが良い。
     鼻炎と咳や喉の痛みの症状は、鼻から喉を通って胃や肺にまで繋がっており、どれか一つを解決するだけで他の症状も連動して回復することが期待できるし。

    パブロンSせき止め

     子供を連れたお客様が、病院で『PL顆粒』を処方されたとのことで栄養ドリンクを相談され、体をゆっくり休めるためにノンカフェインの『ヒストミンゴールド液プラス』を案内したところ、海外に行くというので液剤より顆粒か錠剤が持ち運びに良いのではとお話し、『柴胡桂枝湯』を紹介すると購入を決められた。
     『柴胡桂枝湯』は、風邪にも胃腸炎にも使えて便利かつ、海外では入手しにくい薬なので、海外に渡航するお客様によくお勧めしている。
     お客様は「少し休めば動ける」と言っていたけれど、それは脳が感じているだけで体がついてこれるとは限らないから油断しないようにと伝えた。
     特に、無理に栄養を摂ろうとして食事をガッツリしてしまうと消化にエネルギーを取られて長引く可能性があるため、体と同様に内臓もまたゆっくり休めるのに消化に良い食事をするよう勧めた。

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  • 病院のかかり方と、お薬手帳の重要性を伝えたい

     高齢のお客様から『OS-1』を求められ会計時にヒアリングすると、娘夫婦からの頼まれ物だそうで『ポカリスエット』も買ってあるとのことだった。
     『OS-1』は他の経口補水液と較べても内容が異なるため、症状の起きていないときや過剰摂取には気をつけなければならないのだが、病院で胃腸炎と診断されているそうだから、その点では大丈夫そう。
     何か薬が処方されていたようだったが、もし市販薬が必要になった場合にはと、『柴胡桂枝湯』を紹介した。
     お客様は急いでる様子だったので、引き留めたことを謝った。

     高齢のお客様から『ナットウキナーゼ』を求められ売り場を案内したうえで、そう必要な物ではないことを伝えると、記憶力に効果があるとされているサプリメントの『イチョウ葉』にも興味があるようだったため、漢方薬の『オンジ』を紹介すると、そちらを購入された。
     『オンジ』は漢字で「遠志」と書いて、記憶力を保つ効能が確かめられている。
     ただし、認知症には効かないので注意が必要である。
     発売当初には、そこを勘違いしているらしき新聞記事を見かけたので。
     お客様には他に、病院のかかり方やお薬手帳の重要性などお話すると喜んでもらえたようだった。
     病院にかかった時には、事前に医師に尋ねてみようと思ったことも医師と対面した途端に忘れてしまったり、言い出せなかったりしがちなので、事前にメモをしておいた方が良い。
     また、生活スタイルや家の環境などは疾患の原因を探ったり治療の参考になるのに、医師の側もプライベートな質問は踏み込みづらいから、患者の側から情報を出すことが重要である。
     お薬手帳は、病院に行くときだけ持っていくという人が多いけれど、出先で事故に遭って気を失っている場合、救命処置の大事な情報源となる。
     たいした病気にかかったことが無いという場合も、そういう「重大な基礎疾患が無い」ということ自体が重要な情報なので、普段から持ち歩くのは自分の命を守る手段でもあるのだ。
     また、大規模災害により家に帰れないまま避難した場合、特例として医師の診察を受けずに薬を処方してもらうことが可能で、持病の薬なら救援物資に加えてもらうよう依頼もできる。

    遠志

     お客様から『フェイタスZαクリーム』を求められたけれど、うちのお店には置いていないため、同じジクロフェナクトリウム製剤のゲル剤を案内すると、そちらをお買い上げいただけた。
     主訴はスポーツによる腰痛とのことで、痛みが弱まったら薬も弱い物にステップダウンしていくのが、体への負担が少ないことをお話した。
     強い薬で良く効くからと、長く使い続けると副作用の影響が心配になる。

    フェイタス Zαジクサスゲル

     お客様が『エスタックイブファインEX』をレジに持ってきたさいに、鼻水の面倒見てくれる風邪薬であるものの咳止めがメインであることをお話したところ、主訴は鼻水と咳だというので『パブロンSせき止め』を紹介した。
     すると、咳は大したことがないと分かったため、鼻炎薬の『新コンタック600プラス』を勧めると変更となった。
     鼻水は内臓の冷えが原因と考えられ、体内を温める工夫をすれば改善する可能性が高いことを伝えた。
     積極的な温かい物を飲み、入浴で決め環境であれば入り、シャワーで済ませる場合には太い血管のある背中側に浴びて、お腹周りを冷やさないよう下半身に厚着をするというように、できることを重ねていく。

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  • ミョウバン水を掌に塗っても手汗は防げません

     お客様が『葛根湯』を買いにいらして、剤形の違いを訊かれたので、錠剤や顆粒と液剤でも効果は変わらないことを説明した。
     液剤の方が効き目が少し早いかもしれないが、それとて10分くらい差の話である。
     むしろ気をつけなければならないのは、上半身を温めるので喉が痛むときや咳があるときには症状を激しくしてしまう可能性もあり、熱が出てからでは不要なので注意が必要だ。
     熱が出て汗をかく前ならば『麻黄湯』に乗り換えて熱を散じて、汗をかいてからは体力の低下を防ぐために『柴胡桂枝湯』の出番となる。
     そうお話すると、喉が痛むときに服用していて、咳にも使っていたというので、なおさら駄目なことを説明した。
     そして、『葛根湯』とは反対に上半身を冷やして喉の痛みを取り除く『銀翹散』を紹介したところ、喉の乾燥感があるとのことから潤す『麦門冬湯』も案内する、と3種類を一緒に購入された。
     案内した方としては嬉しいが、薬だから複雑な気持ちにもなる(^_^;)
     お客様には、『葛根湯』は早め早めに使うのが効果的なので、家に置いておくよりも持ち歩いて、悪寒や軽い頭痛がしたり、出先が寒かったときなどに体を温めるのに使うよう勧めた。

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     お客様から、高校生の娘さんの手の汗を止める方法は無いかと相談を受けた。
     ネットで見たという、「ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)水を塗る」のを試したものの駄目だったという。
     ああ、あれねぇ。
     汗の臭いを軽減するくらいしか効果が無いんだよねぇ……。
     上半身の汗が出るのを抑えるのであれば、脇の下の辺りをサラシなどで引き締めるという方法もあるのだけれど、それでは動きにくくなってしまうだろうし、掌の汗だけを止めるというものでもない。
     ううむ、勉強不足で適切なアドバイスが何もできない。
     残念ながらお客様には、お帰りいただくことになった。
     情報がありましたら、教えて下さいませ(・o・)

    ミョウバン
     

  • 知ってる? 『正露丸』は匂いも効き目のうちで、各社の中身も違う

     夫婦のお客様がキョクトウの『正露丸』と渡辺製薬の『セイロガン糖衣錠エフ』を一緒に購入されるので、前者は大幸薬品と内容が違うが良いのか確認すると、ご主人は「知ってます」とキッパリお返事。
     しかし奥さんが興味を持ち質問されたので、大幸薬品の『正露丸』に対してキョクトウ『ま正露丸』にはロートエキスが入ってることを説明したら、「そうなんですか!?」とご主人に驚かれた。
     さっきの「知ってます」は、何に対しての答えだったのか謎(^_^;)
     ロートエキスは、毒草のハシリドコロから抽出した成分で、一説には「苦しみのあまり走り回って死ぬ」からその名が付いたとされる。
     それだけを聞くと怖いと思われるかもしれないが、人間は水を飲みすぎても塩を食べすぎても死ぬ。
     ロートエキスの薬としての効能は内臓の働きを抑えることで、下痢ならば腸の働きを抑え、胃酸の出過ぎによる胃痛なら胃の働きを抑えるという次第。
     下痢止めとして知られる『正露丸』だけれど、食中りの場合には原因となった悪いモノは早く排出した方が良いから、腸の異常な動きは主成分の木クレオソートで抑えつつも、下痢をピタリと止めない処方が基本。
     でもやっぱり、下痢止めとして使うニースが高いためロートエキスを加えた製品が存在する。
     個人的には、食中りに備えて大幸薬品の『正露丸』と、下痢止めには別な薬を用意した方が良いと思ってるけど、旅行に行くのに荷物を減らしたいとかならロートエキスの入った『正露丸』を選ぶのはアリだろう。
     また、糖衣錠は甘い成分でコーティングして『正露丸』の独特の匂いを封じ込めているだけではなく、抗炎症と鎮痙攣の2つの成分を抜いているため、シクシクと痛むような症状には弱い。
     腸には味覚も嗅覚もあって、あの匂いも効能のうちなんである。
     お客様には、薬を買う時には目的を教えてもらえると選びやすいこと、そして初対面では色々と聞きにくいことをお話すると「そうですよね」と奥さんのお返事だった。
     食中りの下痢とは別に、吐き気を伴う下痢を引き起こす胃腸炎に『柴胡桂枝湯』を紹介した。

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     やや高齢のお客様が『パプロンエースPro』を購入されたけれど、主訴は喉の痛みで他の症状は無いというため、鎮痛剤を提案したものの「良く効くから」とのお返事だった。
     起きていない症状の成分は体にとって不要な物であり負担となってしまうので、少しでも負担を軽減するために消化に良い食事をするよう勧めた。
     正直、良く効くというのは咳止め成分が覚醒剤系なのとカフェインが入ってるから、その興奮作用のせいだと思う。

     

  • 風邪の初期・中期・後期に使う漢方薬

     お客様が『柴胡桂枝湯』を購入されたけれど、患者はご主人で、肩から腹部にかけての痛みがあり、肝臓を心配した本人がネットで見て頼まれたそうだ。
     見立ては外れていないし、相談されれば私も『柴胡桂枝湯』を提案すると思うが、肩の痛みが心臓など他の部位の可能性もあるので、吐き気など他の症状が現れないか経過観察に注意するよう伝えた。
     本人は病院に行こうとも思っているというので、その前提があれば良いことを伝えた。
     ただ今回も、私の方がヒアリングしなければ、ネットで見た情報でそのまま薬を買われる事になっていたかと思うと、その点は心配ではある。
     自分で調べるというのは良いことだから、ネットで調べた次の段階としては買うのを人に頼まないで本人に店頭に来てもらいたいし、登録販売者や薬剤師に確認してから購入してもらいたいと思う。

     お客様が『葛根湯』『麻黄湯』を見ていて後者を購入されるので用途を尋ねると、普段から常備薬にしているとのことだったが、『柴胡桂枝湯』を知らないというため紹介した。
     『葛根湯』は風邪の初期に向いていて、この初期というのは症状が現れる前の段階のことである。
     例えば、「頭が痛い……気がする」とか「悪寒……かな?」という時に、早め早めに使うと効果的なのだが、上半身を温める作用があるため喉が痛い時に使うと余計ヒリヒリするし、咳があったら体内が乾燥してなお咳は激しくなり、発熱してから使うのでは遅すぎる。
     だから『葛根湯』は家に置いておくよりも持ち歩いて、「おかしい」と感じたら出先で飲んでしまった方が良い。
     そして発熱し始めて汗をかく前であれば『麻黄湯』を使い、体が風邪と戦うのを支援するのが効果的。
     また、風邪による関節痛にも適応するので、風邪の中期に用いることが多い。
     汗をかいた後には体力の低下を防ぐために、『柴胡桂枝湯』に乗り換える。
     特に現代薬には、吐き気のある風邪に対応できる物は皆無なので、発熱して吐き気があるのであれば『麻黄湯』を飛ばすか、あるいは『葛根湯』も使わずに、最初から『柴胡桂枝湯』で行くという方法もある。
     なにより『葛根湯』『麻黄湯』は胃への負担があるので、これらが使えるうちは若い証拠とお客様に伝えた。
     おっと忘れてはいけない、『葛根湯』は上半身を温める訳だが、その反対に上半身を冷やす『銀翹散』もある。
     悪寒や鼻水が無く、喉の痛みが主訴であれば、『葛根湯』ではなく『銀翹散』を使った方が良い。
     という訳で風邪に備えた漢方薬としては、『葛根湯』『銀翹散』を表裏一体の組み合わせとして風邪の初期に、発熱を伴う風邪の中期や関節痛に『麻黄湯』を、そして風邪の後期や体力の維持に『柴胡桂枝湯』が薬箱にあると安心である。
     特にお年寄りや疲労が溜まっている人の場合は、微熱だからといって風邪の初期だとは限らない。
     体力が足りなくて熱を出せないだけかもしれないため、微熱ならば『麻黄湯』で行くより『柴胡桂枝湯』で様子を見たほうが良いだろう。

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  • 薬選びは、偶然に頼りすぎてはいけません

     お客様から『ストレージH』を求められ、うちの店では取り扱いが無くなったことを伝えたうえで、同じ処方の『半夏厚朴湯』を案内し、似た名前の『半夏瀉心湯』との比較を説明してから、お買い上げいただいた。
     両者に入っている半夏はサトイモ科カラスビシャクを乾燥した物で、吐き気を止め、気持ちを落ち着ける鎮静作用がある。
     つまりストレスを軽減する訳で、違いはその下。
     『半夏厚朴湯』は胃よりも上の方、喉が閉まって息苦しくなるような場合に適応し、咳払いが多い人ら向いている。
     一方、『半夏瀉心湯』の方は胸のつかえ感を下ろすのに向いている。
     お客様は毎年季節の変わり目に具合が悪くなるそうなので、気温や気圧の変化によるストレスの可能性を伝えた。
     お客様が『ストレージH』を使うようになったのは、偶然見つけて自分に合うと思ってからのことらしい。
     その偶然は素晴らしいことなれど、大きく外してしまう事もあるから、やはり店頭で相談はしてもらいたいところ。
     医療というのは全員に満遍なく効果がある訳ではなく、多分にギャンブルの要素がある。
     その勝率を上げるのが、医療者の努めなんである。

    ストレージタイプH

     お客様が『パブロンメディカルT』を購入したけれど、患者はご主人で、微熱と咳があり明日も仕事というため、エネルギーの消耗を抑えるのには消化に良い食事をするようお話しした。
     消化をするのにも、案外とエネルギーを使うので。
     実のところ『パブロンメディカルT』は症状を抑えてくれるものの、それは主成分の作用で身体機能を抑えるだけだから、買う前に相談してもらえれば他の選択肢も案内できたのだけれど。
     例えば微熱のある咳だったら『五虎湯』を使うという方法が考えられるし、咳がたいした事ないのであれば、体力を維持するために『柴胡桂枝湯』を使うという手もある。
     ご主人はシャワー派だというので、入浴した方が良いことを伝えた。
     体の方はウイルスと戦ったり血流を良くして栄養を運ぼうとするために熱を出したいから、自力で熱を出すのにエネルギーを使うより、外から温めてあげた方が体力の消耗を抑えられる。
     そう、風邪をひいた時には症状を押さえ込むよりも、風邪と戦うのを手伝ってあげた方が良いのだ。

    パブロンメディカルT

     

     

  • 子供を想う親心に共感してしまうと、お客様との距離が掴めなくなることも

     お客様が『トラフル錠』を選ばれヒアリングしたところ、高校を卒業した息子さんが口内炎に『トラフル軟膏』を使ったものの患部から取れやすいため、内服薬にしたとのことだった。
     しかし痛みが強いようなのでステロイド剤の塗り薬である『オルテクサー』を紹介したところ、『チョコラBB』 を飲んでいるというため、皮膚の材料になるヨクイニンを加えた『トラフルBB チャージ』も案内してみた。
     口内炎を繰り返してるというお話から、ストレス性の可能性を伝えて『半夏瀉心湯』を紹介すると、卒業して家にいるから「ストレスは無い」というので、もともと胃の機能が弱いのかもとお話したところ、「大食いだからそんなことはない」と言われた。
     でも自分で自分の心臓が丈夫だと分かる人がいないように、胃が丈夫かどうかというのは体感できるものではなく、食欲は脳が感じることなので、内臓の処理能力とは別なことを説明した。
     そして「食事の管理が必要かもしれません」とお話ししたら、「私がやってるんですけど!!」と強く言い返されてお帰りになった。
     しまった、怒らせてしまったか……。
     色々と、すれ違い(´・ω・`)

    トラフル錠

     お客様から、高校生の息子さんが嘔吐して下痢もあるとのことで『OS-1』を飲ませて良いか相談を受けて、適応するのでそのまま購入していただいた。
     ただこの季節に毎年なって、救急車で病院に運ばれても体に異常無しと診断されるというため、『柴胡桂枝湯』を紹介した。
     また喘息持ちで咳払いが多いということから『半夏厚朴湯』も案内してみたら、お客様自身が使っているとのことだった。
     そしてそこまでお話したところでようやく、向精神薬を処方されていると分かり、漢方薬を処方してもらえるか相談してみるよう勧めた。

     

  • お薬手帳を健康な人も持ち歩いたほうが良い理由とは?

     やや高齢のお客様から『イブA』が強い薬かどうか質問されたので、鎮痛剤の他に鎮静剤が入っているので眠くなる可能性があることをお話しし、無印の『イブ』は鎮痛剤のみで、ブランドの違う『バファリンルナi』には『イブ』の名前の元にもなっているイブプロフェンと、他の鎮痛成分であるアセトアミノフェンを組み合わせた物であることを説明した。
     つまり鎮痛剤というのは、強いとか弱いということよりも、鎮痛成分が単独の物と、鎮痛剤に鎮静剤を合わせた物と、複数の鎮痛剤を重ねた物とがあり、症状や目的に合わせ、さらに体質を考慮して選ぶ物なんである。
     すると、「1錠で効けばそれで良いのか」と訊かれたので、単純に量を減らしてはいけない薬もあるものの、鎮痛剤ならば良い判断と答えて、なおかつ効かないからといって自己判断で増やすのは好ましくありませんと付け加えた。
     なにやら病院でビタミン剤を処方されているらしいと分かり、『イブA』をお買い上げいただいたので、成分表示をお薬手帳に貼って、お薬手帳を持ち歩くよう勧めた。
     そうしたら「ビタミン剤しかもらっていないし」と言われたけれど、その情報こそが大事なことをお話しした。
     例えば出先で事故に遭い気を失っている場合、救急隊員が身元確認のためにお薬手帳を見つければ、心臓疾患などの持病を抱えていないということが分かって、処置を始めやすくなる。
     緊急時の処置の早さは、救命率にも影響することである。
     繰り返すが、大病をしておらず健康な人も、それを示すためにお薬手帳持ち歩いた方が良いのだ。
     そう力説したら、「主人にも言っておくわ」と言ってもらえた。

    「おくすり手帳と個人情報の使い方」

     お客様が酔い止めの棚で迷ってるようだったので声をかけたところ、比較的眠くなりにくい『センパアQT』を選ばれたため、必ず酔ってしまう場合には眠くなりやすい物を使うという方法もあることをお話しした。
     酔い止め薬にも種類があることを知らなかったとのことで、海外へ行くのに持っていくというため、飛行機で使うのならば眠くなってしまった方が良いだろうし、行った先のバスなどでの使用を考えている場合には眠くなりにくい物が良いででしょうとお話しした。
     それから、海外に持っていく薬の選び方の一つとしては、向こうで入手しにくい物を用意するのが良いので、食あたりの下痢に備えて『正露丸』と、風邪にも胃腸炎にも使える『柴胡桂枝湯』を紹介したが、外食はしない予定とのことだった。
     また、動植物などによって皮膚が炎症した場合に備えてステロイド剤と、ちょっとした怪我でも衛生面が日本とは違うから抗生物質があった方が良い事をお話しし、両方を合わせた『クロマイP軟膏AS』を案内したところ、虫除けの『ムシペールα』と一緒に購入された。