「飲まなければ安全」ではありません

 お客様から、『冷えピタ』について質問された。
 濡れタオルと、どちらが良いかという比較の話。
 冷やす効果の持続時間で考えれば、『冷えピタ』の方が便利ではある。
 用途を尋ねてみると、ご主人が発熱しているらしい。
 となると、どちらにしても使うタイミングと使い方のほうが大事。
 悪寒がしているようであれば、熱を出して風邪と戦う準備をしているところだから、それを邪魔をしないように額を冷やす程度にしておく。
 発熱で頭が痛くなったりするから、あくまでそれを軽減するために。
 悪寒がせず体温が上がる一方になったら、目安としては38度越えくらいで解熱するのを目的に、首の後など「皮膚が薄くて太い血管が通っている」ところを冷やす。
 そういう意味では、『冷えピタ』より水枕か、『アイスノンソフト』なんかの方が良いんだけど。
 で、肝心のご主人の容態はというと、薬を嫌がるため何も服用していないそう。
 まぁ、普段よほど偏った食生活をしているとか疲労している訳でなく、ゆっくり休めるようであれば、薬を使わずに養生するのは悪くない。
 付け加えるなら、食事に消費するエネルギーを風邪を治す方に使ってもらいたいので、食欲が落ちていなくても、消化に良いメニューにして量を控えること。
 という訳で、今回は商売にならず。

 中学生の子供の、喉の痛みと鼻水の相談を受けた。
 症状は3日ほど前からで、花粉症は無く風邪だと思うという話なのだけれど、寒い季節は判定が難しい。
 発熱や頭重感といった、風邪の兆候が無いようでもあるし。
 それに詳しくお話を訊いてみたら、喉の痛みは楽になってきているらしく、鼻水は透明なようだから、もしかすると風邪は入り口で治まってしまって、後は単純に体が冷えているだけかも。
 なので『小青龍湯』を案内してみたけど、顆粒が飲めないそうなので『パブロン鼻炎カプセル小児用』を購入して頂き、お風呂に長めに入って体を温めるようお話した。
 ………後になって、クラシエの『小青龍湯』に錠剤があることを思い出した。
 なんで忘れていたんだ、自分orz

 風邪薬の棚を何度も行ったり来たりしているお客様がいらしたので声を掛けたところ、置き薬にする風邪薬を探しているとのこと。
 喉風邪になることが多いそうなので、『パブロンエースAX』を案内し、薬の効き目は相性もあるため、内容量の少ない物をと勧めた。
 本日のところは、購入に至らず。

 『ヒストミンゴールド液』をレジに持ってきたお客様に、疲労の度合いを訊いてみたところ、口内炎があって、いつも後で風邪に移行するため、それに備えて選ばれた模様。
 口内炎には胃の不調が関係していると考えられるから、『新ヒストミンゴールド』の方を勧めてみると、ストレスも思い当たるというお話が出た。
 それでしたら、いっそ栄養ドリンクよりも治療を目的に『柴胡桂枝湯』を使ってみてはと提案し、そちらをお買い上げ頂いた。
 あと、ストレスで口内炎を繰り返すようであれば、『半夏瀉心湯』の方が適応しますと紹介しておいた。

 お客様から、喉の痛みと体のだるさに『葛根湯』が適応するか質問された。
 ごく初期の喉の痛みには使えなくもないけど、『葛根湯』『桔梗湯』を併用するか、『銀翹散』の方が向いていることを説明。
 発症した時期を尋ねたら、3日ほど前からで、発熱は無かったという。
 だるさについては『柴胡桂枝湯』を案内してみると、最初の話には無かったけど、夜中に咳が出るのだとか。
 これは、『麦門冬湯』も候補になるか?
 こっちが迷ってしまっては、お客様も迷ってしまう。
 こういう時は、一番つらい症状からターゲットにしたほうが良い。
 そこで、改めて主訴を確認すると、喉の痛みの方で、胃腸は丈夫というお話から、『桔梗湯』を単独で使って頂くことになった。
 ううむ、だるさについてもう少し掘り下げるべきだったかな……。

『太田胃散A錠』をレジに持ってきたお客様から、胃痛に使えるか質問された。
 患者さんは奥さんだそうで、お昼に脂っ濃い物を食べてかららしい。
 普段はそういうことは無く、お酒も飲まないそうだから、適応しますと答えて、お買い上げ頂いた。
 一応、比較として、『安中散』に痛み止めの『芍薬甘草』が入っている『大正漢方胃腸薬』も紹介。

 最初は男性のお客様から、「のどスプレーを」と要望されたので、消毒系のポピドンヨードと、炎症を抑えるアズレンのに2類を案内したところ、使うのは奥さんだとのことで、奥さんに訊いてみる、といったん売り場を離れられた。
 しばらくして、ご本人とみられる女性がいらしてポピドンヨードを選ばれたのだけれど、念のため適応を確認しようと症状を尋ねたら、ご主人からは「のどスプレーあるよ」と聞かされただけで、種類については伝わっていなかった模様。
 ありゃん(;´・ω・)
 しかも、のどスプレーを求めたのは、病院から処方されている『ワーファリン』などの複数の薬を服用しいるからで、喉に噴きつけるだけで飲まない物なら大丈夫だろうと思ったのだとか。
 いや、まぁ、ポピドンヨードとアズレンは大丈夫ですが、「飲まなければ安全」とか思われると、点鼻薬や湿布薬なんかで思わぬ事故になるので、その考え方は改めて下さい。
 とりあえず、ポピドンヨードの『のどスプレー』はそのまま購入して頂き、他の薬と影響しにくい物として『麦門冬湯』『駆風解毒湯』を紹介したうえで、お薬手帳を持ち歩くよう勧めた。

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