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  • 症状を語ることは原因の種別の目安になります

     『ファイチ』を購入されるお客様に、病院で診察を受けたことがあるのかを尋ねたところ、以前に鉄不足とは診断されたそう。
     主訴はというと、貧血と目眩(めまい)だそうなので、症例として「気が遠くなるような」とか「天井が回るような」というのを挙げたら、「そこまで酷くない」という。
     ただ、貧血や目眩に限った話じゃないけど、症状は強弱ばかりでなく、原因の種別の目安でもあることを説明した。
     例えば「気が遠くなるような」というのは、鉄不足や鉄だけではなく栄養不足と考えられるため、『ファイチ』のような鉄剤や『人参養栄湯』などが適応する。
     しかし、「天井が回るような」場合には、三半規管の異常といったメニエール病も疑われ、漢方的には水分代謝の異常が考えられるため『苓桂朮甘湯』が適応し、鉄剤の出番ではない。
     他に、「雲の上を歩くような」フワフワした目眩もあり、これは血圧が関係するケースが多く『釣藤散』『七物降下湯』の出番となるが、脳内出血といった重大な病気が隠れている可能性があるので、まずは受診した方が良い。
     お客様に詳しくヒアリングしてみると、目の前がチカチカする感じがしたり、運動した後に乗り物酔いみたいになる他に、頭がボウッとするという話が次々と出てきた。
     先に挙げた三種類の目眩のうち、複合的に現れることがあるのが目眩の難しいところ。
     このお客様の場合、目元に力が無く声が弱々しいことからすると、鉄不足だけでなく栄養が循環していないように思える。
     『ファイチ』は適応するだろうけど、それなら改めて受診して病院で処方してもらったほうが良いのではと提案したうえで、お買い上げ頂いた。
     食事では、サラダが好きというお話だったので、レタスやキャベツなどは根に近い部分を積極的に摂るよう勧めた。

     やや高齢のお客様から、「鼻風邪の薬を」と注文を受けて鼻水の状態を尋ねると、透明で垂れてくるとのこと。
     このタイプの鼻水は風邪ではない可能性が高いが、昨日には風邪ということで病院に行き、喉の痛みと咳の薬を処方されたそう。
     お薬手帳は持っていなかったけど、薬の現物を持っていたので内容は確認できた。
     そうなると鼻水は風邪とは別に内臓が冷えているからだろうから、飲食を温かい物にして入浴や厚着で対応するだけで充分なように思える。
     しかし、仕事中に何度も鼻を噛むのが煩わしいので、どうしても薬が欲しいと食い下がられたため、処方薬との併用を考えると色々と成分の入っている風邪薬より、成分の種類の少ない鼻炎薬のほうが良いでしょうとお話した。
     そして、仕事中にということであれば眠くなる成分が入っていない漢方薬をと勧めると興味を持たれたので、『小青龍湯』をお買い上げ頂いた。
     そして、入浴するよう勧めたところ、37.5度ほどの発熱があり入らなかったという。
     風邪で疲労しているのでなければ、入浴はしたほうが良い。
     風邪の際に風呂に入ってはいけないというのは、日本家屋が風通しが良くて湯冷めが心配だった頃の話。
     まぁ、私が今住んでる借家は、部屋の扉を閉めてもどこからともなく風が入ってきますが(^_^;)
     なんにしても、湯冷めにさえ気をつければ入浴は大事なので、よろしくお願いします。

     

  • 市販薬はブランド名ではなく主訴に合わせて選びましょう

     『パブロンSα』をレジに持ってきたお客様に症状を確認すると、患者はご主人で、頭痛に「パブロンを」と頼まれてきたそう。
     でも、主訴は頭痛のみで他の症状は無く、普段から偏頭痛があるのだとか。
     だとすれば、咳と鼻炎に適している『パブロンSα』では、あまり意味が無いように思える。
     『パブロンSα』を選んだ理由は、常備薬にもしようと思ったことと、今回もご主人が服用して、いったんは良くなったからだそう。
     頭痛が主訴でもあるので鎮痛剤の使用を勧めたら、『バファリンA』が効かなかったため、ご主人は総合風邪薬をと思ったらしい。
     成分違いの物に乗り換えずに、色々と他の薬が入っている物の方が効きそうと考えたのだろうか。
     確かに、そういう選択も無いとは言えないけど、それならせめて鎮痛効果の高い『ルルアタックEX』とかの方が良いだろう。
     なにより、総合風邪薬のように起きていない症状に対する成分まで入っていると、その無駄になる成分の処理で体の方は疲労してしまう。
     しかし、これが買いに来た本人なら、もう少し詳しくヒアリングできるものの、頼まれて買いに来たケースでは本人の希望を優先するしか無い。
     ただ、本人は『パブロン』という銘柄を指定しているだけで、その銘柄の中での製品の区別はしていないみたいだから、同シリーズの『パブロンエースAX』の方を勧めて、お買い上げ頂くことになった。
     それにしも気になるのは、偏頭痛の方。
     温めて楽になる場合なら『葛根湯』が使えるし、肩こりなどと連動しているようなら血行不良を改善しと筋肉を弛緩させる『釣藤散』が候補になり、もっと明確に高血圧が関係していれば名前が効能でもある『七物降下湯』が効果的、そして意外と知られていないのが胃を悪くして頭痛になるケースで『柴胡桂枝湯』が適応する。
     いずれにしても、頭痛が単独で起こることは無く、何かしら他の病気と連動している可能性もある。
     ご主人は整体には通っていて、「いつものこと」と思っているようでもあるため、「いつものこと」で油断しないようにとお話した。
    「いつものこと」だという事であればこそ、症状が重くなるときと軽くときの記録と、使う薬の選別はしてもらいたいところ。
    「いつもと違う」という時に気づくためには、それまでの積み重ねが必要なので。

     咳止めを買いに来たお客様、1週間ほど続いており、直前に発熱などは無かったそうだけど、喉がイガイガする感じというお話からすると、やはり体内の乾燥が原因かと思い、『麦門冬湯』を案内した。
     でも、タバコの臭いがしたため、気管支の周囲の血流が悪くなって栄養不足になっている可能性をお話して、『ダスモック』(清肺湯)に変更、試して頂くことになった。

     中学生の子供が口内炎ということで相談を受け、強い炎症を抑えるステロイド剤と、軽度の場合の非ステロイド剤の両方を案内した。
     患部は上顎の前歯近くで、それほど痛みは無いものの膨らんでいて、すでに1週間くらい経っているそう。
     ううん、患部が気になって、つい舌で突いちゃたりしてるのかな。
     熱い物を飲んでヤケドしたとかキッカケになるようなことは思い当たらないようだけど、膨らんでいるようだとステロイド剤かなと『ケナログ』を勧めてお買い上げ頂いたけど、病院の受診も検討するよう伝えた。
     『ルゴール液』などで消毒した方が良いか尋ねられたが、それが過剰な刺激になるかもしれず、やめるようにお話した。

     

  • 日焼けした肌の痛みを治す飲み薬って!?

     小学生の子供の引っ掻き傷に使いたいとのことで、お客様から『キズパワーパッド』の種別と使い方について質問された。
     ところが、製品の説明をしつつ傷の状態を確認したら、虫刺されで患部を掻き崩しているというのが分かった。
     そこで、虫刺されの痒み止めよりもステロイド剤をと案内すると、以前に子供に病院で処方されたステロイド剤が未開封で残っているそうな。
     それでしたら、ステロイド剤を普通の絆創膏に塗って使い、痒みが落ち着いてから傷口の回復に『キズパワーパッド』を使う方が良いですよと提案した。
     ちなみに、『キズパワーパッド』は湿潤療法で患部を治すため、傷薬のたぐいは併用してはいけない。
     それと、虫刺されで怖いのは痒みとかより何より、虫が運んでくる病原菌の感染なので、虫除けが重要ですとお話した。
     すると、子供はアトピー性皮膚炎だとのこと。
     必ずしもディードを避けなければならない訳ではないけれど(私自身アレルギー性皮膚炎を患っていたが、ディードを使っていて問題は無かった)、心配な気持ちは分かるので、『ユーカノン虫除けウェットティッシュ』を案内して、それのみをお買い上げ頂いた。

     日焼けケアのローションをと来店した女性のお客様、見るからに顔も二の腕も真っ赤で、それはもはやヤケドの域だった。
     日焼けをヤケドと認識していない人は、結構いる。
     お客様は、『SEABREEZE(シーブリーズ)』のような物を考えていたみたいだけど、これはもうヤケドと同じですから炎症を抑えないと駄目ですとお話した。
     昨年はこれで、「薬が欲しいわけじゃない!!」と怒って帰られてしまうケースもあり、私としては「ドラッグストアーに来ておいて、薬が欲しいわけじゃない」というのが理解できなかった。
     後で、登録販売者のSNSで質問したら、「ボディローションが欲しかったんじゃないですか?」と諭されて、やっと理解した次第。
     世の中には、「薬以外で症状を治したい人がいるんだ」という新鮮な驚きと共に、そういうリクエストにも応えなきゃならないんだなぁと、この仕事の難しさを痛感したもんである。
     しかし同時に、「自分の方針というものも持たなければ駄目だ」と思うようにもなってきた。
     それはつまり、「お客様の要望に応えることだけが、お客様のためになる訳でもない」ということ。
     だって、この仕事のお客様は同時に患者さんでもあるので。
     まぁ、こちらも人間なので、怒られるのは嫌だし、怒鳴られるのは小心者で苦手だから、そういうお客様には要望の物を案内して放置したいところ(o ̄∇ ̄)o
     とはいえ、職務を全く果たさない訳にもいかないため、一応は説明したり提案はする。
     ただ、引き際はだいぶ早くなったと思う(笑)
    「この人は話を聞が気が無いな」と悟ったら、怒られる前にサッと引くε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
     で、今回のお客様は実際に肌がピリピリ痛むそうで、「日焼け=ヤケド」と理解して頂けて、抗炎症成分の入っている『桃の葉ローション』を案内すると、そのまま購入された。
     それと内服薬として、『黄連解毒湯』という体の中も外も炎症を抑える漢方薬を紹介した。
     興味は持ってもらえたようだけど、本日のところは『桃の葉ローション』のみをお使い頂くことに。
     まぁ、これは仕方がない。
     そもそも日焼けをヤケドと思わない人が多いのだから、日焼けを飲み薬で治すなんて、それこそ「知らない世界」であろう。
     外でのスポーツなどをする人は、暑気あたりを防ぐ『五苓散』と一緒に、『黄連解毒湯』も常備しておくと夏を乗り切るのに良いと思われます。
     注意点としては、『黄連解毒湯』の生薬構成は極めてシンプルで、冷やす物に冷やす物と冷やす物が三重に入っているため、ものすごく虚弱体質であるとか、胃腸が弱い人や痩せ型の人は、お腹を下す可能性があること。
     一応は、下痢を抑制する黄柏(オウバク)も入っているから、そこまで心配はいらないはずだけど、そういう人が初めて服用する時には、規定の容量より少なめから服用した方が良いかも。
     心配な場合は、『七物降下湯』で代用して下さい。
     使用目標に「高血圧」とありますが、日焼けでの熱を下げるのが目的なため、その点は気にせず。
     虚弱な人の、のぼせ症状を下ろすのが効能だから、それを転じて日焼けの熱を下ろすのに使おうという事なので。

     『カコナール』を購入されるお客様に、発熱後は他の漢方薬への乗り換えを検討することと、夏風邪には向かないことを伝えた。
     余計なことかもしれないけど、「風邪には葛根湯」が世間に浸透しすぎて、特に胃腸に来る夏風邪にも使うようなことがあると不都合があるので。
     昨日今日と『葛根湯』を求めるお客様が続いてるのは、先日の雨で冷えたからだろうけど。
     それだけに、梅雨が明けて一気に暑くなると今度は暑気あたりで食欲を落とし、夏風邪の人が増えるはず。
     その時にまた、何も確認せずに『葛根湯』を夏風邪にと買われると困る。
     もちろん患者さんも困るだろうけど、せっかく夏風邪向けに『柴胡桂枝湯』『かっ香正気散』を多めに発注した私が困るヽ( ´ー`)ノ

     

  • 病院に行けるのは就職活動しているうちです

     お客様から、「めまいに鉄剤は効きますか?」という質問を受けた。
     患者さんは成人の娘さんで、病院を受診したことは無いという。
     目眩に鉄剤が有効なのは、あくまで血液に問題がある場合で、三半規管の異常はもちろん、水分代謝の異常、脳機能障害と原因は多岐に渡ることを説明した。
     そのうえで、鉄不足が原因と考えられる場合の市販薬として『ファイチ』を紹介し、水分代謝の異常の時に用いる『苓桂朮甘湯』を案内した。
     高血圧なら『七物降下湯』『釣藤散』なども考えられるものの、話題には出てきていないし年齢的に確率は低いため今回は除外した。
     水分代謝の異常は、現代人ならたいていは暑い日はもちろん寒い日にも冷たい飲み物を飲んでいたりするので、可能性がある。
     そして今回の患者さん本人は就活中で、病院に行く時間を惜しんでいるそうな。
     いやいや、病院に行けるのは就職活動しているうちですよん。
     それこそ内定が決まって、勤め始めたら本来は権利があっても、初年度は休みにくいもの。
     私なんか、このお店に勤め始めてから約2年間、2日連続で休めたことなんか、希望したんじゃなくて、働き過ぎたからと強制的に休まされた時だけ。
     面接前に健康診断を受けておかなければならず、それが出来たのは例の東日本大震災以後に失業して暇ができたから。
     本人には、病院に行くのは今のうちと伝えるようお話した。
     そして、めまいは大きく分けて三種類あることを説明した。
     鉄不足や低血圧が考えられる、いわゆる立ち眩みが一つ。
     もう一つは、天井がグルグル回るような回転性の目眩で、これが三半規管の異常や水分代謝の異常によるもので、メニエール病も含まれる。
     一番怖いのがもう一つで、フワフワと雲の上を歩いているような目眩。
     これは、脳の血管が詰まっている脳塞栓か、反対に破れている脳内出血の可能性が疑われる。
     まずは、本人に目眩の状態を確認してみて下さい。
     そうお話すると、食事した直後に目眩がして転んだようだという。
     そのパターンだと、低血糖が考えられるし、もっと単純に胃の機能が低下していて、血液が急に胃に集まることで貧血になったのかもしれない。
     お話を聞く限り鉄剤が必要とは思われなかったのだけれど、何か娘さんに買って行ってやりたいというので、無難なところでサプリメントの鉄と葉酸の混合タイプを案内して、お買い上げ頂いた。
     安易に薬を勧められない時に、それでも何かを買って行きたいというのが一番困る(;´・ω・)

     『ルルアタックEX』を購入されるお客様に症状を尋ねてみたら、患者は成人の息子さんで、主訴は咳だとのこと。
     咳だけだと風邪ではない可能性もあることをお話すると、3日ほど前に発熱したという。
     発熱が3日も前では、『ルルアタックEX』の適応時期はすでに過ぎている。
     風邪としては、中期から後期に当たることを説明した。
     発熱で体内が乾燥しているだろうから、上半身に水分を集めて咳を止める『麦門冬湯』が適応することを説明してみたものの、風邪薬が欲しいとのことで、そのまま『ルルアタックEX』を購入された。
     ううん、買って行ってあげたいのか本人に頼まれたのか分らないから、それ以上は踏み込めなかった。
     本人だったら、もっと詳しい症状を訊き出したりして、患部を冷やして咳を止める『五虎湯』を紹介したりもできるのだけれど。
     ホント、代理で薬を買いに来るパターンは厄介だ。
     本人は食欲はあるそうなので、せめてもと思い、食欲に任せて量を食べないように伝えて下さいとお話した。
     脳は体力回復のために「お腹が空いた」という信号を出すけど、胃腸の方は発熱でダメージを受けて機能が低下しているはずなので。
     咳にしても、風邪で胃炎を起こしていて、胃の上に位置する肺が胃熱で乾燥しているかもしれない。
     その場合に現代薬の風邪薬を使うと、体の方は熱が下がっているのに今さら訪れる薬剤の処理に体力を費やして、疲労に繋がってしまう。

     

  • 七物降下湯(しちもつこうかとう)
    ………高血圧に伴う随伴症状、のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重

    七物降下湯
    適応症状 

     身体虚弱傾向のあるものの次の症状:
     高血圧に伴う随伴症状、のぼせ、肩こり、耳鳴り、頭重

    用方・容量(顆粒製品の場合) 

     1日3回、成人1回1包(2.5g)を食前にお湯または水で服用してください。
     ただし、15歳未満7歳以上は2/3包、7歳未満4歳以上は1/2包、4歳未満2歳以上は1/3包。

    組成(顆粒製品の場合) 

     3包(7.5g)中、次の成分を含みます。
       シャクヤク(芍薬)4.0g       
       トウキ(当帰)4.0g
       オウギ(黄耆)3.0g
       ジオウ(地黄)3.0g
       センキュウ(川きゅう)3.0g
      オウバク(黄柏)2.0g
      チョウトウコウ(釣藤鈎)3.0g
     以上の割合に混合した生薬より得たエキス4.0g含有します。

    類似処方鑑別 

    八味地黄丸
     体力はあまり低下していないが、下腹部の腹壁緊張が低下し、陰萎や頻尿、夜間尿など排尿異常を訴えて高血圧のある場合に用いる。

    釣藤散
     
    中年以降の体力中等度の人の高血圧症で、慢性の頭痛、肩こりを訴え、怒りやすく、眼球結膜の充血などのある場合に用いる。

    黄連解毒湯
     体力充実している人の高血圧症で、赤ら顔でのぼせやすく、頭痛があり、不安、不眠、心悸亢進のある場合に用いる。

    使用上の注意 

    1.次の場合には医師または薬剤師に相談してください
     (1)本剤を服用後、症状の改善が認められない場合は、他の漢方薬を考慮する事。
     (2)複数の漢方薬を併用する場合は、含有生薬の重複に注意する事。(特に甘草を含有する漢方薬の併用には、より注意を必要とする。)
     (3)著しく胃腸虚弱な患者。(軟便、下痢、腹痛、胃部不快感、食欲不振等の胃腸障害を起こすことがある。)


    2.服用に際して、次のことに注意してください
     (1)定められた用法、用量を厳守してください。
     (2)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。
     (3)本剤は、2歳未満の乳幼児に服用させないでください。


    3.服用中または服用後は、次のことに注意してください
     (1)本剤の服用により、発疹・発赤、かゆみ、悪心、食欲不振、胃部不快感等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。 
     (2)本剤を服用することにより、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (3)1ヵ月位(感冒、鼻かぜ、頭痛に服用する場合には、数回)服用しても症状の改善がみられない場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
     (4)長期連用する場合には、医師または薬剤師に相談してください。


    4.保管及び取扱い上の注意
     (1)小児の手のとどかない所に保管してください。
     (2)直射日光をさけ、なるべく湿気の少ない涼しい所に保管してください。
     (3)1包を分割した残りを使用する場合には、袋の口を折り返して保管し、2日以内に使用してください。


    5.その他
     本剤は生薬(薬用の草根木皮等)を用いた製品ですので、製品により多少色調等が異なることがありますが効能・効果には変わりありません。

    七物降下湯
     

  • ≪第11回≫黄連解毒湯、柴胡加竜骨牡蛎湯

     実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
     “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
     正解者の中から、抽選で3名様に【ボーノ】ザル付きクッキング鍋を進呈いたします。絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。皆様の参加をお待ちしています。

    【ボーノ】ザル付きクッキング鍋

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     【ボーノ】ザル付きクッキング鍋を、3名様にプレゼントいたします。

    募集期間:~9月5日(月)
    正解発表予定:9月12日(月)

    問題
     男性。34歳。
     職業は農業。
     体格は普通、顔に艶があり、声も大きく張りがある。
     主訴は、鬱病と肩こり。
     通院歴があり、以前に抗うつ剤を服用していた事があるが効果を感じられなかったとの事。
     肩こりは、肩だけでなく首筋や背中もこり、背中はだるく痛みもあるという。
     上半身は熱く、のぼせて目が充血している。
     睡眠はとれるようだが、イライラしやすく癇癪持ちという自覚があり、不安感も強い。
     その他に、立ち眩み、鼻づまり、胸焼けと胃もたれがある。
     以上のことから、まずは上半身の熱を降ろす必要があると考え、それと共に神経を鎮める物を併用する事にした。
     2種類の漢方薬を使い、その後、のぼせが取れ、気分的にも落ちつき、体調が良くなったという。
     それぞれの漢方薬は何か。


    正解
     正解は黄連解毒湯柴胡加竜骨牡蛎湯です。
     両方が揃った正解者はありませんでしたが、もとより幾つかの組み合わせがありますので、特に選んだ理由を記入された方の中から、どちらか一方を答えている方を正解とさせていただきました。
     当選したのは、以下の3名の方です。おめでとうございます。
    寺山雄一郎様…選んだ理由:実証ののぼせには桃核承気湯が効くことがある。実証の鬱病、癇癪には柴胡加竜骨牡蛎湯が効くことがある。
    いっちょん様…選んだ理由:上半身の熱をとる代表として黄連解毒湯、胃腸を整えながら神経を鎮めるものとして抑肝散加陳皮半夏が最適と考えました。
    ペペロンチーノ様…選んだ理由:のぼせの原因が高血圧と見て肩こりや目の充血にも効く釣藤散を、黄連解毒湯はのぼせ気味でイライラする傾向に効果があるので併用するのに良いと思いました。

    解説
     まず上半身の熱を降ろす必要があると考えましたので、降性のうえ寒性があり、胸焼けなどが随伴症状にある事から瀉性のある物を選びます。
     この段階で幾つか候補がある訳ですが、熱を降ろすのと同時に神経を鎮める作用のある物として黄連解毒湯を選びました。
     特に黄連解毒湯は赤ら顔の患者さんに適応しやすく、目が充血するほどの人の場合には、生薬の山梔子(サンシシ)に止血効果もある事から、最初の選択として良いでしょう。
     次に柴胡加竜骨牡蛎湯ですが、これは小柴胡湯から甘草(カンゾウ)を除いて、水分の代謝を良くする茯苓(ブクリョウ)と、鎮静効果の高い竜骨(リュウコツ)と牡蠣(ボレイ)を加えた物です。
     人間の体熱が一定に保たれるのは、血液や体液が循環することによるので、体の一部に熱が偏るのは水分代謝の異常が考えられます。
     立ちくらみもまた、水分代謝の異常を示していると云えるでしょう。
     そして、柴胡加竜骨牡蛎湯は基本的に実証タイプの人に用いますが、体力が中等度であればイライラや精神不安などある場合に、最初に使うことができるという利点があります。
     今回は、上半身ののぼせを降ろす際に選びやすい物と、イライラしたり精神不安のある際に選びやすい物を組み合わせたのが功を奏したようです。

    補足
     正解者に挙げていただいた漢方薬を検討してみますと、桃核承気湯も当然候補になるかと思います。
     特に含まれる生薬の桃仁(トウニン)はお血を取り除くのに効果的でしょう。
     ただし、桃核承気湯におけるのぼせへの効果は発散性であり、熱を降ろしたり冷やしたりするのは弱いと考えられます。
     一方、抑肝散加陳皮半夏は生薬の柴胡(サイコ)による胸脇苦満を治す作用と、釣藤(チョウトウ)による鎮静作用が期待できます。
     しかし同時に、元になっている抑肝散という処方がそうであるように、虚症で貧血傾向のある人の神経の昂ぶりに用いると考えた方が適当でしょう。
     釣藤散は生薬として石膏(セッコウ)が入っており、熱証向きである事は間違いありませんし、名前にもなっている釣藤は先に書いたように鎮静作用に優れているうえ、血圧降下作用も認められています。
     特に生薬の菊花(キクカ)は、眼や脳の充血を取り除く効果があり、今回の患者さんの状態に適しています。
     組み合わせで考えた場合には、黄連解毒湯の代わりに釣藤散を用いるのが良いかもしれません。
     他に寄せられた答えの中には、次のように物がありました。
     七物降下湯は、鎮静作用の強い釣藤も入っており、高血圧にも効果があります。
     しかし、七物降下湯は、やや特別な部類に入り、冷え症で虚弱体質の人の高血圧に用います。
     これはどういう事かというと、虚弱な人の中には、体の方で「弱いから頑張ろう」と頑張り過ぎてしまい、その結果として高血圧になったり、目が充血してしまう場合があるのです。
     そのため、今回のように体格が普通で顔色に艶があり、声が大きいような人には向きません。
     似たような物として、加味帰脾湯という解答がありました。
     効能書きにもあるように、やはり虚弱体質で顔色の悪い人に用いるのが一つの指針になります。
     特に貧血のある人で、イライラしたり不眠症の場合に用いると効果的でしょう。
     世間では、立ちくらみがあると貧血と勘違いされる事が多いようですが、立ちくらみは貧血の症状の一つにしか過ぎず、立ちくらみの原因は多岐に渡るので注意が必要です。
     逆に、これは強すぎるのではないかと思った物として、三黄瀉心湯という解答がありました。
     生薬はたった三つで構成されており、そのいずれもが降性で寒性があり、脳溢血の発作に用いたり、戦国時代には止血剤として使われたという記録もあるほどです。
     もちろん、だからこそ効果は期待できるものの、その強さゆえに一般的には便秘のある事が使用の際の条件として挙げられる事が多いため、便通について触れていない今回の問題では除外させていただきました。
     センソ牛黄元を一緒に組み合わせるという解答もありましたので、それも良いかもしれません。
     今回の解答で迷ったのは、熱を降ろすのと、熱を発散するのとの違いでした。
     その意味では、半夏厚朴湯葛根湯加川きゅう辛夷の組み合わせというのも興味深かったのですが、除外させていただきました。
    「イライラしやすく癇癪持ちという自覚があり、不安感も強い」という点から半夏厚朴湯を挙げたのは、良い着眼点だと思います。
     主な生薬の半夏(ハンゲ)と厚朴(コウボク)は共に降性で、今回の症状にも使えるかもしれません。
     しかし、今回の患者さんは胸焼けや胃もたれがあるとは言っていますが、実際の胃の働きについては問題からは分かりません。
     そして、半夏厚朴湯は胃アトニー(胃が働かない)場合の不安神経症に適しており、その参考の一つに咽喉の痞え感を訴えているかどうかを確かめる必要があるでしょう。
     また、興奮すると息がしにくくなるなどの呼吸器の状態も参考になります。
     葛根湯加川きゅう辛夷は、肩から背中にかけてのこりと鼻づまりに注目したからだと思いますが、その主な作用は上半身を熱する事によって熱を発散するのだと覚えておきましょう。
     沸かしたお湯に氷を入れて冷やすのではなく、鍋の蓋を開けておいて放熱する事で冷ますというイメージになります。
     そのため、顔が赤いなど、明らかに熱証と思われる患者さんには適しません。
     他に、杞菊地黄丸小柴胡湯という組み合わせの解答がありました。
     杞菊地黄丸は、やはり生薬の茯苓と沢瀉(タクシャ)が水分の停滞を除き、牡丹皮(ボタンピ)が血液の循環障害を取り除くので、効果が期待できます。
     やや心配があるとすれば、血色の良い人には不向きで、多少なりとも手足に冷えがあるか、口の渇きを訴える、やはり年寄り向けの処方だという点でしょうか。
     小柴胡湯は解説で書いた通り、柴胡加竜骨牡蛎湯の元になった処方で、より精神神経症状に対して効果の高い物を選択した方が良いと思われます。
     番外として、サトウセントジョーンズワートと、その成分の西洋オトギリ草を挙げた方もいらっしゃいました。
     ヨーロッパや中央アジアに分布する直立性の多年草で、古くから不眠症や鬱病、ヒステリーなどの治療に用いられてきました。
     お店としては宣伝になって良いのですが(笑)、やはりクイズの主題が漢方薬ですので、今回はハズレとなります。
     今回は久しぶりに2種類の漢方薬を答えるという形式でしたので、どちらもファーストチョイスとなる物になる問題を選んだつもりでしたが、やはり両方が揃うという解答はありませんでした。
     それ自体は当然といえば当然だったと思います。
     個人的に興味深かったのは、同じ熱を取り除くのでも、降ろす物と発散する物とでは、効能書きだけを見ていると似ているようでも違うのだなという事を、改めて認識できた事でした。
     これにさらに、石膏(セッコウ)などのように直接冷やす物もあります。
     一つ一つの生薬の効果を調べるのは難しいとは思いますが、似た効能でも、その効果を発揮する過程が違う物もある事を、皆さんにも知っていただければ幸いです。

    解説:北村俊純

    参加者コメントより
     まりん:とても見やすく、内容もわかりやすいサイトですね。
     ありがとうございます。これからも宜しくお願いいたします。
     かとう:久しぶりの症例クイズで楽しませて頂きました。
     発表の方が遅れに遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。また、機会がありましたら、ぜひご参加下さい。
     久保田 美穂:漢方は飲んでいたこともあり、よく勧められるので、興味を持っています。こちらでは、クイズを通して勉強でき、いいなと思いました。ただ、最初に掲示板を見て、怖い書き込みが沢山あり、びっくりしてしまいました。その後他のページを見て、安心しましたが。楽しみにしています。
     掲示板の件については、ご心配をおかけしてしまったようで申し訳ありません。件のイヤガラセをしてきた人物が名乗っていた会社は解散したようですので、ひとまず安心できるかと思っています。どうぞ、気兼ね無くご利用下さい。
     ペペロンチーノ:調べているうちに更年期障害の症例が検索に多数ヒットして人事じゃないなと感じました。その時は私も漢方のお世話になります。
     まぁ、薬に頼らないのが一番ですが、それでは商売上がったりですので、何かの折にはご相談下さい。