市販薬はブランド名ではなく主訴に合わせて選びましょう

 『パブロンSα』をレジに持ってきたお客様に症状を確認すると、患者はご主人で、頭痛に「パブロンを」と頼まれてきたそう。
 でも、主訴は頭痛のみで他の症状は無く、普段から偏頭痛があるのだとか。
 だとすれば、咳と鼻炎に適している『パブロンSα』では、あまり意味が無いように思える。
 『パブロンSα』を選んだ理由は、常備薬にもしようと思ったことと、今回もご主人が服用して、いったんは良くなったからだそう。
 頭痛が主訴でもあるので鎮痛剤の使用を勧めたら、『バファリンA』が効かなかったため、ご主人は総合風邪薬をと思ったらしい。
 成分違いの物に乗り換えずに、色々と他の薬が入っている物の方が効きそうと考えたのだろうか。
 確かに、そういう選択も無いとは言えないけど、それならせめて鎮痛効果の高い『ルルアタックEX』とかの方が良いだろう。
 なにより、総合風邪薬のように起きていない症状に対する成分まで入っていると、その無駄になる成分の処理で体の方は疲労してしまう。
 しかし、これが買いに来た本人なら、もう少し詳しくヒアリングできるものの、頼まれて買いに来たケースでは本人の希望を優先するしか無い。
 ただ、本人は『パブロン』という銘柄を指定しているだけで、その銘柄の中での製品の区別はしていないみたいだから、同シリーズの『パブロンエースAX』の方を勧めて、お買い上げ頂くことになった。
 それにしも気になるのは、偏頭痛の方。
 温めて楽になる場合なら『葛根湯』が使えるし、肩こりなどと連動しているようなら血行不良を改善しと筋肉を弛緩させる『釣藤散』が候補になり、もっと明確に高血圧が関係していれば名前が効能でもある『七物降下湯』が効果的、そして意外と知られていないのが胃を悪くして頭痛になるケースで『柴胡桂枝湯』が適応する。
 いずれにしても、頭痛が単独で起こることは無く、何かしら他の病気と連動している可能性もある。
 ご主人は整体には通っていて、「いつものこと」と思っているようでもあるため、「いつものこと」で油断しないようにとお話した。
「いつものこと」だという事であればこそ、症状が重くなるときと軽くときの記録と、使う薬の選別はしてもらいたいところ。
「いつもと違う」という時に気づくためには、それまでの積み重ねが必要なので。

 咳止めを買いに来たお客様、1週間ほど続いており、直前に発熱などは無かったそうだけど、喉がイガイガする感じというお話からすると、やはり体内の乾燥が原因かと思い、『麦門冬湯』を案内した。
 でも、タバコの臭いがしたため、気管支の周囲の血流が悪くなって栄養不足になっている可能性をお話して、『ダスモック』(清肺湯)に変更、試して頂くことになった。

 中学生の子供が口内炎ということで相談を受け、強い炎症を抑えるステロイド剤と、軽度の場合の非ステロイド剤の両方を案内した。
 患部は上顎の前歯近くで、それほど痛みは無いものの膨らんでいて、すでに1週間くらい経っているそう。
 ううん、患部が気になって、つい舌で突いちゃたりしてるのかな。
 熱い物を飲んでヤケドしたとかキッカケになるようなことは思い当たらないようだけど、膨らんでいるようだとステロイド剤かなと『ケナログ』を勧めてお買い上げ頂いたけど、病院の受診も検討するよう伝えた。
 『ルゴール液』などで消毒した方が良いか尋ねられたが、それが過剰な刺激になるかもしれず、やめるようにお話した。

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