言葉の誤用を正そうと造語が生まれ泥沼化

 お客様から風邪が治らないということで、相談を受けた。
 喉が痛くて『葛根湯』を4日ほど服用して痛みは治まったものの、今度は鼻水になったという。
 『葛根湯』を4日間は続けすぎだと思うけど、上半身を温めるから鼻水にも効果があるはずなのに、どうしたことか。
 もう少し詳しくヒアリングしたところ、花粉症もある事が分かった。
 いわゆるスギ花粉などには早いとはいえ、乾燥した空気に舞う排気ガスなどに反応しているのかもしれない。
 となると、免疫反応の異常なので、『葛根湯』では力不足。
 最近では、「役者不足」なんて造語もあるらしいが。
「役不足」の本来の意味である「役者の力量に対し、役割が不足している」というのを、「役目に対して役者の力量が不足している」という誤用が広まったのを正そうとして造られた言葉らしい。
 「役不足」と間違われやすい言葉が「力不足」ということだったのに、言葉が似ている「役者不足」なんて造ったら、ますます混乱するじゃないか(笑)
 おっと、話が逸れた。
 鼻水の色は透明で、放っておくと垂れてくるようだから、アレルギー性なのは間違いない模様。
 となれば、『小青龍湯』の出番である。
 特に花粉症のある人は、花粉症の本番に入る前から服用しておくと症状を軽減することができるので、そう説明してお買い上げ頂いた。
 ただ、いつも喉から風邪になるというお話もあり、それについては頭重感や悪寒など、他の風邪の症状があるかを確認するように、お話をした。
 喉の痛みだけなら『葛根湯』より『駆風解毒湯』の方が向いているし、喉の奥がヒリヒリするように痛みの時には胃炎を起こしているケースが有り、そういう時には『麦門冬湯』が適応したりするので。
 今回も、私としては最初の喉の痛みは風邪ではなく、年末年始に胃を悪くして発症したところに、『葛根湯』でさらに胃を傷めて免疫異常が起きたと推測してるんだけど、どうだろう?

 お客様から、『ムヒのこどもせきどめシロップS』と『ムヒのこども鼻炎シロップS』を比較しての相談を受けた。
 患者は1歳10ヶ月の幼児で、基本的には病院での受診を勧めるところ。
 主訴は鼻水と咳で、『ムヒのこどもかぜシロップ』についても尋ねられたけど、ひとまず発熱が無ければ不要なことを説明した。
 そのうえで、咳と鼻水であれば『小青龍湯』を使う方法もあることをお知らせしたところ、お客様自身は花粉症に用いているという。
 現代薬は、どうしても体力の低下を避けられないから、漢方薬の方がお勧め。
 子供にどうやって飲ませれば良いかという問いには、小皿にお湯で溶く方法を勧めたけど、味を嫌がるようであれば、離乳食に混ぜても良いとお話した。
 もちろん、服薬ゼリーを使うという手もある。
 あと、体が冷え気味と考えられるため、下半身を主に温めるようにアドバイスした。
 そして、本日はお買い上げ無し。
 ………しまった(;´∀`)!!

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