判断力を鈍らせてしまう親心

 お客様から最初に受けた相談が四十肩という話だったので、『独活葛根湯』を紹介したところ、腰痛もあり、温めると楽になるとの事だったため、『桂枝加苓朮附湯』を案内した。
 しかし、肩の痛みより先に腰痛の方が起きたと分かったうえ、特定の方向に捻ると痛むというお話と、冷え症ではない点から『疎経活血湯』を勧めてみると、試してみるということで、お買い上げ頂けた。

 9歳の子供の風邪の相談を受けたのだけれど、明日が社会科見学で、できれば休ませたくないと相談された。
 主訴は鼻づまりに喉の痛みと、頭重感だとのこと。
 風邪というのは、他の人に移してしまう可能性もあるから、躊躇する場面ではある。
 でも、親としての気持ちも分かるし……、困った。
 マスクで対策して貰うとして、どう対応したものかと考えていたら、『ヴィックスドロップ』を購入しようとされた。
 いやいやいやいや、それでは一時しのぎにもならないし、他の人への感染を防ぐことにもならない。
 ううむ、普段は喉の痛みには勧めない『葛根湯』を勧めてみるか。
 上半身を温めて、ウイルスの活動を鈍らせよう。
 そう思ったところで、花粉症があり、慢性鼻炎を発症することがあるとという話も出たため、『葛根湯加川きゅう辛夷』の方を勧めると、病院なら医療費が無料になるということで、今回は見送られた。
 まぁ、確かにそうですね。
 今も鼻づまりがあるのだから、本当は『葛根湯加川きゅう辛夷』の方が良いと思うのだけれど、うちも貧乏なんで、その選択は致し方のないところか。
 という訳で、今回は『葛根湯』の方を購入された。
 でも、一緒に栄養ドリンクを要望された。
 栄養ドリンクを購入するのであれば、その費用で『葛根湯加川きゅう辛夷』にしてもらった方が良いのに(^_^;)
 親心というものは、かように判断能力を鈍らせてしまうものなのか。
 とりあえず、栄養ドリンクを摂取すると、体内で処理をするのに余計なエネルギーを使ってしまい、かえって風邪の治癒の妨げになるので、使うとすれば回復期にと説明した。

 『ヒビケア』を求めて来店したお客様の主訴は、ヒビと皸(あかぎれ)だったから適応はするものの、ご本人は乾燥が原因と思っているようだった。
 でも、患部は青黒くなっていて、血行不良の方が深刻。
 だから、『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』を案内したかったのだけれど、急いでいるのか、雰囲気的に話を聞いてもらえそうになかったため、言い出せないまま販売してしまった。
 一応は、改めて相談して下さいと伝えたけど、果たしてまた来てもらえるかどうか。
 心配……(;´д`)

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