風邪薬は早めに乗り換えの検討を

 やや高齢のお客様が来店し、『パブロンSゴールドα』と他の『パブロン』シリーズとの違いを質問された。
 患者は成人の娘さんで、喉の痛みと37度までもいかない微熱というので、まず適応をしないことを伝え、同シリーズでは『パブロンエースAX』を勧めた。
 すると、4日ほど前から『パブロンSα』を服用しており、使い切ったため頼まれたと分かった。
 しかし 『パブロンSα』も喉の痛みに対しては弱く、そのうえ2日ほどで効果が得られないのであれば、症状に適応していないから乗り換えたほうが良いことを説明した。
 そして、ブランド名にこだわらなければ主訴に特化したものとして『ルルアタック EX』を紹介した。
 娘さんは、いつも喉の痛みを感じると、早め早めにと『パブロンSα』を服用していたようで、そういう使い方は現代薬では適さない。
 そういう使い方は、漢方薬の方が向いている。
 本当に初期の風邪の兆候なら『葛根湯』が使えるが、上半身を温めてしまうため、喉の痛みには『銀翹散』『桔梗湯』を、あるいは『駆風解毒湯』が有力候補だ。
 あと、栄養をつけさせるため食事をしっかりさせているというお話があったが、消化にもエネルギーが必要で風邪を治すエネルギーが削がれてしまうことと、なおかつ喉が炎症しているところに食べ物が何度も通るというのは、むしろ刺激になり悪化させてしまうため、消化の良い食事をして量を控えるようにと伝えた。
 本日さは、本人に確認してみるとのことでお帰りになった。
 ……応対している時には分からなかったけど、こうして文字に起こしてみると、お客様の対応を全否定していることに気づいた。
 反省(´・ω・`)

 『葛根湯』をレジに持ってきたお客様に、発熱や喉の痛み、咳のある風邪には適用しないことを伝えたところ、喉の痛みには何が良いか尋ねられたので、風邪の予感がする時には鼻水が出ていないことを確認して『銀翹散』を、喉だけであれば『駆風解毒湯』『桔梗湯』をと案内した。
 また、『葛根湯』を喉の痛むときに使うとすれば『桔梗湯』を併用する方法を伝えたところ、授乳中に使って良いか質問された。
 ありゃん(^_^;)
 そういうことは、早め早めにお話をお願いします。
 まぁ、その早め早めの確認は私の方がしなくちゃいけないんだけど、赤ん坊連れでもなければ、訊きにくいんだよねぇ。
 お客様には大丈夫であることを伝えたが、『葛根湯』は赤ん坊を興奮させて寝付きを悪くしてしまう可能性があり、『桔梗湯』も赤ん坊の便をゆるくする事例があるため、授乳後に服用するようお話しした。
 今回は『駆風解毒湯』と一緒に、常備薬として『葛根湯』もお買い上げいただいたので、『葛根湯』は家に置いておくよりも持ち歩いて、出先が寒かった場合に温まるためや、赤ん坊を抱っこしていて肩こりの時にも使えることを伝えた。

以下の記事も読まれています。


 
登録販売者から一言 壱の巻 登録販売者から一言 肆の巻「おくすり手帳と個人情報の使い方」 市販薬購入前チェックシート

風邪薬は早めに乗り換えの検討をへの2件のコメント

  1. アバター まみ
    まみ コメント投稿者

    初めまして。
    ある方の紹介で、こちらのブログに
    たどり着きました。
    試験受かりたての登録販売者なのですが、
    市販のかゆみ止めの使い分けについて
    伺いたく存じます。
    ステロイドとかあんまりしらべても
    わからなくて、よろしくお願いします。

     
  2. アバター 北村俊純
    北村俊純 コメント投稿者

    >まみ様

     はじめまして。
     訪問ありがとうございます。
     合格おめでとうございます(・∀・)

     私の方は、実のところ3回落ちた末での合格なので、あまりアテにはならないかと(^_^;)
     一応、痒み止めは成分で考えると、下記のように種類があります。
    ・炎症を抑える物(ステロイド)
    ・炎症を抑える物(非ステロイド)
    ・痒みを抑える物
    ・麻酔で感覚を鈍らせる物
    ・他の刺激で痒みを誤魔化す物

     このうちステロイド剤が一番炎症を抑えるものとなるわけですが、強さによって区分があり、年齢制限もあるのでステロイド剤の一覧表を参考にするのが良いでしょう。
    http://www.osakado.org/topics/steroid-item-list.html

     そして、現在の皮膚科では、弱い薬で連用するより、最初に強めの薬を使って症状を軽減し、段階的に弱いものに乗り換えていくというのが主流だそうです。
     ただ、OTC薬は先に挙げた成分の混合が多いので、成分表示のうち、どれがどの効果なのかを把握して、お客様の要望に沿って提示するのが良いかと思われます。

     なお、人間には痒みを感じる神経は無く、痛覚神経が「弱い痛み」を「痒み」と認識しているため、痒みを放置していると体の方は、「もっと弱い痛み」でも「痒み」と認識するようになり、ますます敏感になっていくそうですので、痒みへの対応は案外と重要です。