市販の薬で済まそうとは思わないで

 『ベンザブロックLプラス』をレジに持ってきたお客様に症状を尋ねると、家族に頼まれていらしたそうで、患者さん本人は喉の痛みを訴えているものの、他に風邪の兆候は無い模様。
 市販の風邪薬の中身は、複数の症状への効能範囲を広げるための処方でもあるので、風邪をひいていない時に服用すると、体の方は余計な処理をしなければならず、それが疲労に繋がる。
 そうなると、風邪で体がだるいのか、薬の作用でだるいのか見分けがつきにくくなり、後の治療を難しくしてしまうことも。
 喉の痛みだけならば、効能を特化した『駆風解毒湯』や『ペラックT』はいかがでしょうと案内してみると、本人が錠剤を希望しているとのことで、『ペラックT』を購入された。
 ただ、本当は喉の痛み方についても、ヒリヒリ型の乾燥性なのか、ズキズキ型の扁桃腺炎なのか確かめたかった。
 そこまで訊かなかったのは勿論、買いにいらしたのが本人じゃないから。
 人に薬の購入を頼む時には、症状を書き出したメモを渡すくらいでないと。
 うちの奥さんは、ビールを買ってきてと頼んでも発泡酒と見分けがつかなくて、とりあえず目についた物を買ってきちゃって困るんだけど、薬を買うのにも同じようにされたら、困るどころか怖いことになりますよん。

 高校生の息子さんが風邪気味とのことで、お客様から相談を受けた。
 症状は発熱と鼻づまりで、昨日から起きたという。
 学校を休めないというので、疲労の少ない『麻黄湯』を案内してみたけど、現代薬を希望されたので『ルルアタックFX』を勧めて、お買い上げ頂いた。
 それと、若い時にありがちなのは、食欲が落ちていないと、つい食べてしまうこと。
 食欲に任せて食べてしまうと、風邪を治すエネルギーが消化に使われてしまい、戦力の分散となってしまうため、食事を控えるか消化の良い物を食べたせて下さいとお話したら、普通に食べさせるつもりだったとのお返事。
 ああ、やっぱり(^_^;)

 小学生の子供が口内炎で、中学生の子供が唇のひび割れという相談で、お客様が来店。
 口内炎については、ストレス性の胃炎の可能性があることをお話したら、思い当たるというので『ケナログ軟膏』と一緒に『チョコラBBジュニア』を勧めた。
 大人なら、より神経性胃炎に狙いを定めて『半夏瀉心湯』というところだけど、成長期の子供は栄養の方よりも考えられるので。
 唇の方は、パックリ割れているようであれば『ヒビプロLP』を、荒れている程度であれば『メディカルリップ』を案内した。
 2人とも、同じ症状を繰り返しているというのが気になったけど、今日のところは相談のみとなった。
 気になるのは、やっぱり2人ともストレスが関係しているように思えたから。
 唇も口内も、胃の症状が現れるケースが多い。
 胃壁がそのまま繋がって、唇になっていると思えばイメージしやすいかも。
 だから、よく唇が荒れるという人は、リップクリームで乾燥を防ぐだけでは治療としては足りないから、店頭で相談してもらいたいところ。
 口内炎の方は他に、成長期で歯がぶつかっていたりということも考えられるから、その場合は歯科医の診察も受けたほうが良いので、やはり繰り返すようであれば、市販の薬で済まそうとは思わないで欲しいな。

以下の記事も読まれています。


 
登録販売者から一言 壱の巻 登録販売者から一言 肆の巻「おくすり手帳と個人情報の使い方」 市販薬購入前チェックシート