患者本人じゃない人の「大丈夫」は、どこまで信用できる? 頭痛の種類、咳の有無の確認を

 お客様が『イブA』を購入されるさいに、無印と処方が違うことを伝え、眠くなる可能性を伝えると「大丈夫」というお返事だった。
 ただ使うのは成人の息子さんで、主訴は頭痛だという。
 ううむ、患者本人じゃない人の「大丈夫」は、どこまで信用して良いものか迷う。
 車の運転などをしないから大丈夫と言ってるのか、眠くなっても大丈夫な環境なのか、それとも適当に答えているだけなのか。
 それに、薬の副作用でよく言われる「眠気」というのは、必ずしも眠くなることを意味していなくて、「眠くなったことは無い」という人でも「瞬間的な判断力の低下」を起こすことはあるので、油断しないでもらいたい。
 痛みを止めるために気持ちを落ち着ける鎮静成分が不要であれば、無印の『イブ』や『リングルアイビー』とか、『バファリンルナi』などを使ってもらいたいところなのだけれど。
 ただ、鎮静成分が入ってるのが向いている頭痛というものもある。
 頭痛は大きく分けると3つのタイプに分かれ、胃の不具合によって起こるズキズキと拍動するような偏頭痛と、肩こりと連動している緊張型の締め付けるタイプの他に、朝方に頭重感があり午後にかけて楽になってくる血圧が関係するものだ。
 このうち、ズキズキする偏頭痛は安静にすると症状が軽減するため、鎮静剤が入っている方が効果的。
 ただし、鎮静剤の成分は依存性があるので使用する回数を減らしたいので、『呉茱萸湯』『五苓散』などの水分代謝を改善する漢方薬の併用を検討したいし、食事を消化の良い物に切り替えるのが養生法となる。
 一方、肩こりと連動している頭痛は血流を良くするために運動するのが適しており、鎮静剤は不要だし、末梢神経に作用するアスピリン製剤の『バファリンA』の方が向いていて、上半身を温める『葛根湯』を使う方法もある。
 血圧が関係する頭痛は、数字上の血圧の問題ではなく1日の変化のことでもあるので、鎮痛剤を使うよりも、血圧を安定させる『釣藤散』や降下剤としても用いられる『七物降下湯』が候補となる。
 お客様には、どんな痛み方のする頭痛なのか本人に確かめるよう勧めた。

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 お客様が『新ルルAゴールドDX』をレジに持ってきたけれどヒアリングしたところ、頭痛と少し咳があり、家に置いてあった『ロキソニン』を飲んだというため去痰剤で充分とお話すると『ストナ去たんカプセル』に変更となったので、併用もできることを伝えた。
 頭痛についてはズキズキするというため、胃と関係することをお話しすると該当するようだったので、食事を消化に良い物にするよう勧めた。
 頭痛で食事を変えようと思う人はあまりいないが、手軽な養生法なのである。

 お客様が『ムヒこどもかぜシロップ』をレジに持ってきたけれど、子供の主訴は鼻水と少し咳がある程度というため、内臓が冷えていることが考えられ、何も使わずとも体を温めるだけでも回復してしまう可能性を伝えたうえで、『ムヒこども鼻炎シロップ』ならば咳の面倒も見てもらえることを説明し変更となった。
 なにしろ喉と鼻はつながっているから、鼻炎薬か咳止めのどちらかを使って片方が軽減すれば、もう片方の症状も緩和する可能性が高い。
 発熱や喉の痛みが無ければ、解熱鎮痛剤は不要だし、でも体の方は使わない成分についても処理しなければならないため、それで余計なエネルギーを消費してしまうから避けてもらいたかった次第。
 本人は元気そうとのことだが、鼻の症状は胃を悪くしている可能性があることを説明すると、鍋にするというので良い事と伝え、でも食べる量は控えさせるようお話した。

 やや高齢のお客様が『パブロンSゴールドW』を購入されたけれど、患者はご主人で、鼻水と喉の痛みが主訴だというから、咳止め成分のリスクを説明し鼻炎薬を提案したとうえで喉の効能もあることを伝えた。
 覚醒剤系の咳止め成分は気管支を拡張して呼吸を楽にする一方、治っていないのに気を大きくして体が元気だと錯覚してしまい、ぶり返す原因ともなる。
 そして一緒に入ってる麻薬系の咳止め成分は、中枢神経を抑えて咳が治まるということは呼吸が浅くなり、心臓の鼓動も弱くなって、胃腸の機能が低下するため消化力が落ち、体内の保水機能も狂うので乾燥し便秘を起こすうえ、咳止めなのに乾燥により咳を誘発する。
 つまり、咳が無いのに咳止め成分の入ってる風邪薬を使うことには、何一つ利点が無い。
 しかし、ご主人が『パブロンSゴールドW』をいつも使ってるとのことで、自身の花粉症用にと『パブロン鼻炎カプセルSα』を一緒に購入された。
 お客様は、「主人が自分で来れば良いのよね」と言っていた。
 まさしくその通りでございます(^ω^;)

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