ちゃんとしてる患者さんに出逢うと、かえって不安になるくらいです

 お客様が『キューピーコーワi』を見ていたところに声をかけてみると、主訴は眼精疲労で『アリナミンA』は合わなかったという。
 シアノコバラミン(ビタミンB12)の匂いが嫌とか胃が痛くなったというケースがあるが、どう合わなかったかはお話してもらえず、『キューピーゴールドαプラス』との比較をして説明した。
 同じシリーズ名で、どちらも血流改善と体内でのエネルギー生産を手伝う物ではあるけれど、処方構成が大きく異る。
 店頭では成分の一つ一つを説明する時間も取れないので、ザックリと『キューピーコーワi』は上半身の疲れに、『キューピーゴールドαプラス』は座ると立つのが億劫になるような全身の疲れに向いていますと説明している。
 するとお客様は、腰部脊柱管狭窄症で病院から血流を良くする薬が処方されていると分かり、お薬手帳を見せていただくとプロスタグランジンE1誘導体製剤(抗血小板薬)だった。
 血行を良くすることにより、手足の痛みや痺れ感を改善する薬で、『キューピーコーワi』との併用も問題は無いはずだけれど、成分表示をお薬手帳に貼って担当に報告するようお願いしたうえで、お買い上げいただいた。
 もちろん薬によっては、血液をサラサラにする降圧剤が処方されていたら、溶血作用のある薬は併用してはいけないとかはあるので、そもそも病院で処方されている薬があって市販薬を買おうというときには、最初に処方されている薬を教えてもらいたいところ。
 また、ビタミン剤やサプリメント程度と油断されると困るのは、なにも薬同士の影響ばかりとは限らない。
 たとえば、検査で数値だけ正常値にしてしまい、実際には病状が進行していることに気づかないという事もありえるので、医師には漏らさず使っている市販薬やサプリメントなどを伝えるのを忘れずに。 
 一方、今回のようにお薬手帳を持ってきている人に出逢うのは年に数件というリベルなので、お客様がお薬手帳を持ち歩いてることに、やや大袈裟に感動してみせた。
 今だけ私は、役者か芸人かというくらいに。
 すると、お客様が複数の病院の薬をそれぞれ別で薬局で受け取っているというので、一番通いやすい薬局で処方されている薬の在庫の有無を問い合わせて一本化するよう勧めた。
 やはり1軒の薬局で薬歴管理をしてもらった方が、相互作用の監視や減薬の相談をしてもらいやすいので。

 お客様から便秘薬の棚を尋ねられて案内すると『オイルデル』を手にされたので、病院で処方される漢方薬の『麻子仁丸』に近いことを伝えると、症状を相談していただけた。
 便秘と残便感があり、『酸化マグネシウム』は効かず、『新ウィズワン』では出すぎたというため、それぞれの作用の仕方を説明したうえで『オイル出る』をお買い上げいただいた。
 『酸化マグネシウム』は病院でも処方されることが多く、浸透圧によって腸内の水分を集め、便を柔らかくする作用がある。
 『新ウィズワン』も水分を吸収する点では同じだけれど、食物繊維の塊みたいなもので大きく膨らみ便の量を増やすから、それが「出すぎ」という事になったのだろう。
 高齢者であるとか、食が細くて便の量が少ない人に向いている。
 一方、『オイルデル』はその商品名からイメージされるように腸内の滑りを良くするため、これも体内が乾燥しやすい高齢者に適している。
 病院では『麻子仁丸』の他に、『潤腸湯』という漢方薬が処方される。
 お客様が、知人からは「薬は良くない」と言われて不安だというので、そういうことを軽々に言う人は知識が乏しいことをお話しすると、確かに上から目線だったとのことだった。
 上から目線って言われると、なんだか自分も言われてるみたいである(;^ω^)
 編集さんから、原稿の指示に「上から目線にならないように注意して下さい」って言われるんだよねぇ。
 お客様は、使った市販薬は病院を受診する時に現物を持って行ってるというので、「それは素晴らしく良いこと」と伝えたうえで、成分表示をお薬手帳に貼り一元管理して持ち歩く方法もあることを教えた。
 現物を持ち歩くよりは楽なはずだし、調剤する薬剤師に知っておいてもらうのも大事。

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 お客様が『ユリナールb』(清心蓮子飲)を購入されるさいにヒアリングしてみると、処方された薬が効かなかったからだと言われるので「うん?」と思ったけれど、担当医には知らせていて、処方薬も変更になる予定とのこと。
 なんなの今日は?
 ちゃんとしてる患者さんばかり続くなんて、なんか天変地異が起こるんじゃ、と不安になるぞ( ̄ー ̄;)
 ただ以前に『ユリナールb』を服用して胃が気持ち悪くなったそうで、飲む量を減らしたら良い感じだったという。
 どの薬でもという訳ではないが、量を減らした判断は素晴らしいと伝えたけれど、お薬手帳は家に置いてあるというため、持ち歩いた方が良いことをお話した。
 出先で事故に遭って気を失ってる場合には救命措置をするのにも参考になるし、大規模災害で避難所生活になった時に特例として医師の診察を受けずとも薬を受け取ることが出来るので。
 さっきの、お薬手帳は持ち歩いているけれど薬局を複数に分けてるとか、市販薬を医師に報告しているけれど成分表示はお薬手帳に貼っていないとか、「あと一歩」というのがなんだかホッとしてしまう(笑)

 お客様が『アネトンせき止め錠』を購入されるさいにヒアリングしたところ喘息とのことで、気管支の拡張成分の他にアレルギー性の咳を抑える成分と、気道の粘膜の分泌を促進する成分も入っているから適応するから、そのままお買い上げいただいた。
 たた、外が寒くなって体は熱を出したくて内臓を炎症させてしまうので、炎症を抑えるために温かい物を積極的に飲んだり下半身に厚着したりするよう勧めた。
 体温の調節は、第二の脳とも呼ばれている腸が脳を介さずに自律的に活動して行なっていることをお話しすると驚かれた。
 脳のある頭の怪我に気をつけるように、腸もまたできるだけ守ってあげるのが体のためなんである。

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