善い顔をした悪がいる、悪い顔をした善がいる

 お客様から、最初は「善玉菌に効くヤツを」と注文されたので『新ビオフェルミン』かなと思ったんだけど、「違う」というので詳しく訊いてみると検診で悪玉コレステロールの数値が高かったらしい。
 ただ最近では、悪玉コレステロールの考え方も変わってきている。
 血管がボロボロになっていたりした人の血液中から発見されたため、当初は悪玉コレステロールが原因と考えられて「悪玉」と命名されてしまったけど、研究が進み実は血管を修復していることが分かってきた。
 倒れてる人のところに救急隊員が駆けつけたら、犯人扱いされるようなもんである。
 つまり、悪玉コレステロールの数値が高いのは、血管を修復しなければならない事態が起きているのは確かだから対策は講じなければならないけど、悪玉コレステロールを減らすという考え方は正しくない。
 そう説明すると、「言ってることは分かるかるけど、テレビで宣伝してるのが欲しい」と言われた。
 でも、その銘柄については分からないようで、どうしたら良いものやら。
 健康食品の『コレスケア』なども違うというので、医薬品のコーナーに案内すると『ナイシトール』(防風通聖散)を見つけて「これだ!」という。
 分かってみれば、なぁんだ『防風通聖散』かとガッカリ(笑)
 お客様には、運動もした方が良いか訊かれ「もちろんです」と答えた。
 そして、『ナイシトール』の働きが内臓に運動させるイメージですと説明した。
 以前に、カップルらしきお客様が来店して、女性の方は興味を示している様子だったのに、男性の方が「ただの便秘薬だよ」とかテキトーな説明をしていてイラッとしたことがある(ー_ー;)
 『防風通聖散』は、ある意味無茶な処方で生薬構成を見てみると、冷やすは温めるは血流を良くするは抑制するは保水して利水するは興奮させて鎮静するはで、その生薬は18種類にも及ぶ。
 確かに主な効能は便秘の解消ではあるけれど、体の方は代謝するのに運動を強いられるようなもんである。
 つまり、「内臓に運動をさせる」から「脂肪を燃焼させる」のだ。
 ただ漢方的には、生薬の種類が増えるほど総合的な効果は穏やかになるという性質があるため、劇的な効果を期待するとガッカリするかもしれない。
 特にダイエット目的の場合は、1週間程度のお試し版が市販品にありますが、3ヶ月くらいは続けるつもりで。
 そうなると、病院に行って処方してもらった方が、診察料込みでも保険の適用で安上がりになるかも。

 5歳の子供が鼻づまりということで、お客様から相談を受けた。
 花粉症かは分からず、しかし他に風邪の兆候は無いようなので、『ムヒのこども鼻炎シロップS』を案内したが、粉も飲めるとのことから『葛根湯加川きゅう辛夷』を紹介し、お買い上げいただいた。
 あと、寝苦しそうにしているというお話だったので、首の横の頸動脈を押さえる方法と、深呼吸をしてから息を止め頭を軽く振る方法を教えた。
 鼻が詰まりやすい人は、お試しあれ。

 中国人と思われる夫婦のお客様が来店し、足の痒みについて相談された。
 最初に『ユースキンA』を案内したが、患部は赤くはならないものの痒みは強いとのことでステロイド剤を提案した。
 赤くはないので『ロコイダンクリーム』で良いかなと思ったのだけれど、一番強いのと注文されたので『フルコートf』をお買い上げいただいた。
 まぁ、皮膚薬は強い薬から使って短期決戦で済ませるのが基本ではある。
 ただし、2週間以上は連続使用しないことと、長引くようであれば病院に行くようを話しした。

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