手掛かりは残しましょう

 2人組のお客様が来店し、2人して食べ過ぎということで相談を受けた。
 どうも2人で一つの薬を買って、一緒に使うつもりでいるらしい。
 ううん、それもどうなのかなぁ。
 例えば、普段は元気で一時的な負荷において消化を助けるのと、普段から食が細くて健胃剤として消化を助けるのとでは話が違う。
 漢方薬では、前者なら『半夏瀉心湯』を、後者なら『六君子湯』『安中散』の『大正漢方胃腸薬』が候補になる。
 でも現代薬を希望されたので、前者に『第一三共胃腸薬』を、後者に『スクラート胃腸薬S』を案内した。
 まぁ、『スクラート胃腸薬S』は生薬も処方されていますが。
 お客様には他に、飲み会に参加する前には温かいお茶などを飲んで胃に準備体操をさせつつ脱水症状対策をして、会食中には揚げ物なんかに付いてくる消化を助けるキャベツの千切りや、刺身のツマの大根の細切りを食べるように勧めた。

 やや高齢の夫婦がいらして、奥さんの顎の下の痒みを相談された。
 何か薬を使っていて治らなかったというのだけれど、何の薬を使ったのかは覚えておらず、現物はすでに捨ててしまったそう。
 手がかりは残しておいて欲しかった……orz
 とりあえず、まずは痒みを抑えるのが先決だろうと、狭い範囲なら顔にも使えるステロイド剤の『ロコイダンクリーム』を勧めて、お買い上げ頂いた。
 そして、患部を洗い過ぎないように伝えたら驚いた様子だったから、洗い過ぎていたのかも。
 洗い過ぎると、皮膚を保護する皮脂や常在菌も失って無防備になってしまうので、お気をつけください。

 お客様から「お腹の風邪薬を」と注文されて、症状を確認すると、患者さんは祖母で、昨日から嘔吐と下痢をしているそう。
 高齢者でその状態では、本当のところ病院を受診してもらいたいんだけどねぇ。
 とにかく、現代薬にはお腹の効能がある風邪薬は無いため、漢方薬になることを説明し、『柴胡桂枝湯』を案内した。
 ただ、さらに詳しく訊くと発熱は無く、今日も吐いたというので、『半夏瀉心湯』も検討した。
 そのうえで、やはり衰弱している様子であることから、『柴胡桂枝湯』を使って頂くことにした。
 また、服用してからも吐いてしまう可能性があるため、添付書に書いてある1回分を飲むのがしんどいようであれば、1回分を小分けにして服用させるように勧めた。
 例えば、1回分を2回に分けて、2~3時間くらい離して飲ませる。
 一時に飲ませて全部を吐いてしまうよりは、少しずつ摂取した方が良いので。
 あと、部屋が温かいと吐き気が強まるから、部屋は暖房を緩めて涼しくして、本人に厚着をさせるよう勧めた。
 その厚着にしても上半身に集中してしまうと、やっぱり気持ち悪くなってしまうため、「頭寒足熱」を基本に、下半身の方を温めるように伝えた。
 この辺りは、乗り物酔いした時に窓を開けて外の空気に当たると楽になるのと同じ。

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