薬は使い分けるのが効果的なことが

 お客様から『改源』と『葛根湯』を比較しての質問を受けたので、発熱していたら現代薬と生薬を合わせた『改源』を、発熱前の風邪の予兆があれば『葛根湯』をと説明した。
 成人の娘さんが発熱しそうと訴えているそうなんだけど、疲労感もあるらしい。
 娘さんは幼稚園の先生の実習中で、夜遅くまで日誌やレポートなどの作業をしているそう。
 ふむぅ、だとすると『葛根湯』だけでは体力の低下を防げずに、そのまま発熱できずに微熱が続くなんてことにってしまうかもしれない。
 変則的だけど、普通は風邪の後期の体力回復に使う『柴胡桂枝湯』を夜に服用して、朝に『葛根湯』を服用する方法を提案して、両方をお買い上げ頂いた。
 『葛根湯』は上半身を温めて血行を良くすることで風邪の初期に有用ではあるけど、それだけに夜に服用すると寝付きが悪くなる。
 一方、『柴胡桂枝湯』は肝臓と胃の働きを助け、気分を落ち着ける効果もあるから、夜に作業をしているようなら睡眠の質を上げてくれることを期待できる。
 ただ、やはり娘さんは仕事が帰るとシャワーで済ませているようなので、寝る時間を削っても入浴するよう勧めた。
 睡眠は寝た時間よりも、質のほうが大事。
 血行を良くして寝るほうが、回復力が増す。

 帯状疱疹後の皮膚の乾燥に使う薬をと、夫婦で来店したお客様から相談を受けた。
 ご主人が患者さんなんだけど、応対するのは奥さんの方。
 そして毎年のことだからと最近は病院に行っていないそうなので、帯状疱疹の経過や使用してきた薬については分からないという。
 内服薬は使ったことが無いそうなんだけど、それだけの情報では方針も立てられない。
 乾燥が原因と思われる背中の痒みに、以前はタオルでガシガシと擦っていたらしく、悪化して止めたそう。
 とにかく、強い痒みには『フルコートf』などのステロイド剤を、掻きむしるほどでなければ『ユースキンA』などの痒み止めが入った皮膚ケアを、保湿だけなら皮膚の中で保水する尿素入りの『ケラチナミンコーワクリーム』や、皮膚の表面を覆って保水する『アロエ軟膏』などを、症状に合わせて行ったり来たりと乗り換える方法を提案した。
 どうしても一つの薬で全部を済ませたいと考えてしまうだろうけど、症状によって使い分けたほうが体への負担を抑えられるので。
 また、敏感肌で蕁麻疹が出ることもあるというお話が出たけど、皮膚の敏感さと塗り薬の強弱は直接的には関係無いことを説明した。
 相性が良ければ強い薬でも反応は出ないし、悪ければ弱い薬でも反応が出てしまうものなのだ。
 一応、内服薬として『十味敗毒湯』と、現代薬との合方である『タウロミン』を紹介した。
 本日のところは『ユースキンA』をお買い上げ頂くことになり、皮膚疾患は店頭では難しいため、改めて病院を受診するよう勧めた。
 まぁ一番は、患者であるご主人自身が自分の体と病態に興味を持って、主体的に関わってくれるのが最優先だと思いますが(^_^;)

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