≪第4回≫補中益気湯

漢方薬症例クイズ≪第4回≫

 実際の症例を元に、患者さんの症例データーを提示します。
 “書いてある内容”から推理して、適応すると考えられる漢方薬の名前を当てて下さい。
 基本的に当店で扱っている漢方薬としますが、解答としては必ずしも限定しません。「なるほど、その方法もあるか」と思われる解答であれば、正解とする事があります。(生薬のみや民間療法などは除外します。)
 正解者の中から、抽選で2名様に『竹久夢二・藍染トートバッグ』を進呈いたします。
 絶対の正解というものはありませんのであくまで、“あそび”として楽しんでいただければと思います。
 皆様の参加をお待ちしています。(終了しました)

竹久夢二
藍染トートバッグ

 yumeji.jpg (426717 バイト)  

 大正時代の詩人であり画人であった竹久夢二の絵を用いた、藍染のトートバッグです。
 染物ですので洗濯したり水に濡れると色落ちする事があります。
 あらかじめご了承下さい。

募集期間:~5月17日(月)
正解発表予定:6月1日(火)

問題
 女性・38歳。
 主訴は、体がだるい事と食欲不振。
 体格は痩せ型。
 2週間前に子供の看病によって大変疲れた。それ以来、頭が重くスッキリしない。続いて悪寒、微熱、発汗、全身がだるい。食欲不振、頻繁なあくび。
 新薬の風邪薬を服用して悪寒は消えたが、発熱、発汗、時々ゲップ。舌の色は赤く、舌の苔は無し。

正解
 
正解補中益気湯です。
 当選したのは、以下の2名の方です。おめでとうございます。PzGr様は、2回目の正解です(⌒▽⌒)
  ※PzGr様…選んだ理由:大変疲れてだるい、食欲不振、微熱等。     正解者が1名でしたので次選の漢方薬としては柴胡桂枝湯も使えるものと判断して、当選とさせていただきました。えむし様も2回目の当選です(・v<)   えむし様…選んだ理由:お勉強会のサイトを参考として、本件は、風邪と判断、時期的には、初期段階を過ぎ、中期段階以降と考え、症状の適応薬である本品とした次第です。

解説
 今回の患者さんは、悪寒に関しては他の風邪薬を服用して消えたという事で、現在の症状から風邪の後期の治療、あるいは病後の体力回復が目標となります。
 その場合、やはり重要になるのは主訴で、顕著な風邪の症状よりも疲労と食欲不振を訴えている事から、選択する漢方薬は体力回復のための物を選びます。
 問題の中で注目すべき点は、「時々げっぷ」と「頻繁なあくび」です。げっぷが出るという事は胃腸に障害が現れている証拠で、頻繁なあくびは“気”(エネルギーのようなもの)の巡りが悪くなっている事を示唆しています。
 胃腸に障害がある場合の食欲不振においては、いくら栄養のある物を摂取しても、それを消化吸収できなければ意味がありません。つまり、食欲不振を解消するためにはまず胃腸の働きを回復させる必要があります。
 そして、回復させるためには疲労によって滞っている“気”を巡らせるのが先決となります。
 補中益気湯の名前を、「気を益して中(胃腸)を補う」と憶えておくと良いでしょう。

補足
 実は今回、十全大補湯人参養栄湯という解答が一番多くを占めました。おそらく、“倦怠感”と“食欲不振”で検索したのでしょう。しかし、同じ症状に適応するようでいて、補中益気湯と比較するとかなり傾向が違います。
 3種類の漢方薬の効能書きを比較してみると全てに“食欲不振”とあるものの、「消化機能が衰え」を明示してあるのは補中益気湯だけなのが分かります。ここが、難しいところなのですが十全大補湯は他の効能に「顔色不良、皮膚枯燥、貧血などを伴う」と添えてあるように、完全に物質的な栄養不足による場合に適応するため、まず候補から外れます。そして、人参養栄湯はというと効能に「寝汗、手足の冷え、貧血」が併記されている点からすると、体を温める傾向があるのが分かります。今回の患者さんは、悪寒に関しては解消しており、舌の色が赤いという事は上半身に風邪の後の熱が篭っている可能性を示しているので、ここで温める必要はありません。
 また、お店のページの中では生薬の解説はしていないので余談になりますが、補中益気湯に入っていなくて十全大補湯人参養栄湯に共通で入っている物として、『地黄(じおう)』があります。この地黄に温める作用があり、さらに胃腸障害がある場合には下痢を起したりするので、今回の患者さんには避けた方が良いと考えられます。
 それならば、十全大補湯人参養栄湯が適応する“食欲不振”の患者さんはどんな体質かというと、普段は体力が充実している人が一時的に体力を低下させた場合です。今回の問題においては、「体格は痩せ型」なので補中益気湯の方が向いています。
 次選として柴胡桂枝湯としたのは、桂枝湯小柴胡湯を合わせたものと考えられ、桂枝湯は胃の働きを良くして小柴胡湯は“気”の流れを制御する肝に作用して働きを助けられるという点と、風邪の後期に用いるのがスタンダードな用い方である事を考慮しました。
 四逆湯()という解答もありましたが、比較的体力がある事を条件とした上での胃炎などを改善する漢方薬であり、なおかつ痛みなどの症状を取り除くものの補う力は弱いため適応外とさせていただきました。
 他にあった解答の中で、排膿散及湯は上半身の熱を取り除き炎症を抑え、竜胆瀉肝湯は下半身を冷やす作用がありますので、熱を発散するのには適していますが、より体力を消耗する可能性があるため、やはり今回の場合には避けたいところです。
 前回は正解者が多かったので、やや難しくしてみたところ今度は正解者が1人しかいませんでした。絶対の正解という物が無いだけに、設問の難しさを痛感しました。高校時代の先生が、「平均点90点以上じゃ優しすぎるし、平均点50点以下じゃ難しすぎて意味が無いから、平均点80点の問題を考えるのは大変」と洩らしていたのを思い出しました。
 ホームページの方の参考資料も充実していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 また、この『漢方薬の症例クイズ』は皆さん自身が選んだり相談するさいに、効能以外にどんな点に着目する必要があるかを知ってもらうためであるのと同時に、皆さんがどんな視点で選ぶものなのかを私が知りたいという目的もありますので、“選んだ理由”は是非とも書き添えていただきたいと思います。参加していただき、ありがとうございました。

解説:北村俊純

参加者コメントより
 keikoko:症例でいろいろ、飲むべき薬はかわてくるんですね。ここで勉強して詳しくなりたいです。
 今のところ、よそのサイトの方が詳しいんですよねぇ(^_^;) 基礎理論を知りたいというリクエストもありますので、準備中です。お楽しみに(・v<)  えむし:二回目の問題で当選させていただき、有難う御座いました。今回も難しいですね、症例サイトの5の柴胡桂枝乾姜湯と迷いましたが、景品につられ、無難な方に回答させていただます。
 一番難しいのは、最初にエイヤッと強めのもので症状を抑えてから穏やかな物に変えていくと考えるか、初めは効き目の優しい物を試してみてから強い物に変えていくかですかね。(北村)  ちほりん:漢方以外に、看病して治った子供の笑顔が特効薬でしょうかね?
 そうですね。今回の場合は、子供が治ってホッと“気”を緩めたところで疲労が出てしまったのかもしれません。

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