患者さんは原因を隠すもの

 3日ほど前に発熱し、別なお店で薬剤師さんに『カコナール』を勧められて服用したというお客様が来店。
 熱は下がったものの、寒気が続いていて頭が重く、ぶり返しそうでどうしたら良いかと相談された。
 発熱は39度ほどにまでなったそうで、今は喉の痛みもあるというお話からすると、その喉の痛みは風邪が胃腸炎に進行してしまってるせいかも。
 お客様自身は「発熱」とパッケージ書いてある『ベンザブロックIPプラス』に興味を示していたけど、鼻炎は無く、咳も出ていないうえ、発熱ですでに汗をかいたという点から、すでに適応する状況を過ぎていると考えられることを説明した。
 体は風邪で疲労しているだろうから『柴胡桂枝湯』を案内してみたが、お客様の中では『葛根湯』の『カコナール』が「効かなかった」と思われているようで、現代薬を希望された。
 ううん、発熱した段階で『麻黄湯』に乗り換えていれば良かったと思うんだけどねぇ。
 薬剤師さんは、症状が変わってきたら乗り換えていく方法を教えなかったのかな。
 実のところ、解熱した後の疲労に使える現代薬は市販薬に存在しないから選択に悩む。
 もちろん、解熱後のぶり返しに使える現代薬の市販薬も事実上存在しない。
 消去法として、疲労する成分が少ない『ルルアタックFX』を紹介して、お買い上げ頂くことになった。
 胃の負担を考えると、麻黄の入っている『ルルアタックFX』も避けたいところだったんだけど、鼻炎を抑えたり咳を止めたりといった疲労に繋がる余計な成分が入っている風邪薬を選択肢から外していくと、うちのお店ではこれくらいしか残らなくて……。
 そのため胃の負担を軽減する対策として、食事を消化の良い物にするよう勧めたところ、具体的なアドバイスを求められ、レトルトの介護食を案内した。
 うちのお店の場合、介護食は介護コーナーに置いてあるけど(まぁ、当然とはいえ)、病人食として使える。
 ローカロリーのダイエット食と違って、味付けは必ずしも薄くなく、必要十分な栄養が摂れるのが良い点。
 まぁ、味は期待できませんが(^_^;)
 一人暮らしだそうだから、消化に悪いお弁当を買うよりはマシなはず。
 実際に、食欲は落ちているそうだし。
 ただ、現状であれば水分と塩分と糖分だけを補給して、丸一日は食事そのものをしないという選択もあり得ますと説明したとら、メイバランスだけを購入された。
 そのほうが良いかもしれませんね(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。)
 そしていったん帰られたものの、しばらくしたら戻ってこられて『柴胡桂枝湯』をお買い上げとなった。
 胃の具合が悪いことを、やはり気にされた模様。

 小学生くらいの男児を連れたお客様が来店し『トクホン』を選ばれたのだけれど、用途を尋ねると、子供が足を捻ったか成長痛のようだとハッキリしない模様。
 フェルビナクもインドメタシンも年齢制限があるため『トクホン』をそのまま買っていただいたものの、やはり原因が判然としないまま痛み止めだけを使うというのは心配なため、病院を受診するよう勧めた。
 こう言っちゃなんだけど、子供の症状の訴えというのはアテにならない。
 例えば、階段や高い所から飛び降りて遊んだ時とか、肝心なその事実を親に言わないなんてのは普通にありえる話。
 親の方が捻挫程度に考えていたら、実は剥離骨折してましたなんてケースも想定しておいた方が良い。
 そんな話を、もう少しソフトにお客様に伝えた。
 本人も目の前にいるんで。
 まぁ、原因となっていそうなことを隠すのは、大人の患者さんでもあるけどね(笑)

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