お粥は消化に良くない!? 「米の花が咲く」まで煮崩して、ちょっと濃いめの味付けを

 お客様から『葛湯(くずゆ)』を求められたけれど、今は『生姜湯(しょうがとう)』しか置いておらずヒアリングしたところ、下痢で病院を受診し、渡されたという食養生についての紙に書かれていた。
 おおっ、こういうのを配ってる病院があるんだ。
 コレは良い。
 でも、応えられず残念(´・ω・`)
 お客様には、塩分と糖分を摂るためにインスタントスープや味噌汁を提案したうえで介護食を案内してみたけれど、それでも肉類は胃腸の負担になるだろうから今日のところは避けたいと迷われ、お帰りになった。
 お粥も消化に悪いのは、ご存知のようだった。
 よく、お腹を壊したり風邪で寝込んだときに「消化に良いモノを」というと『お粥』をイメージされることがあるけど、実は日本式のご飯をゆるく炊いただけのお粥は粘度が高く、腸で消化しづらい。
 消化に良いのは、中華式に「米の花が咲く」と言われるような、米が細かく煮崩れて原型が無くなるまで煮込むか、あらかじめ米をスリコギなどで砕いて作ったお粥である。
 また、日本式のお粥の味付けは塩や醤油で薄口なことが多く、それだと下痢や発熱時の経口補水液のように塩分と糖分を摂るには向いていないので、ダシ汁を加えて少し濃い目の味付けをしたほうが食養生となる。

 お客様が、うがい薬と風邪薬の棚で迷っている様子で、『イソジンうがい薬』と『パブロンメディカルT』をレジに持ってきたのでヒアリングしてみると、主訴は喉の痛みとのこと。
 喉が痛む時には、殺菌剤は刺激物なのでポビドンヨードである『イソジンうがい薬』は使わない方が良いとお話すると驚かれた。
 うがい薬を使いたいのであれば、抗炎症成分のアズレン製剤の方が良い。
 そして、『パブロンメディカルT』のように喉風邪を謳っていようが、『パブロンメディカルN』のように鼻風邪を掲げていようが、漏れなく咳止め成分が入っていて、咳の症状が無いか軽い場合には向かない。
 起きていない症状の成分が入っていると、身体の方はそれを処理しなければならず、余計な負担を身体に強いることになってしまう。
 お客様は保育士で、子供たちから移ったのかもとのことだったけれど、鼻水や咳が少しある程度だと風邪とは断定できなくて、鼻水は内臓の冷えでも起きるし、咳は胃炎でも起きることを説明した。
 家には『バファリンルナi』があるというため、喉の痛みに使えることをお話すると、また驚かれた。
 『イソジンうがい薬』は、アズレンとイソジンよりは刺激の少ない殺菌成分の入った『パープルショットW』に変更となり、『パブロンメディカルT』は取りやめに。
 痛むのは喉の奥だそうなので、やはり胃炎の可能性も考えられることを重ねて伝えると、8日ほど続いてるそうで、ちょうどその場で出た咳が乾いた音だったため、『麦門冬湯』を紹介した。
 胃炎を起こしていると、覆いかぶさっている肺が乾燥して咳になる。
 この、新型コロナウイルス禍のご時世、人前で咳をするのは憚れるだろうが、咳の音が聞けると湿った咳との区別ができて助かる。
 『麦門冬湯』は上半身に保水して咳を抑えてくれるのだが、生薬で見ると咳止めの成分は入っておらず胃薬の構成になっている。
 つまり漢方的には、乾いた咳は胃を治せば治まると考えるのだ。
 ちなみに、湿った咳や冷たい物を飲むと出る咳には『カンポアズマ』が適応し、夜中に咳き込んで寝られない熱性の咳の場合には『五虎湯』が候補となる。
 お客様には、風邪でも胃の不具合でも消化に良い食事に早めに切り替えるのが養生法になりますと説明し、寝込んでから食事を変更するのでは遅いと伝えたけれど、ヒアリングとしては聞く姿勢に欠けていたかもしれないと反省。

【第(2)類医薬品】《ツムラ》 生薬製剤 カンポアズマ 8包

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