適さない薬を求めるお客様に、諦めさせることの難しさ

 お客様から口内炎の貼り薬を尋ねられ、炎症が強い場合に適応するステロイド剤の『口内炎パッチ大正クイックケア』と『トラフルダイレクトa』の他に、症状が軽いか日が経っている場合に患部の修復が目的の『口内炎パッチ大正A』を案内した。
 患者は子供で、大正製薬のパッチは基材が口の中に残って、『トラフルダイレクトa』は溶けることを説明したうえで、自身が使ったことがあるという後者をお買い上げいただいた。
 ちなみに、基材が残る方は飲み込んでは問題は無く、飲食時の患部を保護する目的に適している。
 それと、パッチタイプが向いているのは患部が頬の裏側の場合で、唇の裏側だと歯と当たって剥がれやすく、舌炎の場合も舌が動くから適さないから、軟膏のほうが塗り直ししやすい。
 お客様には、身体は患部を治すために炎症したい理由があるので、冷たい物の飲食を避けるようお話した。
 炎症することで免疫力が活性化され、血流が良くなり患部を修復する材料が運ばれやすくなるため、気持ち良いからと冷たい物を飲食すると、身体の方は「もっと炎症しなきゃ」と頑張ってしまうんである。
 子供はシャワーで過ごしてるというため、太い血管の通っている背中側にシャワーを集中的に浴びる方法を教えたけれど、湯船に入るのが一番の解決策と勧めた。
 身体に「無理に炎症させる必要は無い」ということを、教えてあげるのだ。

 お客様から、オムツかぶれを謳っている『カブナース』は『フルコートf』より安全か尋ねられたので、同じ炎症を抑えるのに優れたステロイド剤で、後者に比べて痒み止めと局所麻酔が加えられていることを説明した。
 ただ、お客様は陰部の周辺に『フルコートf』を使っているそうで、糖尿病の治療中で皮膚の状態が芳しくないというため、非ステロイド剤の『フェミニーナ軟膏』を軟膏の利点をお話して、お買い上げいただいた。
 糖尿病は細菌疾患を併発しやすく、ステロイド剤は炎症を抑える力が強いのと引き換えに患部の免疫力を下げるうえ、皮膚の再生も阻害するから、使うとすれば担当医の指示に従ったほうが良い。
 むしろ、今まで自己判断で使っていたのが怖い。
 ちなみに、軟膏をベタつくのを嫌がって避ける人がいるが、ベタつくことで服や皮膚同士が擦れるのを防ぐ絆創膏代わりになる。
 一方、クリーム剤は、皮膚のバリアを破って浸透するように調整されているので、患部の状態が悪い場合に効果的だから、上から『ワセリン』を重ね塗りするという方法も考えられる。
 他に、漢方薬の『防風通聖散』である『コッコアポEX』と『ナイシトールZ』のどちらかを試したいと言われ、やめたほうが良いとお話したけれど、比較として『大柴胡湯』の『コッコアポG』よりも身体に障る可能性があることを説明したら、『コッコアポG』を購入されてしまった。
 あうっ、『コッコアポG』を勧めた訳ではなく、もともとが風邪に用いる『防風通聖散』を身体に負担をかけて痩せさせようという変な使い方だから、やめましょうというお話をしたつもりだったのに……(;´Д`)
 お客様は、以前に私が紹介した病院を受診してると分かり、医師にも私のことを話してあるとのことだった(汗)
 うう……、とにかく何を使うにしても担当医に相談してからにして下さい。

 

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