症状の変化に合わせて使う薬を乗り換える

 お客様から乳酸菌のサプリメントを求められたが、うちのお店には単独の物は無いため『新ビオフェルミンS』と『ラクトファルミンS』を案内した。
 すると、棚に並んでいた『アペテート整腸薬NA』に興味を持たれ、納豆菌が乳酸菌を育てることをお話しすると購入された。
 乳酸菌は胃酸に弱いため腸に届くまでにかなりが死滅してしまうとされており、それを改めて腸で育て直そうという訳だ。
 『ザ・ガードコーワ整腸錠』も同様である。 
 また、乳酸菌の整腸剤では胃酸が出るのを抑える成分が入っていたりするので、整腸剤を飲むことで胃の働きが悪くなるという本末転倒なこともありえるから、服用後の経過観察は結構重要である。

 お客様が『パブロンSゴールドW』をレジに持ってきたさいに咳と鼻の風邪で良いのか尋ねたところ、置き薬にするとのことだったので2日飲んでみて効かなかったら他の薬への乗り換えを検討するようお話したところ興味を持たれた。
 そこで、症状別に容量の少ない物を備えておく方法もあることをお話した。
 すると、風邪の予感がする時に飲める物はという質問が出たので、『葛根湯』を紹介したところ、当初は置き薬にというお話だったが、今回はご主人の咳に使うつもりと分かり、『パブロンSゴールドW』は適応するものの、風邪薬ではなく咳止めを使うことを提案した。
 なにしろ『葛根湯』は上半身を温めて風邪を治すため、咳や喉の痛みには使えない。
 一方で風邪薬には解熱剤や鼻炎薬なども入っており、体の方は起きていない症状の成分についても処理しなければならないため、疲労してしまう可能性を説明した。
 その咳止めとして『ブロン錠エース』と『ブロン錠』を紹介し、この場合も痰が喉に引っ掛かるようであれば前者を、咳をして痰が出るようであれば後者をと説明した。
 同じブランド名でも成分が違い、適応する症状もまた違うんである。
 パッケージを見るだけでは分からなければ、ぜひ尋ねてもらいたいところ。
 そして咳の状態を詳しく確認すると、どうやらカラ咳のようなので、胃炎でも咳になることをお話して上半身を潤す『麦門冬湯』を紹介してみると、少し前は夜中に咳をしていたという。
 夜中の咳は体内に熱が篭って起きるものであるため、そういう場合には『五虎湯』をとを紹介したうえで、その熱により乾燥に変わったと考えられるため『麦門冬湯』を試していただくことになった。
 症状の変化に合わせて、使う薬を乗り換えるのもまた必要なことなんである。
 また、咳自体が喉に負担をかけてしまうので、喉の痛みや咳の症状が出たらその時点で噛まずに食べられる胃に優しく消化に良い食事をするよう伝えた。

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