市販薬のリスク区分の説明は案外と難しい

 やや高齢のお客様が来店し、ご主人から目薬の場所を訊かれて案内したところ、目の痒みに『アイリス40』を使っていたというため、『ロートアルガード』などを紹介した。
 なにしろ『アイリス40』で痒みに関係する成分は、クロルフェニラミンマレイン酸塩だけだから。
 すると目の疲労もあるというので『新緑水』を案内したが、安い物は不安と言うため、価格と効き目に関係は無いことを説明したうえで『スマイル40プレミアム』も紹介したものの、『新Vロート』を選ばれた。
 ズコーヽ(・ω・)/
 いや、まぁ、痒みと疲労にはバランス良いかな。
 奥さんからは『龍角散ダイレクト』のことを質問され、患部を冷やして炎症を抑えるのが基本でスティックタイプには去痰剤が入っておりトローチタイプには入っていないことを説明した。
 おそらくトローチタイプは舐めることで自分の唾液によって喉を潤すから、去痰剤は不要なのだろう。
 今回はスティックタイプの『龍角散ダイレクト』を使っていただくことになった。
 また、ご主人から薬の分類である2類3類のことを尋ねられ、副作用の発現リスクの区分であることを説明したところ、「じゃあ3類の方がいいな」と言われて困った。
 確かに3類の方が副作用のリスクは低い訳だけれど、低いから安全とは限らないし、リスク区分は薬の効果と比例してる訳でもないから、詳しく説明しようとすると難しい。
 というのも、このリスク区分は製品としての薬の評価ではなく主成分で決まるものだから、特定の成分が入っていると自動的にリスクが高い方に区分される。
 でも、一緒に入っている成分がそのリスクを軽減していたりするので、製品としての処方構成により判断することになるし、同時に他の薬を使っていたりすればリスクを軽減する成分が入っていても、その特定の成分が入っていることで一発アウトという判断もある。
 とりあえず、薬を買う時には今回みたいに、そのつど尋ねてくださいな。

 夫婦のお客様が『葛根湯』を購入されるさいに、喉の痛みや咳のある風邪には向かないことと発熱してからでは遅いことを伝えると興味を持たれた。
 そこで、発熱したら『麻黄湯』に乗り換え、解熱後には『柴胡桂枝湯』をと紹介した。
 また、症状が複数あってどれを使って良いか分かりにくい場合には、体の土台を支える『柴胡桂枝湯』を優先的に使うことを説明した。
 それから、『葛根湯』は上半身を温めることで風邪の初期症状を軽減するので、喉が痛むなどの炎症がある場合には上半身を冷やす『銀翹散』を紹介した。

 前のお客様への説明を後ろで聞いていたらしいお客様から、『葛根湯』と現代薬を合わせた薬を服用しているとの相談を受けた。
 商品名は分からず、もう風邪が4日前で体がだるいというお話だったため、いずれにせよ『葛根湯』の適応期間が過ぎていると考えられることを説明して、『柴胡桂枝湯』を試していただくことになった。
 プライバシーを考えれば薬事相談に別室が欲しいところだけれど、ドラッグストアーの店頭ではそれは難しい。
 でも、こうして相談してもらえるキッカケにもなるようで。

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