名前の一部が違うと成分が全く異なる

 やや高齢のお客様が、下痢止めを求めて来店。
 下痢止めを求めて来店するお客様は、急性症状を抑える『ストッパ』シリーズか、食中りに向いている『正露丸』かの二極化が常だったりする。
 そして多くのお客様は、何も語らず、確認もせずに、無言で商品を差し出して買われていく。
 本当は、症状の内容を尋ねたいところなんだけど、下痢というのは言い出しにくいのか、それとも軽く考えているのか、とにかく足早な立ち去られてしまい、立ち入りにくい疾患の一つである。
 しかし、今回は珍しく、冷たい物を飲み過ぎての冷え腹が思い当たるというお話をされたので、『胃苓湯』を案内した。
 そして、もう少し詳しくお話を訊いたら、お酒はチューハイを飲むそう。
 チューハイ系は、「焼酎」と誤解しがちだけど、ウォッカベースだったりして、ウォッカは薄めてもお腹を壊しやすいので、もしかすると影響していかもと伝えた。

 以前に頻尿の相談を受けて、『八味地黄丸』を案内したお客様から再び相談を受けた。
 『八味地黄丸』はそれなりに効いているようなのだけれど、知人から『当帰芍薬散』に似た名前で、長い名前の物を勧められたとかで、実際のところどうなのかと。
 『当帰芍薬散』自体は、病院で更年期障害にと処方された事があると以前に言っていたので、名前も覚えたのだろう。
 そして、その長い名前で似たのというのは、『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』の事だろう。
 効能に頻尿は入っていないが、天候不順で急に冷えてきたし、これから秋冬に向けては適応する可能性はあると、お答えした。
 特に、手足の冷えを強く感じる場合の最後の手段みたいな漢方薬で、私なんかはスキーに行く時に事前に飲んでおくと、指先が悴(かじか)むのを軽減できるため重宝している。
 ただ、今回の頻尿については効能に書いてないから、店頭では売りにくいのも事実。
 『当帰芍薬散』を処方してもらっている担当医に、まずは相談してみてはいかがでしょうとも付け加えた。
 もっとも、あくまで「手足の冷えに」という事であれば、販売しても問題は無いのだけれど。

 『イブ』の無印を選ばれたお客様に、念のため『イブA』でなくて良いのか尋ねた。
 一応、『イブ』の無印はイブプロフェンだけで、『イブA』の方は胃を保護する成分が加えられているから、『イブA』の方が良いのではないかと思ったため。
 そしたら、以前に『リングルアイビー』が効かなかったという話をされた。
 ええと……、『リングルアイビー』の中身はイブプロフェンだけだから、『イブ』の無印と変わりませんよん(^_^;)
 効かなかった原因はハッキリしませんが、それでしたらイブプロフェンとアセトアミノフェンを合わせた別の鎮痛薬を試してみてはと提案して、『バファリンプレミアム』を試していただく事になった。
 ちなみに、『バファリンプレミアム』の成分は、良く知られている『バファリンA』とも成分が違う。
 『バファリンA』の主成分はアセチルサリチル酸で、医師からアセチルサリチル酸のアレルギーがあると診断されている人は服用できない。
 というように、別な商品名の成分が同じだったり、良く知っているつもりの商品名は一種のブランド名なので、名前の一部が違うと成分が全く異なるので注意が必要。

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