医師の監督下で使う睡眠導入剤と自己判断のサプリメントのどちらが怖い?

 成人の娘さんの生理痛に、お客様から「胃に優しいものを」という要望を受けたので、比較的主成分が胃の働きを妨げない『バファリンA』と、胃を保護する成分を別に足した『イブA』を案内した。
 また、鎮痛剤に子宮の収縮を抑える薬を合わせた生理痛専用薬『エルペインコーワ』を紹介した。
 そのうえで、痛み止めに頼るのは好ましくないことをお話して、生理前から期間中に服用して症状を和らげる漢方薬があることも伝え、今回は『イブA』をお買い上げいただいた。
 そして、生理痛は痛いのが当たり前と思っていると大きな病気を見逃すことにもなりかねないため、定期的な健診は欠かさないよう伝えてくださいとお話した。
 今回は、お客様が興味を示さなかったので詳しくは案内しなかったが、体力が充実している人ならば『桂枝茯苓丸』を、やや疲れやすいタイプの人には『当帰芍薬散』が 向いている。
 こういうことからしても、家族に薬を頼むのではなく本人に来店してもらいたい。

 『メラトニン』のサプリを求めてお客様が来店したが、置いていないことと、効用よりデメリットのほうが大きいと考えられる事をお話しした。
 というのも、メラトニンは本来は体内で生成される物なので、外部からの取り込みが常態化すると生成能力が落ちてしまう。
 また、精神不安を増大させるという研究結果があり、悪夢を見る傾向が強くなるとも指摘されている。
 さらには、メラトニンはホルモンに働きかけるため、生殖機能障害を起こす可能性がある。
 どうにも、手軽に使うには使い勝手が悪い。
 お客様の主訴は入眠困難ということで、肝の不具合かと思ったが、詳しく聞くと夜型の生活だというので脾(ひ)が弱いのかもしれない。
 脾とは、漢方用語で胃腸のことである。
 お客様は、他のグリシン系のサプリにも興味を持たれたが、グリシンもまた体内で生成され、かつ必要量は少ないため、費用対効果の面で疑問ですと伝えた。
 以前に、肝に働きかける『柴胡加竜骨牡蛎湯』が効かったというので、比較として肝ではなく脾を助ける『桂枝加竜骨牡蠣湯』 と、神経過敏な人向けの『ナイトミン』(酸棗仁湯)を 案内したところ、仕事がSEだと分かったため、脾のメンテナンスしてストレスを軽減する『加味帰脾湯』も候補に加えた。
 それと、病院で睡眠導入剤を処方してもらうことを怖がっていたが、医師の監督下で経過観察をしながら使う医薬品と、自己判断で使うサプリメントを比較したら、医師の監督下の方が安心ですとお話しした。
 それと、入浴の後に食事をして21時頃に一度眠くなるというお話で、本質的には眠れないという事は無いはずである。
 人間は入浴などで体が温まってから約2時間後に眠くなるものなので、入浴時間や食事の時間を調節してみるのも夜型を改める一つの手段であることを説明したうえで、今回は『ナイトミン』を試していただくことになった。

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