自分で調べたら専門家の意見も聞いてみましょう

 お客様が『ガスター10』を求めて来店したものの、うちのお店には置いていないことを説明したうえで、何か『ガスター10』でなければならない理由があるのかを尋ねたところ、加齢による胃もたれに効くという情報をネットで見たからなんだとか。
 間違ってないけど、間違ってる気がする……。
 ネットで色々と調べられるようになったのは良いけれど、それらの情報の取捨選択や有益に活用するのには、やはり専門知識は欠かせない。
 例えば、何かを調べようという時には、そもそも検索する用語を知らないことには調べられなかったりする。
 まぁ、Google先生が「もしかして」と関連しそうな用語を提示してくれるものの、それはあくまで関連しそうな用語であって、本当のところは分らない。
 また、一見関係無さそうな事柄が繋がっているなんてこともあり、さらに裏を取ろうと思ったら際限なく調べなければならない。
 でも、特定の専門分野についての基礎知識があれば、「書いていないこと」を「結びつけて」考えて調べることができるし、どの程度まで調べれば信頼性がある情報かという見極めもできる。
 だから、自分で調べるのは良いとして、いきなりそれを専門家に相談せずに実施するのは、どうかと思う。
 もちろん専門家の間でも意見が分かれる事柄があり、いやだからこそネットで見た情報は、単に情報として蓄積するのでなく実行しようとするのなら、専門家の話は聞いておくべきだろう。
 それこそトンデモ医療系を信奉する人たちは、現代の医療基礎知識も持たないままに拒否してたりして危険極まりない。
 現代医療の側では、代替医療は取り入れないこともないし、トンデモ医療だって患者さん自身の気持ちの安寧のためには生命に危険が及ばない限りにおいて全否定ということは無いはずなのに。
 糖質制限なんかも、体験談を語り合う人達同士で盛り上がってて、医療関係者の指導のもとで実施している人の体験談というのには、なかなか出会えないんだよねぇ。
 もっと脱線すると、無農薬野菜を売り文句にしている農家や飲食店の経営者が、じゃあそれだけ忌諱してる農薬についてどのくらいの知識があるかというと、どうにも怪しい。
 ホームページなんかの解説を読んでみても、一括りに「農薬」と語っていて薬学の知識があるようには到底思えない文言が並んでいて、トンデモ医療を信奉する人が肝心の現代医療の基礎知識に乏しいように、実は農薬のことを碌に勉強してないんじゃないかと。
 ちゃんと、「無農薬」というのは「法的に登録されている農薬を使ってない」というだけで、「農薬以外の薬剤」を使っている可能性を言及している農場などのホームページの方が、よほど信頼できる。
 私も、できるだけ多角的な視点を持った専門家でありたいもんである。
 ………と、だいぶ偏った方向に脱線してしまったσ(^◇^;)。
 今回のお客様に、もう少し詳しくお話を訊いてみると、『大正漢方胃腸薬』と『第一三共胃腸薬』は試したことがあり、どちらも期待した効果を得られなかったという。
 『大正漢方胃腸薬』は私の中ではイチオシだから、いきなり得意手を封じられてしまった。
 余計なことを訊くんじゃなかった(爆)
 そもそも『ガスター10』を選択するのであれば、『半夏瀉心湯』も候補になるだろうと、試しに肋骨の下側に指を入れてもらったけど痛みは感じないそう。
 ううん、『半夏瀉心湯』は適応しないか……。
 少し疲れているようにも見えるから、『ギャクリア』(六君子湯)か『スクラート胃腸薬S』の方が合うかも。
 そう案内してみたが、加齢によるものかは、お客様が思っている事であって現状を把握するために、一度は病院を受診してみるよう勧めた。
 ええ、専門家(医師)の意見は大事ですヽ( ´ー`)ノ←オイ
 お客様には、「胃薬を選ぶのも難しいんだねぇ」と言われた。
 いや、これは本当で、同業者の間でも「皮膚と胃腸は、相談されたくない」というくらいでして。
 なにしろ、皮膚疾患は感染症やアレルギーなどの可能性があり、胃腸は内臓疾患ゆえに診察行為ができない店頭では判断しづらい。
 風邪なんかは、むしろ「治すもの」ではなく「症状を抑えるだけ」だから、ある意味楽なんである。

 お客様から食欲低下の相談を受け状態を尋ねると、普通に食べてはいるが食欲が落ちており、食後にすぐ横になると胃液が戻る感じがするという。
 食べてすぐ横になったら当然のようにも思えるが、胃の機能が正常であれば胃液が逆流しようとしても、ちゃんと防いでくれるので、自覚症状があるようなら、やはり胃の機能が低下していると考えられるため、『六君子湯』を案内した。
 それと、『スクラート胃腸薬S』も候補として提示したところ、以前に『セルベール』を使って効いた気がしなかったことを思い出された。
 お客様は神経質そうにも見受けられるから、生薬と現代薬の合方であるものの生薬構成からすると『セルベール』ではフォローしきれなかったのかも。
 そして、『スクラート胃腸薬S』を試してみると決められたところで、実は喉の痛みに病院で痰を切る薬を処方されているとのことで、飲み合わせが気になるという話が出た。
 どうして、それをもっと早い段階で言ってくれないの(;´Д`)
 いえ、訊かなかった私が悪いんですが。
 まぁ、予想される痰を切る薬との問題は無いはずですが、お薬手帳に購入した市販薬の成分表示も貼って一元管理することと、お薬手帳を持ち歩くようお願いした。

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