精神的な病気は家族の病気?

 中学生の男の子の咳止めを求めて、お客様が来店した。
 でも、なんだかいつもと勝手が違う。
 他店で購入した『ルル』(種類は不明)が効かず、『ストナプラスジェル2』を買ったらカプセルが大きく、子供が飲みづらかったという。
 そして、本人は痰がからむと言っているらしいのだけど、咳が酷くなるタイミングなどは分からない模様。
 現代薬に『ブロン錠エース』を、漢方薬に『麦門冬湯』を案内してみると、本人は不登校で普段は体調が優れず、でも遊びに行く時には元気だという話をされた。
 全然関係無いが、「不登校」という言葉が嫌い。
 正確には、いつも間にか「不登校」に用語が統一されたのが納得いかない。
 詳しい経緯は知らないけど、私が子供の頃には「登校拒否」と言っていた。
 それが、登校しない理由は、イジメとか家庭の事情とか様々だからという理由で「拒否してる」んじゃなくて、状態として「不登校」に統一されたとか。
 それで、「不登校は特別じゃない」という事にしたいみたい。
 でも、それじゃ明確な意志を持って「拒否してる」子供が、状態としての「不登校」に取り込まれて、「特別なことじゃない」なんて言われたら、他にどんな行動を起こして自己を表明すれば良いというのか。
 意志を持った登校拒否は、それ自体が行動の一つなのに、それが「特別なことじゃない」なんて受け入れられてしまったら困ると思うんだけど。
 何か事件の一つでも起こさないと、「特別視してもらえない」訳で。
 現代の子は、大変だ。
 ……思いっきり話が逸れた。
 でも昔なら、学校に行こうとすると体調が崩れて、遊びに行く時には元気というのは「単なる甘え」と見られていたのが、現代では心療内科的に『非定型うつ病』という診断があり、ストレスによる自律神経失調症とも関係するという見立てが出来るようになったのは良い点か。
 痰がからむ感じがして、「んんっ、んんっ」と咳払いしつつも実際には痰が出ないようなら『半夏厚朴湯』が候補になることを説明した。
 もしかすると、カプセルが飲みにくいというのも、気道や食道がストレスで狭くなっているせいかも。
 でも今日のところは、お客様自身が以前から使っていてお気に入りらしい『ブロン錠エース』を購入された。
 そして、お客様自身は『加味逍遙散』を不眠に常用していて、一度別な漢方薬に変更したら駄目で、また戻したそう。
 ただ、その変えたという漢方薬を覚えていなかったため、何か分からなかった。
 うーん、お客様とお話していた感じだと、お客様自身がストレス性の精神不安なんじゃあるまいか。
 『加味逍遙散』が不眠に適応しているというのもそうだし、最終的に自分の好みの薬を選んで、今回の患者である子供の症状には感心が及んでいない判断基準の偏りは、不安神経症の人にありがち。
 まぁ、子供の不登校に悩んでいるとすれば当然か。
 でも、その親の不安感やピリピリ感が子供に伝播していたり、あるいは子供が何か親に言っても、最終的に親の好みに受け応えが偏るようだと、それが今度は子供のストレスになってという循環を生み出している可能性すらある。
 子供の不登校問題に限らず、高齢者の認知症とか、アルコール依存症とかで、本人を心療内科や精神科に診察させる時には、実は家族の方をこそ受診させたほうが良かったりするんだよねえ。
 これが、風邪とか怪我とかなら受診勧奨しやすいんだけど、心療内科や精神科を受診してみてはと勧めるとなると、途端にハードルが高くなって店頭では言い出しにくい(ー_ー;)
 眠剤とか抗うつ剤とかの、悪いイメージが先行しているのも問題だ。
 漢方薬に詳しい心療内科や精神科の医師が、何処かにいないかな?

 『ベンザブロックせき止め錠』を選んでるお客様に声を掛けてみたら、主訴は喉の痛みで、3日ほど前からというお話だったため、咳止めよりも『パブロントローチAZ』で患部の炎症を抑えるか、『駆風解毒湯』で患部を冷やすよう提案してみた。
 すると、一週間前には風邪をひいていたという。
 それですと、体内が乾燥しているのが原因かもしれません。
 前言撤回になるけど、それなら上半身の保水をする咳止めの『麦門冬湯』が候補になる。
 ところが、体内の乾燥については強く否定された。
 疑問形ならともかく、なんでそんなに強く否定されたのか分らない……(^-^;
 でも一方で、どうやらトローチを医薬部外品ののど飴と同じように思っているらしく、それゆえに効き目に疑問を持っているのだと、お話していて分かった。
 そこで、『パブロントローチAZ』は医薬品で効能が確認されている事と、トローチの利点は患部の近くに長く留まることですと説明すると購入を決められた。
 お会計しながら、喉の痛むときの養生についても伝えようとしたけど、興味が無さそうだったため、しつこく感じられても困るのでやめた。
 まぁ、炎症を起こすのは体のほうでは熱を出したい理由があるからなんで、お風呂に入ったり温かい物を飲むことで、体に「頑張って熱を出す必要が無い」ことを教えてあげてというだけなんですが。

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