治療方針は患者さん自身が決めるものでもあります

 お客様が『ベンザエース』を求めて来店したけど、うちには置いていないことを伝えると、『ベンザブロック』のシリーズを見つけて「これでイイ」と言われた。
 いやいやいや、名前はブロンド名で、名前が少しでも違えば成分も違い効能も同じではない。
 そうお話すると、用途は置き薬だという。
 そして、家族で使うから容量の大きい物をと要望された。
 いえいえいえ、家族でも年齢が違えば性別も違い、仕事や学校などの環境が違うと体への影響が変わります。
 そのうえ、風邪は急性症状でもあるので2日ほど服用して効かなければ、他の物に乗り換えたほうが良いですよ。
 むしろ、熱風邪と喉風邪に鼻風邪にと主訴別に揃えておいたほうが対処しやすく、主訴に関わらない成分が入っていない物のほうが早く回復します。
 薬を決め打ちで来られたため、あまりお話を聞いてもらえないかなと思ったけど、案外と興味を持って頂けた様子。
 こちらも勝手に思い込んで、投げちゃいけませんな(・o・)
 『ベンザ』のブランドが安心するようで、喉風邪の『ベンザブロックL』と熱風邪の『ベンザブロックIP』の両方をお買い上げ頂いた。
 でも、夏風邪は胃腸炎を起こしやすく、胃腸炎を伴う風邪薬は現代薬には無いため、『柴胡桂枝湯』を紹介してみたんだけど、そちらには興味を持ってもらえなかった。
 ううん、これからの季節には重要なのになぁ。
 難しい……(;´・ω・)。

 火傷をしたというお客様が、「火傷の薬を」と来店。
 例によって、火傷の薬という物は無いことを説明しつつ状態を確認すると、手が赤く腫れていた。
 熱源に直接触れたのかも尋ねてみたけど、それには言葉を濁された。
 何かマヌケな失敗をしたのかもしれませんが、恥ずかしがらずに言って欲しい(;´Д`)
 水膨れになるかは現時点では分からず、細菌による汚染に備えて、抗生物質の『ドルマイシン』を案内して購入して頂いた。
 それと、氷で冷やしたと話されていたため、氷は過度の刺激になるので、流水で30分以上冷やすのが初期の手当てでは必要なことを教えた。
 やってしまったことをお説教するみたいで気がひけるんだけど、次回のことを考えると伝えない訳にもいかず。
 気分を害されたかどうかは、表情からは読み取れなかった。
 小心者なので、後々まで気になって仕方がなかった……。

 口内炎の薬を求めて来店したお客様から、大正製薬の『口内炎軟膏』と『クイックケア軟膏』では、どちらが効くかと質問された。
 前者はシコンエキスがメインで患部の修復に重点を置いており、後者はステロイド剤で炎症を素早く抑える。
 症状を早く抑えるという点では『クイックケア軟膏』の方が「効く」とは云えるけど、ステロイド剤は皮膚を弱くしてしまい患部の修復面でハンデがある。
 だから、どちらが効くかというよりは、痛みが酷いから先に抑えたいのか、痛みはそれほどじゃないから修復を優先したいのかという、患者さん自身の治療方針が選ぶ決め手となる。
 今回は、痛みを抑えたいとのことで『クイックケア軟膏』をお買い上げ頂いた。
 日記を継続して読んでくれている人は分かると思うけど、私自身は修復を優先する方。
 患者さんの希望と、自分の方針のすり合わせは、いつも悩んでしまう。

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